紙の本
有害な「らしさ」に目を
2021/11/18 15:07
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「男らしく」「女らしく」といったステレオタイプの押し付けに、違和感を覚える若い人は増えているようだ。
自分自身は「らしく」あるためにいろいろしんどい経験をしてきた世代だ。
著者の弁護士・太田啓子さんも世代的にはステレオタイプが刷り込まれた世代だとは思うが、男児の子育てをする中で、子どもの頃から無意識に刷り込まれた価値観が性差別的な社会を生むと、あらためて気づき、警鐘を鳴らしている。
さまざまな視点が率直に示されており、男の子を育てる親が読んでも、男の子(ジュニア世代)が読んでも、たくさんの気づきを与えてもらえると思う。
ジェンダー平等への意識は高いほうだと思っていても、まだまだ「らしさ」に呪縛されている自分に気付いた。自らの言動が「有害ならしさ」を生まないよう常に自問しなくてはならない。
肩肘張らず読めるので、ぜひ広く読まれますように。
紙の本
これからの男の子たちへ
2022/05/14 13:24
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投稿者:まんまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
男の子が苦手で自分が苦手としている男の子に育たない様にとよんでみました!
昔が悪い時代だったとは思いませんが今思うとしずかちゃんの入浴シーンなど考えさせられるなと。大人がきちんとアップデートしなければと思いました。
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既に男の子でない年齢の男性でも読む価値があります。
2022/01/29 13:24
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投稿者:二足歩行モアイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんどんと社会が変化していく中でいわゆる「有害な男らしさ」を抱えて生きている男性はどんどん生きづらくなっていくでしょう。しかしそれは誰かの生きづらさの上に自分が生きていたことの証。昨今、セクハラ発言や企業の炎上広告など様々な問題が起こったりしますが、それが何故問題なのかが分かる本です。周囲の男性を見ていても同様な差別発言やセクハラ発言を何の疑いもなくいう男性はいます。そういう人たちは何が問題か分からないままで自然と考え方が変わって行くしかないのだと思います。これからの社会を男性としてどう生きて行くべきか。これからの若い世代だけではなく今、この社会で生きている男性にあまねく必要な一冊だと思いました。変わるなら今です。
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よくまとまった、女性による男性論
2021/03/31 18:45
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投稿者:3π - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性著者による男性論ということで、男性の自分が読んだら死にたくなるような読書体験を求めていたのだが、そんな読後感はなかった。
内容的にはまあよくある男性論なのだけど、それが「男の子を性差別的な男性にならないように育てる」、という視点で書かれている。個人的には『男らしさの終焉』とかより論理的に整っているように感じた(まあ国の違いもあるけど)。
第5章「カンチガイを生む表現を考える」は、性的な表象の問題点についてかなり精緻に書かれていたと思う。性的な表象が炎上した時に「オタクvsフェミニスト」みたいな間違った構図を安易に想定するタイプの人には是非読んでほしい。
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エッセイとして読むならあり。
2021/05/21 04:05
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投稿者:山田 - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性が描く男性論として気になり購入。
頷ける部分も多々あるが、裏付けができていない。
エッセイとして読むなら満足できるかもしれない。
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本当にそんなに売れてるの?
2021/04/09 09:07
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投稿者:ぞーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
おそらくプロモーションの方法によってある程度売れたのだと思いますが、買ってもきちんと全部読んだ人は少ないのではないでしょうか?
もっともらしいことを述べていて、中にはなるほどと思わせる内容もあるものの、基本的に文章が無駄に長く、しかも科学的根拠のない話ばかり。
著者は弁護士をされているということでなんとなく納得。言葉をたたみかけることで相手を思考停止に陥らせ論破するという手法で男たちを黙らせてきたのでしょう。
しかし言葉のやり取りでその場は勝った雰囲気になるのかもしれませんが、こちらは印刷物です。
無駄に長い文章になってしまっていることで弁護士としての能力の低さを感じてしまうのは僕だけでしょうか?
