雑誌のような構成
2022/10/11 08:48
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口減を前提とした日本で、編者の内田氏が、「撤退」というテーマ設定をし、各論者がそれぞれの意見や見解、経験などを述べている。必ずしも、設定されたテーマを忠実に受けているというよりは、それぞれの視点での経験などの開示などもある。雑誌などで、メインのテーマに対して、いろいろな論者がそれぞれの意見を述べているような構成。
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面白いのに、読みきるのに時間がかかってしまった。
総じて皆様が仰っているような、ユルい撤退を早いところ社会全体で開始したいと思うのだけど、
いったいどうすればよいのか。方向転換せずにいたら、みんなで崖から落ちることになるのに。
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「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。
そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。
この「まえがき」と白井聡と平田オリザの論考が、特に優れている。この三箇所だけで、この本は⭐️5つだ。
白井聡はあまりにもハッキリとこの本で、誰もがそうではないか?と薄々気づいていたことを明らかにした。「われわれは根本問題の所在をはっきりと認める必要がある。日本の政治が見るも無惨な状態にあるのは、官僚機構が、あるいは政界が劣化しているからだというよりも、そうした堕落を許すどころか、腐敗堕落した勢力をわざわざ選択し、それに権力を与えている有権者の無知と堕落のためだ、という事実が正面から認められなければならない」
とうとう言ってしまった(笑)
ここを読んだ時間が寝る前だったので、その日は寝付くことができなかった…。白井さん!
平田オリザの指摘も示唆に富む。
西洋のリアリズムを情緒、感傷的に読み変える日本文化。
この甘美な情緒が産むものは何か。
せめてソフトランディングできたら、と願う。
兪炳匡の「プランB 」が少しでも実現できたらと思うが、この国はできないだろうな…。
兪さんの指摘、「著者が懸念するのは、現在の日本で生まれ育った人が、欧米諸国に留学ないし就職する際に、『基本的人権の尊重は建前であり、本音では揶揄・否定しても構わない』との言動をとりかねない」こと、さらに、「個人を評価する時に、日本では、仕事をする能力と倫理観・価値観を『足し算』によって評価」するが、「欧米での評価方法は、『掛け算』ですので、差別発言がある限り、高い研究実績を乗じても0以下になり」、「特定の大学だけでなく欧米の大学・政府組織・企業から永久に追放されます」は重く受け止めた。
つい最近、映画人をはじめとする文化人のセクハラに関して、その作品までも追放するのか、という発言が、なんと新聞にまで登場したことが思い出される。
言論人でさえ、足し算に疑問すら持たず、掛け算の発想すらない、その程度の知性が新聞をつくる国なのだなと思う。
今回の「撤退」に関するアンソロジーは、しみじみ読んでよかったと思うが、しみじみ悲しくもなる。
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撤退についての、さまざまな論者からの寄稿
それぞれでいろんな発見も、驚きも
(少し誇張しているのかもしれませんが)
ありました。
撤退の困難さはいろんなところで感じる昨今です。
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編者の内田さんは言わずもがな、斎藤さんもユウさんも、その単著では、まんま撤退について論じていたので、本作の内容も推して知るべし。その上で、個人的にもいかに撤退をソフトに行っていくかに興味深々だし、本書を読まない訳にはいかない。政治・経済などの大枠から始まり、だんだんそれぞれの専門分野へと視界が移っていき、最後にまた大きな枠に戻る、みたいな結構。撤退≒縮小を論ずる以上、広い視野の方がベターということはなく、それぞれの観点から興味深い撤退が語られる。どういう撤退が可能で、望ましいのか、立ち止まって考えるきっかけになる。
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涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。
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「撤退論」と銘打ったにしてはちょっと散漫かなぁ.
撤退だかなんだかわからないのもあったし.個人的にパラダイムシフトを起こす様な論説は,残念ながら一つもなかった.
