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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
清盛の異母弟頼盛が福原で起こる事件に挑むミステリー仕立て『平家物語』。
清盛の思惑や、甥達の頼盛への心の隔たりなどが見え隠れし、頼盛は我が一族を守るために失敗できない謎ときに臨まざるをえません。
事件を解決してもそこは到底納得できないものがあり、煮え切らない思いを抱く頼盛。
読者は平家のオチを知っているだけに、一族郎党を守るために油断なくふるまう頼盛と、人々の気持ちを慮ることが出来ない清盛と息子たちのふるまいに明暗を感じるのです。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
平清盛の異母弟という微妙な立場の平頼盛ってこんな人物だったの…みたいな感じて読み進めました。清盛の遷都の裏事情も興味深いし、清盛の息子たちもそれぞれ……。読者はいずれ平家が源氏に滅ぼされること知ってるので……。
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これは平安貴族を題材にしてるだけで平家である設定が生きてないなと思ってたら、最後に表題の意味も含めて意味をもたらした。
それでも前作で綺麗に片付いていたので新たに清盛との時代に戻して長編にするよりは、前作で終わっていて良かったと思う。
ミステリ的には無理がある部分もあり納得はしにくい。雅な世界観と雰囲気はよく描かれていると思った。
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「蝶として死す」から11年、福原遷都と富士川の戦い大敗で揺れ動く清盛一門で起きた事件に異母弟・頼盛が再び挑む。
平家一門にとって不吉と思われる夢を見た青侍(身分が低い若侍)が逃亡、清盛から捕縛を命じられた頼盛。家人の報告で青侍が清盛邸に逃げ込んだことを知り、清盛に邸内探索の許可を得ようと乗り込むが、何故か清盛に碁を誘われたり清盛の息子たちによる富士川の戦い大敗の報告などで探索が出来ない。
吹雪により清盛邸に泊まり込んだ一同だが、その翌朝、清盛の枕元にあった小長刀が消え、さらに青侍が塀の外でバラバラ遺体となって発見される。
本を開くといきなり清盛邸の見取り図があり、わくわくする。
バラバラ遺体の周囲の雪に足跡がなかったり、密室状態の祈祷所で巫女が逆さ吊りにされたり、清盛の枕元から刀を盗まれたりと、本格ミステリーっぽい要素が満載。
一方で、不吉な夢や化鳥に天狗、神仏や死の穢れという当時ならではの背景もある。しかしそれもこの犯罪を形作る重要な要素となる。
特に死による穢れは興味深い。
邸内で五体満足の遺体があると30日、手足などの一部でも7日間は『物忌み』といって家に籠らなければならない。
また死体を門から出すと門が穢れて使えなくなるので、葬儀などで死体を家から出す場合は塀の一部を壊して出したり、塀に梯子を掛けて乗り越えて出したりしなければならない。
さらには自宅に穢れを生じさせないため、屍を路上や空き地に捨てていく習慣まであったというから恐ろしい。
当時の京都に死体が散乱していたというのは戦だけでなくてこういう習慣や考え方があったからかと思うと戦慄する。
前作から11年たったこの作品でも、頼盛は清盛やその息子たち(特に知盛・重衡)からは謀反を疑われている。
というのは、頼盛の母・池禅尼は源頼朝の助命嘆願をしているし、池禅尼の兄は牧の方の父・牧宗親(大河ドラマでは兄だが、父との説もあるらしい また池禅尼の兄との説もあるらしい)なのだ。その縁で頼朝の監視は池殿流平家(頼盛)と北条時政が担っている。
頼朝蜂起に頼盛が関わっているのではないかと疑われるのも無理はない。
そんな中で起こった殺人事件や小長刀盗難事件。知盛らの厳しい目に見つめられながらという厳しい状況で頼盛は自分や家の子郎党を守るために事件のなぞ解きに挑む。
事件の真相や動機は予想が出来た部分と驚かされた部分あって楽しめた。ネタバレになってしまうので詳しく書けないのが辛いが史実ともうまく絡めてあって面白かった。
タイトルである『揺籃』とはゆりかごのことらしい。
大河ドラマでもバタバタしていた感の福原遷都については興味深かった。
そして頼盛。実際の頼盛がどういう人だったのかは分からないが、ここに描かれる頼盛は相当の知恵者だ。清盛、知盛らの厳しい目をかいくぐり、いかに自分たちが生き残るかを必死に考えている。そして最後のシーン。
壇ノ浦後も唯一生き残ったという説も納得の周到さ。
一時頼朝を頼って鎌倉にいたこともあるらしいから、ドロドロの権���争い真っただ中の鎌倉で再び事件解決に挑むなんて姿も見てみたいが、さらなる続編はあるだろうか。
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「蝶として死す」に続く平家一門のミステリー。
異母兄・清盛やその息子たちから疑いや嘲笑を向けられても、扇で口元を隠して優雅にかわす頼盛。腹芸がすごいし謎解きも面白かったです。
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福原遷都を背景にした長篇。シリーズ第2作。
不吉な夢を見た青侍の捜索、怪鳥騒ぎ、守り刀の盗難。
頼朝との内通を疑われ、針の筵状態で捜査を行う頼盛。
この時代ならではの習俗が動機につながっていて、時代設定に納得。大河ドラマと深夜アニメのおかげで、この時代が少し近く感じられるようになったのはありがたい。
