- 販売開始日: 2022/12/22
- 出版社: 講談社
- ISBN:978-4-06-530495-2
黒い海 船は突然、深海へ消えた
著者 伊澤 理江
その船は突然、深海へ消えた。沈みようがない状況で――。本書は実話であり、同時にミステリーでもある。2008年、太平洋上で碇泊中の中型漁船が突如として沈没、17名もの犠牲者...
黒い海 船は突然、深海へ消えた
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商品説明
その船は突然、深海へ消えた。
沈みようがない状況で――。
本書は実話であり、同時にミステリーでもある。
2008年、太平洋上で碇泊中の中型漁船が突如として沈没、17名もの犠牲者を出した。
波は高かったものの、さほど荒れていたわけでもなく、
碇泊にもっとも適したパラアンカーを使っていた。
なにより、事故の寸前まで漁船員たちに危機感はなく、彼らは束の間の休息を楽しんでいた。
周辺には僚船が複数いたにもかかわらず、この船――第58寿和丸――だけが転覆し、沈んだのだった。
生存者の証言によれば、
船から投げ出された彼らは、船から流出したと思われる油まみれの海を無我夢中で泳ぎ、九死に一生を得た。
ところが、事故から3年もたって公表された調査報告書では、船から漏れ出たとされる油はごく少量とされ、
船員の杜撰な管理と当日偶然に発生した「大波」とによって船は転覆・沈没したと決めつけられたのだった。
「二度の衝撃を感じた」という生存者たちの証言も考慮されることはなく、
5000メートル以上の深海に沈んだ船の調査も早々に実現への道が閉ざされた。
こうして、真相究明を求める残された関係者の期待も空しく、事件は「未解決」のまま時が流れた。
なぜ、沈みようがない状況下で悲劇は起こったのか。
調査報告書はなぜ、生存者の声を無視した形で公表されたのか。
ふとしたことから、この忘れ去られた事件について知った、
一人のジャーナリストが、ゆっくり時間をかけて調べていくうちに、
「点」と「点」が、少しずつつながっていく。
そして、事件の全体像が少しずつ明らかになっていく。
彼女が描く「驚愕の真相」とは、はたして・・・・・・。
目次
- 1 転覆
- 2 救助
- 3 不帰の17人
- 4 原因不明
- 5 事故調査
- 6 遺族
- 7 報告書
- 8 解けぬ謎
- 9 黒い海
- 10 潜水艦の男
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不合理を理性でとらえるから理不尽なのか
2023/05/31 14:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年に起きた海難事故について調査をし、国が提示した報告書に疑義を提示したルポルタージュ。犬吠埼沖合で、突然沈没し4名死亡17名行方不明という犠牲者を出した漁船沈没事故は、私の記憶になかった。読み進めば、2001年の漁業実習船えひめ丸の潜水艦との衝突事故を思い浮かべる。本題となる漁船の事故は、事故調査委員会の残した事故原因は、波という自然災害としているが、潜水艦衝突事故の可能性が高いことがわかる。明確な結論がでないまま放置すれば、歴史の中に埋もれてしまうからこそ、本書の存在価値がある。理不尽な世の中。
最近読んだノンフィクションの中で、指折りの面白さ!
2024/10/07 17:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年6月23日、千葉県銚子沖の太平洋で底曳網漁船第58寿和丸(全長50m弱、135トンの遠洋漁船)が、ほぼ凪と言ってよい状況下で沈没、17名が死亡(行方不明含む)、3名が救助されるという海難事故が発生しました。生存者からは「2度にわたる右前方からの”ドスッ”、”バキバキ”という音と衝撃(この”2度”という点が後に非常に重要になります)」、「衝撃後数分で沈没」、「投げ出された海は重油で真っ黒。救助された時は全身油まみれ(相当多量の重油が漏れ出したことになるのですが、これも非常に重要なカギとなります)」等の証言が。
通常は事故の1年以内に公表される運輸安全委員会の事故調査報告書はなぜか3年も公表が遅れ、その内容は「事故原因は”波”。漏れ出した油は20数リットル」という生存者の証言をほとんど無視した内容で、関係者曰く「あり得ない状況を組み合わせることで、どうやったら波で転覆させられるかを考えたような内容」という内容です。公表のタイミングも東日本大震災直後という不可解なものでした。生存者の一人は事故数か月後、海上保安部の職員と偶然同席した居酒屋で「あの事故の事はかん口令が敷かれている」という話を耳にします。これだけの事実だけでも国が”何か隠している”という匂いがプンプンしてきます。しかし真相に迫るに従い、浮かんできたのは国が何かを隠蔽している、どころの話ではなかったのです…。
波、クジラなどの生物との衝突、その他多くの可能性を専門家への取材を基に検証し、最後にたどり着いたのは「潜水艦との衝突」。2001年ハワイ沖でアメリカ原潜「グリーンヴィル」に衝突された「えひめ丸」の事故状況の資料を目にし、あまりに本事案に酷似している事に驚く著者。日本の近海での潜水艦との衝突事故というなら、その潜水艦はどこの国の所属か?当然疑うのは自衛隊の潜水艦です。しかし、事故当時の元海上自衛隊潜水艦隊司令官の証言はその可能性はまずないと断言。なぜなら本事案の4か月前、イージス艦「あたご」が釣り船と衝突し2名の犠牲者が出る事故が起こっており、当時の状況から事故の隠蔽は不可能(乗員全員にかん口令を敷き、事故を起こした艦を密かに修理するまでを秘匿するのは実質不可能)だからというもの。そして元司令官が語る日本近海における各国の潜水艦の活動状況は、我々の想像の範囲を大きく越えるものでした。そこで多くの状況証拠から最も可能性の高い国の名を挙げるのですが、その国名は…。
謎の海難事故の真相を追求する過程で、船舶工学、海洋汚染、海難事故、そして潜水艦運用の各エキスパートに次々と取材を敢行し、そして多くの可能性から選択肢を絞っていく過程はノンフィクションを通り越してサスペンスを読んでいる感じでした。ここ数年で読んだノンフィクションの中でも最高の部類だと感じました。期待を裏切らない1冊、是非読んでみてください。
最高の内容
2024/04/12 12:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
事故のドキュメンタリーは初めて読みましたが、とても興味深い内容でした。亡くなられた方々へのご冥福と真相が究明される事を祈ります。
事実を知ることの大切さを知った貴重な本
2023/10/25 10:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:再び本の虜に - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞の宣伝に引き寄せられた本は初体験。ノンフィクション作品も読んだことがなくて刻々と淡々と綴られる内容に時間を忘れさせられた本です。以後、新聞に関連記事が上がると目を通すようになりました。
えひめ丸?
