紙の本
ちょっと抽象的かな
2023/01/12 19:18
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投稿者:Monty - この投稿者のレビュー一覧を見る
都市や都市計画の歴史的な流れなどは勉強になったけど、たたみ方は少しぼんやりした印象。スポンジ化した空間に多様なレイヤーで多様性のあるエリアにしていくということか?ソーシャルキャピタルの重要性は今度ますます高まるのだろうなあと感じた次第。
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コンパクトシティは机上の空論であることはよく理解できたが、それに代わる「スポンジシティ」は結局、局地的ゲリラ的な手法で何だかあまり救いがない。もう一段上の都市マスタープランはやはり必要で、それをどのくらいの時間軸で実現していくのか。スポンジシティで都市はたためているのか…。
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人口減少下における都市設計『たたむ』方法を思索した書。
あとがきにもあるが『なんとかなる』という意識が根底にある、ポジティブな縮退論。
都市はたためても、郊外はたためない気がするので、郊外の論功も読みたいところ。
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★「計画」をあきらめない★都市を「計画」するという考えは、人口も経済も下り坂になった日本ではそぐわないようにも思える。だが、あきらめずに考えていくのは真摯な態度だ。
都市とは経済成長のために使われたもので、建築基準法による「道路がないと建物を建ててはいけない」というルールで日本ではスラムができなかったと説明。都市が拡大した際のスプロールに対し、人口減で縮小していくときは単純に都市のエリアが小さくなることはなく、「スポンジ」状に抜けが生じていくという指摘は納得する。ゾーニングでは対応できず、幾多の機能のレイヤーで穴を埋めるしかないのは確かだろう。
ただ、そこで期待するのは抜け地の行政への寄付であり、非営利で時間をかけて都市を変えていく道だ。経済成長期のように土地を媒介として(カネに変えて)迅速に開発することは無理という。理屈としては納得だが、地方ではその時間を許すだけの財政の余裕がない。空き家を寄付するにしても、解体費用だけでも行政が出せない。そしてそれはカネの論理を超えられない。
学者やNPOではなく、資本主義のど真ん中にいながらそれを超えるアイデアを出せる人はいないだろうか。
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人口が増加していた時代には、それに伴い都市も拡大してきたが、人口減少期に入り、都市を構成する人が減ってきた。
人口密度が低下した中で、各地域でサービスを展開しても効率が悪い。
その打開策として、サービスを局所化するコンパクトシティのような概念が提唱された。
饗庭先生は、長期的にはコンパクトシティの可能性を認めるものの、短期的にはコンパクトシティは難しいだろうという立場をとっている。
行政がコンパクトシティの方向性を打ち出すことで、長期的には周辺部に住んでいる人たちに対し、家の建て替えなどのタイミングで中心への移行を促す効果はあるかもしれない。
しかし、短期的には現在周辺に住んでいる人に中心への移行を促すだけの動機付けにはならないだろうと。
饗庭先生は人口減少局面では、都市が縮小するわけではなく、都市内のランダムな場所で敷地単位で密度の増減が発生するとし、それを孔に見立ててスポンジ化と表現している。
コンパクトシティが周辺部の低密化・中心部の高密化を志向するのに対し、スポンジ化では低密化した敷地を異なる目的で再利用し、密度の低下を抑えることが提唱されていた。
本書を読んで、一定の地域内に利用目的の異なる土地が混在するというのが、用途地域が定められる前の状態に戻ることとどう違うのかが、いまいち理解できなかった。
あと、阪神淡路大震災の頃の日本は人口拡大期だったけど、東日本大震災は人口減少期に発生したから、これまでの復興をなぞるのではなく、新しい復興の形を検討する必要があるという内容が新鮮だった。
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人口減少とそれに伴う都市のスポンジ化の減少についてわかりやすく分析されている。これまでの日本における伝統的な都市計画制度に対する批判及び指摘も的確。
スポンジシティのレイヤーモデルは、確かに空いた土地に新しい存在意義を与えるという点では有効だが、それが行政/民間/コミュニティ等どのレベルで行われるべきであるかは曖昧。人口という都市のエネルギー(筆者の言う「捌く力」)自体が弱まってきた時、この解決方法には無理も出てくるだろう。しかし、一つの可能性としては有効であり、それを行うべき主体(恐らくコミュニティが主に想定されている)が出現することによって、地域の市民社会の発展およびソーシャルキャピタルの蓄積が期待できる。