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読む前は、日本の「撤退論」と思っていたが、読み終わった今、自分の人生の「撤退」について考えることになった。
ものすごく自分勝手な解釈なのかもしれないが、そんなに、昨日よりも今日の自分が進歩していなければいけないみたいなことは考えなくていいのではないかと、とても落ち着いた。そもそも下降が当然の年齢になっているのに「いや体力、健康、外見等は落ちていっても、また別の部分で進化、成長をしなければ」と感じていたような気がする。のんびりダラダラした性格なのに。
いろいろな分野の方々の、それぞれの立場から、特にご自分の体験からの「撤退論」であったが、何人かの方たちは同じことを言ってらっしゃるように思った。ということはそこが大きなポイントだと思う。そこから上記の自分の「一直線に前へ前へ進歩しなくていいんだよ」という思いが心に残った。
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内田樹さんの寄稿の依頼文をネットで読んで「撤退論」を手にした。岸田総理らの相変わらずの成長「必至」論は具体策も展望も欠くが、国民の側に立つはずの経済学者金子勝さんでさえ成長を説く。なんで目をつぶっているんだろうかと思う。
16人の中では初めて知ったユウヘイキョウさんのプランBがよかった。探して読んでみたい。
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「人口減少社会にどう対応すべきか」という編者の問いに15名が回答するアンソロジーで3つのパートにわかれている。1 歴史の分岐点で、では概ね問いに対して政治学的にマトモに回答しており、正直読む価値があるのはここだけという印象。2 撤退の諸相、では個人的体験談をベースにスローライフやロハスのススメをしているだけで、全く問いの回答になっておらず読む価値なし。3 パラダイム転換へ、では多少政治学的な話題にはなっているものの、問いの回答にはなっておらず、個人の体験談がベースor自分の専門研究に関して述べているだけで2よりはマシというレベル。基本的には撤退の是非について回答する形式ではあるが、全員が是であり非と回答したものはおらず、内容的な多様性はない。
そもそも回答者のうち80年代生まれは2名であり、殆どが人生を半分過ぎた撤退を考える、もしくは60過ぎてもう撤退しか残っていない人々。であるなら、人生観も影響して撤退を是として論じるのも無理はない。もし次作があるとするならば、回答者を40歳未満に限定したものを読んでみたい。
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撤退論 内田樹編 晶文社
歴史のパラダイム転換に向けて
題名に惹かれて手に取ってみたけれど
前書きを読んで学者の限界を感じた
まず仲間内で先生と呼び合うのをやめてからにしてほしい
少子化がいけないと決めつけてからの話では
答えが出ないだろう
問題は噂されている
権力を振りかざしている側の都合で
少子化を作り出して不安をばらまいていることの真偽を
確かめることが前提だろう
識者とされた多くの人が原稿を寄せた中で
唯一面白く読ませてもらったのは
『個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か』
というタイトル始まるお話だ
広い目線で現代文明が陥っている
物質至上主義の問題の急所を捉えている
いやもう一つ
夫婦で語る「撤退女子奮闘記」と「撤退のマーチ」が面白い
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以前、立ち止まって交通整理することが必要ではないか、+はわかりやすいけど-が評価されにくくて敬遠されるというようなブログを書いていたので非常に興味深い題材でした。
いろんな人が寄稿しているので中には読みにくいものがあったり、何を言ってるのか、何が言いたいのかがよくわからない人もいたけど、いろんな考え方があって面白く、中でも青木さんや想田監督、平川さんなどは近い考えで興味を持ちました。
障害とは、健常とは、健全とは?頭が悪い、コミュ障、ノンデリ、自我の喪失、倫理観の欠落などと障害の差は?ふだん考えていたことが青木さんによって明文化されていました。
常日頃、「誰が」という点に注目が置かれ、その中身に対しては二の次三の次だと感じることがあったが、政党名の威力がわかる調査結果はわかっていたとしてもやはり衝撃だった。
私はよく岩田さんに共感することがあるんだけど、冷淡な人だと思われがちだというのを見て、自分も「冷めてるね」って言われたことを思い出した。笑
ここでもうんざりするどころか、そうだよね~って思いながら読んでいましたよ…。
アジカンのゴッチまで寄稿している幅広さにびっくり。
みんながすべきことを人に求めるんじゃなくて、1人1人がわからないなりに自分にできることを考えるのが大事だと思います。
先に目指す方向性があって、そのために何をするかって話であるので、ゴッチの考え方にもとても共感しました。
終わり方や書き方の形式も独特で面白かったw
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資本主義的な競争では敗北した日本だが、現状はまだ物価が安くて住みやすい状況にあると思う。
経済的な敗北を敗北と思わずに、実質的な豊かさを手に入れられる社会を作れるかが課題。
私有から共有へ、共有する資産を豊かなものにしていきたい。
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内田師範のお話以外あまり面白くありませんでした。面白くないのは、たぶん、書いてる人たちの表現力が頭良すぎて何がいいたいのかケムに巻かれたような気持ちになるからかもしれません。
わかりやすすぎるのも、あれだし難解すぎるのもちょっと。
正直に申し訳ございません。
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各界の著名人から内田樹氏が撤退について執筆を依頼し、まとめたもの。各専門分野からの種々の視点でどう考えているのかが分かり面白い。