分子生物学発展の重要な転機となる記念碑的著述
2021/05/09 20:42
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投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
純文系の私には内容を理解するための難易度は高かったが、現在の生化学や遺伝子工学のめざましい発展へとつながっていく黎明期の貴重な歴史が伺える重要な一冊である。
DNAの構造解明には遺伝学、細胞学、分子生物学、物理学、生化学、細菌学、結晶学やX線技術などさまざまな分野の技術や知識の融合が必要であったのだが、それぞれの分野の創始期の巨頭から今日にいたるまでの数々のノーベル賞科学者も本作に登場する。科学技術に属する段は、例えば「核酸を構成する4種の塩基が水素結合する」などといわれても想像を絶する世界だが、本書はしかし科学史の教科書として捉えても面白いと感じている。知っておいて当然のそれらの巨人科学者が綺羅星の如く登場する。
これから読まれる方に参考になるようにいくつかアドバイスをすると、
1.文章自体は日記とか随想録のような綴り方なのでスラスラ読めるが、アメリカ人の口語体の文章が下敷きになっているため、同じ人物をファーストネームで呼んだり、ファミリーネームで呼んだり、場面によって様々に登場し、あたかも登場人物が2倍いるような錯覚さえ感じる。巻末の登場人物リストをきちんと参照しながら読み進めた方がよい。
2.本書の中心人物であるワトソンとクリックは有名人だが、本書の中で彼らとソリガ合わないという描き方をされる先達や女性研究者たちが他に残している著述には、「おかしいのは彼らの方だ」とする見解も多い。このあたりは少々割り引いて読む必要がありそうだ。
内容を理解するために、私は本書を2回精読した。もともとミトコンドリアDNAとY染色体を活用した人類学から本書に入って来たのだが、大変面白く読めた。今しばらく類書を読んでこの分野の理解を深めたいと考えている。
DNAの二重らせん構造を発見したワトソン博士自身が語るその発見に至る感動のドキュメンタリーです!
2020/02/06 12:12
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、専門的な知識を一般の人々に「教養」として分かり易く教示してくれると大好評の講談社「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻はDNAの二重らせんの発見にまつわる興味深い話を語ってくれる書です。私たちは、高校の生物の授業で、DNAの二重らせん構造をとっていることを学んだと思います。しかし、これを初めて発見したワトソン博士は、どのようにその事実を見つけたのでしょうか。同書では、共同発見者のフランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスらとの出会いから、「多才な巨人」と呼ばれていたライナス・ポーリングの猛追をかわして、DNAが二重らせん構造をとっているという偉大な発見に至るまでの舞台裏を赤裸々に綴った感動のドキュメントです。ワトソン博士自身が語っているので、とっても興味深いです。
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【読前メモ】
・どうして二重でらせんが画期的な発見だったのか
・当時の各界に与えた影響はどれほどのものだったのか
・12年12月11日の日経に関連記事
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原書名:THE DOUBLE HELIX(Watson,James D.)
著者:ジェームス・D・ワトソン、1928アメリカ・シカゴ、分子生物学者、シカゴ大学→インディアナ大学、元コールド・スプリング・ハーバー研究所会長・元国立ヒトゲノム研究センター初代所長
訳者:江上不二夫、1910-1982、生化学者、東京帝国大学理学部化学科→ストラスブール大学・パリ大学、元東京大学理学部教授・元三菱化成生命科学研究所初代所長
訳者:中村桂子
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=9784062577922
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ノーベル生理学・医学賞を受賞したワトソン博士による、DNAの構造を解析するに至るまでのドキュメントです。野心がぷんぷん匂ってくるような回想録になっています。あけすけな発言で物議を醸した本でもあります。
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DNAが二重螺旋構造であることを発見しノーベル賞を受賞したうちの一人、ジェームス D ワトソンが、その発見の経緯を書いた本。研究者間の競争と協力、人間模様。
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とてもノンフィクションとは思えないノリで色々とぶっちゃけていてすごい本。これだけ主観的かつ率直に書かれていると潔いというか、むしろこのくらいでないと自伝なんて出す意味がないのかも。とはいえエピローグで登場人物全員に対してのフォローは入るし、他人だけでなく自分のことも良いこと悪いこと含め書き綴っているので、不快には感じなかった。
