日本初の小児ホスピスはいかにしてできたのか。
2023/08/16 13:41
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本初の民間小児ホスピスができるまでの軌跡と、設立後の出来事を追った1冊。
幼くして病に侵され、亡くなっていく子どもたちの話に涙が止まらず、読むのが辛くなってしまうことが何度もあった。
でも、現実から目を背けずに、知らなくてはいけない、そして感じ、考えなくてはいけないと思いながら読了した。
この1冊には、想像を超える苦しみや悲しみを経験しながらも前を向き戦う人たち、また寄り添う人たちの様々なエピソードが書かれており、1つの小児ホスピスがどれだけの人の支えや、思いが集まってできたものかがよく分かる。
取組はまだ始まったばかり。1人でも多くの人が小児ホスピスについて理解を深め、英国のように当たり前に、全国各地にこの取組が広がってほしい。
また私自身も、できることに全力で挑戦する生き方をしたいと思った。
難病に罹患した子供と、その子供の家族が向き合う、過酷な現実と子供ホスピス設立の経緯を追うノンフィクション
2024/10/05 07:13
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
小児がんや、完治の見込みのない難病に罹患した子供さんやその家族のために2016年に大阪鶴見緑地に開設された「TSURUMIこどもホスピス」。小児がんや難病で命をなくした数多くの子供さんと向き合ってきた医師の「(完治の見込みのない)子供に抗がん剤治療をしても、病室で苦しんで亡くなっていくだけです。後で親が子供に何もしてあげられなかったと後悔する姿を嫌というほど見てきた。必要なのは、治る見込みのない幼い子供に苦しい治療を強いることではなく、子供の残された命を充実させてあげることだ」という理念がホスピス設立へ、多くの人を巻き込んでいきます。
ホスピス設立までの経緯は、確かに本書のメインテーマですし、多くの関係者が難病に向き合う子供さんやご家族のQOLの向上を目指して協力し、数々の障壁を克服する様子は読みどころではあります。しかし、それと並んで印象に残るのは、ホスピスを利用する(していた)小児がんや、それこそ本書を読むまで聞いた事がないような難病に罹患した子供さんやそのご家族が、ホスピスにたどり着くまでに経験された過酷な闘病、日常生活の有様でした。
大人でさえ、余命宣告を受ければショックでしょうし、抗がん剤の治療は苦しい物であることは想像に難くないでしょう。まして、これから未来が開けていく子供さんが、それと向き合うという事だけでもどれほど辛い事だろうかと思います。精神的、経済的に追い詰められる両親。崩れる家族関係。それに対して「自分のせいだ」と責任を感じてしまう患者である子供さん。読んでいていたたまれなくなります。
子供がいると、学校や友人関係、進学の事などいろいろな悩みを親も経験します。しかし、本書に取りあげられているご家族は、そういった”普通の”学生生活さえ経験できない状況なのだと思うと、子供が学校に行っているだけの生活が、実は大変貴重なものであることを再認識しました。
難病に罹患した子供と、その子供の家族が向き合う、過酷な現実と子供ホスピス設立の経緯を追うノンフィクション
2024/09/02 18:21
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
小児がんや、完治の見込みのない難病に罹患した子供さんやその家族のために2016年に大阪鶴見緑地に開設された「TSURUMIこどもホスピス」。小児がんや難病で命をなくした数多くの子供さんと向き合ってきた医師の「(完治の見込みのない)子供に抗がん剤治療をしても、病室で苦しんで亡くなっていくだけです。後で親が子供に何もしてあげられなかったと後悔する姿を嫌というほど見てきた。必要なのは、治る見込みのない幼い子供に苦しい治療を強いることではなく、子供の残された命を充実させてあげることだ」という理念がホスピス設立へ、多くの人を巻き込んでいきます。
ホスピス設立までの経緯は、確かに本書のメインテーマですし、多くの関係者が難病に向き合う子供さんやご家族のQOLの向上を目指して協力し、数々の障壁を克服する様子は読みどころではあります。しかし、それと並んで印象に残るのは、ホスピスを利用する(していた)小児がんや、それこそ本書を読むまで聞いた事がないような難病に罹患した子供さんやそのご家族が、ホスピスにたどり着くまでに経験された過酷な闘病、日常生活の有様でした。
