ますます進む地方都市の金太郎飴化
2024/02/01 14:37
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2004年に著者は「ファスト風土化する日本」で日本の都市はどこもかしこも金太郎飴化してきていると警鐘をならしていたが、あれから20年、その傾向は益々顕著になってきている、昔はその地方独特の個性的な店舗が点在するしてドライブしていても楽しかったが、今はどこのバイパスを走っても同じ光景、まったく面白くない
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日本各地に大型ショッピングモールやチェーン店が営業して、地域の個性がなくなってきている。
そんな現状に思うところがあった著者は「ファスト風土化する日本 郊外化とその病理」(洋泉社新書y)を2004年に出版した。
あれから約20年、郊外はどうなっていったのかを考えるのが今回の本だ。
「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重要視する若い世代の価値観にファスト風土は、都合のよい場所のようだ。
その一方で、ファスト風土に満足しない、あるいは危機感を持つ人もいる。
「ローカルフードで地方創生を」と述べているのは、LIFULL HOME’S総研所長・島原万丈(しまばら・まんじょう)だ。
宮崎県の延岡市と佐伯市は、美食の聖地として知られるスペイン・バスク地方のサン・セバスチャンを見習って、東九州バスク化構想の取り組みを行っている。
これにより「食」をテーマにした経済・文化圏を目指す。
このような動きは日本ではほとんど見られないそうだ。
食をテーマにしても百貨店の物産展、アンテナショップで美味しいものを買っても地元の宿泊施設に行ったり、地元の飲食店で飲み食いしないので、百貨店で言うところの「シャワー効果」がないからなあ。
脱ファスト風土化の動きも取り上げている。立川、仙川、下北沢などを例に上げている。
街を再生するにはどのような店を入れるか。チェーン店もあったほうが人は集まるが、個性を持たせるには個人経営の何かがあるといい。
シャッター通りの店の持ち主、行政の側がどうするかも考える必要がある。
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著者は19年前に地方都市の「ファスト化」に警鐘をならしていた。ファッションも教養も「ファスト化」している現在、著者はどのようなことを考えているのか知りたい
#再考ファスト風土化する日本
#三浦展
23/4/19出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3omVQqP
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「ファスト風土化」とは、著者が20年ほど前に考案した概念。 著者は、日本中のロードサイドにショッピングモールなどの大型商業施設が立ち並ぶことで、地域の風土が均質化し、コミュニティも破壊されると警鐘を鳴らす。
本書は、この論理が人口に膾炙するようになり、ファスト風土に違和感を感じる人が増える一方で、逆にそれを所与の前提として受け入れている若者もいることから、著者が再考を企画して、著されたもの。小説家、建築家、研究者ら様々な専門家による分析や脱ファスト風土化の実践事例も紹介されている。
地方に住む自分としては、地域文化の空洞化によるアイデンティティー危機、環境エネルギーへの負荷の増大、流動化と匿名化による犯罪の増加、人間観・倫理観の変質など、なるほどと思える要素が多々あった。反面、有名な全国的チェーンが立地することで、楽しみを味わいステイタスを実感してしまうのも事実である。
ファストで豊かな消費も楽しみながら、それに翻弄されず、スローな関係性や居場所を確保しサステイナブルな生活を目指すというのがベストだと思う。
その戦略として本書に示されているローカルフードの食文化での地方再生、エリアリノベーションによる遊休不動産の再生などで顔の見える関係性の構築をすることには実効性を感じた。
また、地域のリアルな娯楽文化を取り入れたリクリエーション、リクリエーティブな店や歓楽街づくり、また、歩いて楽しいようなほどよいサイズ感の街づくり、パブリックな空間や広場づくりも参考になった。
ただ、地方が活性化するには、経済循環が必要であり、一部の人が利益を受けるだけではいかない。また、背後地の人口が少なければ地域外の人にも来てもらわなければ成り立たない。スローでスモール、ソフトでもサステイナブルであるためには、大勢の人々のエネルギーが結束しなければならない。
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<目次>(だいぶ略)
再考 ファスト風土化とは何か
第1部 考察編 ファスト風土論を再読する
第2部 実践編 脱・ファスト風土な世界をつくる
第3部 「第五の消費」のまちづくり
<内容>
三浦展は「ファスト風土」を広めた評論家。大きなショッピングモールと大型チェーン店が展開するロードサイドが、日本中に広がり、そこだけに車を乗り付け、消費や娯楽をしていく人々の世界を指す。確かに多くの地方を旅しているが、日本中が金太郎あめのようになっている。そこだけ渋滞しているし、その反動で従来の商店街や駅前はシャッター化しているのを目にしてきた。
それでは日本は衰退していく、というのが大筋なのだが、第3部の「第五の消費」では、それに対する対策が載る。スロー・スモール・ソフト・ソーシャブル・サステナブルの「5S」がキーワードになるという。ワールドワイドな企業よりも地元密着の店、そこにしかない商品を、儲けぎりぎりでゆっくりと販売し、客ものんびりと生活をしながら、消費していく。ある意味、先祖返りするような日々が送れればよいのだろう。
