本の力を再認識。
2018/06/17 01:57
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
刑務所で実際に開催された読書会の話。一般人より塀の中で自分について見つめ直す時間が長い分、登場人物の所作に対する洞察力が高いのかなと感じました。本の前では人種も犯罪歴の多さも関係なく平等で、本の力を再認識させられる良書です。一見すると分厚くて手が出にくいですが、会話ベースで進んでいくパートが多いので読みやすいと思います。
刑務所での読書会
2016/11/19 22:57
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
参加者が読書を通じて罪や人生に向かい合おうとする。受刑者から面白いだけの小説を読むのはやめにしようとの声が上がることなど単なる読書会ではない。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もり - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても良かったです。最近よくあるタイトル詐欺でもなく、本の帯の内容に対して忠実に答える感じ。とても良くできている。
きれいにまとまっています。
2016/11/19 11:35
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体が本当に素敵に纏まっている。刑務所内で服役囚達が課題書を読み、読書会で品評しあう。各々の人種や立場により解釈が異なり、鋭い着眼点も複数生まれる。
ただ、この書籍はちょっと出来過ぎで正直怖い。そこが筆者の腕だろうけれど。
特に、後日談で、鋭い意見を何度も出していた人が出所後第一級殺人で再逮捕されるシーンなど、仮名にしている分色々作れるんじゃないかなぁ……なんて勘ぐってしまった。
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刑務所内での読書会が受刑者たちにどのような思考の転換をもたらすのかが興味深い。訳者は司書であるらしい。
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読書好きにとっては、たまらない一冊かもしれません。
筆者はカナダのトロントに住む女性ジャーナリストで、彼女が二年間参加したカナダの刑務所読書会での経験を元に書かれた記録。
筆者はある夜、自宅近くで二人組の暴漢に襲われ、首を絞められて窒息死一歩手前で助かるが、それ以来、その経験がトラウマになる。最初は外出さえ怖くてできなくなり、その後も夜道を一人で歩くことなども難しくなってしまった。
そんな時、知人から刑務所の囚人を対象とした読書会のボランティアを頼まれる。
暴漢に襲われたトラウマから抜け切れていない自分を克服したい思いと、友人のたっての誘いという事もあって、彼女は月1回刑務所で開かれる読書会にボランティアとして、もう一つはこの体験を記録に残す事も目的に参加を決める。
読書会は刑務所の中の一室を借りて行われる。毎月課題図書を決め、その内容について参加者が感じたことや、評価を話し合う。囚人は収容所の中で働いても毎月せいぜい数ドルしか収入が無いため、本を買う余裕はない。よって、本は読書会の支援金で購入して、読書会参加メンバーに配られる。
参加する囚人の横顔は様々だ。模範囚ではあるが、収容される事になった罪状は、ヤクの売買や、窃盗、強盗、殺人まで含め様々だ。そういう参加者20名程度と、ボランティア数名が、特に看守などが同席するわけでもない部屋にいるのだから、筆者のような経験がなくてもちょっと腰が引ける。
筆者も最初は刑務所の中を読書会の会場となる場所まで歩いていくだけでも、過去の記憶がよみがえるようであったが、読書会に参加する囚人たちが、本の感想を真剣に語り、たとえフィクションであっても登場人物の心情を推し量り、道城を寄せたり、批判をしたりする姿を見て、その中に自分以上に鋭い視点や、違った角度からのものの見方などを発見していく・・・。
何よりも、カナダのジャーナリストが書いているので、取り上げられる本の内容も少し毛色が違う気がします。別にカナダの作家を多く取り上げるというわけではなく、移民が多く、異文化交流を特徴とする国だけあって、取り上げられる本も英米の古典から、インドの作家のものなど様々。
そして、読書好きにとっては、その中で取り上げらた本についての意見交換を読んでいると、その本が読みたくなってしまう。日本語訳されていない本も数冊ありますが、読んでいて面白そうだと思った本は、思わずiPhoneでAmazonを検索してしまってました。
僕は読書会というものに参加したことがありません。ここで行われている読書会は、課題図書を決めて、それを読み、意見交換をするタイプですが、恐らくこの形態がもっともオーソドックスな読書会でしょう。本を読みたくなることともう一つ、この作品を読んで、読書会というものにもでてみたくなりました。
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刑務所での読書会の記録。エリオットの詩の解釈など、深く議論しているのが印象的でした。本を読む+共有する、には力があるんだなと。
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刑務所の中での読書会,興味津々で読んだ.視点が犯罪者ならではのものもあるし,何より貧しい暮らしの人たちが多いので,世の中の優雅な読書会とはまた違った切り口で語られるのがとても面白かった.本を読むことによって広がる可能性,素晴らしいと思う.
