人の心を操ること
2023/04/01 19:46
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生女子と高校生男子(美形、ここ大切)。最初はひったくり犯を探すことから始まります。疑わしい人物は割と早めに分かりますが、その人物は姿を消してしまいます。ここから複雑化。
大学生たちの裏バイト、犯罪の名簿作り、過去の詐欺事件とその主犯の影、ひったくり被害の届け出を固辞する被害者の秘密、そして高校生男子のの本当の目的。
諸悪の根源を叩き潰すような結末ではありませんが、錬の人を操る才能と行動力、つらい過去から立ち上がろうと努力する女性たちが織り成すスリリングな展開で爽快でした。
2022年の最高傑作
2022/12/01 13:41
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投稿者:TY310 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今迄、様々な本を読んできましたが、ストーリーの展開、衝撃度共に2022年に私が読んだ中では最高傑作でした。
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知人の老女がひったくりに合うのを目撃した春風は、その場に居合わせた男子高校生と共に犯人を追うが、取り逃してしまう。犯人が落としたと思われるストラップに心当たりがあった春風は、その男子高校生の錬と共に犯人探しをする事になり…
思ってたよりシリアスなストーリーでした。
そして、それぞれに心に傷を持つ登場人物達。張り巡らされた伏線の回収も納得でした。
ミスリードに見事に騙されましたが、少しだけ救いのあるラストにホッとしています。
春風と錬の縁もこれからも続きそうで、アフターストーリーが読みたいです。
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親ガチャ、ヤングケアラー、貧困と格差、
いじめ、レイプ、誘拐、オレオレ詐欺…
いろいろな問題が散りばめられすぎて
一番言いたいことがぼやけてしまっている。
話の肝となっていたはずの登場人物が
結局、曖昧なまま終わっているし
その人物に対する
主人公と行動を共にする少年の
執念のような強い思いはいったいどこへ?
そして、主人公の女子大生が
あんまり真面目で真っ直ぐで正しすぎて
読むのがちょっと疲れた…
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一気読みした。
ひったくり犯を捕まえようとしただけのことだったのに、そこからどんどん話が広がっていく。
高校生なのにどこか世間慣れして確かな推理力を持錬が魅力的。寄せばいいのに謎を解こうと突き進む春風にはハラハラさせられるが、応援したくなるキャラクターである。
春風、錬のパートから一転して描かれる理緒の話面白い。いや、辛い状況なので面白いというのははばかられるのだが。
絶望的な状況で頼る人もいなかったら、少しでも手を差し伸べてくれる人を無条件で信用してしまうだろう。それが悪人であっても。理緒のことを偉い偉いと褒めてくれる大人は沢山いるけれど、実際に生活を助けてくれる大人はいないのだから。
ここのとこ詐欺を扱った本を立て続けに読んでいたせいで、それらしい話はもうお腹いっぱいと思っていたが、そんなことはなかった。
この物語全体に最後までうまく騙されていた気分だ(褒めてる)。カガヤの正体しかり錬の目的しかり。
人を騙すことがいけないことなのは分かっている。しかし、それがどうしても困り果てての上での行為だったら?大切な家族を守るためだったら?ポケットに護身用の武器を忍ばせつつ普通に道を歩くのも、人を騙していることになるのでは?
この物語に出てくる「騙す側」の人達を、どうにも嫌いと断定できない。
錬が悪い方向へ成長しないようにと思うものの、そうではない未来も同時に思い浮かべてしまう。
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物語の構成に唸りました。うーん、すごい。
そして、主人公の生きる姿勢がとても好感が持てて、こちらも居住まいを正すような、清らかな、まっすぐな、そういう気持ちになりました。
謎から謎へ、どんどん、あれ?おや?まあ?と展開していくけれど、いつも丁寧に書かれていて、細部まで、しんみりとしました。
おススメです!!