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グローバル化以降、日本はありとあらゆる生活が平準化した。これにより、古くから続いた伝統や名残が徐々に消えてしまった。著者はこのような均一化した現象を「ファスト風土」と名づける。今回、グローバル化の影響下に対抗するような例をいくつか取り上げており、グローバルに対するローカルな分野でいかに昔から続く日本を残していくのかを本書では考察する。
個人的に印象的なのが第5章での新海誠作品の根底に言及したところである。本書では特に触れられなかったが、新海誠は過去に作品の制作に影響を受けた本の一冊に柄谷行人『日本近代文学の起源』をあげた。この本から、作品の風景描写を徹底的に緻密化したとある。このように、何気なく存在する周囲の風景とは、日本という国のアイデンティティを確立するうえで思ったよりも重要だと気づける。グローバル化に飲み込まれて喪失した日本の根底を、いかに再構築するべきか、そんなことを改めて考えさせてくれる本である。
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ほとんどの論考がもともと下手な駄洒落にすぎないファスト風土を実体化し、地方や郊外をディスるだけで分析は乏しい。小金持ちが自分の暮らしの方がいいと説教して、溜飲を下げているだけなのでは。
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論評としては主観が入りすぎているが、消費社会としての郊外のこれからをどう引き受けていくかは重要なテーマであるだろう。
引き受けるのはそこに生きる多くの人々の話であり、建築家や開発者ではない。
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ロードサイド、大規模ショッピングモールに代表される、都市でもない田舎でもない、無個性で画一的な生活をイメージする記号的な風景が、若い世代の心象を脆化・退化させて、未来の日本の衰亡の遠因となる・・ココロある都市社会学者のグループによる危機感の表明、というところか(だいぶ大げさに言えば、だが)。
具体的な地点についての個別描写、個々のオーラルヒストリー的な経験談だけでなく、マッピングされたデータのエビデンス、各種デモグラフィックデータを駆使して、論証しようとてしているが、論理がくっきりと浮かび上がっているという感じではないように感じる。
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戦後のアメリカ的な近代化(モダン化)の一環として地方を中心に消費環境が均一化したことを「ファスト風土化」と称した一方、ポストモダン的な多様性が都市を中心に芽生えたことを紹介しつつ、ファスト風土の次の消費環境の可能性を紹介した著作。
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著者の文章は時折読む事があるが、その中では一番こじつけ、牽強付会を感じた著書だった。結局は中央線沿線の内輪ネタじゃねえの?という感想の域を出なかった。
これだけだと★は2つなのだが、寄せられた論考の方が優れているので★は4つ、間を取って総合★3つとした。
日本全体を網羅するなら、寄稿の数・量をもっと増やし、著書は編者に徹する方が良かったのでは?
自分としては、帯に書いてある「退屈で凡庸なファスト風土」と批判的に書いてあるが、退屈で凡庸こそ日常なのであって、日常はファストメインで十分だと思っている(ファストにすらありつけない人々も数多いのだから、これでもありがたい)ただ、非日常を味わえる場所を身近に幾つか抱えていたい、とは思う。
未来屋書店大阪ドームシティ店にて購入。
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ファスト風土とは地方のロードサイドに見ら
れる大型店やチェーン店が並ぶ風景のことで
す。
全く個性もなく、車社会の象徴とも言えるこ
とに異論はないと思います。
著者の三浦氏は20年前からこのファスト風土
に危機感を抱いていたそうですが、実は現在
では見直しの兆しも見られるらしいです。
ファストフードのカウンターカルチャーとし
てスローフードが見直されたように、脱ファ
スト風土の機運もまた生じているのです。
例えば立川のGreen Springsや、仙川駅呪編
など、そこは単なる消費の場ではなく自己充
足の場だそうです。
単なる買い物や映画を観るためのモールは、
ネットに淘汰されることが予見されます。
その後に必要とされる場は「憩う」ことがで
きる場所なのです。
それらの一連の流れを理解することができる
一冊です。
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この本のテーマに興味がある方にはエドワードレルフの『場所の現象学』をおすすめする。
本書は建築分野を中心に10名ほどが寄稿を持ち寄るかたちで構成されている本なので読みやすかったけど、ファスト風土をテーマに各々が好きな観点から書いているだけなので、考えはあまり深まらなかった。
三浦展さんの文体がややいきすぎている印象を受けて、読んでいて不快な箇所があった。
「ファスト風土の中の人間は、肉体がファストフードでつくられ、精神がアウトレットになるのだ。」など。
ファスト風土を批判したいのはわかるが、批判のしかたが浅はかなように感じた。