ぐいぐい引き込まれるが。。。
2022/07/15 07:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:lucky077 - この投稿者のレビュー一覧を見る
闇商法(詐欺)の手口のオンパレード。元は普通の営業マンが詐欺の被害から仕事にあぶれ、詐欺を働くようになる。やがてイヤがっていた暴力団や政治家とも付き合うようになり、最後に家族(娘)を護るためにスゴイ手を使う。
ストーリー展開が速く、後半はぐいぐい引き込まれたが、心理描写があまく(上っ面だけ)で、満足感が乏しかった。白昼の死角のような満足感が欲しかった(昔読んだから、当時は満足しただけかもしれませんが)
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天才詐欺師の物語。ギリギリに生きていながら、死なない。生き残る。原野商法に始まって、和牛商法、海外ファンド、最後は東芝の原発企業の買収。世の中の読み方が素晴らしくキレている。
面白い。
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派手な描写は無いの息詰まる展開ややり取りが多く、思い切り惹き込まれた。読み終えて思わず大きく息を吐き出すくらいに構えて入り込んでいた。
80年代に実際に起きた詐欺事件がベースになっており、史実を踏まえながら物語が進んでいく。高給に釣られ詐欺企業と知りつつ横田商事に入社した隠岐が一度は正業に就きつつも、元横田の因幡に勧誘されまた詐欺の道を進んでいく。しかし、隠岐は詐欺の享楽や非人道的な考えはあまり無く、因幡は湧き上がる発想と詐欺行為に心酔していく。共にどちらも非常に人間臭く感じるため、だからこそビジネスが進むほどに不安定になる感情がリアリティを伴う。自身を過信して自我崩壊のようになる因幡、目的を誤らず分をわきまえ冷酷になっていく隠岐。日本のヤクザやチャイニーズ・マフィアなども絡んできて恐いことが沢山起こるが、成り上がっていく隠岐が恐ろしすぎる。
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山風賞受賞作品ってことで。機龍警察シリーズの信頼感もあったし。で、本作。テンポよく読まされる展開は相変わらずで、安心して読み進められる。でも前半、何だか登場人物のいちいちが空虚に思えて仕方なく、面白くて頁を繰る手は止まらないんだけど、いまひとつ乗り切れなくて…みたいな、もどかしい感じが続く。でも折り返しあたりで、視点人物が相棒を殺ってから以降、人物像の薄さはだいぶ気にならなくなる。よかった、よかった…と思いきや、終盤になってまた、悪女が再登場し、それと共に像の薄さも復活。これ、この女の描写が浅いのが一番の問題だな、とどのつまりが。なぜこんな風になったのか、どうやって過去の悪事を成し遂げたのか、相当のワルたちを相手にどう立ち回ったのか、どれひとつ全然見えてこん。畢竟、なぜここまでバケモノじみた凄まじさを発揮出来るのか、まるで理解できん。この人がいなければ、もしくはもっと有効に描かれていれば、ただ面白い!と思える作品だったのに。
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豊田商事事件のモチーフに端を発しての、組織的詐欺事業に手を染める一人の男の物語。人の欲望の醜さを暴くものかと思いきや。
なんていうか、とにかく自己本位で優柔不断な主人公の隠岐がどうしても好きになれず、にも関わらず周囲から一目置かれているような状況が腑に落ちず、読んでる間中まったく興味が持てずに感情移入もできずにずっとつまらなかった。詐欺の顛末もヤクザとの駆け引きも陳腐だった。
因幡のキャラは面白かったけれど使い捨てでがっかり。ヤクザの蒲生もまったく魅力がなく、聡美にいたってはあまりに漫画チックでドロンジョ様かと思っちゃった。
唯一共感できたのは、家庭内での父親の無力さだけだったな。
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700ページを超えるが一気読みできる。
主人公は詐欺師でクズだが、読み進めるうちに感情移入していく。
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詐欺に引っかかる描写に引き込まれた
反社との繋がりにずるずるとハマって
いく様や、隠岐の吊り橋を渡るような
生き様にすっかりハマってしまった。
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豊田商事事件に始まり、東芝の米国ウエスチングハウス買収による巨額損失まで、昭和から平成の詐欺事件をモチーフにした犯罪巨編。ピカレスク・ロマンと呼ぶにはあまりに地味な作風ではあるけれど、作品から放たれる緊迫感にグングン惹き込まれて、本編725頁をほぼ一気読み。所謂ご都合主義的な展開もあれど、慎重派な隠岐が裏社会を紙一重のところでサヴァイヴしていく様子は過去作の「東京輪舞」と異なり、爽快感すら覚える。然しながら、家族の為という大義名分が形骸化する皮肉なラストシーンにはその欠片も残らない。毒を食らわば皿まで―。
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前半部分が圧倒的に重い。
まっとうに生きようとするが、最低限の生活ですら徐々に手詰まっていく救いのない展開に読む手が進まない。
先が思いやられたが、中盤からはスリリングなコンゲームがテンポ良く進んでいく。
