ごもっともな内容でした。
2022/06/08 06:32
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通りの内容です。中身は実にごもっとも、学校は授業のみならず退屈なことばかり、でも全く無駄というわけではない、ということを著者が冷静に説いています。
ちくまプリマ―新書なので学校の生徒向けの1冊と思われるでしょうが、当書は先生など大人の皆さんにも読んでいただきたい1冊です。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて、かなりうなづく言葉や、納得する文に出会いました。この作者の方、すごく学校とか教育を分析なさってるようです。コロナ禍では、通わない学校制度も普及したことですし、いっそ、個人個人の個性に合わせた教育を!
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わかりやすく解く学校の役割
学校関係者であるが、かなり勉強になった。近年、学校に求められる社会的な役割が多くなってきている。そんな昨今の教育事情をコメニウスの考え(教員採用試験ぶりに聞いた)や、教育基本法、日本国憲法等を根拠に教育学的・社会学的な用語を使用して本来の学校の意義を整理していく。(「社会化エージェント」「教育の目的」「教育の作用」「学習」「教育」「学校の知」etc)タイトルにある学校の退屈さの理由も、明快に説明される。後半はAIと教育の関わりや若者への期待で締め括られる。
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第1章 教育と社会化
教育とは何か
教育と学修・社会化
多様は社会化エージェント
第2章 学校の目的と機能
学校の木t系
学校の機能
第3章 知識と経験
学校の知
知識と経験
第4章 善人の道徳と善い世界の道徳
道徳的に生きるとは
道徳的社会化の場としての学校
知識は道徳を広げる
きしむ車輪は油を差してもらえる
第5章 平等と卓越
公教育の中の平等と卓越
みんなにとって有益な教育
家庭環境と教育機会の不平等
人間とAI
第6章 人間とAI
第7章 身の回りの世界とグローバルな世界
広い世界に出ていくために
自分探しと学校
世界は人間の努力で前よりもよくなっている
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教育基本法 第1条「教育の目的」
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
「形成者」とは=「社会の一員になっていく」「社会に適応していく」つまり「年寄の時代遅れの価値観を押し付ける」「企業が使い捨てにできる従順な労働力を期待する」ということではなく、「一人ひとりが未来の新しい社会を造り出していく主人公のような存在になること」が目指されている。
学歴が低いと、チャンスが与えられず、いつまでも下積み仕事ばかりさせられる。ボンクラ東大卒に「東大卒」という肩書だけで重要な仕事が与えられて、なんとかそれをこなしているうちに、いつの間にか「さすが東大卒」といわれるようになる、といった感じの現象です。
「善人が悪をなす」会社ぐるみの犯罪など。
一人ひとりの社員はごく普通の人で、仕事場ではみんなとうまくやり、命じられたとおりにそつなくしごとをこなし、普通に暮らしている。仕事の中で、法令違反が日常的なルールや慣行になっていたりすることがある。悪をなしているという自覚すらない可能性も多々ある。
「世界に中心はない」
人は自分が見えている世界を基点にものを考えるから、世界の中心に自分がいるようについ思ってしまう。
人は誰もが世界の片隅でいきている。片隅で生きている人間が世界を理解するためには、いろんな立場や支店に立って、世界を見ようとする努力が必要。
1958年の学習指導要領「道徳」
社会生活の中で、人は多くの悪に直面しないわけにはいかない。われわれは誘惑を受ければ、悪に陥りやすい弱さをもち、また、集団の中においては、友情や義理の名のもとに悪に引きずり込まれたり、悪を見逃したりするものであるが、悪を悪としてはっきりとらえ、勇気をもってこれに臨む強い意志や態度を築くことに努めるとともに、みんなで力を合わせて悪を退ける工夫を続けていこう。
→目の前の社会に問題があることが率直に描かれていて、特に集団に流されがちな日本の社会を変えていこうという強いメッセージを感じる。この時代の少し前には、日本の国民がみんなで体制に同調して、あの無謀な戦争に突っ走っていったから。
いつの間にか、日本の道徳教育は「社会に順応しなさい」に変化している。
学校で学ぶ知は、仕事の中でも役立って、社会の富を増やす。豊かな文化をみんなで享受する基盤にもなる。
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本書で「生徒個人ごとの学習の最適化は、ゴールが無いので理解が遅い人はゆっくりとなり、理解が速い人はどんどん進んで差がついてしまう」とありました。
確かに現状だとそうなのだが、学習目標と学習終了期限を設定して、それに間に合うように促すシステムができれば問題無くなるのでは?と思いました。
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学校は長い廊下で、その先に広い世界が広がっている。また、世界の縮図をコンパクト化した内容を学校で習っている。色々な発見や気づき、可能性を得るためにも必要なところである。学校の知の本質は、身近な日常経験とは切り離されているので、つまらなくても仕方がない。
上記のようなことが書かれており、学校や教育についてわかりやすく整理されてまとめてある。
