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「子供の頃、衣装箪笥の中に入って、その奥がナルニアに続いていはしないかと確かめずにいられなかった。夢中になって本を読み耽るうち、その本の中に自分が登場してきて、ファンタージエンに入り込んでしまうことを夢想せずにはいられなかった。これはそんな子供だった人々のための物語。」─川野芽生(解説より)
帯の惹句にはこのようにある。はい、読みます。ファンタージエンに魅了された身としては、これは気になり過ぎて読まずにはおられない。地下にある物語に満ちた迷宮に足を踏み入れて、主人公と共に旅(読み進める)ができるのではないだろうかとワクワクする。物語の主人公が物語の中へと入り込み、(物語の中の)現実と創造が混じり合い、読み手のこちらもまるで物語に参加するような没入感を得られるのではないかとドキドキする。そんな気持ちでページを捲り、頭の中では登場人物たちや地下の迷宮が映像となって再生される。ドキドキワクワクの読んでいた数日間。普段は図書館を利用することがあまりないが、大型書店に入るといつも色々な棚を見て歩き回るのが好きなので、著者名のない謎めいた本に出会えると、この先いくつになっても妄想してしまうだろうな。
この物語は、主人公ザカリー・エズラ・ローリンズが著者名の記されていない本を大学図書館で見つけるところから始まる。その本には、ザカリーの少年時代の体験や地下の〈星のない海〉という場所などについて書かれてある。本について調べていくうちにある組織にたどり着き、地下へと冒険に巻き込まれていく。
物語の中では、作中作で描かれる物語が指針のようでもある。書かれている内容について、最初は不思議な物語といった感じ方だったが、徐々にその物語の真実が分かってくると、さらに深くへと文字通り誘われていくように読み進めることになる。
この物語は読む人にとっては望まない結末なのかもしれない。でも、もしもこの物語に出会えたなら、やはり決断して物語を聞かせてもらいたいと思わずにいられない。
「最高の物語とは結末のあとも、物語の宇宙のどこかで続いているような気がするのではないだろうか。」最後に本文中の一文を残しておこう。
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初めて読んだ類の構成で戸惑ったけど、慣れてくるとスルスル読めた。
日本語の 蜂蜜 と 蜜蜂 が目に間際らしいのを除けば一気に読んでしまったことを考えても先の気になる読みやすい話だったのだと思う。
エンデの モモ や、ネバーエンディングストーリー(映画映像の方)が脳裏に浮かんだ。
想像力フル活用。
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詩的で美しい文章のファンタジー。
ストーリーはそれなりに深刻な状況を語るのにどこか昔話的。
物語がタペストリーのように模様を描いていて、読んでいると別世界に行ったような気持ちになれる。
読み終わってみて、物語というものの怖さみたいなものが透けて見える感じがする。語られ、広まり、さまざまなものの下地になるような物語は、それそのものとして力を持ってしまうような気がする。語り手の意図を離れて、もっと大きな力となってしまうのだ。その力がつくる世界は必ずしも幸福だろうか? 私は頷けない。
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やっと読み終わった〜(´Д`)ハァ…
大変だった
も、ブクログ本棚登録後初のギブアップ本寸前までいったんですが、なんとか持ちこたえて読み終えました
なんで限りなく★1に近い★2です
いわゆるクローゼット系ファンタジーです
(言い切ることでそんなジャンルあると錯覚させるやり口)
うーん夢見がちな本大好き!ファンタジー大好き女子の頭ん中はこんな感じなんでしょうねっていう
幻想的な文章の見本市みたいな感じで延々とただ続くので読みづらい
長いし
終わり方もたぶんこんな感じで終るんだろうなって予想を全く裏切らずもやもやが残りました
とにかくなんとか読み終えたので早く次の本読みたい!ってのが読後の気持ちでした
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2023/6/29 読了