これらの考え方及び制度への批判を踏まえ、法的制度や民間のレベルでも何ができるのか考えるヒントになる。
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まだまだタマゴやけど
都市計画者の端くれとして
そして、人生の大部分が
高齢社会、超高齢社会の中で
生きていく世代として
考えていくべきこと。
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現代日本の都市を考える際の共通の立脚点になりうる本。建築学生必読。
コンパクト vs スポンジ
中心とゾーニング vs 全体とレイヤー
超近代復興 vs 非営利復興
などのスキームはわかりやすく、議論をドライブさせてくれるものだ。
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制度の目指したところ、実際、そして今起こっていることの分析が面白かった。
都市建設という自然な人間の欲をコントロールして「秩序」あるまちを作るには、今の「制限」に係る制度では限界がある。都市の中身を充実させること、一つ一つのまちづくりの取組へのインセンティブ付けをどうするか。
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人口が減少する時代に日本は突入し、だれもが都市は縮小していくであろうと考える。本書は、日本の都市がこれからどのように縮小していくことが予測され、どのように都市を利用していくことができるかを考えさせてくれる。
縮小都市という言葉から、都市は中心に向かって小さくなっていくというイメージを持ちがちであるが、筆者は調査・研究を通して、空き家や未利用地が街の各地で散在しており、現在の日本の都市はスポンジのように小さな隙間が存在するような縮小・低密度化をしている。
そのため、これからは都市にできた小さな隙間を有効に使うことで豊かな生活を送ろうという考えが求められている。
本書は、人口の推移から街のポテンシャルを読み解く方法や、拡大から縮小へと転換した日本の都市を考えるうえでの一つのビジョンを示していて、都市・まちにかかわっていこうという人にとって必読の書であると思う。
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【工学部図書館リクエスト購入図書】☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB20207523
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都市:労働力の交換で手にいれる土地建物の集積
たたむ:長期的な土地利用の変化を介入する計画の対象とする。ひらくこともある。
人口問題はその活動時間分配の問題
首都圏の風景
・都心区画整理
・木造密集市街地
・住農混在地域
・ニュータウン
二つの整備方向性・巧みな引き算
・団塊向けの高齢化福祉都市
・特異点がなくなった多様性のあるまちへリノベーション
団地再生もこの二つの視点で考える
都市のスポンジ化
・途中段階の常態化
・急激なコンパクト化は都市と市場の結び付きを強める
・土地利用ゾーニング、都市施設、市街地開発事業、そしてマスタープラン
・中心×ゾーニングモデルから全体×レイヤーモデルへ
・キーワードは計画手法の小規模化、SmallDesign
非営利復興
・空間とソーシャルキャピタルと資本の小さな三角形を長期でつくる
読後の展開
再開発の今後
身の丈、小規模、周辺との役割分担
会社として
地方支社との業務連携、復興長期的視点
2011年4月28日 (木) ブログ記事より
都市復興についてのメモ
先日、岩手の沿岸部のある都市を訪れました。
津波の被災エリアにはモノを作らない、高所に移転する、ということが大きな選択肢として浮上していますが、高所移転はおそらくは、最もお金がかかり、最も自然環境に影響を与えます。復興は急ぎますので、環境アセスメントをやらないという話も聞こえてきており、なんとも複雑な気分ですが、そこ(高所移転をなるべく減らすこと)をそれぞれの都市や集落が、土地にあわせて工夫する必要があると考えます。
私が訪れた都市では、被害にあっていない既成市街地がありました。現地を見て、そこの都市復興について考えたのが以下のメモです。
まあ、何かの足しにはなると思いますので、ここに出しておきます。
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1 基本的な考え方
1)三つの復興プログラム
津波の被害地をそのまま高所移転するのではなく、①津波の被害地内に再建する=「被害地内復興」、②出来るだけ隣接するやや中低利用の既成市街地を再編しながら受け入れる「市街地再編型復興」、③高所移転する=「高所移転復興」の3つの選択肢を持ち、それらを全体的に一つの事業として連動させながら進める。
