点と線の言語学
著者 影山太郎
多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを、〈点(個)〉と〈線(つながり)〉という観点から整理しなおす。著者の過去50年近くの研究...
点と線の言語学
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商品説明
多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを、〈点(個)〉と〈線(つながり)〉という観点から整理しなおす。著者の過去50年近くの研究の集大成となる1冊。各章末尾に練習問題を附属。
■「はしがき」より
人間にとって最も大切なのは人と人とのつながりであり,人と人とのつながりを促進するのが言語です。言語の役割はコミュニケーションだけではありません。言語は人類が発展するために必要な思考力や創造力を育みます。人間の言語は人類に固有の生物学的特性であると同時に,個々の言語社会・言語文化においてそれぞれの個性を生み出します。言語の研究は人間そのものの研究なのです。
しかし,言語の研究といっても昭和から平成へと続いてきた〈縦割り式〉の手法を今後もそのまま受け継ぐのでは,学術的なブレイクスルーは期待できません。伝統的な国語学・日本語の研究は国内に狭く閉じこもりがちで,国際的な発信力に欠けました。また,日本語固有の研究テーマを追求するあまり,世界の言語研究の潮流に幅広く目を配ることもあまり得意ではありませんでした。
このような状況に鑑み,私は2009年から2017年まで国立国語研究所の所長として,言語学出版で世界的に定評のあるドイツのMouton出版社と提携し日本語研究の多様な成果を国際発信する〈Handbooks of Japanese Language and Linguistics〉というシリーズを刊行しました。また,世界の最前線の言語研究を展望する,オックスフォード大学出版の〈Oxford Research Encyclopedia of Linguistics Online〉の編集顧問を委嘱され,日本語関係の国内外の様々な研究状況を世界に紹介する仕事にも携わりました。
こういった活動を踏まえながら,本書では筆者が過去50年近くにわたって続けてきた研究を〈点〉と〈線〉という観点から整理し直しました。データ面では以前の発表論文を再利用したところが多いのですが,〈点〉と〈線〉という切り口による全体像の整理と解明はまったく新しい着想です。この考えは,個人という〈点〉を重視する英語社会と,人と人とのつながりという〈線〉を尊重する日本語社会の特徴を浮き彫りにするだけでなく,多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを際立たせるのにもピッタリの概念です。
内容は専門的ですが,言語学と隣接分野を橋渡しする入門書として役立つように工夫をこらしました。各章の末尾には練習問題も付けています。
(1)専門的な研究から言語学初心者への橋渡し[特殊な用語を避ける]
(2)日本語研究と英語学・言語学との橋渡し[日本語を世界諸言語の中で捉える]
(3)海外の研究と国内の研究の橋渡し [国際的な文献を多く引用]
(4)昭和・平成の研究から令和以降の研究への橋渡し[過去の主要な成果の取りまとめ]
(5)言語の研究から文化の研究への橋渡し[少しだが言語文化にも触れる]
本書が橋渡しとなって様々な分野が将来的に連携し,言語と人間社会を包括した研究へとつながることを願っています。
目次
- 第1章 言語の中の〈点〉と〈線〉とは
- ―日英語の対照研究を超えて―
- 1.1 本書の目指すところ
- 1.2 言語類型論と日本語
- 1.2.1 語形に基づく言語類型
- 1.2.2 〈する〉対〈なる〉の日英語対照研究
- 1.3 言語類型のパラメータとしての〈点〉と〈線〉
- 1.3.1 言語の中の〈点〉と〈線〉
- 1.3.2 形の〈線〉と意味の〈線〉
- 1.4 本書の構成
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