がらんどう
著者 大谷朝子
【第46回すばる文学賞受賞作】最も読む快楽を感じた――岸本佐知子不穏な虚を抱えたパワーバランスを評価したい――堀江敏幸(選評より)「ルームシェアっていうの、やらない? も...
がらんどう
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商品説明
【第46回すばる文学賞受賞作】
最も読む快楽を感じた――岸本佐知子
不穏な虚を抱えたパワーバランスを評価したい――堀江敏幸
(選評より)
「ルームシェアっていうの、やらない? もっと広い部屋に住めるし、生活費も節約できるし、家事も分担できるよ」
「若い人たち同士ならわかるけど……本気なの?」
「四十過ぎた女二人が同居しちゃいけないって法律はないよ」
「でも、普通はしないよ。あと、わたしまだ三十八だよ」
人生で一度も恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。
2人組「KI Dash」の推し活で繋がったふたりのコロナ禍での共同生活は、心地よく淡々と過ぎていくが――
恋愛、結婚、出産、家族……どんな型にもうまくはまれない、でも、特別じゃない。
《今》を生きるすべての人へ、あらゆる属性を越えて響く“わたしたち”の物語。
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書店員レビュー
ものによって変わる
ジュンク堂書店福岡店スタッフさん
人生で一度も人間に恋愛感情を抱いたことがない平井と、副業として3Dプリンターで死んだ犬のフィギュアを作り続ける菅沼。二人の女性の生活を描いた小説です。
「がらんどう」とは、虚しい婚活を続ける平井の心情なのか、3Dプリンターのつくるものが表す言葉なのか、それとも人間すべてに向けられた言葉なのか、よくわかりません。しかし驚くべきは、人の言葉や、行動にちょっと過剰なほど反応してきた平井が、「もの」によって、その決心を「かえる」箇所があるということです。
私たちは生きていく中で、多くの他人との関わりをもって成長したり、躓いたりしていきます。他人がいたことで救われたり、もしくは地獄に突き落とされたりも時にはするのかもしれません。しかし、現代は、「ひと」が作り出した、あまりにも多くの「もの」がが移入してきています。携帯電話、メタバース、AI、仮想世界のアイドル。「ひと」の姿をしたもの、「ひと」と同じような働きをするもの、多くの「もの」に取り囲まれて私たちは生きています。
「がらんどう」とは、血や肉を持たない、人間ではないものに向けられた、言葉なのかもしれません。そして、そんなものでなくては救えない「ひと」がまたいるということについても、指し示してくれている小説なのだと感じます。
アラフォー女子二人
2023/05/01 20:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通じゃない菅沼(42歳)と普通の平井(38歳)、ルームシェアしている二人の女性。正反対のタイプなのに共通していることが。
恋愛はできるが結婚に絶望的な菅沼、子供を持つことを希望するが恋愛が出来ない平井。
結婚出産をする未来がないかもしれないと感じています。
二人の女性の淡々とした日常を平井の語りで進みます。
女性の生き方の多様性の一端を考えます。
題名の意味が
2023/08/25 21:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
色んな形の生き方が許される現代。
とは言え、人と違う道を選んだ先にはいつもこれでいいのかと自分に問いかける。
ちょっと良い環境に身を置くためにルームシェアーをした女二人。
結婚はしないつもりの二人だが、婚活をしたり、旅先で知り合った人と付き合っていたりと、揺れる二人の女心。