大人でさえ、余命宣告を受ければショックでしょうし、抗がん剤の治療は苦しい物であることは想像に難くないでしょう。まして、これから未来が開けていく子供さんが、それと向き合うという事だけでもどれほど辛い事だろうかと思います。精神的、経済的に追い詰められる両親。崩れる家族関係。それに対して「自分のせいだ」と責任を感じてしまう患者である子供さん。読んでいていたたまれなくなります。
子供がいると、学校や友人関係、進学の事などいろいろな悩みを親も経験します。しかし、本書に取りあげられているご家族は、そういった”普通の”学生生活さえ経験できない状況なのだと思うと、子供が学校に行っているだけの生活が、実は大変貴重なものであることを再認識しました。
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友として寄り添う。すばらしい考え方に基づき運営されている施設。自分の平凡な日常があたり前でないこと、日々の生活に感謝することにあらためて気づかされる。
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積読の為、未評価。
こどもホスピスが大阪にあるんだ!と初めて知り、興味を持ったので読み始めたのですが、何分前置きが長い。
設立に至った経緯も大事だが、私が知りたかったのは、今どのように活用されているのか。
そこの部分も記されてるとは思いますが、辿りつけませんでした。
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大阪にできた日本初のこどもホスピスの誕生物語。
死にゆく場所ではなく、子どもがその子らしく生き生きと過ごせる場所を目指し、設立されたTSURUMIこどもホスピス。何度かテレビの特集などでその存在は知っていたが、これほどの苦労があって設立されたのだと知り感動した。
設立に携わった人たちの行動力と志の高さに、頭が下がる。思いはあっても実際に行動することには大きなハードルがあるけれど、一歩踏み出して飛び込んでいった彼らには尊敬しかない。
本の中には数々の病気のこどもと家族のエピソードが載せられていたが、病気や年齢、家族構成は違えど、どれも精一杯生きてきた証であり涙が止まらなかった。
短い人生であっても、どのこどもにも『生まれてきて良かった』と思って欲しい。子どもの家族にも『この子に会えて良かった』と思って欲しい。
私は言うだけで何の力にもなれないのだけれど、同じようなホスピスがどの子にも身近なところにあるような社会になるといいと思った。
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本書表題は『こどもホスピスの奇跡』ですが、日本初の民間こどもホスピス設立に向けた「これまでの軌跡」と「これからの希望」の記録です。
こどもホスピス‥そこは、死にゆく場・看取る施設ではなく、短時間でも治療を離れ、笑い合って普通の子としての時間を生き、生涯忘れえぬ思い出をつくる場であり「家」なのでした。
命に限りのある子どもたちの、尊厳を守ろうとして闘った人たち。厳しく悲しい状況に、読み進めるのが辛くもありましたが、その奮闘・奔走ぶりに敬意を表します。
また、真の意味で、「子どもに寄り添う」とはどういうことなのか、考えさせられる一冊でした。
とりわけ、登場する難病の子どもたちの描写は、涙なしには読めません。短くとも深く生きたその命の輝きを見るとき、こどもホスピスの存在意義が際立ち、必要性が増します。
こどもホスピスを全国に普及させるため、こども家庭庁が2023年度中に初の実態調査に乗り出すのだそうです。ネックはやはり資金不足や制度面の不備なんでしょうね。
欧米では寄付文化が背景にあり、こどもホスピスが数多く存在するそうですが、日本では各地で設立を目指す動きが出てきたばかりのようです。
私たちが、まずは難病の子供たちが置かれている状況を知り、社会的支援を広げていく必要性を痛感しました。
そのためにも、多くの方に読んでほしい本です。
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当たり前の生活を経験する、残された時間をよりよく生きる。
特別な事ではない事をするために、多職種、立場が違う大勢の人達が、その願いを叶えるために奮闘します。
生きるって何なのか、子供達が教えてくれます。
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ホスピスと聞くと、どうしても死を看取る施設だと思ってしまうけど、そうじゃなくて、
闘病頑張ってる子たちが,ほんの少しの間、安らぐ場所であると言う考え方でできた、大阪の鶴見にできた施設のお話。
それが出来るまでいろんな人がかかわって、
いろんな子どもの闘病や、死や,看取り、いろんな想いがあって、そしてようやく完成した。
そして、完成してもゴールじゃなくて、
そこでどう子どもたちと向き合うか、についても四苦八苦する。
