0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
律令制の軍団制や中世の武士たちに挟まれてよくわかっていなかった王朝時代の軍制について刀伊の入寇を通じて解説されており面白い。
地方の有力な貴族たちの武士化
2023/12/01 13:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
刀伊の入寇というのは、女真族とみられる海賊が壱岐・対馬を襲い、更に九州に侵攻した事件、それに対抗すべき地方武士はどのように成立していったのか、そのこともこの本の主題の一つ、地方の有力な貴族たちが武士化していったのではないか
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安時代の刀伊の入寇と、その前後の海外との交渉状況を手がかりに、遣唐使廃止後の平安時代の外交政策および動員・指揮系統などについて、検証した本。
平安中期はどうしても、中央では摂関政治、地方では荘園の設立という、大きな枠組みで政治が語られがちで、実際に地方政治がどうなっていたのか、また海外交易と対外交渉の関係性がどうなっていたのか等について、まとまった内容はなかなかないように思う。
この本では、それらについて主に国際意識と、動員状況を題材に概説されていて、参考になる内容も多い。
ただ、やはり文献等少ない分野ではあるので、平安初期と院政期を埋めるすっきりとした内容にまではなってないのが残念。
刀伊とは何か、平安時代最大の対外危機と学校で習ったのと聞きたくなる
2021/12/16 19:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、序章で海に囲まれた日本が積極的に海外に出る面と海で守られている両面から、「開の体系」と「閉の体系」と位置付ける。時代による原理の違いを提示してくる。
第1章は、日本史(あるいは日本)を東アジアから見る必要を説く。そして、刀伊(女真)の襲来に入っていく。特定の事件だけを理解しては理解していないことを提起する。
この書名でわかる人は少ないと思われる。高校日本史でもわずかに触れるだけで、貴族政治と国風文化の国際関係の変化に出てくる程度では致し方ない。
国際的な緊張関係でいえば、663年の白村江の戦で、唐・新羅の連合軍に敗北したことや1270年代の蒙古襲来、倭寇等ぐらいしか出てこないと思うが、実際には東アジアはもとより、世界的な変化で、日本は多くの影響を受けてきている。新羅の海賊等も導入部に出てくる。
日本は千数百年の間に、大陸との関係で、優越感と劣等感を複雑に形成させてきたことも指摘する。国内的に見ても、武士の前の兵(つわもの)の形成に影響があったことも分析する。
刀伊の襲来を明らかにする資料は大量に残っているわけではないが、女真(刀伊)が圧迫を受けて、朝鮮半島の高麗(新羅の後の統一国家)を攻撃・略奪、さらに対馬から九州まで広げてくることから、それで被害を受けた人々の行動を伝えるものを使って私たちに示してくれる。
当時の日本の一端を知ることができる、それも新書で。一読してほしい。
投稿元:
レビューを見る
藤原道長が栄華を極めていた時代、対馬・壱岐と北九州沿岸が突如、外敵に襲われた。千年前の日本が直面した危機を検証する。
投稿元:
レビューを見る
刀伊とは高麗から見た東夷=女真族のこと。高麗を襲い、対馬や北九州地域に襲来した。本書は事件そのものは簡素で前後の時代の外交やもののふについての記述がメイン。拉致されて高麗で解放された人々の証言が興味深かった。朝鮮半島の国々と緊張関係があり、見方や歴史感様々に作用した。1000年経っても変わらない。
投稿元:
レビューを見る
元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか?
