家のことと年をとること
2023/07/22 16:05
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わかめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
おばあちゃんの家が荒れ果て、年を重ね認知症かもしれないと考える家族。孫娘が、おばあちゃんの家を再生させるために奮闘する。仲間の協力があり、家を再生し、おばあちゃんを迎えることができた。人のつながりの良さ、年をとることは避けられないことを伝えている。
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とても心温まる優しい物語でした。
主人公の真芽は、付き合っていると思っていた(1人勝手に思い込んでいただけ)男性が、自分の友達と親しそうに寄り添い歩いているのを見かけて、二人と縁を切り仕事まで辞めてしまう。
そんな所に、昔、一緒に暮らしていた祖母が入院したと連絡があり見舞いに行く。
そんな設定で物語は始まる。
一緒に暮らしていた真芽たち家族が家から出て行き、夫である祖父も亡くなり、ひとり暮らしていた祖母の衰え、認知の問題。
荒れ果てた祖母の家と庭。
目を背けたくなる独居老人の課題が、問題視というよりも、ありふれた日常の中に描かれていて深刻にならずに読めた。それでも、いずれ私自身も通る道だと思っている。
そんな祖母の家と庭を、真芽が祖母との思い出、祖母への想いで少しずつ再生していく。
作品の中に出てくる果樹やハーブ、草花がとても魅力的で
真芽によって手を加えられて生き返った庭の活き活きと輝いている様子がとても素敵で、そんな庭の風景を想像すると、とても穏やかな気持ちになりました。
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とても好き。温かい。大事に手元に置いておきたい本。こういう出会いがあるから読書が好き。主人公が仕事辞めてやりたいこと見つける流れが、歌舞伎座の怪紳士に似てるなとも思った。
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嘘の無い力強い言葉が読んだ人に届く本ではないかと思います。
飾らす、夢物語過ぎずにでも希望を持つ事が出来るお話です。
人生は上手くはいきません。でも上手くいかなかった事に目をそらし人の話を聞かないでいると真実が分かりません。
出来ないと思う事でも今の自分が出来る事をやらなければ本当に出来ません。
生きていくうえで分かっているはずなのに知ろうとしなかった大切な事を教えてくれる本です。
読めばタイトルを皆が納得出来ると思います。
解説も是非読んで欲しいです。
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荒れ果てた祖母の家の庭を手入れする真芽。
庭の花が季節ごとに咲き、ハーブや樹木が育ち、実をつけていくにつれて、真芽のまわりに、一緒にいて心地よい人たちが増えていく。
認知症の祖母の本当の思いを知ったり、母を思う娘の気持ちを知ったり、幼なじみのやさしさにふれたり、寂しさを感じて生きている子どもと知り合ったり、思い込みで人を判断していたと反省したり。
真芽の心の傷が庭とともに癒され、みんなが庭に集い、おいしいものがいただける素敵な空間ができた。祖母の庭になぜたくさんの種類の植物や木が植えられていたのか、その理由がわかったとき、孫を思う優しさというものの大きさを感じた。
また、やがて訪れる春のために、真芽も訪れる人達もこの場所でいい時間を過ごせるだろうなと思う。
近くにこんな場所があればなぁ。
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緑いっぱいの庭に、爽やかな風が吹くのが感じられるような、そんな読後感。
単純な、庭再生の物語ではなかった。
真芽が、少しずつ、ひとつずつ、自分のことも、ハルさんのことも、いろんなことを理解して、受け入れていく様子に心動かされる。
真芽が手入れを始めたあれた庭には、不可解な謎がたくさんある。
けれど、真芽がいろんなことに向き合っていくうち、周りの人たちにも変化があって、謎もクリアになっていく。
あずきはかわいいし、遠藤くんもナスビーも、ジローさんも、庭に集う人たちみんなやさしい。
読めば読むほど惹き込まれていって、最後にタイトルの本当の意味が分かった時、ジーンとした。
そして、つい、自分の祖母に、メールを送った。
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『国道296、成田街道、京成本線』のワードからそわそわしていたが、予感は的中し地元の佐倉市が舞台となっていた。町並みが鮮明に蘇るので、物語がより身近に感じられた。
そして私にも認知症の母がおり、先日佐倉に帰り大掃除してきたばかり。良枝おばさんが冷淡に思えれるが、その気持ちも痛いほどよくわかる。人生の冬に差し掛かっている母にどう接していくか改めて考えるきっかけとなった一冊だった。
そしてやがて『ガーデン&カフェ えんどうまめ』が開店されることを期待して…
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荒れ果てた祖母の家の庭を再生することにより、自分と家族をも再生する物語。
庭が荒れてしまった本当の理由。植物がそこに植えてあった本当の意味。過去に衝突した家族各々の真実想い。
