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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれ
タイトルにある「あの本」とは1965年の映画、「ドクトルジバゴ」の原作(ボリス・パステルナー)のことである、映画の主題歌、らーらのテーマはあまりにも有名、私の脳内ではこの本を読んでいる間、四六時中、あの曲が流れていた。そして、なんと作者の名前もラーラ、本名なのだ(母親がドクトルジバゴのファンだった)、この小説がどこまでフィクションでどこからがノンフィクションなのか、CIAがドクトルジバゴを対ソ戦略で使用しようとしていたことやオリガの過酷な運命などは史実だったようだ、そして当時のCIAが男女同権にはほど遠い世界で、同性愛についても厳しい対応をしていたことも事実だ、ノーマたちのようなタイピストの「どうして男たちばかりが出世していくの?」という不満があの職場には渦巻いていたのだろう
通俗的で深みはない
2025/03/28 14:04
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』はソ連では発表できず西側で流通することになった。この史実をもとに虚実交えた冷戦スパイ小説。内容的には通俗的で深みはない。『ドクトル・ジバゴ』を四だ方がいい。
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★3.5
パステルナークや、パステルナークの著書『ドクトル・ジバゴ』には、そんな物語があったんですねぇ。まぁ、旧ソ連では、国家の理想とは異なる人物や出来事は無かったという事になるので、パステルナークや『ドクトル・ジバゴ』の運命は、そうなっちゃうんですねぇ。
この本の特徴は、旧ソ連サイド、アメリカサイド、それぞれの視点で描かれているところにあると思うんですが、それぞれの章において“わたし”あるいは“わたしたち”が示す人物が、ころころ入れ替わるので、いまの『わたし(あるいは、わたしたち)』が、一体登場人物上の誰の事を指しているのはちょっとわかりにくいです。普通は、そういう小説だと、中身の満足度も低くなるんですが、この作品の場合はちょっと違いました。なんでかな?ちゃんと最後まで読ませる力がありました。とはいえ、読むのにちょっと苦労したので、★は3.5です。
『ドクトル・ジバゴ』は読んだことがないんですが、読んでみようかなぁ。
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読売新聞2022828掲載
朝日新聞20221029掲載 評者: 小澤英実(東京学芸大学教育学部外国語外国文化研究講座准教授,身体論,批評理論,アメリカ文化)
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構成的に面白そうに思ってチャレンジ。ミステリーかと思ってたけどスパイものだったか。もう少しドキドキ感が欲しかった。史実に基づいてるとこは好感持てる。
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冷戦時代に鉄と火ではなく本を武器に戦う諜報部の女性達を描く小説
CIAやMI6と言えど実際には、ジェームズ・ボンドやジェイソン・ボーンのような活動ではなく、デスクワークや交渉がメインになってるわけで
CIAの女性職員達がカフェやレストランでコーヒーやドーナツを頬張りながら、同僚の噂話に花を咲かせるシーンが描かれているのが面白いと思った
高邁な理想を追って国家のために…ではなくあくまで業務
国家の安全を守る人々にも恋や家庭の悩みはあるということ
スパイ小説としてではなく、ある女性の恋や仕事の悩みを追った小説として読んだ方がいいのかもしれない
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あらすじから受け取る印象と、読み終わった印象が違う本だと感じた。文学の力を信じる人たちがいてこその文学だと感じた。ただ、1番驚いたのはこの小説が実際にあった出来事をモデルにしており、「ドクトルジバゴ」が実在する事だった。
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感動した…!どんな不条理にも苦しみつつも強かに立ち向かっていく女性達の姿が心に響いた。解説にも書かれていたようにイレーナ、サリー、オルガだけじゃなくてそれ以外のその時代を生きた全ての人々(特に女性達)の物語だったんだと思った。まさか恋愛要素も入っているとは驚きで、苦しかったけれど、最後のエピローグが良かった。
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冷戦下のアメリカで、ロシア本国では禁書となった「ドクトルジバゴ」を秘密裏にロシア国民に届け、弾圧されている現状を認識させよ、というスパイ活動を描いた作品。本によるスパイ活動、という部分に魅かれたはずが、読み終わって印象に残ったのはスパイ活動より作中の女性の立場の描かれ方。
東のロシアパートと西のアメリカパートが交互に描かれる構成なのですが、自由の国のはずの当時のアメリカで当然のように存在する女性と同性愛者への差別。本当にこの国は言うほど自由なのか?そんな描写がサブテーマのように感じました。
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スパイ小説かと思って手に取ったが、恋愛とスパイ小説だった
諜報活動のドキドキ感というのはないが、
歴史的な事実をフィクションを交えて知るということは意味がある本だと思う
著者も実際に情報解禁されたCIAの文書や当時の文献などを読んで小説の内容を膨らませたという解説があって面白かった
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すごくいい映画を観たあとのような読後感。しばらく静かに余韻を味わいたくて、何もしたくなくなった。
何がそんなによかったのか私には言語化できないが、大矢博子さんの解説が全てを語っている。解説まで含めて必読の一冊。
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一部は事実に基づいているらしい。ドクトルジバゴは長いので小説は読まず映画を鑑賞してみた。最初にみたのはずっと前なので改めて感動。長かった。この小説も長いが、東、西とストーリーテラーが変わるのでまだわかりやすい。もう少しサスペンス色が濃くてもよかったかなと思う。作者のお名前は、あのラーラと全く無関係ではなかった。読書中ずっと頭のなかでラーラのテーマが鳴っていた。50年代の女性たちがとても魅力的に描かれていた。優れた文学に対して情熱を傾ける人々に敬服。
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CIAが対ソ連に対し、プロバガンダとして「ドクトル・ジバゴ」を世に送り出す。その一連の動きと、「ドクトル・ジバゴ」の作者ボリス・パステルナークを取り巻く愛人と家族の話とでも言おうか。
実際、スパイというのは静かな行動をするもの。「ドクトル・ジバゴ」の原本や翻訳本が、誰かに燃やされるわけでも強奪されるわけでもなく、静かに粛々と計画されて出版にこぎつける。
タイピストたちは傍観者、もしくは見届け人か。決して表には出ないが、沈黙を守れる高度な教育を受けた女性たち。
もっと彼女たちの活躍が見られると思ったが、ちょっと肩透かしだった。
彼女たちはこれらの作戦をどこまで知っていたのだろうか。または「知らないでいる」ということを選んだようにも思えた。彼らの周囲で起こった恋愛事も口を出すことはせず、推測は推測のままで、でも決して敵ではなかったこと。その立場を貫くことが、当時の処世術だったのかも。
「ドクトル・ジバゴ」は読んだことはなく、このメロドラマがそんな役割を果たしていたとは驚き。冷戦時代の水面下で、宇宙開発に1歩も2歩も遅れたアメリカが、言葉の力と思想を武器にしたことは面白かった。
ただこれに参加している男たちは、そんな高尚な思いがあるようには見えないけど。。。たぶん、そういうことを考えた一握り(もしくは一人かも)の人物がこの小説には出てこなかったのだろう。
ソ連側のボリス・パステルナークの話も興味深かった。彼がもっと若かったら違った結末があったかもしれないが、信念を揺さぶられ、民衆に振り回され、臆病になってしまったことは、結果的に幸いだったかもしれない。
それにしても愛人オリガはたくましい。強制収容所での生活はあまりにも悲惨だったのに、それを乗り越え、最後までボリス・パステルナークを裏切らないし諦めない。
実際の話でも、彼についての本も出しているようだし、ちょっとそちらの方に興味がわいてしまった。