ワトソンとクリックといえば、生物学史でもっとも有名な人名といっても過言ではないくらいの存在だけども、実のところ実験らしい実験はほとんどしていなかったことがわかる。筆者であるワトソンは全編通して結構な頻度で遊びに出かけているし、わりとしょっちゅう女の子のことを考えていて、一見余裕でこの発見を成し遂げているように見えるけれど、DNAに目をつけた着眼点、各方面の知見を積極的に入手して、それらを25という若さで繋ぎあわせた能力は、やっぱり並外れていたんだなと感じた。科学者というと職人気質なイメージがあるけども、政治力大事。ワトソンはそっち方面の才能が突出していたんだと感じた。後年は研究所の所長に落ち着いたというのも頷ける。
それにしても、ワトソンを取り巻く環境のすごさといったらない。ノーベル賞受賞者のオンパレード。ハックスレイに鍵開けて貰ってたとか、ポーリングの息子と同じところで研究してたとか、面白すぎる。
ロザリンドは本当に不憫。彼女がいなかったらワトソン達3人の受賞はありえなかったのに。生きていたら一緒に受賞できたんだろうか。
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門外漢には理解できない部分は多々あるが、科学の世界がどのようなものかがわかって実に面白い。
印象的なことは、それぞれが競争したり、時に敵対的になったとしても、根っこのところには皆、すばらしい発見に感動する素直な心を持っており、ライバルの発見であっても称賛するというところである。
ねたみや恨みはどのような世界でもあることだが、純粋に何かを追い求め続けるということの素晴らしさを感じる。
科学の世界にかかわらない一般人であっても、そのような心を忘れずにいれば、人生がもっと楽しくなるのではなかろうか。
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先日読んだ「知の逆転」のインタビューにも登場したジェームス.D・ワトソン博士の有名な著作です。
「二重らせん」という特異な形態をもつDNA構造の発見経緯に関しては、いろいろなエピソードが世の中的にも語られていますが、本書はまさに当事者の筆によるドキュメンタリーです。
歴史的発見を競う科学者間の赤裸々な絡みやワトソン博士自身の心理的な葛藤等がリアルに記されていて、なかなか興味深いものがあります。
ただ、少々プライベートな無駄話が多すぎるような気がして、もう少し肉厚の内容を期待していた私にとっては、少々物足りない残念な気分した。
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副題の「DNAの構造を発見した科学者の記録」とありますが、科学的競争が本当にリアルで読みやすくおもしろかったです。ただ、科学的知識がもっとあれば、理論的説明の部分の本質も読めておもしろかっただろうなと感じました。
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最近読んでいたいくつかの本で、この二重らせんが紹介されており、手に取ってみた。DNAの構造を発見した、科学者のうちの一人である、ワトソンによって、その構造を発見するまでのストーリーが本人主役で語られている。
自分自身は、化学は全然と言っていいほど知識がないのだが、印象に残ったのは、構造を検討するときに模型を組み立ってて考えたりしていたのだが、ワトソンってこの模型をいじってたか、ぶらぶらしてただけじゃないか?と(実際には違うのだろうが)。
この手の本って、ある重大な発見に向かって、謎解きのように、更に、科学的知識を少しずつ積み上げて理解できるように書かれたりしている物と思って読み始めると、なんじゃこりゃ?って思う読後感。
この本を予備知識なく読んで、DNAの構造解明についての化学的な知識を得られる感じはしない。
DNAの構造発見までの人間模様が描かれていて、当時の研究者の生活感みたいなものを感じることはできるので、その筋に行こうとしている人にとっては、役に立つと思う。 周りの研究者について、あれこれ描いてるが、ライナス・ポーリングは、本書に出てくるほかの科学者とは別格として認識されていた感じを受けた。
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クリックら共同発見者との出会いから、DNAの二重らせん構造の発見に至るまでの舞台裏を、ワトソン博士が赤裸々に綴った感動のドキュメント。
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ワトソンとクリックをご存知だろうか。DNAの二重らせん構造を発見した学者2名である。そのうちの1人ワトソンが、発見に至るまでの日々の思いや行動などを日記のように書き記したものである。世紀の大発見といわれた(1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞)その体験を、ぜひ、読書で味わいたい。
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今世紀最大の生物学史上の成果といわれるDNAの二重らせん構造発見に至る、若き科学者による感動のストーリー。青春ドラマのような面白さに小説のようにのめり込むとともに、諦めることなく自分の好きなこと、大切にしていることに突き進む若きワトソンの姿勢から学ぶことは多い。