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カナダの刑務所で行われている読書会のお話し。著者のアン・ウォームズリー氏は、読書会の主催者で友人のキャロル・フィンレイ氏に勧められ、約1年の間に2つの刑務所の読書会に参加している。
通常受刑者たちは人種や宗教、所属している組織などによって派閥を形成しているらしいのだが、この読書会に派閥はほとんど関係していない。メンバーたちが「読書」という共通の目的によって派閥の垣根を超え、一つの作品について意見を交わす姿が非常に印象的だった。
元々この読書会は受刑者の更生を目的としている訳では無いそうだが、出所後も読書を続けるメンバーが多く、きっと社会復帰にも役立っているのだろうと思う。ただ残念だったのは本作に登場する課題図書を、自分は一冊も読んでいなかったことだ、『サラエボのチェリスト』はぜひ読んでみたい。
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罪状も人種も宗教もさまざまな受刑者たちが、本を読む喜びに目覚め、読書会を通して意見を戦わせたり、共感を得たりしていく様子に、本の持つ素晴らしい力を感じた。
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刑務所で行われた読書会の記録。刑務所では肌の色などでグループができてしまうそうだが、読書会であれば、その垣根を超えて本について話すことができる。一つ一つの読書会の記録を読むたびに、なんて有意義な読書会なのだろうと驚かされる。本の感想を語り合い、共感したり反論したりすることで一冊の本をいろいろな角度から楽しんでいる。時に自分の生き方、考え方を変えるような言葉に出会うことも。犯罪者ならではの視点も面白かった。読みたい本が増えました。読んだ後で、その本に対する彼らの感想を読み直したい。
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私が囚人なら、この読書会に入るか?答えはNO。
私は読書は楽しみにする。賢くなるために楽しく読むのもありだと思う。でも、この読書会ではお堅い本、差別に満ちた本や、逆境に立ち向かった人など社会の問題と直面させられる様な本ばっかりを読まされる。
途中で、囚人が「ミステリーが好きなんだ」と言いだしたり、「もっと暗い気分にならない本が読みたい」など言い出す。そりゃそうだと安心してしまった。
本にするために、そういう内容の本を選んだときだけをピックアップしたのかもしれないが、私はあくまでも楽しい読書が好きだ
女性読書会ではいつも主人公に共感するのにという作者の言葉が気になった。本を読んでいて、共感できない話があるのは私は当然だと思う。そこは価値観を押し付けるところではないと思った。
それに、ベストセラーだったり誰でも知っている選書が多い。それなら、自分でも選択できたのではないかと思った。ただ、囚人読書会の輪をカナダ中の刑務所に広げた作者の友人のキャロルの行動力はすごいと思うし、囚人の中には、哲学者の様な人物が何人もいてその意見に、それまでの人生経験が私と全く異なるからほーとなったりする面白さはあった。それに、作者の囚人と二人になることを怯える気持ちにも共感するし、それを乗り越える経験をしたことは希有な体験だとは思う。
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カナダの刑務所で開かれていた囚人との読書会。
ショーシャンクのようなドラマは起こらず、淡々と進む。
様々な形で現れる、読むことの喜びが描かれていて、読書家のための本という感じ。
映画のなかの映画がどれも夢のようなものであるのと同じで、この本で取り上げられる本は、どれもとても面白そう。
筆者やキャロルに注目すると説教くさい感じだし、レイモンドとか類型的にすぎるような書きぶりだけれど、ひとりひとりの囚人の言葉は興味深いものが多くあった。
終わりに近い部分で、この読書会で使った本が並ぶ書架を見て感傷的になる著者が、「ここにある本もいつかは手放すことになるのだろうが、しばらくは全部まとめてそばに置いておきたい」と慨嘆するのには、ちょっと驚いた。そうか、売るのか。
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こちらも、課題図書を決めて、感想を語り合うタイプの読書会。ただしこちらも参加者がポイント。場所は刑務所。参加者はボランティア+受刑者。
さすが読書会の本場アメリカにも近いカナダだけあって、毎度深い読みが展開されるので、読んでいておもしろい。
読んでいくうちに、参加者である受刑者ひとりひとりの個性や考え方に気がついて馴染みを感じられるようになり、彼らが自ら読書会の運営に携わっていくようになるのが感慨深い。
読書会の話の方向性が、毎回のように思いやりや善性といったところへ向かうのは少しげんなりもしてしまうのだけど、そこは場所柄仕方がないことなのだろう。
『またの名をグレイス』の読書会でトムが言った、作者が実際の事件を作品にするとき、実在の人物の一人称で語る形式をとるのは傲慢ではないか、という意見は、私自身ノンフィクション作品について昔から感じ続けていたことだったので、とても共感を覚えた。
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2016年12月25日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「部活」。
チャンプ本。