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18世紀のオーストリア、庭師の娘マリーは自分も庭師になりたいと思っている。しかし、この時代に女が庭師になる事はとんでもない事で、女は家事をするか、看護師になるか、そのぐらいの選択肢しかなかった。その上マリーの父親は、妻が亡くなってからというもの、ウツ状態になり、マリーは修道院へ入り看護の勉強をすることになっている。
そんなマリーの見方になってくれるのは、医者のメスメル博士。父親の病気を看てくれる一方で、マリーの庭師の才能に気付き、庭師への道を後押ししてくれる。
女の将来の選択肢が極端に少なかった時代に、新しい職業を選びとったマリーと、マリーを愛する周囲の人々。幸せな未来に安心感が残る。
幼いころのモーツァルトや、睡眠療法を考えてたメスメル博士など、実在の人物を登場させ、現実感を出している。
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庭師になる夢を手にいれることができて、良かった。モーツァルトやオペラについて、知っていたら楽しめるところも多いと思う。
メスメル博士のような大人が近くにいたらいいなと思った。
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18世紀半ばのウィーンという、時代も場所の設定も好みのど真ん中で、しかも作者がウィーンっ子だというのもあって、当時の風俗が活き活きと事細かに描かれており、読んでいる間は至福のひととき。
少年時代のモーツァルトが登場し、彼が出入りしているメスメル博士のお屋敷の庭師の娘がマリー・フローラ。庭師として非凡な才能を持つマリーだけども、当時の社会では女性の庭師なんてありえないし、そもそもマリーは父の意向で修道院に入る予定。
崖っぷちに立つマリーだけども、雇い主であるメスメル博士をはじめ、周囲の理解者のおかげで庭師として生きてゆく道筋をたてられるようになる物語。
これはまさにジングシュピールだと思った。魔笛みたいなノリの。美しい音楽と庭園があって、ヒロインの行く末にハラハラドキドキしながら、ラストはみんながハッピー。
もちろんこれは児童文学として成立しているので、多少ご都合主義的な筋運びはあっても、時代考証はとても現実的。少年モーツァルトが神童ゆえに大人たちから妬まれ疎まれる様子や事件、女性の生き方が現代に比べていかに選択肢が少なかったか、などが手抜きなくしっかり書かれているし、同時にフランスやイギリスから流れてきた新しい思想が人の生き方や社会のありかたを変えつつあることも巧みに取り入れてあって、なかなか読み応えがあった。
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タイトルを見た瞬間、当たりっぽい気がしてましたが、本当に大当たりでした。
舞台は1768年代のウィーン。
庭師の娘であるマリーは父親の言いつけで将来修道院に入り、看護師の勉強をしなければなりませんでした。
ところがマリーは血や傷を見るのが苦手で、本当は父のように草花に触れていたいと思っています。
彼女は様々な人の助けを借りて、自分の道を歩んでいこうとしますが・・・
ぶっちゃけていうと、ハッピー・エンドで終わります。
作品自体はヤング・アダルトですが、ロマンス小説好きな方もきっと楽しめると思います。
また当時の生活の様子や実在する人物も登場するので、歴史の勉強にもなります。
当時の様子を知るとともに、恋愛要素もあってきゅんきゅんしながら読めました。
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庭師の娘マリーのお話。
マリーは父と同じ庭師になりたいが、父からは修道院に行くよう言われています。
反対されても、庭師になるため頑張るマリーの姿が印象的な作品です。
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ウィーンの庭師の娘マリーは草花を愛し、庭師としてすばらしい才能をもっている。時代はモーツァルトが12才の頃。女の子は考える必要がないとされる時代。マリーはメスメル博士、愛するヤーコプのおかげで始めての女性庭師になるのだった。
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庭と音楽と焼きたてのパンにあふれています♪
ファンタジーでもなく大事件も起きない、静かで淡々と、でも時折きらめく日常物語。
メスメル夫妻いい人たちですね。「女の子は考えられないとでも言うのかね?」
こんな人たちが側にいてほしい。こういう大人でありたい。
ヴォルフガング・モーツァルト少年の生き生きとした描写よ。
飛んで跳ねていっぱいしゃべって、ペンにインクをぱしゃぱしゃつけて曲を書く姿が目に浮かぶようです。かわいい~。
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表紙の印象通りの上品な味わい。
モーツァルトがいいアクセントになっている。
久しぶりに読んだな~こういうお話v
