中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史
著者 松下 憲一
中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである。そして、漢族と北方遊牧民との対立と融合の歴史でもある。なかでも、秦漢帝国が滅亡した後の「魏晋南北朝時代」は、それまで...
中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史
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商品説明
中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである。そして、漢族と北方遊牧民との対立と融合の歴史でもある。なかでも、秦漢帝国が滅亡した後の「魏晋南北朝時代」は、それまでの「中華」が崩壊し、「新たな中華」へと拡大・再編された大分裂時代だった。この「中国史の分水嶺」で主役を演じたのが、本書の主人公、拓跋部である。
拓跋部は、モンゴル高原の騎馬遊牧集団・鮮卑に属する一部族だった。3世紀、部族国家を築いて歴史に登場し、386年には拓跋珪が北魏王朝を開いて、五胡十六国の混乱を治めた。
北魏では、皇太子の母が死を賜る「子貴母死」や、亡き父の妃を息子が娶るレビレート婚など、遊牧社会の伝統を残しつつ、雲崗・龍門の石窟寺院で知られる仏教文化や、名君・孝文帝の漢化政策により文化の融合が進み、「新たな中華」が形成された。北魏の首都・洛陽の平面プランは、唐の都・長安に受け継がれ、さらに奈良・平城京へともたらされるのである。
北魏は6世紀に東西に分裂するが、その後、中国を統一した隋王朝、さらに大唐帝国の支配層でも拓跋部の人々は活躍し、「誇るべき家柄」となっていた。「夷狄」「胡族」と呼ばれた北方遊牧民の子孫たちは中国社会に溶け込みつつも彼らの伝統を持ち込み、「中華文明」を担っていったのである。
目次
はじめに――分裂と夷狄・胡族の中国史
第一章 拓跋部の故郷――遊牧と伝説
第二章 部族を集めろ――「代国」の時代
第三章 部族を再編せよ――北魏の成立
第四章 中華の半分を手に――胡漢二重体制
第五章 中華の中心へ――孝文帝の「漢化」
第六章 胡漢融合への模索――繁栄と分裂
第七章 誕生! 新たな中華――隋唐帝国の拓跋
おわりに――なぜ中華文明は滅びないのか
あとがき
参考文献
索引
目次
- はじめに――分裂と夷狄・胡族の中国史
- 第一章 拓跋部の故郷――遊牧と伝説
- 1 鮮卑の登場
- 2 『魏書』序紀の歴史観
- 3 大鮮卑山を探せ! カッ仙洞の発見
- 第二章 部族を集めろ――「代国」の時代
- 1 神元帝の拓跋国家
- 2 西晋と代国の成立
- 3 昭成帝の改革
- 第三章 部族を再編せよ――北魏の成立
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漢と胡
2024/11/03 17:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
拓跋氏の歴史をもとに中華世界と北方の遊牧民世界が混じり合う様子がわかり面白い。日本の飛鳥・奈良時代に模倣した中華世界も元々は隋唐の拓跋的な文化が残っているという点も面白かった。
胡族と漢族の融合
2025/03/01 09:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
代表的な中華王朝の一つである「唐王朝」もその起源をたどれば胡族であり、鮮卑拓跋氏である、という話を聞いていたので本書を読んでみた。基本構成は著書の研究結果や大学での講義録を本にまとめた という感じであるが、途中で転生モノ の語りも入って変化をつけているところが面白い。外来の人や文化 文物を好むと好まざるとにかかわらず受け入れていった中国文化の毅さを感じる。クルド人に悩んでいる川口市と対比させると面白い。