2024/05/11 23:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
あて逃げなら、まっさきに思い浮かぶのがえひめ丸事件です。生存者は、油まみれの海を泳ぎ、なんとか命を…。しかし、3年後に公表された調査報告書では、船から漏れ出たとされる油はごく少量と。むしろ、船員のせいだとか、大波だとか…?この決めつけに挑戦!!
渾身のルポルタージュ
2023/07/31 07:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
恥ずかしながらこの事故の事は記憶にありませんでした。
えひめ丸の事は大々的に報道されたのに使者17名の大事故にも関わらず、報道は大きくなかったように思います。
波で沈没したにしては不可解な事が多すぎる事故
著者は大変な労力と時間をかけて取材を重ねる
渾身の作品です
デジャヴな本?
2023/09/18 12:24
3人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tad - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みはじめる前からこれはきっと潜水艦の当て逃げを追求しているんだろうなあとかきっとハワイ沖の米潜水艦とえひめ丸の事故の話もとりあげてるんだろうなと読んでいたらやっぱりそうだった。
これって海と空の違いはあるけど日航機墜落事故追求の二番煎じのような本に見えてきます。終わりかたもこの第1作がそこそこビジネスになったら続編が出るんだろうなとの思わせぶり。
絶賛されてる読者の方も多いですが、なんか同じことを何度も何度も繰り返し記述されていてくどいし、書き始めの動機がなんかネタないかなあ的なところからスタートしているような気がして、ちょっとなあと思います。
でもさんざんアメリカ映画でもとりあげてますけど、やっぱ潜水艦はヤバいよなと再認識させてくれる本ではあります、この取り上げた事故とは関係なしに。
最近読んだノンフィクションの中で、指折りの面白さ!
2024/07/01 17:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年6月23日、千葉県銚子沖の太平洋で底曳網漁船第58寿和丸(全長50m弱、135トンの遠洋漁船)が、ほぼ凪と言ってよい状況下で沈没、17名が死亡(行方不明含む)、3名が救助されるという海難事故が発生しました。生存者からは「2度にわたる右前方からの”ドスッ”、”バキバキ”という音と衝撃(この”2度”という点が後に非常に重要になります)」、「衝撃後数分で沈没」、「投げ出された海は重油で真っ黒。救助された時は全身油まみれ(相当多量の重油が漏れ出したことになるのですが、これも非常に重要なカギとなります)」等の証言が。
通常は事故の1年以内に公表される運輸安全委員会の事故調査報告書はなぜか3年も公表が遅れ、その内容は「事故原因は”波”。漏れ出した油は20数リットル」という生存者の証言をほとんど無視した内容で、関係者曰く「あり得ない状況を組み合わせることで、どうやったら波で転覆させられるかを考えたような内容」という内容です。公表のタイミングも東日本大震災直後という不可解なものでした。生存者の一人は事故数か月後、海上保安部の職員と偶然同席した居酒屋で「あの事故の事はかん口令が敷かれている」という話を耳にします。これだけの事実だけでも国が”何か隠している”という匂いがプンプンしてきます。しかし真相に迫るに従い、浮かんできたのは国が何かを隠蔽している、どころの話ではなかったのです…。
波、クジラなどの生物との衝突、その他多くの可能性を専門家への取材を基に検証し、最後にたどり着いたのは「潜水艦との衝突」。2001年ハワイ沖でアメリカ原潜「グリーンヴィル」に衝突された「えひめ丸」の事故状況の資料を目にし、あまりに本事案に酷似している事に驚く著者。日本の近海での潜水艦との衝突事故というなら、その潜水艦はどこの国の所属か?当然疑うのは自衛隊の潜水艦です。しかし、事故当時の元海上自衛隊潜水艦隊司令官の証言はその可能性はまずないと断言。なぜなら本事案の4か月前、イージス艦「あたご」が釣り船と衝突し2名の犠牲者が出る事故が起こっており、当時の状況から事故の隠蔽は不可能(乗員全員にかん口令を敷き、事故を起こした艦を密かに修理するまでを秘匿するのは実質不可能)だからというもの。そして元司令官が語る日本近海における各国の潜水艦の活動状況は、我々の想像の範囲を大きく越えるものでした。そこで多くの状況証拠から最も可能性の高い国の名を挙げるのですが、その国名は…。
謎の海難事故の真相を追求する過程で、船舶工学、海洋汚染、海難事故、そして潜水艦運用の各エキスパートに次々と取材を敢行し、そして多くの可能性から選択肢を絞っていく過程はノンフィクションを通り越してサスペンスを読んでいる感じでした。ここ数年で読んだノンフィクションの中でも最高の部類だと感じました。期待を裏切らない1冊、是非読んでみてください。