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年寄りを狙ったひったくり。犯人を追う女子大生と男子高校生。
でもその事件はこの物語の目次ですらなかったのだ。
ひとつの犯罪が及ぼす影響。事件が終わっても続く、かかわった人たちの人生。
人が人を騙すこと、人が人に騙される事。
なぜ騙すのか、なぜ騙されるのか。信じたいと思う人と、騙すことに魅入られていく人。人間の愚かさと脆さが真実を覆い隠していく。
読み進むたび、変わる景色。少しずつずれていく人の印象。それでも人は人を信じてまっすぐ生きていくことはできるのだろうか。
何人もの人の人生が「罪」というものにゆがめられていく。それでもなお前に進もうとするその強さを阿部暁子は切り取っていく。
闇に飲み込まれないように、守りたい、失くしたくない誰かのために、前に進んでいくのだ、私たちも、きっと。
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ひったくり犯を捕まえる男女2人の軽い探偵ごっこ話という印象で読み進め、章が進む毎に息をもつかせぬ展開と、胸が苦しくなるような辛い思いをする登場人物のほんの少しのきっかけで変わる善と悪の行動その一つ一つが絡まり合い傷付け合ったり、助けあったり。人間の多面性と脆さをつきつけられた。
いろんな感情を揺さぶられる凄く深い物語でした。
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ひったくりを目撃した大学生の春風(はるか)と高校生の錬。犯人が落としていった物がきっかけで二人は事件を調べ始める。ひったくりの背後にあるものを知っていくうちにどんどん危険な方へ進んでいく調査。思いがけない展開と春風や錬それぞれの家族やその背景にあるもの。それぞれが抱えてるもの、犯罪に関わろうとするもの、止めようとするもの。簡単には答えを出せなくなってしまうような苦しさがあって読み応えがある。前作のスポーツ小説『パラ・スター』とは全然違う作品で驚くけれど今年読んだ作の中でも上位にくる面白さ。
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はじめ、少女マンガ読んでるみたいだった。登場人物の名前とか、セリフとか。
人間にはいろんな一面があって、どれも本当で、どれも嘘。だから、自分の信じたいものを見るしか無い。
タイトル、たぶん、作中で2回しか出てこないけど大丈夫かなぁ。
ドラマ化するなら、練は鈴鹿央士とか柳楽優弥とかのイメージ(おじさんだけど)春風は…井上真央。(年違う)大学生くらいの俳優、わからんわ。
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初めて読む作家さんでしたが、最初から引き込まれて最後まで読み終えました。
今現実に多々起きている特殊詐欺。それに関わってしまうそれぞれの事情が今の世の中の闇の部分でもあり、それに対する救済もあるという事を知らずにいる事の問題。人の表の顔と裏の顔…と、色々感じる事の多い本でした。
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ある日、ひったくり現場に偶然居合わせた女子大生と男子高校生。独自に犯人探しを始めるが、どんどん思わぬ方向に進んでいき、現在社会問題にもなっている特殊詐欺事件にまで繋がっていく。
最初から色んな伏線が張られているが、なかなか巧妙で、種明かしされる度にそうだったのかーという感じで楽しめた。特にカガヤの正体は最後まで見破れなかった。
特殊詐欺の手口についてよく調べてあり、こんなにも巧妙で、まるで本当の仕事のようになされていることに驚きつつも呆れる。その能力と労力をもっと真っ当な方向に使えばいいのにと。ただ、理緒のように根が真面目で努力家な子であっても、不運が重なり、そういったことに手を染めざるを得ない人たちがいるというのもまた事実だろう。誰でも一歩間違えれば、そういったことになってしまうのかもしれない現代社会の闇。
そしてこの小説を通して一番強く感じたのは、平気で人を騙したり嘘をつくことができる人間って本当に怖いなということ。彼は闇堕ちせずに終わったが、すごくナチュラルに演じる?嘘をつけることに心の闇を感じる。嘘をつくって苦しいはずなんだけどな。正直に生きるのが一番と強く感じた。嘘をつかずに生きられるということは、実はとても幸運なことなのかもしれない。
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あなたという存在は知っているのに心の内は分からない。自分というものの確かさが分からない。そんな、人の多面性がえがかれた作品でした。
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いやー面白かった。
一気に読んでしまった。予想を超えた展開でなるほど、そこまで計算だったのかと唸ってしまった。
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ページターナー本。一気読み必須。
ひったくりにあったおばあさんを助けたことが、思いもよらない展開に発展していく、その裏切られ感がなかなかよい。次々と展開する第二の顔、第三の顔に翻弄させられるのもまた楽しい。
それぞれに深い傷を負った若者たちが、トラブルを解決する中で自分を成長させていく。でもそんなに簡単に傷は癒えないわけで、続編がありそうな予感。