うちの子はすぐに退院できる病気だったが(今も通院してるけど)ここにでてくるとある病院にお世話になった事がある。たまたま、クリスマス時期で、クリスマス会も参加した。普段は鍵のかかった病棟であまり他の患者さんとかかかわることがなかったが、そのクリスマス会でたくさんの病状の子どもや保護者を垣間見た。そして、その子たちの目がキラキラしてて、クリスマス会を心から楽しんでる様子は忘れられない。
長く病院にいる子たちにとって、世界がベット周りだけなのは辛い。(プレイルームもあるけど、あまり利用されてなかった)
終末医療だけでなく、こういうシステムが日本にもっと普及すればいいのにと思った
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子どもたちが残り少ない人生を「深く生きる」ための場所。
2016年、大阪市に日本初の民間小児ホスピス「TSURUMIこどもホスピス」が誕生した。ここは死を看取る場所ではない。難病の子供に苦しい治療を強いるのではなく、短い時間であっても治療から離れ、家族や友人と笑い合って生涯忘れえぬ思い出を作る手助けをする施設なのだ。設立に向けて奮闘した医師、看護師、保育士たち。そして自分の尊厳を守り、自分の人生を生きるために声を上げた子供たちの感動の記録。
読んでいて感傷的になり過ぎたのか 涙が何度も何度も出てきて苦しくなった
大阪に日本初のこの施設があることを初めて知った
この本をきっかけにホームページも見にいってみた
人間はいつかはみんな死ぬんだけど こんな小さな子供達が亡くなるのは 親の気持ちになったら辛過ぎてたまらないだろうなと思いました
我が子はとっくの昔に成人してるけど これが普通のことだと簡単に思っちゃいけないんだなと感じた
実際は読んで感じた以上の苦痛があるのだろうし それと同じように喜びもあるのだろうな…と思いました
話は全く変わるのですが 東野圭吾さんのブラック・ショーマンシリーズがましゃで映画化するそうで…
この間、続編を読んだばかり…!
以前、福のラジオで『透明な螺旋』の文庫版の発売の話をしていたので 内心、映画化の話がきてるんじゃないの?って思ってたんですけど 湯川先生と元マジシャン・神尾武史は同一人物だったのね?って思っちゃった…笑!
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誰かの力になれる大人たちが、人生を終える子どもたちの手を取る。奇跡なような優しさだけど、それを世界中で続けている人たちがいる。それがとても嬉しい
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ホスピスと聞くと最後に死を迎える場所と思ってしまうが、全く違う場所だった。
友として寄り添う、死のあり方について考えさせられる本だったし子供たちが時にホッとできる家、そんな構想で練られたホスピスがUNIQLOが携わって建設されたとは。素晴らしい本でした。
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大阪に こどもホスピスが、在るとは知らなく
幼い子供達の健気な様子と家族 それを取り巻く色々な人々の交流
本当に 子ども達に優しい社会に 弱者に優しい社会になって欲しい。全国に拡がっていってほしい。機会があれば ボランティアで関われたらと思いました。
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心が震える、というのはこういうことなんだなと、随所で感じられた一冊。「感動」などという言葉では軽過ぎる。
どんなに手を尽くしても亡くなってしまう幼い命。
患者や遺族から向けられる無念の思い。
どれだけのプレッシャー・ストレスを背負いながらの仕事なのだろうと、ただただ頭が下がる思い。
そしてその重みに負けず、理想とする小児医療の実現に向けて、様々な困難をひとつひとつクリアしていく。
使命感・責任感・真摯さ・優しさ、あらゆる面で尊敬の念しかない。
彼らの歩んできた道のりを読んで、自分がどれだけ甘えた考えで日々の仕事に取り組んでいたのか、反省。
今日と同じような明日が来ることは当たり前じゃない。
今元気でも、いつ病気や事故に見舞われるか誰もわからない。
だから、日々を一生懸命に、他人に優しく、仮にいつ死んだとしても、後悔の少ない生き方を心がけようと思った。
今年、間違いなく出会えてよかった一冊。
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ホスピスとは死に向かう場所ではなく、深く生きるための場所である。
子どもは、ひとりで闘病しているというより、治療の中で家族の愛情が感じられることに喜びを見出している。