最後の章がリアル
2023/03/29 09:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
マルクスの思想についてわかりやすく、焦点を絞って説明してくれていて分かりやすい。「包摂」ということばについても、社会学などでいまよく使われている、社会的「包摂」とは違う意味であることなどを説明していてくれて混乱しないですむようにしてくれている。
最後の方の章では、オリエンタルランドの個別具体的なケースがちょっと出ていたり、最近の日本での労働争議の数の減少のことを言っていたり、現在のリアルな状況との関連にも触れられていて主張がはっきりしている。
だからどうすればいいのか、について考えることは、読者にゆだねられている。
投稿元:
レビューを見る
感想
なぜ今マルクスか。小難しい経済理論をこねくり回した訳でない。地球規模での厄災を予見し人類に警告を与えた。それが今実現しようとしている。
投稿元:
レビューを見る
めちゃくちゃ分かりやすい。本自体薄いのに内容はとても濃い。
簡単すぎないので、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』や白井聡『武器としての「資本論」』のあとくらいに読むと、良い具合に脳みそが鍛えられそう。
ラストの章は、ザ・白井聡。
投稿元:
レビューを見る
講談社新書の100ページ+αで思想がわかる「今を生きる思想」シリーズのマルクス編。
このシリーズは、最初、そんなページ数じゃあ無理だろうと思ったのだけど、これまで読んだフーコーとアーレントはどちらもなかなか秀逸だった。今、資本主義について考えているので、そんな関心からマルクスを読んでみる。
本は126ページあって、帯にあるように「一気に読める」わけではない。が、全体像を概観したうえで、マルクスの「資本論」の1巻を読み解き、そしてその現代的な意味を語るという構成で、わかりやすいと同時にかなり刺激的であった。
マルクスのいわゆる史的唯物論的な歴史観は、ツッコミどころ満載で、自分のなかでは批判の対象となる考え方だった。また、労働価値説も古典的な考えで現時点では有用性はないと思っていた。それでも、マルクスは気になる思想家で、ときどき読んでみたくなる。好き嫌いは別として、自分の考えを明確にするためのディベート相手みたいに思っていた。
共産主義の時代も終わり、マルクスもそのイデオロギー的利用から解放され、緻密な文献研究が進んでいるようで、たとえば斎藤幸平さんとか、最近の柄谷行人さんとか、その成果を踏まえた議論をしていて、新しいマルクス像が浮かび上がりつつある。
かれらのマルクス像は、いろいろな可能性に開かれた刺激的な読解なのだが、一方では、やはりマルクスは19世紀の人であって、いくら本当はこんなことを言っていたんだということがわかっても、それは哲学思想の読解としての面白さで、マルクスが本当はこう言っていたというのを使って現代社会を読み解くというのはちょっと強引なんじゃないかという気がしていた。
が、この本を読んで、なんだか初めて、マルクスを現代の社会のなかで読むこと、その意味がわかった気になった。なんだか自分の頭のなかで、渦巻いていた現代の資本主義への疑問が、明確に言語化された感覚がある。
とくに第3章で「包摂」をキー概念として、マルクス死後の20世紀の歴史、そして、新自由主義を経た現代社会の状況を読み解いていくところはとてもスリリングで、まさにその通り!と久しぶりに思った。
そう、「人的資本」がどうだこうだ、と言っているが、結局のところ、それは資本主義が人間をそのもっとも深い精神性まで含めて、全人的に「包摂」しようという動きなのだ。
人が生き生きと働き、ダイバーシティを活かし、クリエイティビティを発揮できるような組織になればいいという願いはわたしも持っている。しかし、結局のところ、それも資本主義のなかに「包摂」されてしまうものなのだ。つまり、「自主性」が自主的に生み出されるものではなく、資本システムが「人間重視」という立て付けのものに仕組みとして、人間を誘導し、強要するものなのだ。
そう、これが最近、ずっとモヤモヤしていたことであった。
で、そこにどう対抗するのか?という問題が残るが、そこはまだわかっていない。(が、アーレントの「人間の条件」はこの文脈のなかで、再読できるはず)
投稿元:
レビューを見る
ちょくちょく資本論やマルクスに触れた書籍に触れた中で本著は
資本主義を巡る歴史的経緯の中で昨今取り沙汰される問題へのレンズとしてのマルクス思想のあり方を
少ない紙幅の中で躍動的に記述しきっていて、同著者の他作品やマルクス関連本への中途に読むにはありがたいものになっている。
投稿元:
レビューを見る
