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可愛らしい表紙からは想像がつかない、
「わざわい」という「自分ではどうしようもできない悪いもの」をオオカミになぞらえて語られる物語。
終盤の怒涛の展開には涙が止まりませんでした。
いや、、すごかった。
すごくて言葉にならん。
前半の赤ちゃん扱いされる主人公のくだりが、
いやというほど効いてくるんですよ、、後半。
いやほんと、ものすごいです。
大人の不在が気になるお話が多いなか、
最終的にはきちんとまわりの大人が機能します。
はあ、安心。ほっとした。
現実もこうでありますように、
公的機関で公的な支援がうけられますように、
まわりの大人が、困っている誰かをきちんと助けてあげられますように、
という、作者の願いというか、強い思いをかんじました。
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かわいい表紙とタイトル、序盤のあかずきんちゃんとおばあちゃんの話などからは想像できない内容。
読み進むにつれてどんどんリアルな苦しい方向へ行くのでびっくりしたけど、一気に読んでしまった。
小学校高学年から中学生に読んでほしい本。
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いい意味で裏切られた。大好きになった友だちが親から精神的な虐待を受けていることを知ったあかり。あかりは戦う。わかってもらえなくても、信じてもらえなくても、友だちを救うために自分の言葉で大人たちにちゃんと伝える。そして大人たちが動き出す。あかりの強い想い、言葉で伝えようとする勇気、素晴らしかった。世間では救えなかった虐待や児相の無力さ、可哀想な子どもたちがクローズアップされることが多いが、それ以上に児相や社会の制度のおかげで救われている子どもたちだってたくさんいる。「大人の身勝手さに立ち向かう子ども」のシナリオが溢れる世の中、信頼に値する大人や子どものために奮闘する大人だってちゃんといる。この本を通して子どもたちに伝わったらいいなと思う。おもしろかった。
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村上雅郁さんの作品は、どれも私の心に響きます。
この作品も、主人公の想像の物語が挿入されていたりして、普通なら私は苦手な方ですが、主となるストーリーのおかげか今までの2作品と同じく一気に読みました。
これは児童書だけど、大人に読んでほしいと思います。
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題名からは意外なほど、根が深い問題が書かれている。
理緒ちゃんのように、身体への暴力とは違うかたちで虐待されている場合のほか、実際に体罰を受けて命を落とした子供の報道も後を絶たない。
助けて、と声を上げられない子。
悪いのは自分だと思い込んでしまう子。
そしてその場にいるはずの、被害者でもあり加害者でもある別の大人の声が届けられる方法はないのだろうか。
朱理にとってのおばあちゃん、理緒にとっての朱理みたいな存在が、当たり前にあればいいのに。
VDやストーカーが、相手やその家族を殺してしまう事件を見るにつけ、人間の心の弱さや難しさを実感する。
暴力が虐待の連鎖であるなら、個人の問題ではなく、社会の問題として考えることが基本かもしれない。
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手に取る機会があって図書館で借りました。
染岡朱理(あかり)は、小学6年生。
背が低く、クラスメイトから「あかちゃん」扱いされているのが不満。
そんな朱理が、先生から転校生の中村理緒(りお)のお世話を頼まれた!
コミュニケーションと児童虐待、重いテーマです。
朱理は、理緒が精神的な虐待を受けていることを知り、友達を理解したい・助けたい、と一歩踏み出します。(表紙の女の子が理緒、裏表紙の女の子が朱理)
物語のなかに、朱理の心の中の物語が挿入されていて、これが深いのです。
朱理が好んで繰り返し読んでいる物語『魔法使いのアルペジオ』のキャラクターと、朱理の亡き「おばあちゃん」、朱理自身の「あかずきんちゃん」、理緒である「りぼんちゃん」、それに<わざわい>という名の「オオカミ」が登場して、朱理の内面の葛藤が描かれています。
世界に「オオカミ」はたくさんいるけれど、自分なりの「魔法」でたたかっていける、未来はその灯りで照らしていけるのだと。
私の「魔法」って何かな?と考えて、将来のことを考えることができます。
この本では、その「魔法」は将来の仕事に繋がるように描かれていますが、私は大人なので、人生を歩んでいく上での支えである可能性もあるよ、と思いながら読みました。
大人や思春期の朱理のお姉ちゃんが、信じられないものとして描かれていますが、それも変わっていき、安心しました。
最近、個人的には「今を生きる」ように努めているのですが、今がつらいのなら、今を生きるなんてとてもできません。
朱理と理緒はいっとき明るい未来を思い描いており、それはそれで正解。
つまり、その時々でいつを生きたっていいんじゃないかな、と思いました。(当たり前か?)