本書にも出てくるように、教師の大きな仕事は「子どもをやる気にさせること」である。小学生に対して「将来につながるから…」と言っても、学習意欲は向上しない。身近な経験との関連に気づかせる、調べたくなる問いをしかけるなど、うまく「学習したい」と思わせることが大切だと改めて感じた。
・同じものを見ても、知識のあるなしで経験の質が違う。
・ヨーロッパの格言「地獄への道は善意で敷き詰められている」
・知識を持つことは、その対象に対する想像力を発揮させることができるのうになるということ
個別最適化はゴールが揃わない!という意見も出てきていたが、確かにと思うところもあった。自分なりに考えたい。
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タイトルに惹かれて気楽に読み始めた。
話し言葉で書かれているため、読みやすいかと思いきや、辞書を片手に読みすすめ、かなり深い内容でした。
読み進めてみて、タイトル通り学校は大切だということが、より一層感じられた。
子どもたちにどれだけ興味を持たせることが出来る先生がいるかは?(個人の感想)
作者は若者に向けて、期待を込めてこの一冊を書いている。
悲観しすぎないで、こんな根拠もあるし未来は明るい、ただし自分は何が出来るか、自分と自分の周りの狭い世界だけで考えるのではなく、「善き世界の倫理」を心に持って、世界をよりよくしていって下さい。というメッセージが伝わりました。
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とても納得できる内容でした。特に道徳教育についての第4章で「『社会を変える』という視点が弱い」というのは強く感じます。最近の子どもがおとなしいのは、このような教育を受けてきたからか、あるいは、社会の風潮がそうさせているのか、どちらもなのか。
学校という装置によって子どもたちのアイデンティティーは未確定なままにされてしまっているからこそ、自分が何をやったらいいのかわからないという事態が生まれてしまう、学校は長い廊下、など、学校という場について、うまく説明されている本です。
また、「個別最適化」を追求していくと差異化の増大ということ自体が善になる、というのは、たしかにそうかも知れないと思いました。
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読みやすい、分かりやすい。そして、時事ネタも。
・教育とは、誰かが意図的に、他者の学習を組織化しようとすること。
・条文より…素案は「人格の完成」ではなく「人間性の開発」だった。「一人ひとりが未来の新しい社会を作り出していく主人公のような存在になること」が目指されている。
・「偏向」よりも「教育内容の過度の画一化」の方こそ警戒すべき。
・学校は、この世界がどうなっているかということを、言葉や記号を使って子どもたちに学ばせる役割を果たす。
・高卒で仕事ができる人は、自分でお手本となる人を見つけて成長できる。経験から学ぶ人。大卒の人は、自分で勉強をする人が、仕事ができる人になっていく。
・精神的な距離が遠くなると道徳的無関心が生じる。
・AIが導き出した最適解を拒否することの正当性を主張する論拠を提示することは、困難になるはず。
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「学校の知=世界の縮図」というのは忘れてはならないと思った。テストでいい点を取ることだけを目的とした授業はやはりつまらないし、大して身につかないものだと思う。体系的に学ぶことによって、見える世界は広がっていくし、豊かな人生になるのだろう。
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学校教育の役割を検証する。
特にこれからの学校教育に求められるものをとらえなおす。
「よりよく生きていくこと」と「高い収入を得ること」を切り離したとき、人はなぜ学ぶのか?「よく生きる」とはどういうことなのかまで考える。
中高生向けに書かれているけど、大人こそ読むべきかも。
教育学者のエゴもあって笑える。
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教育学者による、教育とは何かを論じた一冊。
そしてこれからの日本における教育のあり方を述べている。
教育論というと小難しいと思うが、中学生くらいでもわかりやすく、教育の必要性と日本の教育の問題点やこれから未来に向けてどのような教育が必要かを論じている。
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友人で、とっても頭がいいのに、まったく勉強をしなかったため、学校の成績が冴えなかった男がいるのですが、この本を読んで、その友人のことを思い出しました。
「学校は、子どもの興味の有無とは関係なく、将来、仕事をする上で必要になる知識を満遍なく教えるところであるため、興味をもてない項目について、子どもは退屈になりがちである」という趣旨のことが、この本には書かれていまして、上記の友人の、勉強への取り組みについて、すごく納得できました。
学校教育は、誰もが触れることになる、とっても身近なものですが、実は、その目的については、明確に理解できていない人もいると思います。
そういう人にこそ、この本はおすすめです。
ちなみに、広田先生の本については、以前からずっと「読まなきゃ」と思っていたのですが、広田先生の本を読んだのは、この本が初めて。
いいタイミングでいい本に出合えたと思います。
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思春期の中学生と接していると、学校の意義、将来への不安、充実しないマンネリ化した日常などなど、友だちや成績以外のボンヤリとした悩みで、鬱々としている姿をよく見かけます。学校の意義とは?学校にできることとは?そして学校に期待するとは?そんな疑問に答えを見つけたくて、手にしました。