2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TOM - この投稿者のレビュー一覧を見る
人を想うということは、生きてゆく強さに繋がってると感じられた作品でした。この本のテーマとなっている『孤独』ですが、作品の主人公たちは人を想う気持ちと自分というものを確立していて決して孤独ではなく『豊か』なのだと思えました
寂しさを感じている人に
2023/03/20 14:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の中学入試では栄東、浦和明の星、麻布、渋谷教育学園渋谷などで出題された。『水を縫う』でも感じたことだけど、寺地さんの描く人物はなんか世の中からちょっとはみ出しちゃったような、いわゆる変な人が多い。みんなとちょっと感性が違うために周囲にうまく馴染めず、孤独感や寂しさを感じながらもなんとか前向きに生きようとみなそれぞれに知恵を振り絞っている。殺し屋という設定で生活してみるって面白そう。色んな価値観の違いを認めていく社会、そんな優しい世の中であって欲しいという願いが込められているような気がする。
投稿元:
レビューを見る
寺地さんは、世の中で当たり前とされてる価値観とは違う考えを持っているけど、正面切って言い返せない…みたいなことを、言葉にしてくれる。
あと、泣くほどじゃないけど何となく虚しい、寂しいと感じていることも。
表題作が一番好き。「ぼく」が泣いてしまった場面、「泣けて良かった」とホッとした。
心のデトックスになったなぁ。
投稿元:
レビューを見る
【『水を縫う』の著者が送る、心が軽くなる短編集】人知れず抱えている居心地の悪さや寂しさ。そんな感情に寄り添い、ふと心が軽くなる瞬間を鮮やかに掬い取る。注目の著者が放つ七篇。
投稿元:
レビューを見る
独特の世界観を持った人々の短編集。
なかなかスポットライトが当たらなさそうな人が主人公になっているところが面白い。
深く共感は出来ないけど、そんな生き方もありだよねと楽な気持ちになれた。
投稿元:
レビューを見る
どの話も読み終えた後に心に残り感じることがあった。
自分ではない何者かに設定して生きる「コードネームは保留」周囲の環境に馴染めず生きづらさを感じているけど自分なりにうまく生きようとしている、同じような境遇にいる人を見つけたちょっとした安堵感、大切な人がいてその人を守ろうとするほんの少しの勇気
なにかふとしたことがきっかけで人は心を動かされ前を向いて歩いていけるのだなと感じた。そんな物語を書ける寺地はるなさんは素晴らしい、この作品を読んで改めて感じた。
投稿元:
レビューを見る
カレーの時間に続き、2作めの寺地さん。
短編集だったんだけど、結末がぼんやりしてて読み終わっても中々内容が残らない感じ…感動したりどんでん返しだったり明確なストーリーで心に響いてくる作品が好きなので、少しわかりにくかったかなぁ。夢の女が1番心に残った!
投稿元:
レビューを見る
人知れず抱えている居心地の悪さや寂しさに寄り添う七編の短編集。
七編それぞれのカラーがあって、読みやすかったです。寺地さんの使う言葉に時々クスッとなった。
日常で疲労がたまってるとき、長編だと重くなりそうで躊躇してしまうのですが、そういう点でも個人的に短編は嬉しかった。
お気に入りは表題作品。
*「タイムマシンに乗れないぼくたち」
きっかけって本当に些細なこと。ぼくが自分の殻を破って、静かに少しずつ動きだしていくのがいい。
*「深く息を吸って、」
読んでてしんどかったけど、ラストまで読んでホッとしたし言葉が染みた。
『深く息を吸って、ゆっくりと吐いて。きみはきっと、だいじょうぶ』
どの物語にも覚えのある記憶や感情が掬い上げられていて、寺地さんの作品の持つ温かさを感じられました。
投稿元:
レビューを見る
普通に生活してても、なんか生きづらいなぁと感じることはある。無自覚に攻撃してくる人はたくさんいる。
世知辛い世の中で、そっと背中を押してくれる優しい本。
投稿元:
レビューを見る
登場人物が皆何かコンプレックスを持つ。
でも皆不器用なだけで愛すべき人たちです。
南さんは殺し屋のコードネームが必要だった。
草児は博物館。
初音は信田さんの素敵な口笛。
このように何かに出会うことで新しい世界に一歩進む。
どれもとても素敵なお話でした。
投稿元:
レビューを見る
