食べて祈って集まって
2023/12/03 07:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
茨城県堺町のシク教寺院「グルドワーラー」のこと。そこにシク教徒たちが月に一度集まって祈り、それから皆同じように座って同じメシを一緒に食べる「ランガル」がある。カースト制に対するアンチテーゼ的な儀式でもあるらしい。異教徒でも誰でも歓迎してくれる。
朝から来て、ボランティアで掃除買い物料理作り、配膳をやっていたシングさん(24歳)に、著者が「たいへんじゃないの」ときくと「自分のココロの幸せのためにやってることだから」と。
投稿元:
レビューを見る
北関東の国道354号線を軸に、日本で暮らす外国人や外国にルーツのある人のリアルな生活の様子を取材した1冊。
西から東へ向かっていく構成で、それぞれの土地で、そこに住む人たちに話を聞いてゆく。いわゆる「日本人」目線ではない、これまで、あまりスポットが当たってこなかった、その土地ごとの現代の1つの生活誌のよう。きれいごとではない、まさにその土地の現実の一端が取材されていて面白い。
さまざまなルーツを持つコミュニティが集まっているからこそ、さまざまな料理店を含むお店がたくさんある。旅してみるのも楽しそうな地域だなと思う。それとともに、自分の住む地域も、こういった人たちに目に見えない形で支えられているので、ふだん意識していないところに目を向けていくと周囲の世界が変わってみえるかもしれないなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
最近、友人に教えてもらった西川口のガチ中華って言うのかな?フツーの中華料理店では出会えないようなディープな料理にハマっています。ちょっと想像を超えたメニューとインパクトの強い美味しさ、クセになりそうです。味もそうですが、ほとんど日本語が通じない店員さんや、周りのテーブルで話されている中国語もトリップ感を誘ってくれるのです。そしてなんでこの街にこんなお店が集結している不思議にもくらくら来ます。この本を読みながら、その店のこと思い出しました。北関東に南米から来た人やアジアからの技能実習生が多いことは、なんとなく知っていました。しかし、国道354線ってすごいことになっているのですね。東京にいるだけではわからない現在の日本の実像が354という補助線でCTスキャン映像のように浮かび上がりました。もう一本の線は、バブルから始まる外国人受け入れの政策の歴史のタイムラインです。場当たり的な海外からの労働力確保の施策が結果的に人種のパッチワークをつくっています。今回も外国人技能実習制度が廃止され、育成就労制度が創設されることは、どんな社会へ繋がるのでしょうか?労働力ってまとめられちゃうけど、そこには生きる、話す、繋がるって人間の暮らしを持ち込むことであり、その基本の基本は、食べるってことになると思います。そういう人とのコミュニケーションは、この本に登場する絶品メシを楽しむことから始まるのかもしれませんね。それにしても大好きなパクチーの生産の現場のことなんて考えたこともなかった…食べることは生きること、食べることは繋がること、そんなことを思いました。国道354線、すごいです。
投稿元:
レビューを見る
エスニック料理が好きなので、著者トークイベントに西荻窪の旅の本屋のまどで参加して購入。料理のことはほとんど書いてなくて、国道354の近辺、北関東の移民紀行だった。まるで海外を旅した紀行文のようで大変興味深かった。これを読んで実際に古河市のフラップタウンを訪れてみたが、確かに海外に来た気分(緊張した)。なぜ海外から人が集まるようになったか、どんな生活をしているか、日本人との関係は…など大変面白いルポだった。オススメの店も載ってるので折を見てまた訪れたい。
投稿元:
レビューを見る
副題に「絶滅メシとリアルな日本」とあるので、
ちょっと変わった雰囲気の街を巡るガイド本か
な、と思ってしまいまたが全然違います。
国道354線は群馬県高崎市から栃木県の南を通
って、茨城県の霞ヶ浦へ抜けていく北関東を横
断する道です。
