ルポ 大学崩壊
著者 田中圭太郎
教職員に罵声を浴びせて退職強要。寮に住む学生ら45人を提訴。突然の総長解任。パワハラの捏造。ここ10年ほど、日本全国の大学で、耳を疑うような事件が頻発している。こうした事...
ルポ 大学崩壊
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商品説明
教職員に罵声を浴びせて退職強要。寮に住む学生ら45人を提訴。突然の総長解任。パワハラの捏造。ここ10年ほど、日本全国の大学で、耳を疑うような事件が頻発している。こうした事件の取材を始めた著者のもとには、全国の大学教員や学生から、悲鳴にも似た訴えが続々と寄せられるようになった。2000年代以降に行われた国立大学の法人化や国の法改正により、政財界や大学経営者の権力が強化され、教職員や学生の立場は弱くなり続けている。疲弊する現場の声を集め、大学崩壊の背景を探る。
目次
- はじめに/第一章 破壊される国公立大学/1 崩れ落ちた京都大学の「自由」と「自治」/大学が学生四五人を訴える/突然打ち切られた老朽化対策交渉/吉田寮を否定していた「監査報告書」/京都大学の自由と自治を破壊するのは誰か/相次ぐ学生の処分と「タテカン訴訟」/2 北海道大学総長「理由なき解任」の謎/前代未聞の国立大学総長の解任/解任でなければ「文科省は納得しない」/パワハラの公益通報は存在しなかった/解任決議の旭川医科大学学長は辞任で幕引き/一日だけの総長復帰を打診/3 国立大学学長選考の闇/トップの「独裁化」が進む国立大学/学長任期撤廃で「独裁化」の筑波大学/学部長も教授も学長が決める大分大学/東京大学総長選考のブラックボックス/監事の権限強化と国の間接支配/4 市長と取り巻きが破壊する下関市立大学/始まりは下関市長の強引な縁故採用/市がルールを変更し大学を思い通りに/着任前に理事に就任、二年で学長に/司法の場では教員側勝訴/労働委員会は執行部の違法性指摘/5 強まる政府による大学支配/国立大学を狂わせた法人化/国立大学に対する「国家統制」/「稼げる大学」とは誰のための大学か/第二章 私物化される私立大学/1 「教育より収入」変質した山梨学院大学/まるでベンチャー企業の経営者/労基署からの勧告を無視して大量雇い止め/妻の会社に発注も金額は明かさず/給与支払い遅延の裏で理事長らの自宅に謎の会社/理事長の「暴走」は許されるのか/2 留学生の不適切入試の疑いで混乱する札幌国際大学/不適切入試を学長が告発、理事長は反論/記者会見に同席していた教授を懲戒解雇/玉虫色の結論と文科省OBの存在/3 「教授会に自治掲げる権利ない」追手門学院のガバナンス/理事長と学長・教授らの対立/不当配転無効訴訟の判決が出る直前に懲戒解雇/高裁の和解勧告では異例の「前文」/根底にあるのは大学や教授会の自治の否定/4 音楽の名門「上野学園大学」募集停止の顛末/突然発表された翌年度からの学生募集停止/石橋家の経営をめぐる問題が噴出/前理事長は一旦職を辞するも要職に戻る/理事会が守ろうとしているものは/5 混迷する私立大学のガバナンス改革/相次いだ日本大学の不祥事/独裁と私物化を進めた前理事長の逮捕/迷走する国の「ガバナンス改革」の方針/第三章 ハラスメントが止まらない/1 「まるで拷問」追手門学院の退職強要研修/追手門学院などを元職員ら三人が提訴/光を遮断した部屋で怒鳴る講師/一人退職で一〇〇万円の成功報酬/学内や他大学でも経営トップ主導で「パワハラ研修」/2 パワハラに甘い山形大学の混乱/パワハラ教授の処分は「減給一万円」/キャンパス内で起きた火災とスタッフの死/センターで起きていた集団パワハラ/研究費三〇〇〇万円を不正使用/山形大学は「パワハラに該当しない」/3 院生の「八人に一人がハラスメント被害」の東北大学/相次ぐハラスメント/八人に一人の割合でハラスメントを経験/学生がハラスメントから守られていない
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あり得ない大学の不審な動きの数々の話に、恐怖で身震いしました。
2023/05/29 14:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
フリージャーナリストの著者が、各地の大学で最近起こっている不審な動きの数々をすっぱ抜いた、ルポ記の1冊です。
「これが教育機関のすることか?」と、思わず唖然とするような不審な動きの数々の話の連続に、読み進めていて恐怖で身震いすら覚えました。苦しい内容に読み進める進度も落ちるほどでした。
一応、大学で学んだ経験のある身からして、将来の日本の大学は大丈夫なのかと、本気で心配しています。
教職員 学生無視で 暴力が
2024/11/25 22:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
「2004年の国立大学法人化と、私立学校法の改正」(p.10)、ならびに「2014年の学校教育法改正と国立大学法人法改正」(p.11)により、大学においては、学長や理事長の権限が強化され、教職員の意見が通りにくくなった。そこで起こったのは、学長や理事長の独裁であったり、ハラスメントの横行であったり、雇い止めであったり、文部科学省官僚(総合職、一般職不問)の天下りだったりする。政府はパワハラをでっちあげられた北海道大学学長に関しては速やかに解任したが、他の事例には然るべき監督をせず独裁等が改まらない。そして大学の不祥事は日本各地で起こっている。
2.評価
戦慄のルポルタージュであった。軍事研究に消極的な大学の学長を解任するというのは、日本学術会議問題に連なる。専門家かつ当事者である教職員や、学生の意見を封じるというのは、主に自由民主党政権の学問軽視の姿勢(歴史修正主義や人文系の軽視、軍事研究の強制など)と合致している。本書を読めば、違尊重されていない日本の危機を感じることができるだろう。従って5点。
興味深い
2024/10/12 13:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学の現状が、いろいろな角度から紹介されていて、よかったです。詳細なレポで、興味深く読むことができました。
私立大学が諸悪の根源
2024/06/08 12:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る
早稲田、慶應を頂点とした私立大学が諸悪の根源。社会に貢献には程遠く、不正行為や犯罪行為と、その隠蔽に奔走する大学当局。もはや高等教育機関の体をなしていない。私学助成制度を全廃し、その資金を国公立大学での有意な人材の育成に充てるべきだ。