設定はかなり面白いのだが
2023/01/15 09:26
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投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
天使が降臨により「2人殺せば地獄に落とされる世界」を舞台としたミステリー。この天使ルールにより、原則連続殺人は起きなくなったはずが、孤島のクローズドサークルにてまさかの連続殺人が発生。「1人までの殺人ならセーフ」「殺人のカウントに、殺意の有無は問わない(実行犯が地獄に落ちる)」等特殊設定を活かしたストーリーは面白いのですが、トリック等は案外肩透かしで、やや消化不良感が残りました。
殺人じゃなくても
2023/08/20 09:57
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
設定に甘さがあるかなあ。
探偵って、殺人事件が起こらないと活躍できないの?
殺意事件を未然に防ぐことはできないの?
地獄に引きずり込まれるって絶対なの?
生きてる人が勝手に思ってるだけじゃないの?
天使が降臨してもしなくても
2023/05/07 12:57
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎の天使が降臨した世界。一人の殺人は見逃され、二人以上殺すと天使の裁きを受けるという設定に、こんなもの面白いのかと最初は思いましたが、意外に面白かったです。そういう意図があったかはわかりませんが、殺人事件の判決で被害者が一人だから極刑にせざるをえないとはいえないとか言って無期懲役になったりする理不尽さを表しているようにも感じました。天使の描写の薄気味悪さ、神は役立たずのク〇野郎だという言葉などが印象に残りました。天使が降臨してもしなくてもこの世界はやりきれないほど理不尽で、それでも正義を信じたいという気持ちになります。
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうちょっと、何かが足りないって感じでした。面白くないわけじゃないのに、満足はできていない、赤城とかが活躍する話にしたほうが好みだったかもしれない。
犯人の話とかは結構好きでしたが。
ところで、二人殺したら地獄、堕胎手術とかはやっぱり天使が見逃してくれる対象になるんですかね…?
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天使が存在する世界で起きる孤島の連続殺人を描いたミステリー。
天使というファンタジーさ前回のストーリーなのでにもかかわらず、キチンとロジックがしっかりしていてとても面白かった。
二人殺せば即地獄行きというルールが連続殺人の謎を解く上でのスパイスになっているのがとても面白かったです。天使という存在を利用し闇で私腹を肥やし続けなおかつ裁かれない事へのやるせなさ、愛するものを失った悲しさがひしひしと伝わってきてとても面白かったです。そこからの探偵・青島がめげずに再び立ち上がっていくところや最後の島を離れる場面での2体の天使の描写が切なく、でも光が差し込んだようなラストがとても大好きです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
青島焦:宮野真守
常木王凱:中田譲治
政崎來久:子安武人
天澤斉:置鮎龍太郎
報島司:梶裕貴
争場雪杉:安元洋貴
宇和島彼方:神谷浩史
伏見弐子:日笠陽子
倉早千寿紗:雨宮天
大槻徹:小林千晃
小間井稔:山路和弘
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『二人殺せば地獄に引きずり込まれる』という制約のある世界観の中で、いかにして連続殺人は行われたのか?という単なる犯人当てミステリでは済まない物語である上に、『天使が裁くのならば探偵は必要なのか?』を始終問われ揺さぶられる感情の熱さと、天使の裁きの抜け穴を探す悪人はのうのうと生き延び、それを許せない善人の方はあっけなく死んでゆくという冷酷さの両方を浴びせられ、時々手を止めて咀嚼しなければいけないような濃厚な一冊だった。ただ、ラスト、謎はすっかり解き明かされ、前向きな雰囲気で締めてくれたところは美しかった。
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2人殺したら地獄に落ちる世界で連続殺人は可能か、という設定から殺人のリレーが行われるのかなぁと予想しながら読んでいたため衝撃の真実というタイプではなかったが、天澤がどのように殺され、なぜ境界線の内側で安全に生きていたはずの争場が地獄に落ちたのか、という最後の辺りは真相が気になって一気に読んでしまった。
特殊設定ミステリとして、どのように連続殺人を行うのかという謎解き要素も面白かったが、天国はあるのか、どうして正しく生きている人間に救いの手は差し伸べられないのか、といった葛藤や信仰の描き方がよかった。
