紙の本
どこか切ない
2022/01/09 18:20
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
惚れた女も友人もある男性に取られた?武一がちょっとかわいそう。
武一としては「背中を押して見送った」と言いたいところかな?
どのみち切ない。
紙の本
箱根の関所の物語
2021/10/17 16:38
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
箱根関所を舞台に、関所の役人、そして関所を超えようとする人々のドラマを、連作で描いた物語。主人公の武一と呼ばれる関所役人が、様々な人情ドラマに遭遇するわけだが、彼の律儀で一本気な生き様が、ほのぼのとしていながら、高潔でまぶしい。どれだけ深刻な場面に遭遇しても、明るく前向きに生きようとする姿は、勇気を与えてくれる。己を少しづつ曲げながら丸くなり、歳を取るわけだが、生まれ持った芯だけは曲げてはいけないのだ。
電子書籍
関所越え
2023/04/21 01:48
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
関所には、さまざまな曰くアリの、人間がやってきます。と書くと、夜逃げに、駆け落ちに…そんな人ばかりを想像しますが、…。ちょっと違ってまして。番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされます。一之介は決断する、のですが。
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箱根の関所。
改めて、どうして? ここまで厳しくしなくればならなかったのか、初めて意識しましたね。
歴史だけではわからないこともあるなぁとしみじみ。
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せき越えぬ/氷目付/涼暮れ撫子/
相撲始末/瓦の州/関を越える者
武藤一之介 武一と呼ばれる彼は、文より武が得意。柔らかなその頭で考えながら物事に対処していく。相手の地位を横において人として付き合う姿勢には好感しかない。
彼は友の難題にどんな対応をしていくのか……清々しくて嬉しくなった ふふふ
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箱根関所の連作短編長編。幕末の黎明期とでもいうときの時代小説。清々しいまでの純粋さを味わえた。西條さんの小説らしい人情劇だった。市井の人の心意気とか真っ直ぐさとか、暖かさがあって気持ちがいいし、自分もそうありたいと思わせてくれる。個人的には、もう少し広げて欲しいもう少し読みたい気もするが、想像することもまたいいのかもしれない。
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202110/箱根の関所を舞台に関所役人・関所を超えようとする人達のエピソードを描いた短編連作集。主人公の「武一」こと武藤一之介が律儀で実直だけど、堅苦しさはなく能天気という性格なのも良かった。それぞれの章タイトル(せき越えぬ/氷目付/涼暮れ撫子/相撲始末/瓦の州/関を越える者)も見事。関所役人の日常描写等も面白かった。
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箱根関所をめぐる人間模様という時代物を読んだ。しかも、作者はついこの前に『心淋し川』で直木賞を受賞なさった西條奈加さんです。
箱根の関所は幕府管轄とはいえ小田原藩に丸投げだったのです。そりゃそう、箱根峠は小田原しか登れない。そこで小田原藩の上級・下級武士たちが関所の役目につくのですが、組織有ればパワハラあり、仲間意識もうまれてくる。
若き青年「武藤一之介(たけとういちのすけ=ぶいち)」は熱きこころもて親友との交流に、初恋のやるせなさに身をゆだね、日々悩みながら成長していくのだった。
筆運びよし、いろいろよく調べてあって、はぎれがいいですね。『せき越えぬ』の意味深だこと!小さな章立ての「凉暮れ撫子(すずくれなでしこ)」なんて逸品。
駅哀愁ものがたり、昔は関所が舞台だった!