2)「被害地内復興」
短時間で使い方が変遷する機能=建物ストックの寿命が短い機能を入れる。具体的には漁業施設と商業施設等の、産業構造の短中期の変化に影響されやすい機能を入れる。商業は短くて半年程度のサイクルで店舗が入れ替わる。鉄骨造等で、安価に早く建設できる設計とし、再び津波に襲われた際には、その建物を捨てて「てんでんこ」に逃げ、命だけは守るまちづくりを目指す。市街地としては低密になるため、鎮魂の公園等をつくり、建物は集約して建設する。避難路の計画が重要である。
3)「高所移転復興」
長期にわたって財産とし���維持管理される機能を入れる市街地であり、具体的には住宅や教育施設、医療施設等の、長期的にその必要性が変わらない機能である。住宅は相続などにより40年程度の周期で大きな改変のタイミングを迎えるが、その間に子供部屋の増設、高齢化対応など、小さな改変のタイミングはいくつかある。そのため、敷地をゆったりとり、増改築に柔軟に対応出来る設計とする。津波からは命だけでなく財産も守る市街地である。
4)「市街地再編型復興」
機能としては「被害地内復興」と「高所移転復興」のミックスであり、住宅と商業が複合した市街地を目指す。これはおそらくは「中心市街地の活性化」や「コンパクトシティ」で目指していた市街地像である。実施にあたっては空き地や空き家を重点的に活用するとともに、1981年以前のいわゆる「新耐震前」のストックの再編も戦略的に行う。今回の地震動で見えにくい構造の被害が出ている可能性もあり、建物の耐震診断等もすすめながら、市街地を段階的に再編していく。また、津波の被害地の「際」となるエリアであるため、中層以上の「津波避難ビル」など、中層の建物を効果的に配置させる。それらと、短時間で高所に避難出来る避難路を計画し、総体として津波から命を守るまちづくりを目指す。
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2 事業のプロセス
1)市街地再建の全体のボリュームに拠るが、まずは「市街地再編型復興」に入るかどうかを検討し、不足分を「高所移転復興」にもとめる。三つの復興プログラムを一つのプログラムとして連動させ、プログラム間での土地の権利(所有権と利用権)の等価交換を行う。また、同じまちの他のエリア、特に高所移転の余裕の無いエリアの被災者を受け入れる可能性もある。
2)「被害地内復興」のエリアは、「市街地再編型復興」「高所移転復興」の計画をまたずに、応急的に(生業が日銭をかせぐための空間として)スタートする空間とし、マスタープランを暫定的に描き、定期借地権を設定して地権者より借り上げ、まずは公的な仮設店舗、市場、漁業施設などを建設する。公園等の用地が想定されるところも同様に借り上げ、まずは復興事業のための資材置き場等として活用する。借り上げることにより、地権者の生活の安定に寄与する。
3)「高所移転復興」の敷地には、整地がおわりインフラが出来たら、まずは暫定的に仮設住宅を建設して遠地の仮設住宅等に入居している被災者に転居してもらい、計画が固まり次第、他の市街地への移転とあわせて、漸進的に恒久の市街地に変えていく。インフラ等は二度手間にならないように計画しておく。
4)「市街地再編型復興」における、被害を受けていない地権者との合意形成が難航する可能性がある。「津波避難ビル」などの建設に公的な資金を入れてリーディングプロジェクトとし、被害を受けてはいないが、脆弱な市街地を再編しながら、そこに被災した地権者を入れていく形になる。
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3 ポイント
1)被災者に選択肢を提示し、個人の決断と、コミュニティとしての決断を行っていただく
2)長期的な市街地経営を考���、20年後には誰も使わない市街地はつくらない
3)世代バランスに注意し、高齢者のみのエリアはつくらない
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4 制度化についてのメモ
都市計画の実現手段である、土地利用コントロール、都市施設の建設、市街地開発事業のそれぞれに分けて考える。
1) 土地利用制度
ゾーニングの種類として、津波災害の危険区域、その復興の方針と手段、防災の方針と手段を規定するものが必要。被災エリアを一色で塗らずに何らかの塗り分けをすること、さらには被害にあっていない既成市街地にも何らかの色を塗り、民間の土地利用の規制誘導ができればよい。ゾーニングをする際のある程度の科学的な知見を国が作る。
2) 都市施設
津波避難ビルなどの避難施設や市街地の中の防潮施設を都市施設として位置づけ、財源の手当もする。科学的な配置の知見を国が作る。さらには、海の中の防潮施設や港湾施設とのコンビネーションの考え方も国が整理をする。(沖合に大きな防潮堤を作るのならば、市街地にはいらないなど、施設を総体としてとらえた時の考え方の整理)
3) 事業の制度