事実はひとつだけど真実はそれぞれにあることを忘れないでいたい。
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入院中の祖母に頼まれたことがきっかけで、主人公の真芽はかつて自分も暮らして祖母の家の庭を見に行く。
かつての姿は見る影もなく荒れ果てた庭を見ていつか祖母が帰宅する日のために庭を再生させようと決心する。
庭が再生されるにつれ、疎遠になった祖母の、幻かと思われていた生き生きとした人間関係が次々と明らかになり、それと共に真芽自身が成長してゆく姿がとても眩しかった。
未来を感じさせる終わりに希望を感じます。
「忘れたくて忘れるわけじゃないのよ。私のことを、勝手に決めないでほしい。ふつうにしてほしいだけなの」
こちらの作品、現代ならではというか、耳の痛い話もでてきます。でも見ないふりはできない部分。
祖母の時は私は真芽みたいにうまく接することができなかったので、とても心に刺さりました。
#読書記録 #はらだみずき #やがて訪れる春のために #新潮文庫 #認知症 #
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認知症の疑いのあるハルばあちゃん。
話が進んでいくと、たまにハルばあちゃんの話が
本当だったりもするから、
実は元気で認知症なんかじゃないよと言ってくれればよかったのになぁ。
大好きな人がいつも元気だったのに、
元気がなくなったり、今まで違う様子だったりするのを見るのはつらい。
まめ子も元気になってほしくて、お庭に帰ってきてほしくて
と願って色々と試行錯誤しているんだろうなあと思った。
認知症の悲しい所は、当人もその周りの人も変えてしまうこと。
忘れたくて忘れるわけじゃない。
ハルばあちゃんの心の叫びを聞いたとき涙が出た。
ハルばあがまめ子のために色々としてくれていた形跡が
庭のあちこちにあった描写があって、そこでも涙が出た。
老いは悲しいし怖い。
でも老いは、いつか自分にも親にも子供にもやって来る。
その老いに対してどう向き合っていくか、
とても大事なことだなと思った。
やがて訪れる春(ハル)のために
なのかとタイトルを読み直して
ふっと心が温かくなった。
色々な事を考えさせられる本でした。
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道新の空知欄で、いわた書店のご主人がこの本をお客に勧めることが多い、という記事があった。さっそく買った。いい話でした。この作者の他の本も、そのうち読んでみよう。
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大人になるにつれ考えることは、仕事、他人の評価ばかり。
小さな幸せってよく見ればたくさん溢れてるのだろうけど、どうしても見つけられなくなる。
そんな自分の背中を押してくれるような物語だった。
世間ではマイナスに捉えてしまうことも、マイナスだと思えばマイナス。それをプラスにしていくのも考え方、行動次第なのかと感じた。
『庭』を中心にした物語でたくさんの花、季節の巡りを感じられ、登場人物も実は良い人ばかり。とても温かな物語だった。みんながこれからも幸せでありますように!
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”ただふつうにしてほしい”
認知症のおばあちゃんが
口にした言葉が印象的だった
庭を通じて主人公がだんだん
変わっていくのが
読んでてすごく楽しかった
春を待つ今の季節に
読んで欲しい心温まる1冊です
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小さい頃から祖母と共に過ごしてきた村上真芽。あるきっかけで家族ともども祖母の家から引っ越すことに。それからは大人になっても祖母と共に過ごしてきたその家を訪れることはなかった。そんなある日、祖母が入院したとの連絡、会いに行くと、庭が心配だから見てきてくれないかと頼まれる。しかし、久しぶりに訪れたその家の庭は荒れ果てて、以前祖母が作り上げてきたお花や木々であふれていた庭は跡形もなく、家の中でさえ、信じられないほどだった…。どうやら認知症の症状も出ていると母から知らされる…、そんな祖母にまた素敵なお花や木々を見てもらいたくて真芽は幼馴染の友らとの協力を得て、庭を少しずつきれいにしていこうと決心する。やがてそれが自分が今まで描いてきた夢につながっていく。
祖母の認知症のことが他人事ではなく、年を重ねていくたび、人は記憶をなくしていくのだろうか。。こんなにも生活が乱れてしまうのだろうか…という不安も伝わってくる…。ひと(自分)は記憶でできている、その記憶がなくなってしまったら、自分ではなくなってしまうんじゃないかという不安、、、怖くなる。忘れたくて忘れてるわけじゃない…という悲痛な祖母(ハル)の言葉も心に突き刺さってくる。けれど、生きてる間に築いてきた風景や記憶は、本人だけでなく、本人が忘れてしまっても、家族や友人、お隣さんなど、いろんなところで引き継がれていくことができる。ということもこの本では教えてくれる。最後まで読み進んでいくと新しい春が訪れていた。
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祖母のことを想い、主人公が成長して行く姿が、良かったです。花・植物に対する考え方も少し変わったかもしれません。