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武士が主人公のお話は堅苦しそうで、どうかなと思いながら読み始めたが、武一や彼の父親と道場の師匠など身分にこだわらない人々のおかげで楽しげな会話が多く、宿場町で気軽に呑む場面も良い。
箱根の関という、有名だが実態を見聞きしたことがあまり無かった機関が細かく描かれて興味深い。関所での少し退屈な日常業務と時々起こる小さな事件、現代のサラリーマンにもありそうな人間関係など、バランスがよく読みやすかった。
出産を迎えた夫婦を救う「相撲始末」に心温まる。赤子だろうと女には女手形が必要とは驚き呆れた。
友人たちも上司もそれぞれ個性的でとても魅力的。足軽の衛吉君は表彰ものだ。
終盤の大事件に迫っていくにつれ益々目が離せなくなる。フィクションと史実の混ざり具合が絶妙なのだろうなと思う。
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「そこがうらやましくもあり、眩しくもある。わからぬと言いながら、おまえの描く先々には、必ず望みがあるからな」
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文庫本の表紙絵からは、時代小説の形を借りたライトノベルの様相。しかし、内容はしっかりとした小説。
思わぬことから箱根関所の番士を命じられた「武一」と、親友の「騎市」とを中心に話が進められる。
表題作の『関越えぬ』は、武一と呼ばれる若者が、出会った女性に一目惚れをする話し。
2編目の『氷目付』。箱根関所の番士の武一と彼の上司の話は、現代の新入社員の物語に似通う。
関所で起こる事件ともつかぬ出来事が3,4,5編と綴られて、最終編でにわかに一転スリリングな展開となる。
関所番士の武一が、あろうことかある人物の関所破りを騎市から依頼される。命を賭けて、友を助ける友情物語は清々しい読後感をもたらす。
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最後の章で、関を抜けるシーンはドキドキした。この章はもう少し文章のボリュームが多くてもよかったと思う。
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若者達が友人を信じ、家を超えて助け合う物語。この若者達の友情が清々しくて爽快だ。
小田原藩の軽輩の息子と重臣の息子が剣道場を通じて、身分の垣根無く付き合ってきた。この気持ちが続き、関所の足軽や関所で同様にトラブルとなった同輩達とも親しく付き合うようになる。それを通じて関所の不正を協同で質したことにより、関所の番人に抜擢される。
以前出会った女性と片想いの恋の行方も有りつつ、親友の大罪への手助けをどこまですべきか悩む主人公。やはり、家よりも友情を取った姿に感銘する。
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箱根の関所役人の日常が、いつの間にか二宮金次郎やシーボルトまで登場する史実混じりの憂国の志士の物語に変わっていた。
でも、主要人物の造形が中途半端なのかイマイチ盛り上がりに欠けたなぁ。
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西條奈加の連作時代小説『せき越えぬ』を読みました。
『秋葉原先留交番ゆうれい付き』、『烏金』、『まるまるの毬』に続き、西條奈加の作品です。
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たとえこの身に害が及んでも友を助けてみせる。
関所を巡る人間模様を描く人情時代小説。
東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。
離縁され故郷に帰る女。
江戸から夜逃げをした夫婦……。
実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。
一之介は逡巡するも決断する。
友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。
たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならない――。
関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。
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2019年(平成31年)に刊行… 箱根関所を舞台に、そこで働く役人、関所を越える人たちのドラマを全6篇の連作で描いた作品です。
■せき越えぬ
■氷目付(こおりめつけ)
■涼暮撫子(すずくれなでしこ)
■相撲始末
■瓦の州(かわらのくに)
■関を越える者
■解説 末國善己
越すか、越さぬか―― ここは人生の峠を迎えた者に決断を迫る場所… 思わぬなりゆきから箱根の関守となった若き小田原藩士・武一、、、
東海道・箱根の関所には、今日も切実な事情を抱えた旅人がやって来る… 西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げしてきた臨月の女、そして命を賭して一人の男にこの国の未来を託そうとする人々を知ったことで、武一の身にも人生最大の岐路が訪れる。
黄昏を迎えた江戸の世で、若い関守の目に映る究極の人間ドラマ… さらに彼自身が迎える最大の岐路を鮮やかに描き出す骨太な時代小説。
箱根の関所を舞台に、そこで働く役人、関所を越える人たちのドラマを連作形式で描いた物語… ひょんなことから関所に務めることになった小田原藩の藩士・武藤一之介(通称・武一)の目線から物語は描かれています、、、
関所を舞台にした時代小説は珍しいんじゃないですかね… 旅人を関所側から見る視点が新鮮でしたね。
同じ「いちのすけ」という名を持ち、家柄は違うが、同じ道場の門下生で親友同士の武一と騎山市之助(通称・騎市)の友情や、関所の伴頭・保山の理不尽な振舞い、関所を越えようとする押し込みへの対応、関所の人見女・千野理世に対する武一の淡い恋心、関所を越える直前で産気づき女児を出産したことにより新たな手形が必要となったわけありの夫婦への対応 等々、人情モノ的なエピソードを紡ぎながら、物語は緊迫した展開へ、、、
クライマックスは、シーボルト事件と絡めた緊張感のあるエピソード… 人見女・理世の夫で改革の志を抱く巴田木米とともに西国に逃れようとする親友・騎市を救うための道を武一が切り拓きます。
テンポも切れ味も良く、読みやすい作品だったし印象には残るけど… 終盤の展開が駆け足気味であっけなかった部分が、やや物足りなかったかな。