内容的には1/3の量で伝えられるように思います。
こんな考え方もあるのか、と勉強のために読むにはいいのかもしれませんが普通の主婦にこんなものを読む時間はないと思います。(自分は40代既婚男性です)
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しばらく前に日経で紹介されていて、面白そうと思って読んでみた。
離婚や性被害を扱う弁護士の筆者(太田さん)は、もともと性暴力に関わる仕事をしたいと思われていたそう。そんな筆者が男の子二人を育てることになり、では性暴力のない社会にするためには、また自分の子供たちが加害者にならないためにはどうしたらいいのかと、実際の子育ての経験を通して感じられたことが書かれており、男の子はもちろん次世代を育てる者として非常に勉強になった。
ジェンダーバイアスのかかった言動をしないで子供を育てられるかというのは私も課題だが、さらに外部(周囲の人の言動、学校教育、メディア)からバイアスのかかった情報がもたらされるときに、どう適切に対応できるか。
また男子については、そこで押しつけられる「有害な男性性」を排除し、感情を言語化できるかが課題だという。性差別のある社会では、子供一人一人の個性ということで片付けず(腕白だから仕方ないといったような)、そこにすでにジェンダーバイアスがかかっていることを意識して「学び落とす」ことも必要だとの記述に大きくうなづいた。
また特権マジョリティである異性愛者の男性が性差別のある社会の現状に気付き、声を上げることこそが重要になるとも。田嶋陽子さんも、「せめて女性に下駄を履かせてくれ」(同じスタート地点に立たせてくれ)と言ってもなかなか男性に理解されないというようなことを書かれていたが、いや男だって苦労してるよという男性には、夜道や満員電車で女性が味わう気持ちや家事育児だ仕事だと悩む気持ちはわからないのだろうなあ。
一番共感しながら読んだのは、小島慶子さんとの対談。旧世代を教育し直そうとするのは正直疲れるしもう諦めが入っているというお二人。図らずも、某森元総理の女性蔑視発言があり、悪気なく女性差別を繰り返す(学べない)旧世代の典型を見たばかり。子供を育てる世代として、せめて次の世代への負の連鎖を断ち切るよう責任もって立ち向かおうという姿勢に、私も一緒に頑張りますと誓いました。
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考えてみればフェミニストの著作を一冊通して読んだことはなかったと思う。本書は育児本(かつ同業者の著作)として手に取ったのだが、フェミニストの本だった。社会に差別構造があるとき、子供はそれを無意識に内面化する。マジョリティが自身の特権を自覚しその立場を使って差別構造と戦うべきである。何もしないことは差別構造に加担すること、などおそらく古典的なフェミニストの理論と思われる主張にそれとして触れたことはなかった。抽象的には自己を客観化したうえでより統合的な視点に立つという慣れ親しんだ含んで超える進化の話なのだが、性差別に適用したときの生臭くて重苦しい感じは、自分がマジョリティであることを意識化し切れていない現実を突きつけられるからだろう。もっと理論的に語られればそういう圧も弱まるとは思うのだけれど、フェミニストの言葉には良くも悪くも被差別当事者としての血肉が通っているので、そんなドライな言説は力を持ち得ないものと思われる。『進化の構造』の原題がSex, Ecology, Spirituality であることの意味が少しだけ理解できた気がする。個人的にはマイノリティ属性を意識することが多いので、自分のマジョリティ特権に意識を向けることを肝に銘ずることから始めたい。しかしまぁ、育児ってこだわり出すととてつもなく大変だなというのが育児書としての本書を読んだ率直な感想である。
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う~ん、とても引っかかる。
・現在の日本の性教育は、子どもの身を守るという意味でも、将来的な意味でも遅れている。
WHO等に乗っ取り、幼稚園から開始することが望ましい。
ここは同意かつ納得。
・性は個人的なものである。お互いが尊重される、安全で真剣な場で討議されるべきであり、子どもが一番最初に触れるものはそういうメッセージを含むべきである。
ここも同意。
・現代社会の生きづらさは、過度な男女の役割分担による。男性の生きづらさも変えていくのがフェミニズムのあり方である。
ここも、まあ、同意。
ただどうにも納得できないのが、TV、アニメ、コミック等を含む子ども向けの「男らしさ」「女らしさ」の表現と、萌え絵についての苦言。
宮崎勤から秋葉原まで、オタク=社会的危険人物というレッテルがあった。そのレッテル張りを率先して行ったのは、PTAであり、女性団体だった。
おそらく、アニメやコミックに親しむ一定世代以上の人間は、あの侮辱を忘れることはできない。
(そもそも漫画が侮蔑表現だったのでコミックと呼んでいたし)
そもそも、すべてのTV、アニメ、コミックはフィクションであり、エンターテイメントである。
作り手の「相手が楽しむことができるか」の相手にマジョリティ以外の対象が入っていれば、当然そこは配慮される。
作者が何を持ってR-18としているかは不明だが、そもそもR-18の細分化とゾーニングはかなりしっかりしていると思っている。
AVの内容を真実と思い込む大人に対する性教育の責任がどこにあるか。
確実にAVの制作陣ではない。これはコミックやアニメも同様だろう。
実在の物をエンターティメントに落とし込む際、主要な題材以外はある程度の記号化が行われる。
例えば年配者は白髪と和装、働いていればスーツ、若者は洋装、学生は制服。
記号化も時代につれて変化するだろうが、まだ現在はその過渡期だ。
強固にできあがった大人の異性愛者のファンタジーを突き崩すのは、確かに並大抵の事ではない。
フィクションから変えていこうというのは確かに考えやすいしやりやすい。
しかし、男性に痴漢に対する毅然とした抗議を求めるならば、女性も男性の性的なからかいに大して毅然として抗議していくべきだろう。
とても難しいし、不理解もされるし、孤立もするだろうが、男性にそれを求めるならば、女性も行っていく心構えは必要だと思う。
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友人に勧められて、3人の男子を育てる親として買った。
勉強になるところが多々あった。
けれど、私は女子と男子の違いはあり、どちらもその子にあった育て方をするのがいいと思っているので、女子、男子と大きく括るのはどうかと思った。
受け入れられる人には受け入れられるけれど、一番この問題を考えてほしい人達には届きにくい内容かもしれない。
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子どもがいなくても、とても勉強になりました。
周りの人間の『呪縛』が、有害となる大人を作るなら、わたしたちは次の世代のためにその呪いの言葉を断ち切らなくちゃ。
お孫さんがいる世代にもぜひとも読んでほしいなぁ。
あなたの何気ない一言が、今の時代には毒なんだと理解して欲しい。
あと、ほんとに日本はもっと性教育に力を入れて欲しい。
やめて、と言われたら一度でやめられるように。
性暴力をエロとして消費しないように、暴力は暴力として認知される世の中になってほしい。
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よい本だと思います。
けれど、私には男の子も女の子もいますが、女の子の方が周りの空気に敏感で、女らしさを纏うのが早いなという気もしています。
男性との対話が入っていたので、若干のバランスは取れていますが、こういう本を男性が書いてくれるともっといいなと思いました。うーん、でも、こんなこと言うこと自体がよくない!?