理緒の朱理への絶妙な感情にもきゅんとします。
6年生から中1の女子向けかな、と思います。
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ジャンルは児童文学だけど、読みごたえがありました。力がない小さな女の子が考え、あきらめずに行動する。
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装丁とタイトルのかわいらしさに惹かれ、
図書館で軽い気持ちで借りました。
児童文学特集の棚にあったので、軽く読める可愛らしいストーリーと思いきや…。語り口は主人公の六年生の女の子の可愛らしいものなんですけどね。
最近の児童書ってこういうものが多いのでしょうか?ひとつ前に読んだスーパー•ノヴァもそうでしたが、社会問題というか社会で話題になっていることが描かれていて驚きました。自分が子供のときにはなかったタイプの本。もしくは自分が手にしなかっただけなのか?
こういった本を子供児が読んでどこまで理解できるのか、また、どのように理解、感じたりするのだろうか知りたいと思いました。
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胸がぎゅうぎゅうと苦しくなって読んでいる間に何度も泣いたけど、朱理の掲げた祈りがきちんと周りの大人にも助けたかった『りぼんちゃん』本人にも届いてよかった。
どうせ誰にも分かってもらえない、誰にも助けてもらえないとすべてを投げ出したくなることは大人になった私にでも日々色んな場面で起こるし、
それを『自分はまだ子どもだから何もできない』『子どもたの話なんかだれも信じてくれない』と、行動するたびに打ちのめされてしまう朱理の悔しさや虚しさはどれほどのものだったか。それでも最後まで大切なひとと、大切なものを手放さなかった彼女の強さが燃える松明のように、灯台の明かりのように美しく頼もしい。
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おすすめされて予備知識無しに読んだら、途中でしんどくなって一度閉じ、けれど途中からは泣きながら一気読みでした。あと、あかりちゃんの「ひどくない?」のセリフは親だと刺さる人多いんじゃないかな…と思います。
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知識は暗闇を照らす光
6年生の朱理の大切な友達は、転校してきた理緒だ。ある日、理緒が父親の心理的虐待に悩んでいることを知った朱理は、大人たちに助けを求めようとするが……。知ること、おこること、たたかうこと、そして言葉の大切さを描いたお話。
「どうせわかってもらえない、じゃダメなんだ。
わたしはわかってもらわなきゃいけない。」
子どもに読ませるには重たすぎるかもしれないと躊躇する気持ちが芽生え、容易に勧められないが、虐待などに直面している子やその友達のリアルはこの物語に描かれているとおりなのかもしれない。
子どもの言葉に心と耳を傾けようとしない大人に、なんとかして気持ちを伝えようとする朱理の姿が印象的だったし、大人の自分が読むと、子どもと丁寧に向き合うことの難しさや大切さが感じられた。
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大人の事情、それに対する子どもの気持ちが、わかる気がした。この本を読んだことがある子も考えさせられたと言っていたので、良い本だと思う。子どもの考えや気持ちをきちんと聞いて、具体的に対応できる大人になりたいと思った。
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終盤にかけて、涙なしには読めない。
辛くて苦しくて、でも全力で戦ったら、風穴が空いた。希望がのぞく。
子どもたちに信じてほしい、大人を、社会を。
そしてそういう大人でいる、社会を作る、それが私たち大人の義務なんだということを心に刻む。
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主人公のあかりが、自分の気持ちを少しずつ言葉にして、そして行動にうつしていける様が丁寧に描かれていて、とても心に響く一冊。
実際にあかりと同じ立場になったとき、自分はきちんと行動できるのかなと考えさせられた。
児童文学だけれども、大人も読んでもらいたい、考えさせられる作品。
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「りぼんちゃんはさ、オオカミといっしょに暮らしているんだよ。でも、それはないしょなんだ。ほんとうのことを言うと、オオカミに食べられちゃうから。」
可愛らしい装丁に反して、物語のテーマは「虐待」です。
小学6年生の朱理は、転校生の理緒と親しくなるうちに、理緒が父親から虐待を受けていることを感じ取ります。どうすれば理緒を救えるのか。本を読むことが好きで、密かに自分だけの物語をノートに書き溜めている朱理は、自身がモデルの「あかずきんちゃん」と、理緒をモデルにした「りぼんちゃん」のお話を通して、その答えを考えます。
切実な問題に向き合う小学生の戦いと成長、そして大人の役割とは何かを問いかける児童文学です。