この物語はあとがきにあった「美徳は必ずしも報われるわけではないというものだ——悪い出来事は善人の身にもふりかかる」(『あなたの人生の物語』デッド・チャン著 ハヤカワ文庫SF)という引用に全てが集約されている。天使は気まぐれで行動に意味はなく、善悪などない。ただルールに則り行動する。そしてそのルールは決して善人を救うためのものではない。境界線は争いを減らすが、一方で境界線を超えたものには何をしてもよいという消極的で暴力的なルールを生んだ、という言葉は現実にも当てはまるだろう。
また探偵の役割にも重点が置かれている。元々探偵に人を裁く権利はない。そしてこの世界では2人以上殺したら天使により地獄に送られるため1人殺した後の人間は基本2人目を殺すことはしない。つまり殺人犯を捕まえても新たな事件を防ぐことにはならない。しかもこのルールは裏を返せば神は1人殺すことを許容しているとも考えられる。そんな世界で犯人を見つけるだけの探偵は一体何の意味があるのか。そこに繰り返し登場する正義と探偵に救われた人間。彼らは殺人犯を突き止めることに意味がなくなった世界で探偵が明らかにした事実は誰かを救ったのだと言う。多くのミステリの場合隠された真実を暴くことは幸せだけを運んではこないし、この作品でもそうであったが、それでも探偵の存在意義とは正義の味方であることだとするのは、新しい探偵の在り方だと思った。
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一言でいうと「期待はずれ」です。
本格ミステリ、特にクローズドサークルものや魅力的な探偵が登場する小説が大好きなのでめちゃくちゃ楽しみにして読みましたが、残念ながらそれを超えてはくれませんでした。
モヤモヤする点が多くずっと引っかかりながら読了。
良質な本格ミステリをたくさん嗜んできた方はこの作品を楽しめないかもしれません。
【良かった点】
・真犯人の使ったトリック。2人以上殺せば地獄に落ちることや天使の存在をしっかり活かせていて唸らされた。
【モヤモヤした点】
・2人以上殺せば地獄に落ちるこの世界では、連続殺人が起こりずらく探偵の存在が不要になったとされている。→そもそも1つでも殺人事件が起きたら、それを解決するのも探偵じゃないか?“連続殺人”が起きない世界で探偵が不要っていう前提が理解できなかった。
・主人公である青岸の「探偵」としての素質が伝わってこない。今まで解決してきた事件はいくつか紹介されるが、“どう”解決したのかはあまり分からない。探偵というワードは何度も本文に出てくる割に、そのキャラクターもあまり魅力的でなかった。
・登場人物の関係性にも感情移入できない。青岸、大槻、伏見、早倉など過去にも関係性があったらしいが、それを納得できるほどのストーリーが伝わってこない。
・全体的に文書が稚拙。カッコつけた言い回しも寒く感じる。
・1番盛り上がるはずのラストもありきたり。
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天使と不条理と謎と探偵
斜線堂作品をすべて網羅しているわけではないのだけれど、個人的にこの人の作品の印象として「痒いところに手が届かない」という感覚があった。今まで読んだ中だと「詐欺師は天使の顔をして」が一番好みだったのだが、一方ですこしだけ物足りなく、その当時読んだデビュー作や「恋に至る病」にも似た感覚を覚えたので、ひたすら面白そうな設定で魅力的なキャラなのに、ちょっとだけ惜しい人だなぁと思っていたのです(あくまで個人の感想ですが)。
が、今作でその印象は完全に上書きされました。とにかく最初から最後までノンストップでおもしろい!
事前に提示されていた牧師の事件だったりで恐らく知らず他人に手を下させる方法で殺人を犯すのだろうな〜という予想はぼんやりしていたものの、天使の性質を用いたトリックにはやられた〜〜!!と思わずニコニコしてしまいました。個人的に特殊な設定や世界観とミステリーを掛け合わせた作品に関しては、サクラダリセットシリーズの河野裕さんが最高峰だと思っていたのですが、他にも最高の作家さんがいるのはうれしくも恐ろしいですね……斜線堂さんも河野さんも筆が速くてどんどん新作出るんだもの……。
また、エンタメとしてもとても面白い一方で、日本人としてはどうも考える機会の少ない(とは、わたしが不信心だからかも…)神さまについて、よく考えさせられました。神は救いでもあり、拠り所だからこそ時に絶望でもあるし、だけどやるせない怒りや悲しみを遠慮なくぶつけられる存在でもあるのかもなぁ。
それはそれとして、直近で読んだ本が米澤穂信さんの「栞と嘘の季節」だったので、異なる探偵観を味わえたのも楽しかったな。〈小市民〉シリーズとか読んでても思うことなんですが、米澤さんは名探偵を正義とは見ていない(秘密を暴く謎解きに対してマイナスな描き方をしているシーンを度々見るので)気がする一方で、斜線堂さんの今作でははっきりと正義という言葉が何度も使われていることが印象的でした。
これだから読書ってやめられないってばよ…!!