Web東京創元社マガジン http://www.webmysteries.jp/archives/29599980.html
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福原遷都を舞台に、清盛邸で起きた事件の解決にのぞむ頼盛。
この時代に明るくないため、前回の短編集と違い少し読み進めるのが大変でした。今回は身内だけれども微妙な関係の棟梁清盛家ということで、動きにくい中、最後は丁寧に回収していました。
小さな伏線の積み重ねのため、ついつい戻ってしまうこともありましたが、面白い内容です。
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入院生活 17冊目。
非力な子どもや動物が傷つく場面もあり心苦しいが、そのモラルの無さが平安貴族の狂気や傲慢さを感じさせる。滅亡へ向かう平家の腐敗を感じた。
平安時代ならではの推理勝負でとても面白かった。聖地巡礼、史跡巡りがしたくなる。
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まさかの第二巻。大歓喜。
【子供が被害に遭います 苦手な方はご注意を!】
長編です。
舞台は清盛が福原(神戸)に無理矢理遷都したところから始まります。
平氏と源氏の戦いが始まった直後で、平家への求心力が試されるなか、「平家は天下人としてふさわしくないので、伝家の宝刀は神が取り返しにやってくる」という夢を見た若い侍はそれを言いふらします。
侍に激怒した清盛は頼盛に身柄を捉えるように命じます。
ギリギリまで追い詰めるも、逃げ込まれたのはなんと清盛の屋敷で…というお話。
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平安時代の慣習が大きなネックになってる今回の作品。
安定の面白さでした。
今回、清盛は大人しめかな?と思ったりもしましたがなんて事ない、最後に全部持っていきました。
それが言い訳や見栄なのか、はたまた本気なのか…わからないところがまた面白い…
前巻で煮湯飲まされるどころかおでん顔面にぶつけられるくらいの屈辱を感じた頼盛(最終的には勝ち越しかな?)でしたが…勝ちということでいいのかな?
続編出てくれないかなー
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よく出来たミステリーになっている。ただ、最後の文の件は、文面無しの方が謎めいて楽しかったのでは。
正直、この頼盛という人物に興味がある。
「頼」盛という名前自体が偶然なのかと思わせるくらいに。
できれば、彼の人生のこの後の時期についても、作品化してほしい。彼が登場する小説自体が、ほとんどないから。
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清盛の異母弟・平頼盛が探偵役のミステリ。今回は長編である。
福原に遷都した清盛邸で変死事件や守護刀の紛失事件、化鳥が目撃される怪事件などが相次ぎ、頼盛は清盛の息子たちから疑われながら事件解決に乗り出す。
相変わらず危うい立場の頼盛で、自分の一門を守るために事件の責任を押し付けられないように奮闘する。平安時代の習俗や、清盛の息子たちの個性も興味深い。何より清盛の福原遷都の意図にびっくり。キャラ的にはみんなあまり好きになれないが、面白かった。さらなる続編はあるのだろうか。
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平清盛邸で起きた盗難、殺人事件を異母弟の平頼盛が解く本格ミステリ
隙あらば頼盛を追い落とそうとする清盛と息子三人を相手に、薄氷を踏む心地ながら巧みに切り抜け、見事な推論を展開してゆく読み応えのある作品です
建物の造作、邸内の様子が細かく描かれ、興味深く拝読しました
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平家物語のエピソードを下敷きにした本格ミステリ。「蝶として死す」に続く第2弾は長編で、時期的には清盛による福原遷都=前作の第2話と第3話の間にあたる話。途中、事件解決の重要な手掛かりとなる当時の建築様式や服装、道具などの丁寧な説明は、まどろっこしく感じつついい勉強にもなった。終盤、頼盛の謎解きは痛快。ちょっとニンマリするラストも良かった。
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福原遷都後。平頼盛は、異母兄・清盛から人探しの命を受ける。忽然と消えた清盛の刀、足跡の無い雪上のバラバラ死体、封印された部屋の中で吊るされた巫女、夜空を飛ぶ化け鳥。様々な事件が発生。清盛や、彼の息子達からいびられながらの頼盛の推理にハラハラ。ラストの清盛との腹の探り合いまで、前作を超える読み応えある長編だった。
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くうーっ!《相剥ぎ》の話が伏線だったとは!
事件当時の時刻を追いかける謎解きは面倒だけど、トリック崩しと嘘つき探しは見事。堪能しました。
しかしこれ、知盛贔屓からはクレームが付くんじゃないか…とか思いながら読み進んでたらば。
あっらー、さすが。
謎解きの一歩上を行く、相国の深謀遠慮ったら、どうよどうよ。しかもこのタイトル…。
福原遷都の歴史的新解釈〜!!
あと、《袖香炉》って風流ね。