突然始まるBL要素にびっくり。相手もよく分からないまま、一目惚れと思い込みでそのまま物語りは終了。
ラスト1/3くらいから、主人公は何を目的にしてるのか分からなくなった。期間を少し空いたのも悪かったんだろうけど、終わりもハッピーエンドなんだかも分からない。
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本筋の合間合間に入ってくる無関係と思われる数多くの短い物語が、最終的に全部繋がってくるのがなかなかよかった。
非常に物語的な楽しみに満ちていて、著者の物語好きが伝わってくる。
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「あなたは扉を開く。次に何が起こるのだろう。わたしは確かめにいく」
さてさて、この本。少年時代に機会はあったのに魔法の国への扉を開けずに大人になってしまったザカリーが心の奥に後悔を抱きながら、図書館で見つけた不思議な本をきっかけに、謎の男に導かれて魔法の扉をくぐり、[星のない海]にある、物語の迷宮まで旅をするファンタジーである。
はっきり言ってわかりにくい。迷宮である。物語が入れ子のように組み合わさり、登場人物が本物だったり偽物だったり、怪獣に扮した男の子に扮した女性だったり。語り手は移り変わっり話は騙し絵のように進む。読者を迷子にさせる。迷子になると疲れるばかり。結果、あまり楽しめなかった。迷宮を描きたいならこんな風に描かなければよいのに。
読みたい話は、どこか自分の知らない土地を旅してきた伯父さんに、土産話をねだるようなものである。それでどうなったの⁉と前のめりでせがむような話が好きだ。ファンタジーも冒険小説もホラーもミステリーも。「次はどうなるの!?」が知りたい事のすべてだ。
「行ったことのない場所に郷愁を覚える者に。何を(あるいはどこを)探しているか知らないまま、探求を行う者に。探求する者は発見するだろう。彼らの扉は彼らをずっと待っていた。」
理由も理屈も何も要らない。ドキドキするようなことが待っている。そこは何が起きるかわからない地獄かもしれない。それでも構わない、ただ抑えきれない好奇心と共に扉を探し続けるのみである
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とても面白いのだが前半と後半の味わいが異なるので個人的には前半半分のプロットで世界観を纏めてくれた方が好み。後半はファンタジーのあらゆるシーンを描く事に長けている作者なのだろうなと思うが詰め込みすぎている。前半で纏めるべきであったと思う絶対に。
日本語のタイトル、上手いなと思う。私のように本や図書館に纏わる話が好きな人達に希求するものとしてそのまま「星のない海」とつけずに「地下図書館の海」としているからね。ただ、前半は図書館がメインで後半が星のない海がメインな事を考えると作者的には後半が重要なのかもね。でも私は前半が好きだし、ファンタジーにはまり込みすぎず現実からファンタジーに足を踏み入れるている前半ぐらいの方がファンタジーオンリーの後半より良いと思うし、前半あれだけ言葉を織り込んで行ってた作りなのがあくまでも後半への導入としてしか扱われないよりは、その引き込まれていく謎を現実へと戻して欲しかった。ファンタジーへと堕ち続けるのではなく。それは好みの問題なんだけども。前半の熱量でザカリーとドリアンの話をもっと読みたいです。この二人好きです。
ただ、引き込まれ、読む手は止まらない本でした。人に勧めるかといえば微妙かもなんだけど読後感が胸に数日残る感じに星四つです。
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この方の「夜のサーカス」は大大大大大好きなんだけど、これはちょっと読むの疲れちゃったなあ
後半はもうベッタベタのヌッタヌタで想像したら普通にテンション下がっちゃった、プーさんくらいでしょ嬉しがるの
とはいえ合間合間に挟まるお伽噺はやはり魅力的なので、短編集とか出して欲しいなあ
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印象的でアリスのような
現代のゲームとニューヨークとちょうど混ざった
分からなくてミステリアスで魅力的で先がどうなるかどうしても読んでしまう
いろんなイメージの集大成みたいで綺麗だった
終盤には最後こうなると先が読めたような?
