談志のはなし(新潮新書)
著者 立川キウイ
「情報を疑え、常識を疑え、地球儀なんぞ信用するな」。〈最後の名人〉と謳われた立川談志が逝ってはや十年。その活躍は落語界に留まらず、多くの著作や音源で金言・名言、芸論等を遺...
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商品説明
「情報を疑え、常識を疑え、地球儀なんぞ信用するな」。〈最後の名人〉と謳われた立川談志が逝ってはや十年。その活躍は落語界に留まらず、多くの著作や音源で金言・名言、芸論等を遺してきた。没後十年の節目に、高座などでは分からない「普段の談志」をもっと知って欲しい――前座生活十六年半。弟子の中で一番長く談志と時間を共にした著者だからこそ知る、唯一無二、笑いはもちろんホロリとさせるエピソードが満載!!
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想い出は色褪せることなく
2021/11/23 14:26
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投稿者:とも - この投稿者のレビュー一覧を見る
早いもので、立川談志没して十年である。十年一昔とはいうが、もう"一昔"なのだ。十年前、そうあの震災があった年だ。享年七十五歳。ちょっと早い気もする。
談志と呼び捨てにするのは失礼だが、亡くなってから今日に至るまで、最晩年の自著の書籍や弟子達の書籍、また映像で見られるものはざっと見てきた。
立川談志という一人の芸人/落語家に、これだけ多くの作品が何故残るのか。奇才だからか?それとも破天荒だからなのか?
本著は(ある人に言わせれば)腐ったミカンと揶揄される立川キウイの談志像を綴った書籍である。長い間、前座として務めただけあって、小言やら何やらも多く言われたのか、小節毎にある「談志の言葉」が胸に響く。思出話に割いているが、それもまた遺さないといけない言葉なんだろう。残念ながら(?)、前作「万年前座」は未読である。(談春の「赤めだか」は読了)
キウイはどこか抜けてるのか、それとめウケると思ってやってるのか、今一つワカラナイ面がある。高田文夫が自身のラジオ番組で言っていた事だが、談志没後一周忌法要の際、他の弟子達は黒紋付き袴とか正装してるのに、キウイはジーパンにサンダルだったという。
挙げ句「今日は誰かの法事ですか?」と。
「アイツは洒落にならん」と、その場に居合わせた人は皆口を揃えて言ったとか。
本著の中でも印象に残ったのは、談志がこの世を去る一年前に他界した弟子の話。彼は36歳という若さで旅立つが、その一年後に談志は昏睡状態に陥り、約一ヶ月後に他界する。この"偶然"を本著で初めて知った。その時の様子を想像すると胸が痛くなる。
2011年5月25日、声を失って約二ヶ月後、亡くなる六ヶ月前、キウイと談志のツーショット写真が掲載されている。
往年の談志の姿はそこにはなく、痩せ細り病魔に冒された老人の姿でしかない。
カメラを見つめることもなく、ただ前を見つめて座っている姿は痛々しい。
他の弟子達曰く「見ない方がいい」「逢わない方がいい」と言っていたそうだが、弟子でなくとも辛く悲しくなる。
没して十年、まだ談志の関連書籍は出版されるだろう。ネタはまだまだ出てきそうだ。
芸人・落語家"立川談志"、まだまだ生きている気がする。