多様な生き方をしてもいいんじゃないかと背中を押してくれる話ばかり。自由そうに見えて不自由な登場人物。まさに隣の芝は青い。
結婚至上主義に疑問を呈するように見えて、結婚したことでできる人の繋がりも描くことで、多様性が深掘りされる。
投稿元:
レビューを見る
少しだけ考え方が違う、はみ出しがちな人が主人公の短編集。相手がこれを言ったやったりしたらどう思うかを考えない人も多い。その相手に食ってかかっても、却って損することも多い、そんな人や、言いたいことを言わないのをいいことに付け込む人、主人公にらなれなくても、それでもいい、そう思う物語。
投稿元:
レビューを見る
短編集。
どのお話も読みやすかった。
面白くないわけじゃないんだけど、あまりハマれなかった…。
短編じゃなくて長編だったらもっと楽しめたのかも?と思う。
投稿元:
レビューを見る
7話の短編集。
1話目はピンと来なかったけれど
4話目「夢の女」で号泣。
前に寺地さんの作品を読んで
この人の作品、ここが好き!と思った点が出てる。
ジブリの『思い出のマーニー』で
主人公杏奈が暴言を吐いた時学級委員に言われる、
「ふうん、あんたの言うふつうの意味がわかったわ。でも無駄よ、あんたは、あんたのようにしか見えないんだから。」っていう台詞が好きなんだけど
それが好きな理由と同じかな。
※この台詞、本当に言葉づらのまま捉えるんじゃなくて
自分がそういうふうに世界を見れば、
世界はそういうふうにしか見えないよ。
って言ってると思ってる。委員長は仏。
『深く息を吸って、』は、表現がすごい。
心の中で様々な考えや複雑な気持ちを持っている、
でもそれを言語化する術が無かったり
言葉にしたらズレて言ってしまうような感覚、
それを表す言葉を知らない。
だから言えなかった。誰にも。
そんなことってあると思う
でも、読者の私にはちゃんと伝わってきたんだよね、きみの言ってることが。
ああ、伝わるのか、って思った。
投稿元:
レビューを見る
表題作を含む短編集。
これくらい短くても、「寺地さんの本だぁ~」というホッとする感じがある。
「深く息を吸って、」なんて、涙なくしては読めない。
何も事件は起きないけど、情報もない田舎(おそらく時代も平成10年代くらいかなと予想)で暮らす少女が、外国の映画(おそらくスタンド・バイ・ミー)を見て、出演している俳優を好きになり、世界の広さだったりを少しだけ知るという、それだけの話なのだけど、とにかく泣ける。
自分とこの少女が重なる部分が多分にあるのだ。
勝手な妄想ですが、これは寺地さん(77年生まれ、佐賀県出身)が自分の少女時代をモデルに書いたものではないのだろうか?なんて思ってしまった。
私は常々思うんだけど、田舎の閉塞感とか、少ない情報や手段の中で欲しい物が手に入ったときの喜びとか、今の若い世代にはわからないんだろうな、と思う。
だから「深く息を吸って、」が刺さるのは、私のような携帯電話のない青春時代を過ごした地方の田舎出身者だけかもしれない。
でも、そういう人は、確実に、日本中にたくさん存在するんだよね。
大げさかもしれないけど、寺地さんにそんな自分の少女時代を見つけてもらったような・・・自分自身でもそんな時のことすっかり忘れていたくせに都合いいんだけど、そんな切ない気持ちになりました。
寺地さんの本は、やっぱり優しい。
すみっこで、ただ誠実に生きていこうとする人へのエール。
主役にはならない人を主役にして書いた物語、好きです。
寺地さん、もっと売れてほしいし、もっと多くの人に知って読んでほしい。
原田ひ香さんのようなマネー系とかグルメ系の「売れるタイトル」の小説書いても絶対に上手いと思うんだけど、御本人がそういうのは興味ないのかな。
そもそも、寺地さんの本のタイトルは売れ線狙ってないような。おそらく寺地さんの本の中で売れている部類であろう「水を縫う」だって、タイトルから本の内容がわかるものではないしさ。
寺地さん独自の広まり方というのが、「国語のテストに採用される」(これも多分水を縫うが多いのだろう)というもので、ちょっと教科書的なのかな。
テストに採用された結果、抜粋部分を読んだ受験生が「この本もっと読みたい」と思って若い読者が生まれるのは喜ばしいけど。
普段本は読まないとか、優等生じゃない人にも、読んでほしい作家さんだし、読んだら好きになる人がきっと多いはずだから、もっと知られてほしいんだよ。
寺地さんファンのぼやきでした。