因幡、隠岐、蒲生の三者が手を組みながら、詐欺という舞台の上で、お互いを蹴落とす隙を狙っている。
主人公の隠岐は常に脱落候補筆頭なのにも関わらず、中盤から終盤にかけて覚醒していく。
騙し騙されのコンゲームの先に待っている未来なんて碌なものじゃないだろうと思わせられたが、結末は意外な形でここでも作者に躱わされた気がした。
気になった点:
主人公の隠岐、詐欺に手を染めるまではうだつが上がらない底辺サラリーマン。得意不得意があるにしても、詐欺のビジネスで覚醒する様を見ると、その片鱗くらいは前半に見えても良かったのでは。
そして全く家族から相手にされずATMとしか見なされていないにも関わらず、家族を脅しの材料に使われると簡単に屈してしまう点も、説得力にかける気がした。現実はそんなものかもしれないが、ひとつくらい、家族との絆を捨てきれないでいるエピソードがあると読み手としても没入感が増したのではないかと感じた。
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2022.12.03読了。
2022年、104冊目。
初めて読む作家さん。
1985年の豊田商事事件をモデルにした作品。
生き残るために他人を騙す人々。
最近、父がパソコン詐欺に遭ったこともあり「騙す」行為が身近に感じるようになった昨今です。
単行本で500ページ以上あるボリュームですが、すんなり読めました。
満足度4.5/5。
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偏差値の低い私立高だった為か誰も居ない図書館に入り浸る日々を送っていた私に、司書さんが時間があるならこちらを読みなさいとお薦めした本がこの欺す衆生だった。
授業中の空いた時間にコツコツと読み進めていくが、話が後半にいくにつれて徐々に重くなっている為後半は家に持ち帰り一気に読み進めていくことにした。
隠岐の心境の変化、周りの人間の変化、そして隠岐の居る場所の変化。そこ迄に到達する迄に手に汗握る感覚がずっと存在する。そして一番凄いと思ったのが最後でスッキリ終われた事だ。多分個人差があると思うが私はスッキリ爽快に終わる事ができた。
作品を読み終わり、凄い作品を読んだぞと満足感のあるまま母に小説の説明をした所実際に似たような事件があった事が発覚し、満足感が一気に恐怖感に変わったのを覚えている。
似た事件が現実に起きている事を踏まえて読み返したくなり、司書さんに延長を駆け込み頼むと司書さんも実在の事件を知っていて気付いてくれて良かったと言ってくれたが私の心境はその様なものではなく恐怖に駆られている状態である。
此処で事件の名前を言っていいのかわからない為言わないが1985年の事件である事は私の為に残しておくが駄目だったら消させて欲しい。
最後に、小説というフィクション前提のものだと思っていたものがノンフィクションに擦り変わる恐怖をこれから読む人にも抱いて欲しい。無論この文を読んだ人が居たらこの恐怖は抱けない気もするがそれは良しとしよう。そして、この恐ろしい小説を笑顔で勧めてきた司書さんに私は絶大なる恐怖を抱く事だろう。
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詐欺師の話。痛快な詐欺師の話とは違う。
追い詰められて陥る感じともちょっと違う。
詐欺を生活の一部として生きる人の話。
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詐欺。
「詐」・・・つくりごとをいう。うそを言ってだます。
「欺」・・・うそをついて人を迷わす。
タイトルの通り、本作は「詐欺」がテーマの犯罪小説です。
私は堅気の仕事なので、新たな世界の物語。非常に興味深いです。
あらすじは以下の通り。ネタバレは含みません。
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主人公の隠岐は、日本を騒がせた戦後最大の詐欺集団・横田商事に勤め、そしてその崩壊を目の当たりにしました。
もう今後は詐欺なんかしない、そう決意した隠岐は文具メーカーのしがないサラリーマンをしていました。
営業成績はイマイチで邪魔者扱い。
そんなときに声をかけてきたのが、元横田商事の因幡でした。
そう、再び詐欺の世界に誘い込まれたのでした。
最初に始めたのが原野商法。役所をも巻き込み、存在しない都市改革プロジェクトをネタに僻地を高く売りるのです。
詐欺のために大事なのは、人の背後にある企業ブランドや権威。
そして顧客への真摯な対応。
いい顔をしながら、徹底的に信じ込ませるのが常道のようです。
次第に儲かり始める2人。
その噂を聞きつけて入社したのが、元横田商事の面々であった…。
人を欺すためには、自分を騙す。
今を生きるためには手段を選ばない。
ヤクザやマフィアも絡み合う中、危険人物や危機的な状況をなんとか乗り切る隠岐。
果たして最後に欺されているのは…。
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素直に話が面白かった。テンポ良く話がどんどん展開していき、そのスピード感と膨らみ自体が、主人公の生き方や内面を投影している感があり、引き込まれる。
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面白かった!
裏社会との関係が濃くなればなるほど、主人公が覚醒されてスケールが大きくなっていく。
続きが気になって結構分厚いけどスルスルと読めました。
最後の一文にぞくっとした。