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電子書籍
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著者 西加奈子
アメリカ人の父と日本人の母のもとへ、養子としてやってきたアイ。 内戦、テロ、地震、貧困……世界には悲しいニュースがあふれている。 なのに、自分は恵まれた生活を送っている。...
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i (ポプラ文庫)
商品説明
アメリカ人の父と日本人の母のもとへ、養子としてやってきたアイ。 内戦、テロ、地震、貧困……世界には悲しいニュースがあふれている。 なのに、自分は恵まれた生活を送っている。 そのことを思うと、アイはなんだか苦しくなるが、どうしたらいいかわからない。 けれど、やがてアイは、親友と出会い、愛する人と家族になり、ひとりの女性として自らの手で扉を開ける―― たとえ理解できなくても、愛することはできる。 世界を変えられないとしても、想うことはできる。 西加奈子の渾身の叫びに、深く心を揺さぶられる長編小説。
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紙の本
読後優しい気持ちになれる1冊
2019/11/24 17:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリアで生まれ、裕福な家庭へ養子として引き取られたアイ。金銭的に厳しい家政婦の子ども達と接したり、貧困の子どものニュースを見るたびに自分の状況に罪悪感を感じ苦しむ。
世界で日々多くの人が亡くなり、その家族や友人などが涙している。その死者の数をノートに記し、一緒になって悲しみ、考えるアイは、夫や親友と出会い、また様々なつらい経験をしてこの世に確かに自分は存在しているし、存在していいんだという歓びを手にいれる。
近くにいる友人や同僚の表面的には見えてはいない悲しみや、また会ったことのない人々の苦しみに毎日少しでも思いをはせ、考えるだけで世界はもっと平和になるのではと感じた。大きな変化は起こせないけれど、他者の苦しみを分かろう、感じようとすることの大切さや、忙しい毎日で忘れかけていた他者への共感の心をこの小説は私に気づかせてくれた。
紙の本
私にはアイもミナもいなかった
2021/03/07 22:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「この世界にアイは存在しません」、入学式の翌日、授業の初日に「アテネ」と呼ばれる数学教師は話した。「二乗してマイナス1になる、そのような数はこの世界に存在しないんです」という意味だ。主人公の名前はアイ、父ダニエルはアメリカ人、母綾子、もちろん日本人、アイは養子だ(シリア出身)。「この世界にアイは存在るのか、しないのか」、このことがこの小説のテーマとなっていく。このテーマにひき連れていくようにアイは数学科で学ぶことになる。アイにはミナという親友がいる、この子がいい。作者は巻末の又吉氏との対談で「つらい経験をした友達にあんたがいてくれてよかったと何度も言ってくれる、でも、私からしたら、その子がええ子やから一緒におるわけで、あんたやでって思うのね」と語る、そのとおりだと思うが、私はそういう人と巡り合えなかった、作者には「あんたやからや」と思われそうだ
紙の本
そうだった。
2020/11/15 18:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
西さんはいつも、簡単な言葉や今生きている私たちにわかる出来事で、人間が考えていくべきことを説明してくれた。答えはない。もしくは、答えは今ここに存在しているということだ。愛されていることイコール幸せなことではないけれど、いつ幸せを望むのかは存在している限り自由であって良い。そしてそれは、平等に存在している全てのものが手に入れられる。
紙の本
iは私?
2020/10/14 11:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
“純粋な”日本人ではない主人公のアイ。その出自故に人の生き死にに心が揺れ、自分の恵まれた現況に罪悪感すら覚えています。その寄る辺ない状況から、友人や伴侶との出会いなどを通じて、自分の輪郭を明瞭にしていく。
「虚数のiは存在しません」とは、数学の先生の言葉。存在しない数であるタイトルの”i”という記号。これが主人公の足取りとともに、「私」であり、アイデンティティーの頭文字であり、愛であり、哀・・・と実態、内実のある言葉に変わっていくように思えました。
紙の本
西加奈子氏が綴る圧倒される長編傑作です!
2020/02/08 13:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ベストセラー小説『サラバ』の著者である西加奈子氏の長編傑作です。ここで登場する主人公のアイは養子としてやって来た少女です。その少女が、大人になっていく過程で、世界に渦巻く内戦、テロ、その他数々の苦難に苦しんでいる人々がいる一方で、彼女自身は平穏な生活をしていることに、何かしら納得がいかないものを感じてしまいます。しかし、どうすれば自分自身が納得できるのか、それを見つけることはできません。そうした中で、アイは、様々な人々で出会い、絆を深めながら、一人の女性として自分自身の手で、世界の扉を開けていこうとします。自分自身の心という内なる世界と、現実の世界という外の世界の間で葛藤する主人公を描いた感動の長編傑作です。
紙の本
主人公への共感
2022/03/19 21:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北澤サン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本来は無意味であるようなことに苦しみを見出してしまう主人公に少し共感した。
紙の本
自分を取り戻すお話
2021/12/25 01:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くらひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリアで生まれ、アメリカ人の父親と日本人の母親に育てられたワイルド曽田アイの人生を描く。自分が恵まれていることに罪悪感を感じ続けながら生きてきたアイが、友人のミナと写真家のユウとの関わりで、自分を取り戻していく。
出会ってからずっとかっこよかったミナだったので、メールで、アイと初めて話した時の心情は意外だった。思っていた以上にミナもアイに救われていたことを知って嬉しくなった。
また、子どものことで謝ることはない、という文章はハッとした。自分はその立場だったら謝ってしまう気がするが、確かに自分のからだは自分のものだ。そこから繋がるラストシーンが素晴らしかった。
紙の本
アイデンティティとは何か
2020/01/08 14:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリアで生まれ、日本人とアメリカ人夫婦の養子になった「アイ」。
複雑な生い立ちで、自分のアイデンティティを模索していく。
すべてを「アイ」の視点から描く(でも一人称ではない)手法は、西加奈子氏お手の物。
シリアという情勢不安な国であのまま暮らしていたら・・・。
恵まれた生活に対し、どこかサバイバーズギルトのようなものを感じてしまう「アイ」。
そんな「アイ」の心の移り変わりが、とてもよく伝わってくる。
自身もテヘランで生まれ、カイロなどで育ったという経験を持つ西氏の、独特の国際感覚が現れているようで、面白い作品だった。
紙の本
主人公が悩みすぎ
2020/12/13 13:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ人の父と日本人の母のもとへ養子としてやってきたシリア人の少女アイ。世界で起こる惨事の死者数をノートに書き続けるアイ。裕福な家庭で幸せな生活を送ることに罪悪感を感じ始めるアイ。世の中の不条理に対していつも心を痛めるアイ。西さんの書き方ってこんな感じです。詩的でリフレインが多くて、短文を積み重ねていくような。それはそれで美しいのだけれど、くどくてしつこいのが嫌いな私にはどうもこの文体は苦手。キャラの設定はとてもいいし、テーマもいいのだけどなぁ。そして、アイが過剰に悩みすぎるのもイマイチ共感できず。