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息子を育てる身として、男の子らしさにとらわれない育て方をしたい、と思って手に取った本。
個人的には、男性社会における「有害な男性性」の被害者にならないように、という意味合いで育て方を考えないと、と思ってライトに読み始めた本だったところ、
本書はもっと壮大で、男性がそもそも特権を持つ側として、性差別の構造ではマイノリティである女性を被害者にしないためにどう対峙するべきか、などが書いてあった。
個人的には知識として知っておかなければならない事柄がたくさんあったのでためになったと思う。
性被害としての考え方としては、被害者は圧倒的に女性、弱者は圧倒的に女性であるが、
社会生活上での「有害な男性性」を産んでいる一因は女性にもあるのも事実。
同じ女性として言えば、その双方が自覚をしないと、社会構造は変わらないと思う。
ここは性被害にも繋がっているとは思うが完全なイコールではないのではないかと考えるのは不自然なのだろうか。
著者は弁護士というのもあって、社会への問題提起や糾弾が多く、主張も強めなので、
母親である私に、ということもそうだが、
やはり実感値が低いだろう父親層に読んで欲しいなと思った。
差し込まれている対談による男性側の意見が補足的役割を果たしていて、とても読みやすかった。
正直、この著者の子育てのやり方をすべて真似するのはなかなか難しいと思っている。
ただ、このように先陣を切ってくれる方が居るおかげで、わたしは、わたしなりに息子へ、社会へ発信が出来ると思う。
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著者は二人の息子の母でもあり弁護士でもある。書いてあることは現代の正論として大いにうなずける一方で、私にとってはあまり目からウロコとか新しい知識がたくさんインプットできたという印象ではない。清田隆之さん、星野俊樹さん、小島慶子さんとの対談も収められているんだけど、これが面白かったし、なるほどと思うようなエピソードがあった。
果たしてタイトルどおり、これからの男の子たちに響くかというとどうだろう。男の子をもつお母さまがたが主な読者になってしまうんだろうな。書きぶりも、これからの男の子たちに向けてある文調のところもあれば、そうでないように思えるところも散見された。でも、そもそものところで、こういう趣旨のことを男性が書いた本や表現しているものが少なすぎるよね。
サブタイトルの「『男らしさ』から自由になるための……」というのもどうなんだろう。あまり響かない気がする。多くの男の子・男性が「男らしさ」を求めながら男ぶっているのが実態で、男としての既得権が行使できるという利点も含めて、「男らしさ」から逃れたいとは思っていないんじゃないかと思うから。それこそ、男らしさを求めやめたら、アイデンティティが崩壊するような危惧があり踏み出せないんじゃないかな。本当は、アイデンティティは自己の認識する性らしさじゃなく、自分らしさに据えればいいんだけどね。一方で、違和感を感じている男の子たちは、違和感をもった時点で自由に向けて踏み出しているんだと思う。
自分にとってこの本のキモは、最後のほうで出ていた自分が当事者でないことに対して声を上げられるかというところだと思う。たとえば、電車のなかで痴漢に遭っている人を見かけたときに、痴漢を糾弾したり対峙したりしないまでも、間に割って入って防ぐような行動がとれるかということ。男性がすればたいてい痴漢は引き下がるもので、そういう男性としてもつ有利な点を生かしてほしいということ。
とかく、痴漢や性風俗をジェンダー的に話題にされると、男性は痴漢したことなくても、性風俗に行ったことがなくても足を洗っていても後ろめたくて、手放しで痴漢や性風俗に通う人を非難しづらいし、つくづく思うんだけど、男が守るものって結局は自分のものなんだよね。だから、他人が困っていても正義の味方みたいに助けてくれる男はそういない。そういった次元を超えて、よりよい社会をつくるために、男性としての有利な点(既得権)を女性たちが(ひいては男性たちもであり、だれもが一人の人として)安心してのびのび過ごせる社会になるために生かせる、これからの男の子たちが増えていかないとね。
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有害な男らしさは良くない、その通り。男らしくないのはカッコ悪いという風潮は良くない。
20年、30年前と比べると性差別性暴力が無くなりつつあるがまだまだ途上。