- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2021/09/01
- 出版社: 文藝春秋
- レーベル: 文春学藝ライブラリー
- ISBN:978-4-16-813094-6
電子書籍
つわものの賦
著者 永井路子
2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代、鎌倉武士たちのリアルな姿を描き出した面白さ抜群の傑作歴史評伝。「ここで私は、大小いくつかの作品で扱ってきた鎌倉時代に対する一...
つわものの賦
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つわものの賦 (文春学藝ライブラリー 歴史)
商品説明
2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代、
鎌倉武士たちのリアルな姿を描き出した面白さ抜群の傑作歴史評伝。
「ここで私は、大小いくつかの作品で扱ってきた鎌倉時代に対する一つの決算書を書いた。」(あとがきより)
『炎環』『北条政子』で鎌倉幕府成立の時代を小説として描いた後も、
『吾妻鏡』を何度も読み返し、この時代を【大きな変革の時代】として位置付けてきた永井路子氏。
その盛り上がりの中核にあるのは、外からの力でも、源頼朝個人の挙兵ではなく、
東国武士団の行動として捉えた時、歴史的な意義が明確に見えてくる。
本書は、永井氏が鎌倉時代を扱った一連の小説の原点であり、帰結でもある。
序章 嵐の中への出発 治承四年八月
第一章 中世宣言 三浦義明の場合
第二章 空白の意味するもの 上総広常の場合
第三章 功名手柄 熊谷直実の場合
第四章 東国ピラミッド 源平合戦の意味
第五章 「忠誠」の組織者 梶原景時の場合
第六章 大天狗論 東国対西国
第七章 奥州国家の落日 征夷大将軍とは何か
第八章 裾野で何が起ったか 曽我の仇討ちにひそむもの
第九章 血ぬられた鎌倉 比企の乱をめぐって
第十章 雪の日の惨劇 三浦義村の場合
第十一章 承久の嵐 北条義時の場合
あとがき
※この電子書籍は一九八三年七月に文藝春秋より刊行された文庫版を底本としています。
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紙の本
時代の転換点 鎌倉時代
2021/10/28 22:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
文春文庫に入っていた本書、来年の大河ドラマの関連本として、学芸ライブラリーシリーズから装いを新たに出版された。好きな作家でも、読み漏らしている作品が結構あるなか、新装版などで手に入れることができるのは正直うれしい。
『炎環』で直木賞を受賞した永井路子でなければ書けない、鎌倉時代そのものをテーマにした歴史評伝だ。平安時代末期の東国武士たちのおかれた状況、その抑えきれないまでに高まった経済的自立への欲求、失敗に終わった以仁王の挙兵が思わぬきっかけとなって、伊豆の頼朝に平家の探索の手が伸びた。数々の偶然と必然が絡み合いながら、大きなうねりとなって新しい時代の扉を押し開いてゆく。
『吾妻鏡』をぼろぼろになるまで読み込んだ作者ならではの、一筋縄ではゆかない史書の行間から浮かび上がってくるその時代の息吹がまざまざと感じられる力作だと思う。
特に興味を惹かれたのが、史上名高い鶴岡八幡宮での将軍暗殺の裏側で演じられた、当事者双方の乳母一族同士の息詰まる相克だった。この事件、単なる将軍実朝とこれに恨みをもつその甥の公暁だけの問題ではない。むしろ彼らを自らの権力の拠り所として担いだ北条氏と三浦氏という二大巨頭の生死を賭けた闘いなのである。
この当時までに、他の有力御家人たちは次々と粛清され、最後に残った大物一族同士の一触即発の事件という側面こそが、この事件の本質なのだが、結局様々な齟齬や事情が重なって、直接の武力対決には至らない。その瞬間に居合わせたような臨場感に、ぞくぞくさせられた。
さらに作者が他の作品でも度々言及している乳母と養い君との強い連帯感、この関係が軸となって、権力の行方が決まってゆくという当時のシステム。まさに永井路子ワールドで解釈された鎌倉時代の歴史が、小説とはまた違った味わいで語られてゆく。
御家人同士の潰しあいの中から北条氏がいかに権力を手にし、西国の軛から東国を解き放ったかが説得力をもって読者に迫ってくる。歴史家ではない作者の渾身の本作を読んで、『炎環』、『絵巻』など関連作品をぜひ読み直してみたい。
紙の本
三浦義村と北条義時の駆け引きの下りは圧巻だ
2024/03/09 20:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
源頼朝の旗揚げから承久の乱までを扱っている。たいへん面白かった。各章分けも絶妙で、興味が途切れることなく読み進められる。自説を押し付けることがないのも好印象だ。特に最後あたりの三浦義村と北条義時の駆け引きの下りは圧巻だ。