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こんなに読むのに苦労した本は今までなかった。ファンタジーなんだけど何がどうなってるのかイメージしづらくてページが全然進まなかった。
主人公のザカリーが大学の図書館で甘い悲しみという本を手にするところから話が始まり、そこから地下に広がる星のない海へと導かれる話。運命と時間や梟の王とか、ミラベルと番人の関係とかよくわからないまま終わった。途中までザカリーがゲイって気づかなくて混乱してた。
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自分自身とこれは合わずに読むのにひたすら時間がかかった。おまけにこの独特のテンポというか間というか、苦手を飛び越して何やら異世界に飛び込んだような気持ちになった。ある意味本書は自分にとっては奇書のようなものです。
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物語はあらゆるものの中に息づいていて、それは私たちのすぐそばにある。
素敵な物語でした。
物語の中に物語が展開されているような入れ子構造で、すべての物語が詩的、幻想的で、やがてひとつの大きな物語に収束していき、そこからまた新たな物語を予感させる。
主人公のザカリーが同性愛者であることも自然に表現され、それが悩みの種として物語を阻害していないところも素敵でした。
悪夢を書いた紙で折った星
物語が詰まった瓶
耳元で物語を囁くストーリーテラー
物語味のキャンディ
星のない海
蜂蜜
紡がれる言葉や物語のすべてが美しく、頭の中に浮かぶ情景に酔いしれ、ずっと読み続けていたい物語でした。
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すごく、いい具合に眠くなる。
堆く積み上げられた本、蜂蜜で満たされた広大な海、ドラえもんみたいに何でも用意してくれる素敵な厨房、そして、時間と運命は恋に落ちる・・・。現実なのか夢なのか曖昧な状況や言葉たちが、頭の中を通り過ぎていくうちに、いつの間にかうとうとしてしまい、自分は本を読んでいるのか、本を読んでいる夢を見ているのか、はっと目を覚ますと、まるで心当たりのないページを開いているのであった。
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「地下図書館の海」の、物語全体が持つ壮大さと繊細さに圧倒された。この本は、ただ一つのストーリーを語るのではなく、無数の物語が絡み合い、読み手自身がその断片を紡いでいくような感覚を与える作品だと思う。
感想としては、
1. 選択と運命の美しさ
物語の核心には「選択」や「運命」があるけれど、それらは決してどちらか一方が答えではなく、両方が織りなすものだと感じた。運命があらかじめ決まっているとしても、その道をどう歩むかを選ぶのは自分。ドリアンやザカリー、エリナーたちはそれぞれの物語の中で「自分がどうありたいか」を選び、その結果を受け入れて進む姿が印象的だった。
2. 物語の力
この本は、物語そのものが主役のようにも感じる。物語は私たちを癒し、迷わせ、救い、時には新たな場所へと導いてくれる存在。読み手としても「信じきる力」を問われているところが、この本の大きな魅力だと思う。
3. 終わりと始まりの循環
「終わりは新たな始まりである」というテーマが、最後のシーンに象徴されている。すべての物語は続いていき、それが語られる限り決して終わらないというメッセージは、読後感をとても深いものにしてくれた。
4. キャラクターたちの繊細さ
ドリアンやザカリー、エリナー、ミラベル、そして番人。それぞれが運命や時間、愛、使命に対して複雑な感情を抱きながらも、最終的に「ここにいる」ことを選ぶ姿に心を打たれた。どのキャラクターも完璧ではないからこそ、人間らしくて共感できるんですよね。
結論として:
この物語は、すべての断片が読者自身の物語とも響き合うような構造になっていて、読むたびに新しい解釈が生まれる作品だと思う。ザカリーやドリアンたちと同じように、私たちも日常の中で迷いや不安を抱えつつ、自分だけの「星のない海」を歩んでいるのかもしれない、と考えさせられた。