当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだが)
まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にややこしかったんだなとか、律令国家から弛緩したとは言え、太宰府と都の間の文書連絡は維持できていたんだなとか。
そして、刀伊を撃退した「やんごとなき武者」達は、武士として時代の中心に取って代わることになる。
最後に:刀伊とは、(≒東夷)からきてたのねと。
読みにくかった分☆一つ減
投稿元:
レビューを見る
題名どおり、1019年(寛仁3年)、対馬・壱岐、北九州沿岸が外敵に襲われた「刀伊の入寇」を取り上げた書である。
事件そのものについては史料に基づき具体的に論じられているが、より広い射程の下で、本事件の政治的・軍政史的意義や後世への影響が論じられているので、一般読者にとっては、そうした見方、観点こそ歴史の見通しを与えてくれて、大変ありがたい。
主なところは、次のとおり。
東アジア情勢の変化が我が国に影響を及ぼしてきたこと、9世紀の新羅海賊の侵攻、13世紀の元寇に並び、本件、11世紀の刀伊の入寇が、大きな対外危機として捉えられたこと。
律令制下の徴兵制が機能不全となり、武者、兵(つわもの)と呼ばれる者たちが登場してきたこと、その中から軍事貴族化して武家に発展していったこと。
以上のような歴史の流れを大掴みに理解できたのは良かったが、本書の面白さは、幾つかの史料から本事件の実態を再構成していくところ。都への事件報告書、恩賞の上申書、拉致された者が戻ってからの陳述書などを通して、戦闘の時系列、戦闘場所、敵船やお互いの武器、武具、死傷者や捕虜として連れ去られてしまった人々についてなど、リアルに事件の実相が明らかにされる。
歴史の面白さを教えてくれる、最近の中公新書歴史シリーズとして読み応えのある一冊。
投稿元:
レビューを見る
平安時代が国際関係、特に東アジア緊張関係が強くなっていた時期だった。唐の弱体化に伴う朝鮮半島の混乱が日本に影響を与え、外から内への外交政策の転換が図られていた最中の事件。
その後の夷狄感を醸成させ、武士の世の到来を予感させる大事件だった。
投稿元:
レビューを見る
千年前の外国からの脅威「刀伊の入寇」
藤原隆家の話が全然少ない(笑)
でも、当時の西日本(朝廷)の緊張感を
知る音ができた・・・というのも寛平の
新羅襲撃事件なんて知らなかった
桓武天皇が常備軍を無くし(経費削減)
防衛力が超弱いところを暴れん坊貴族の
隆家訓大活躍なんてしょーもない話では
なかった
本書は王朝期に萌芽した「兵:つわもの」
や軍事貴族などの、読んだ事ない王朝末
期の国防を考えさせられる一書です
いまから1002年前の事件です(/・ω・)/
投稿元:
レビューを見る
源平のようないわゆる武士が出てくる少し前の時代がどうなっていたのか、が目新しかった。
ところどころ、文章が読みにくいなと思った。
投稿元:
レビューを見る
1019年藤原道長の時代。対馬、壱岐と北九州が女真族に襲われた刀伊の入寇。平安時代最大の対外危機から浮き彫りになる武士台頭以前の兵の姿。
日本史の教科書では脚注のレベルだとう刀伊の入寇。恥ずかしながら知らなかった。封建の世よりも前。武士階級が台頭する以前の異国の侵攻。
当時の中央政府の狼狽と貴族階級の前例踏襲。地元の兵たちの奮闘。そして驚かされたのが妻子を捕虜として奪われた対馬の官人の法を犯した高麗渡海、その行動力。
近年、一定のファン層を確立したと言えるだろう中公新書の日本史シリーズ。
忘れられつつある事件から当事の世を蘇らせた一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
平安時代最大の対外危機について、要因となった当時の東アジア情勢や国内の政治状況を踏まえ、武士台頭以前における王朝軍制の特質を検討する内容。内向きの対外認識の醸成過程や、武士論ともいえる内容も含み、参考になる視点も多い。
投稿元:
レビューを見る
刀伊入寇の戦記にフォーカスしたものを期待しましたが、俯瞰的に刀伊入寇を位置づけた学術的なレポートですね。唐滅亡は東アジアに激震を与え、多くの周辺王朝が交代しています。本事案は、(契丹)遼に追いやられた刀伊(女真)の一部が海賊となって活路を求め襲来したものです。ちょうど、藤原隆家が左遷されていましたが、多くの軍勢を伴って下向しているはずもなく、おそらく太宰府の国衙で地元武装集団を加え編成した軍団が主体となって応戦したのでしょう。九州上陸を辛くも凌いだ戦いです。犠牲も多く、壱岐対馬を中心に死者364人、拉致1289人に及んでいます。武者は、将門の乱以降およそ百年ごとに歴史上に顔を出しますが、鴨長明は本件もその一つに数えています。筆者は、王朝の軍制や軍事システムが見られるといいますが、混成集団であり、見えたとまでは言い切れないのではないでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
平安時代に海の向こうからの進攻があった。それが「刀伊の入寇」である。九世紀の新羅進攻、十一世紀の刀伊来襲、十三世紀のモンゴル襲来が我が国が迎えた対外危機であった。刀伊は東夷であろうと言われている。高麗が女真族に圧迫を受けていた時代である。高麗から刀伊と言われていた女真族が朝鮮半島を通って日本を襲撃したのだ。当時の東アジア情勢と日本の情勢を説明し、当時の人たちがこの危機にどのように対処したかを明らかにする。モンゴル来襲の前にこんなことがあったのだな。四方を海に囲まれている日本ではいつでも有りうることだったんだ。