この沿道に共通するキーワードは「移民の街」
です。
もちろん日本は表向きは移民を受け入れていな
いですが、バブルの頃の不法滞在者や最近では
技能研修生など、形や名称を変えて日本人の人
手不足を補ってきた歴史があります。
そのような人たちがそのまま日本に住み着いて
いる場所がこの沿道なのです。
その国籍は、イラン、バングラディシュ、パキ
スタンそしてベトナムなど多岐にわたります。
それらの街を訪れ、歴史と日本来訪の実態を余
すことなくルポするノンフィクションです。
訪れる街で共通して聞かれる言葉は「日本は人
手不足と言うけれど、日本の若者は働かない。
ブラブラしているだけ」です。
「大丈夫か?ニッポン」と心配になってしまう
一冊です。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに興味を惹かれて読み始めました。普段の外国人労働者に関するニュースは日本人側から見た負の面に関する報道が多いが、本書は彼の等身大の姿を描いていることが印象に残った。後ここに出てくる料理はどれも美味しいそうです。
投稿元:
レビューを見る
群馬から栃木を経て茨城を結ぶ国道354号線。そこは外国人の多く居住するエスニックかつディープな世界。日本国の縮図とも言える移民事情を紹介するルポルタージュ。
普段東京都内で職場と家の往復では決して知ることのなかったディープな世界。決して単一民族国家ではない日本の現況を見事に伝える小紀行。
難民、移民の問題も今や国家的な課題。本書を読むと非常に身近な問題であることを教えてくれる。
投稿元:
レビューを見る
群馬~茨城の東西を結ぶR354は、エスニック街道と呼ばれるらしく、著者が各市を訪れながら、その様子を描く。
スタートは伊勢崎。ここには50-60ヶ国からの人が住んでいるらしい。人口が21.2万人に対して外国人は1.3万人、6.3%('22/2)。昔はイスラミックシティーと呼ばれたことがあるとのこと。
太田市大泉町はエスニック街道の中でも、特に外国人が集中(4303人、人口の10.3%)。中でもブラジル人が多いため、リトルブラジルと呼ばれる。
館林市にはロヒンギャの人が300人ほど暮らす。
小山市はパキスタン人による中古車業者が多い。中古車オークション会場は日本一の広さ。郷土料理のハンディが有名。
古河市にはスリランカ人、境町にはインド人でシク教徒、坂東市ではパクチー等をつくるタイ・ラオスからの人、常総市にはベトナム・スリランカ・インドネシアからの技能実習生(外国人は5914人/61562人 9.6% '23/1/1)が多く、常総市には珍しいイスラム教シーア派のモスルもある。またつくば市には1万人の外国人が居住する。
そして土浦ではタイ人が多く、かつてはリトルバンコクと呼ばれたほどだ。少し離れた笠間市には、タイ寺院のワットメッタダムがある。
旅のゴールである鉾田市では、農業に従事する外国人が多く、彼らが集まる場所の一つにアジア総合食材店がある。
各々の場所に興味が湧いたが、大阪在住なので雰囲気を味わうとしても少し遠い。せめて関西地区でこんなエスニックな場所がないか調べてみよう。
それとは別に、
この国は基本的に、難民を認めず、歓迎しない方針だ。それならなぜ、難民保護と受け入れのための国際的な取り決めである「難民条約」に加盟しているのか疑問ではあるのだが、ともかく日本は1980年代のインドシナ難民をのぞいて、まとまった難民を迎えることはなかった。2021年の場合、日本に逃れ難民申請をした2413人のうち、認められたのはわずか74人だ。2017年は過去最多の1万9629人もの人が難民申請をしたが、認定は20人のみ。きわめて狭き門なのだが、どうしてこの人が難民でこの人は却下なのか、明確な基準はわからない。ロヒンギャも19人が難民認定されているが、認定されなかった人との違いがはっきりせず、公表されることもない。それが日本の入管行政だ。
一方でウクライナからは「難民ではなく避難民」という名目で次々と受け入れを続け(2022年11月現在で2158人)、就労や日本語学習のサポート、最大16万円の一時金や医療費負担など手厚い支援がきわめて迅速に決められた。これはインドシナ難民のときと同じく、アメリカ政府からの圧力があったといわれる。
