村上朝日堂(新潮文庫)
ビールと豆腐と引越しとヤクルト・スワローズが好きで、蟻ととかげと毛虫とフリオ・イグレシアスが嫌いで、あるときはムーミン・パパに、またあるときはロンメル将軍に思いを馳せる。...
村上朝日堂(新潮文庫)
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商品説明
ビールと豆腐と引越しとヤクルト・スワローズが好きで、蟻ととかげと毛虫とフリオ・イグレシアスが嫌いで、あるときはムーミン・パパに、またあるときはロンメル将軍に思いを馳せる。そんな「村上春樹ワールド」を、ご存じ安西水丸画伯のイラストが彩ります。巻末には文・安西、画・村上と立場を替えた「逆転コラム」付き。これ一冊であなたも春樹&水丸ファミリーの仲間入り!?
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ネットも携帯も無かった時代に
2006/10/29 11:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹の初めてのエッセー集。このエッセーは学徒援護会の「アルバイトニュース」に連載されていた。その事実は 1980年代の心温まる歴史である。
当時の村上春樹は「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」といった スタイリッシュな都会小説で 一部の読者に人気を有していたカルトな作家であった。軽いながらも 目を凝らすと何か底に重いものが見えるかのようなそんな作家だった。バブルを迎える前のまだ穏やかだった時代に快い小説だった。
そんな村上がさらりと書いたのが このエッセーである。当時一読して驚嘆したのを覚えている。読みやすく ユーモアとエスプリが効いていて かつ どこか優しい眼差しを思わせるエッセー。今読んでいても斬新である。その後の村上は 小説、翻訳等で大ブレークした事は既に20世紀末の「歴史」だ。その間に彼が時として書いてきたエッセーも彼の重要な仕事であるし 何より 我々20年来の読者としては 村上と雑談をしているような居心地のよさがある。
それにしても1980年代の大学生は この本を持って喫茶店に行って ビールを飲むことが好きだった。インターネットも 携帯電話も無かった。あのスローな時代は 今でも 懐かしい。
気持ちが軽くなります
2023/06/27 17:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
この辺りの力の抜けた空気感のエッセイは、最近、村上さんは書かないようですが。そういえば、村上ラヂオのおしゃべりはわりとこんな感じで話されていますよね。
面白い
2016/02/27 14:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:onew - この投稿者のレビュー一覧を見る
くすくす笑えて頭を空っぽにして読めるのが良い。エッセイの「僕の出会った有名人 吉行淳之介氏」はちょうど吉行氏の本を読んだところだったので、特に興味深く読んだ。
読み返したくなる文章
2002/07/04 10:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上氏の小説は読まないがエッセイは読む、という知人が居る。その気持ちが長らく理解できなかった。小説の特異な世界とは随分と異なり、エッセイには現実的な印象を持っていた。それに、村上氏の生活感を知りたくないという思いもあった。村上氏のエッセイを楽しんで読めるようになったのは、私自身の入院が契機。朝日堂シリーズをまとめて身近に置いておいたことが決定的となった。日常を書く村上氏と、小説を書く村上氏は、私の中で別々の人物になった。今ではどちらも同じように楽しめる。ノンフィクションの仕事にはまだ入り込めないが…。
私にとってエッセイというものは、読んでもその場限りの「共感」もしくは「拒絶」で終わるものが多いが、村上氏の主張は長い間私の中に残り、ふとヤクルトスワローズやなめくじの大行進に思いを馳せてしまうことがある。確固たる意見の表明という感じがしないからだろうか、自然に「村上氏はそんなこと考えてるんだな」という程度の受け止め方をする。そして、その軽妙洒脱な文体にまた触れたくなり、再読してしまうのだ。安西水丸氏のイラストも、村上氏の話題に特徴を持たせており、魅了される。
朝日堂シリーズは随分と出ているが、どれも手放し難い内容。ずっと読み続けると思うし、書き続けて欲しい。
村上エッセイの古典的名作
2001/06/25 23:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:haruka - この投稿者のレビュー一覧を見る
『村上ラヂオ』など、最近でも独特なエッセイを書きつづけている村上春樹さんによるエッセイの「古典」とでも呼べる本です。
エッセイというのは、多かれ少なかれ書かれた時代の文脈の影響を多いに受けるといいます。時代の影響を受けるということは、とりもなおさず「古くて読む気がしない」というエッセイも出てくるということです。
本書は1984年に出版されて、すでに15年以上経過していますが、いまでも読むと相槌をうってしまったり、思わず笑ったりできるエッセイ集です。
普通の人間だったら絶対に気づかない、というトピックが満載です。一部を紹介すると、「ヤクザについて」、「電車とその切符」、「聖バレンタイン・デーの切り干し大根」など、目次のタイトルを見るだけで、思わず読んでみたくなると思いませんか?
また、エッセイごとに挿入されている安西水丸さんのイラストと春樹さんの文章とが絶妙にマッチしています。複数回の読書に耐えうる、私の愛読書です。
ビジネス書をよむなら村上春樹
2001/04/12 23:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おかだK - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹が稀代のエッセィストであることは向井万起男(宇宙飛行士の夫ですよ)が指摘していることであるが,この書評では村上春樹のエッセイはビジネスマン必携の書である,という点を強調したい.つまり,下手なビジネス書を読むぐらいだったら村上春樹を読んだほうがマシなのだ。
まず,本人にビジネス経験がある。村上春樹が学生時代から翻訳事務書をやっていたこと,あるいはその後喫茶店を開いていたこと.今風にいえば学生で起業し,そのご多角化経営に成功した、となるだろう。殆どのビジネス書が現場経験のないMBAだのコンサルタントだのに書かれているのに比べれば,彼の経験からくる言葉はよっぽど重い。
もう一つ.彼は文壇(作家業界)では特殊な存在である。メディア,パーティに出ない。いわば一匹狼である。最近のビジネス書を読むと「スキルを持って一匹狼たれ」といった論調であるが,一匹狼となり自分一人の力で業界を渡っていくにはどれだけの精神的なタフさが必要であるか,というのがよくわかる。
もちろん,エッセイには彼特有のゆったりした時間の流れを感じさせる文章も含まれているので,疲れた頭にはピッタリだ。ビジネスマン必携の書として進めたい。