資本主義が行き詰まりを見せているのは周知の事実だが、本書はさらに一人ひとりが資本主義の包摂に取り込まれ、人間が自由に生きる判断力を失っていることを指摘する。そら恐ろしい状況である。早く抜け出なければ。
投稿元:
レビューを見る
コテンラジオのマルクス回に続けて読んだけどやっぱりマルクスは難しいですね。商品、価値、資本…と一つ一つの定義や論理にはなんとか付いていけてる気がしつつも全体感はなかなか落とし込みにくい。まぁまだ入門の入門レベルだから仕方ないですが後半で紹介されていたマルクスの言う「包摂」の概念については本書で初めて知ったのですが、興味深かった。白井さんが例示していた共感や感動などの感情すらも資本主義下では商品と化してしまうという点は非営利組織の支援に関わる身としてもっと深めて考えてみたいと思えた。
投稿元:
レビューを見る
読む前からなんとなく言うことわかりそうな組み合わせなのですが、読んで良かった本でした。
共産主義や革命のところに重点を置かず、資本主義の問題点の分析としての資本論の素晴らしさに重きを置いているように思えました。現代でも色褪せない、とても素晴らしい知見であると感じました。包括、阻害などキーワードを通して話してくださるのも、界隈の人の語源を知る上では役立つものと考えました。
個人的には資本主義の分析については文句なく素晴らしいと感じるのに、その後共産主義革命に至る理論が成り立っているのかよくわからないのは、僕の修行が足りないのかなと。
投稿元:
レビューを見る
『資本論』を解説しつつ、マルクスの分析した「資本主義とはなんたるか」を解いた一書。もちろんマルクスの思想全体を網羅したものではないが、資本主義の本質をめちゃめちゃ分かりやすく伝えてくれている。終盤、資本主義への憤りと、資本主義に包摂されている(己れを含めた)地球があまりに哀れになり涙した。やはり資本主義は悪である。
投稿元:
レビューを見る
包摂、フォーディズム、自分にとって初めての言葉や概念が多く、面白かった。封建社会当時の働き方、仕事観と現代の違いが分かりやすく、現代の感覚からするとひどい労働環境が常識だったのだなあと思った。マルクス主義、資本論の原点。
投稿元:
レビューを見る
むずいぃぃ
しかしなるべく分かりやすく書こうとしていることが伝わりました。
資本の他者性
資本とは人間にとって味方ではなく他者である
つまり、人間が幸せになるために存在している訳ではないということ
ただただ無限の価値増殖だけを目的にしている
そして私達人間はいつのまにかその目的の手段となっている
本来は人間の生活をより豊かにするものだったはずだが、今や新たな欲求を生み出すことでしか維持できない仕組みと理解した
新たな欲求とは幸せを享受するものとして必要のない欲求
頭の中整理するだけで精一杯だ
但し、良いもの読んだ!
投稿元:
レビューを見る
audible 。白井聡さんのマルクス入門書? 難しいけど大切なことだ。世の中では「包摂」という言葉がさも大事なこととして使われるが、働く者を取り込む資本の側が都合よく使うことには抵抗しなくてはならない。有名なトヨタのやり方がどれほど労働者を苦しめていることか。
もっと勉強しよう。
投稿元:
レビューを見る
マルクス難しいーーーー
・資本主義の崩壊を予言
・剰余価値を提唱
・労働価値説を展開 商品の価値が商品に費やされる労働時間によって決定されるという考え方
・政府の計画経済を提唱
計画経済とは、資源を国有化し、中央政府の意思のもとであらかじめ策定した計画に基づき、資源配分をおこなう体制のことです。とくに、マルクスは恐慌時に銀行や工場などを国有化して対処することの必要性を説いています。
マルクスの思想を学ぶことで資本社会のデメリットを学ぶことができる。
労働者は、貨幣により自由を奪われ、労働によって価値が生まれた広告やブランドから欲求を促進され、経済は回るが、それは幸福とは結びついていない。
剰余価値が生まれることにより労働者は搾取される。
資本者しか、裕福になることはできない。
労働力=賃金
賃金→生活費
一生働くサイクル
投稿元:
レビューを見る
わかりやすかった。
資本を「不断で無制限の価値増殖運動」と定義し、相対的剰余価値の中に特別剰余価値(「技術革新によって得られる時限的な剰余価値」)を見出したところは大変興味深い。
資本主義がさまざまな点で限界を迎えている今、これを人間社会の前史と捉えるマルクス経済学には、今読むべき意味がある。
ただ労働価値説には疑問が残った。(東南アジアと西洋で同じ労働内容でも、賃金は違うじゃん…っていう。)
投稿元:
レビューを見る
分かりやすいし重要なポイントがぎゅうぎゅうに詰め込まれてる良著。
マルクスの思想に近づくこと、それは人がどのようにしてこの時代を能動的に、人としての性を謳歌し、前向きに生きれるのかを考えることにもつながる。
ソ連による共産体制の崩壊で、はい、もう終わりの姿勢では勿体無い思考の源泉がマルクスには宿ってる。