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表紙がとても美しい。
ああ、こーゆー庭をのーんびり歩けたら気持ちいいだろうなあ。
才能ある少女とその才を認め、伸ばす手助けをしてくれる大人と。
目にも鮮やかな花々の色彩と、モーツァルトの軽やかな音楽と。
そーゆー時代だ、とばかりに自分の気持ちとは裏腹な道を進まされそうな
少女。だが、本人の悩み具合とは別に、読んでるこっちとしては
博士の導きを疑うことなく信じていられたので、気持ちよく最後まで安心して読める一冊。
そーゆー意味ではとても恵まれている少女の話、ともいえる。
けれど、都合よすぎだろ、という印象は全くない。
それよりも、少女の草花への愛情や、とある事件で結び付いた青年との
恋、そして庭づくりへの意気込み、など、描かれる細やかな感情の
流れが気持ちよい。
音楽は草花とおなじように身体によいものかもね、というマリーの言葉に
そうだな、と素直にうなずく。
博士たち夫妻は実際の人物をモデルにしているとのこと。
なかなかバイタリティのある、素敵なひとたちだったみたいだ。
にしても、あの庭で彼の焼いたパンを食べたいなあ。
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植物が好きで、斬新な庭づくりの才能をみせるマリー。けれど修道院に行くことが決まっていて・・・。マリーは自分の“やりたい”という気持ち、一度しかない人生を“やりたい”ことに費やす覚悟を過ぎていく日々のなかで試される。
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タイトルと装丁、物語があまりにもぴったりで、夢中でページをめくった。植物が大好きなマリーが望む生き方と厳しい現実の中をどう生きるか。本人の意志とともに周囲の環境も大切なのかもしれない。きっと庭師のお父さんの影響を大きく受けたのでしょう。もっとお父さんのことも書いてくれたらよかったのになぁと思う。なぜか久しぶりに『秘密の花園』を読みたくなった。
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ひさしぶりに海外のYA小説を読んだ。
というか、時代物だし、ほとんど児童文学といえそう。
モーツァルトがかかわってくるあたりから面白くなるのだけど、なんともシンプルすぎる内容で、ちょっと肩すかし。
もう少しモーツァルトが深く内容に関与してくれたらなあ、と思えた。
さらに、もっとモーツァルトを変人だと想像していたので、純粋な天使少年なので驚いてしまった。
もちろん子供向けの読み物として、悪くない。
この時代に、少女の身で新しい発想の庭をつくることとその困難、当時の生活文化を知り、楽しむことができた。
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18世紀、自分の生き方を探す少女の物語。悪いお話ではないんだけど、主人公に共感できないままだった…。
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気持ちが向かうのは花や木や庭のことばかり、という庭師の娘マリー。とうぜん、修道女になれと言われても身が入らない。でも、避けられないことと分かってどうにか受け入れようとするマリーの姿勢は、いま読めばもどかしいけれど、その時代はそれが精一杯だったんだろうなと感じる。
母代わりのブルジ、パン屋のヤーコプがいい人たち。
マリーが庭を想像するシーンが美しい。いろんな花が咲いて。
ときどき翻訳がよく分からないところがあった。元の文章もあんな感じなのだろうか。
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18世紀のウィーンを舞台に、女性の自立を描いた児童文学。主人公が庭師を目指すというところは現代的だけど、そのほかの設定はオーソドックスで、モーツァルト少年が絡まなければ、地味な印象だったろう。当時の人々の服装や生活をきちんと描いているところには好感を持ったし、後味の良い小説で子供に薦めやすいかなとは思う。
しかし。パン屋の跡取り息子と結婚したら、パン屋のおかみさんとしての仕事が当然あるわけで、(当時としては)前衛的なデザインを売りにし、依頼主の庭を転々とする庭師の仕事と両立できるとは思えず、生活や風景描写がちゃんとしているだけに、その現実味のなさが浮いているように感じられる。そのあたりはいかにも現代の作家らしいとも言える。19世紀の作家なら、主人公は庭師を目指さず、修道院からの解放と恋愛の成就を前面に出してハッピーエンドとするだろう。
庭を描いた児童文学としては『秘密の花園』や『トムは真夜中の庭で』を思わずにはいられないが、そこまでの物語的面白さはない。昔の少女が自立して職業を勝ち取るという点では『アリスの見習い物語』の方が良い。
当時の様子や、モーツァルトの幼少時代の雰囲気(あくまで作者のイメージだが)が分かるし、ちょっとうまくいきすぎる感じはするが、こういうのもたまにはいいかもしれない。
中村悦子の表紙の絵がとても美しく、内容にも合っている。