限られた事業区域ではなく、3つの復興プログラムを行う広い事業エリアで土地の権利の交換や分合を担保するような制度は現状では無いと思われる。区画整理や集落移転や再開発をつなぎ合わせれば何とかなる可能性もあるが、それぞれの制度の持っている背景が違うので、細かいところで齟齬が出てしまう。市民に向けても分かりやすい制度であるべきで、そこは知恵を出したい。
いずれにせよ、もう少し、地権者の土地に対する考え方の変化、復興への姿勢などを見極めないと、事業手法がはっきり見えない。①土地の利用権と所有権をはっきりわける、②市民の合意形成のハードルを下げる、③まちづくり会社のような事業力を持った組織が民間の資金も集めながらやる、などのアイデアはあるが、もう少し地権者の顔や悩みを把握する必要がある。
4) 自治体の条例をつくる
1)や2)の細かい仕様、市民との合意形成の方法、復興計画の位置づけ、策定と見直しの手続き、など、多くは自治体の条例で制度化し、規定するべき。災害に対する科学的な知見は国に作ってもらえばいいが、それを地域の地形と被害状況にフィットさせて基準をつくり、さらには地域の気質や組織文化を踏まえた「決め方」や「担い手組織」の具体を定めるのは自治体の役割。国に全ての制度化を任せるのではなく、市町村の条例で受け持つ部分をしっかりと見極めながら、県や国と継続的に検討出来るようになればよい。
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まちづくり、特に関東大震災以後の都市計画の歴史的な経緯についてわかりやすく解説されている。
都市は手段。かつての目的は経済成長。
貯蓄をすることで、銀行が貸し出しができ、企業が投資するという循環。
個人も住宅ローンという将来への投資をすることで、経済が循環してきた。
東京の土地は、①銀座など関東大震災後の都市計画地域②計画性の弱い木造密集地域③4メートル道路規制ができてからの木造密集地期の周辺④都市計画のニュータウンの4つに分けられる。
空き家820万戸といわれるが、賃貸、新築などが入るので、実質は305万戸で全体の5%。
持ち家は人を土地に固定し、同じ場所で勤勉に働き続けられる人を創出する。
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・日本は人口の91.3%が都市に住む。そのような国で人口減少しているのは日本が世界初。
・中世の都市的性格を有する場所「市、宿、浦、泊、津、境内、門前」
最初は興味深く読んでいたが、第2章都市を動かす人口の波、第3章縮小する都市空間の可能性、第4章都市をたたむための技術は頭のメモリが足りなかったので飛ばし読み。
興味のある第5章都市のたたみかた へ。
事例報告が2件。
1・南武線のどこかの空き家活用。中心を街道が貫く歴史ある街だがスプロール(虫食い)状況。
発端は地域で活動する建築家と都市農地の再生に取り組む市民グループが小さな平屋建ての借家を使って地域で活動する拠点をつくることになり著者に相談に来た。
その借家の調査の過程で近辺に大きな空き家があることがわかったことから。
オーナー退職までの5年間。幹線道路に面する三百坪。
近隣の学生等も巻き込み、皆が使うことができる拠点の企画をつくるワークショップを数度にわたり開催。
建物を中心にそれを使う人たちの社会的なつながりを形成していく取り組みでもあった。
結果的にシェアハウス、コミュニティカフェ、シェアオフィス、工房、イングリッシュガーデンを混在させたプランに。
草むしりや大掃除のワークショップなども。←作業量がわかってよい。
2・東北地方の人口13万人の都市での空き家活用まちづくり計画とランド・バンク事業。
こちらは概念的な説明が多く、読み飛ばした。
第6章災害復興から学ぶも読み飛ばす。
第7章都市をたたむことの先にあるもの
どういう力がたたまれた空間を支えるか。
都市の中でどこでも用を足されないようにするための都市計画という例がわかりやすい。
政府→税で公衆トイレ設置
上記の対策は限られるためコミュニティが発生→ここで用をたすべからず 看板を設置、見回りなど→人口減少するとこういう役割も果たせない→鳥居のマークを用を足してはいけないところに書く
コストが一番小さな鳥居のマークを書くというほうほがたたまれた空間を支える都市計画。
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都市人口が全体の9割を占める国家、日本。いまや少子高齢化が進みスポンジ化の傾向が見られる。
近年は「コンパクトシティ」が声高に叫ばれ、本書でもあるべき姿であることは肯定しつつ短期的な転換は難しいと主張している。
ではどのように都市をシュリンクしていく、「たたむ」べきなのか。
ここでは、大枠の方向性は示しつつ個別の事情にあわせて逐次最適化するという方法論が提示される。
ある種のアジャイル開発的な発想で、5章では実際にその成果の一端も見られる。
「たたむ」ことを悲観的に捉えず、むしろその変化の中で活路を見出す。これからの日本にとって大切なことが織り込まれた一冊。