一方偽装難民もいる。難民申請をし却下されても週28時間内の労働が認められられるケースもある。「特定活動」に移行できればラッキー、そうでなくとも仮放免になって不法就労すればいい。北関東には雇ってくれる職場があるのだ。また在留カードの偽造が北関東では大きな問題となっている。しかし地域の製造業に必要な存在なので、摘発は出来ないだろう。
実習生は毎月2万円とか3万円の「監理費」を徴収されている。このお金で組合や監理団体が運営されているのだが、そこに政治家が絡み、複雑に���権化している場合がある。やはり「人を入れれば入れるほど」儲かる仕組みになっている。
つまりベトナム人と日本人がうまいこと結託して、若いべトナム人の生き血を吸っているのだ。それが技能実習制度という名の人材ビジネスの実態だ。
と言う内容には共感できる。
一方、中国人やベトナム人は、真面目にコツコツする人も多いが、犯罪に手を染める人が出るのも両国の特徴らしい。
結局どっちもどっちなのかな。
投稿元:
レビューを見る
そう、外国人は透明。それが田舎。東京だと見えるのよ。ほんとにそう。居るのに、無視する。凄い無視。ごはんについてはあんまり考えなかったかな。ちょいちょい行ってみよう。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと想像していた内容と違った。勝手に高野秀行っぽいものと思い込んでいた私が悪いだけです。コラムはまあまあ面白かったな。
投稿元:
レビューを見る
街ごとに、就労形態、在留資格の様子に特徴があり、食料、食事、宗教施設など暮らしを支える基盤が出来上がっているようでした。だた、双方の交流が一部の人材に頼り切りだったり、近隣住民同士知り合う機会のないまま、生活の違いだけが目立ってしまう様子も感じました。農業の現場では技能実習生なしには生産がままならない様子も伺え、安定した人材確保のためには、双方にとって安心安全な暮らしの提供は欠かせないことに思えました。
投稿元:
レビューを見る
表紙とタイトルから、Youtuber的な、うまいぜヒャッホー的な本かと思ってたら、全然違ったな。
いろんな歴史的な展開から、354号線の走る、群馬高崎から、茨城鉾田まで、東南アジアの一大居住地域になっており、そこに、「メシ」に代表される、エスニックなコミュニケーションエリアが広がっているということなのだ。
かなり、「真面目な」レポートだったさ。
面白かった。
私の住まいが近いところもあって、行ってみたいと思うよ。
最近色々、「移民」「難民」が問題になっている。
ここに出てるような人たちばかりなら問題ない気はするが、そっと「不法移民」らしいことを仄めかしてるのはダメだろう。
日本の制度とか、あと、田舎民的な、封建思想とかクソなんだが、それとこれとは別。日本の法制度の甘さにつけ入ってるのどうなんだと思う。
実際いろんな問題が起きているのも事実で。
こういう視点は大切だ。問題提起は大切だ。
だけどその視点だけでは問題は解決しないと思った。
投稿元:
レビューを見る
通りかかったことはあっても、全く意識していなかった地域も、掘り下げて知ることができれば、興味深く、味わい深い場所であることを教えてくれる。
投稿元:
レビューを見る
北関東国道354線を取り上げたルポ。群馬高崎から茨城鉾田までをインタビュー等で取り上げている。場所場所で住まってる出身国の人達の違いや形成してる町の様子、何より日本での3世の事とか。先ず日本に居る海外の人達に聞いて欲しい。
投稿元:
レビューを見る
読んでるあいだずっとお腹が空く〜。
南アジア、ブラジル、東南アジア料理のオンパレード。
群馬、栃木、茨城を貫く国道354号線を舞台に、異国からやってきた人たちがどのように根を張っていったのか。
コロナ禍を経て、技能実習生への受け入れがまた始まり、今どうなっているのかなど。
とにかく初めて知ることばかりだけれど、とにかく読んでると面白い。
異国の地で逞しく生きる人たちに元気をもらった気がして。