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「特殊設定」ミステリは個人的に好きなタイプなのだなと思います。
一人ではなく二人殺すとというのが、この世界における神の残酷な面だと感じました。
「境界線が出来たことで、互いにそれを守るようになり、争いが減った。その代わり、境界線を踏み越えた人間はどんな目に遭わせてもいいという、消極的で暴力的なルールも出来上がった。」
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特殊設定ミステリーをなるものを初めて読みましたが、すんなりと世界に入っていけたのは分かりやすく描写されてたためと思います。犯人に意外性はあまり感じませんでしたが面白かったです。
この世界なりのミステリーをまだ何作か読んでみたいと思いました。
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斜線堂有紀さんの作品は相変わらず設定が面白い。
ある時から地上に降臨し、2名以上を殺した人を地獄に落とす「天使」という存在。
天使が降臨してから連続殺人という概念は潰えた。
その代わり、どうせ2人殺せば地獄に行くのであれば大勢巻き込んでやろうという巻き込み自殺や、死刑制度の廃止(執行官が地獄落ちになるため)による暴力行為が増加した。
設定は天使が集う島。
集められたのは天使にゆかりのある人々。
二人以上殺したら地獄落ちになる世界で起きる連続殺人。
天使が罪を罰する世界においての探偵の存在価値。
設定は面白かったし、殺すだけじゃ足りないから地獄に落としてやるという概念も面白かった。
でもちょーーっと謎解きという面では淡白に感じた。
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2人以上を殺したものは、”天使”によって即座に地獄に引きずり込まれるようになった世界での話。
過去の出来事によって失意に沈む探偵の青岸は、「天国が存在するか知りたくはないか」という大富豪の誘いにより、天使が集まる常世島を訪れる。
そこで青岸が遭遇したのは、起こるはずのない連続殺人事件だった。
人知を超えた存在によって不条理な世界へと作り替えられてしまった世界で起こる、起こるはずのない連続殺人事件を描いた特殊設定ミステリ。
天使という異形の存在が、青岸のバックボーンや「連続殺人事件は起きないはず」という舞台設定だけの為ではないのが嬉しい。
2人以上を殺したものは即座に地獄へ落ちる。という事は、逆説的に一人を殺す行為は神に許されているという事になるのか。地獄が存在するという事は、天国は存在するのか。天国が存在するとするならば、誰も殺さなかった人間は、あるいは一人を殺した人間は天国へ行けるのか。悪を裁く神は、天使は、善人を救ってはくれないのか。
ミステリ的な結末だけではなく、哲学的・宗教的な考えに浸れるところも魅力です。
過去の悲惨な出来事から絶望し、我知らず救いを求め続ける青岸も人間的で良かったです。途中に挟まれる青岸の過去の話が、曇った空の下異形の天使が集まる常世島にいる現在と対照的にキラキラ輝いて希望に満ちていて、それが悲しくも美しい。
惨劇は、どのような善人にも平等に訪れる。現実でも、作中でも。けれど、その善性に救われた人はいて、正義を、善をまた後世に繋いでくれるかもしれない。ささやかだけど、不条理な世界を少しずつ変えていく方法と言えるかもしれません。
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2人以上殺した者は天使によって地獄へ連れていかれる。
それを目の前で経験した探偵の青岸は、天国とは何かということを考え続けている。
そんな時に天使マニアの常木に彼の所有する島へと招待された青岸。そこには天国研究家の天澤など天国にはほど多い人物が集められていた。
そこで始まる連続殺人。2人殺したら天使に地獄へ落とされるはずなのに、どうして連続殺人が起っているのか?
青岸は調査をすることになる。
まず、天使がとっても不気味ですね。そして、理不尽。
あまり、その辺のことを語ると問題があるので、一旦、横へ置かせていただきます。
個人的に今年はミステリが豊作だったので、うれしいです。こちらの作品も楽しませていただきました。
どんな状況でもミステリはありうるんだなぁ、この設定で作りあげた世界感は感動でした。
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クローズドサークルに連続殺人が不可の条件。
天使自体をそれだけに使うんじゃなくて、トリックにも使うのが面白い。
読者にも解決できるようにちゃんと証拠も端々に記されていてとてもフェアな推理物だった。
私はどちらかと言えば八百万の神やお天道様をなんとなく信じてる位のうっすい信仰心しか持ち合わせていないけれど、この世界のような絶対的な存在が降ってきた時、どうするのだろうと考えてしまった。
2人以上殺した時しか発現しない天使の力をどう捉えたらいいんだろう。
ファンタジー設定だけど、推理物としてはロジカルでしっかりミステリーとして楽しめる。その設定故に天国やら神様やらを考えることにもなり何重にも楽しめた。
皆で神や天使に祈っても、ラストで犯人が救われないところがなんともいえない感情になる。