紙の本
自立女性?なのかな
2023/07/08 10:07
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか中途半端に終わってしまった小説のようで、ちょっと訳が分からずじまいでした。私の読みが甘いのでしょう。すみません。
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夫と別れて翻訳をしながら一人ベルリンで暮らす美砂.隣人のM,後学校時代の友人,大極拳で知り合ったロシア人や菓子職人などとの交流も含めて日記の延長のような小説.
翻訳中のクライストの『ロカルノの女乞食』や映画「楢山節考」,東プロイセン人のMさんからプルーセン人へと思考はどんどん広がり発展し深まっていく.大極拳との相性もピッタリ.
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著者作品、さほど数は読んでいないが、お気に入りの作家さん。はじめての新聞連載小説だそうだ。
主人公は、著者の分身とも言える存在で、ベルリンで一人暮らしをする翻訳家の美砂。夫の留学についてドイツに来たが、今は別れて暮らす。
隣人の初老男性Mさんと会話するようになり、彼に太極拳の教室に誘われ通うようになる。その教室で、ロシア人富豪の女性、お菓子づくりのパティシエ、英語教師のフィリピン人等、面白い仲間と知り合っていく。
東プロイセン生まれのMさんの過去を聞くにつれ、第二次大戦前後のドイツの歴史、ひいては日本の歴史などに興味を持ち、土地からの追放、戦時の死者数、国や民族、境界について考えるようになる。
一方、太極拳教室で、鶴が羽を広げるように右腕を力強く上げる太極拳の技「白鶴亮翅」を習い、これが小説のタイトルともなっている。
と、あらすじめいたことを記そうとしたが、これらが淡々と語られているだけで、起承転結もなく、訳ありげの隣人Mさんも、後半は旅に出かけて居なくなる。最後は、文通のみ、手紙の文面だけでの登場となり、いったい何がオチで、どこが結末?というお話。
とはいえ、ドイツ語のこと、言葉、翻訳の面白さ、異文化と触れ合う驚きと喜び等々、海外生活経験者に、あるあるの些細な日常の描写が、実にリアリティを持って描かれていて、飽きることなく読み進めた。
関西系メーカーの駐在員が置いて行った家電を引き取り、その家電と主人公は心の中で関西弁で会話する。なんとなく、あぁ、あのメーカーさんね、そういえば、関西弁のキツイ人もいたなあと、自分の海外経験と照らし、実際に海外暮らしをしている著者ならではの体験が元になっているリアルさだなと拝察。
いっそ、エッセイとして、ベルリン暮らしの日々を綴ったという体裁にしても、むしろよかったのでは?と思えるお話だった。
いや、おそらく、そんなたわいもない海外生活での日常を描こうとしていたのが、連載の時期(2022/2/1~8/14)に、とんでもない事態が欧州を、いや世界全体を巻き込んだものだから、右顧左眄しながら、落としどころを探ったのかもしれない。
タイトルの白鶴亮翅に込める思いも、もしかすると変わったかもしれない。
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小説というものは、始まりがあって終わりがある、登場人物たちにとっての何かの出来事があって、物語(小説)のラストではその出来事が丸く収まるものだ(ハッピーエンドであろうとそうでなかろうと)と、自分はこれまでなんとなく思いこんできたのだなぁ。
この小説を読み終わって、ベルリンに住んでいる人たちのある期間の出来事をたまたまそこだけ目にしたんだなー、という不思議な気分になった。
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心待ちにしていた単行本をやっと手に取った。というのも朝日新聞連載時に最初の数日分を読み忘れていたのだ。主人公のちょっとした心模様を淡々と描いた作品なのであまり影響はなかったが。
ドイツに暮らす移民同士の親密すぎない日常を飄々と物語る、まさに多和田葉子にしか書けない文面は心地よく、独特のユーモアに心をくすぐられる。
太極拳にも興味が湧いた。
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初めての作家のハードカバーブック。
なぜ読んだかというと、今まさに私は太極拳を習い始めて3年目。
この主人公は、夫の仕事のためにドイツに移り住んだが、本人は気に入りずっと暮らしていたいと感じる。
そして、日本よりも伸び伸びと生きている自分を発見するのだ。仕事は翻訳家。
2度目の引越しで、バラの美しい隣家の住人高齢のM氏と出会う。
コーヒーを飲みながらのおしゃべりで、国と自分の中の所属性、ところが変われば迫害の加害者、被害者となる歴史を感じる。
日本で暮らしていた時には感じなかった、さまざまな国を背景とする人間たちのそれぞれの幸せと不幸。
立場が変われば、見る人が変われば歴史はかわり、感情も変わる。祖先と今の自分。
M氏から誘われ始めた太極拳の教室でも、さまざまな背景を持つ人々と知り合う。
直接関わりがなくとも、国の祖先が起こしたこと、被ったことと歴史はずっと背景に組み込まれるが、それをただ恐れてはいけない。人を知ることに必要以上の恐れは余計だが、単に無視するには大きすぎる。
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着地点がなくまだ続いていく終わり方だった。題名の白かくりょうしのいみは太極拳のポーズで美砂が隣の人に誘われて一緒に習いにいく。恩田陸の作品と似通っている気がするので目に留まったら違う作品も読んでみたい。時間潰しで読む本。
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「地球にちりばめられて」が非常に面白かったので、読み始めた。同じようにストーリーはなく、次から次へと会話が進むように流れていく。主人公の美沙は現在ベルリンに1人で住んでいる。日本にいた頃は目立たない存在だったが、ドイツに来ると突然周りの人から注目され魅力ある存在へと変わっていく。日本では出せなかった自分がドイツでは自然に溢れてきたからだろう。夫が日本に帰ってからも、ドイツを離れがたく結局離婚して、翻訳で身を建てて生活している。隣人のMに誘われて太極拳学校へ通い始める。隣人Mや太極拳学校の仲間との交流を描いて社会、歴史、現在がかかえる問題など様々なことが描かれている。太極拳の教え方が、日本とは全く違っているのも興味深かった。
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多和田さんにはずいぶん昔に『犬婿入り』を読み異世界を覗かせてもらった。それから2、3回手にしてきたが途中で撃沈し続けている。でも何故かシンパシーを感じる作家さんなので、傷が癒えた頃に(笑)読みたくなる。努力の甲斐があって今回は見事に当たった!
夫の留学先に付いていった主人公・美砂が顔立ちまで変わり人気者になり引っ張りだことなるのに比し、旦那の精彩が日毎に欠けていくのが面白い。
夫は日本へ帰国し(離婚?)たが、ミサはベルリンで一人暮らしを始めた。隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ通い、右腕を力強く上げる技「白鶴亮翅」を習う。「白鶴亮翅」とは、太極拳の技法の一つで、白鶴が翼をパッと広げる様子に似ていることから名付けられ、この技法は、相手の体を開かせ攻撃できる間合いに入るための技。太極拳学校で出会ったロシア人富豪や英語教師らなどとのエピソードが語られている。
エッセイ風小説とでもいうような小話が素直に入ってきて居心地がいい。そこには、奇を衒ったような大げさなファンタジーではなく、爽やかなファンタジーも添えられている。私にとって、多和田ワールドに入っていける絶妙なさじ加減だった。ロシアによるウクライナへの侵略戦争が終わらない現在、今読み継ぐ本書だろう。
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新聞連載で読んだ。
エッセイのような小説。次々と現れる隣人たちが、それぞれに歴史を抱えているのが、袖触り合うも多生の縁で、垣間見えたりもするのだが、それが赤裸々に明かされることもない。
そうやって誰もが生きているのだなということ。
太極拳などしながらね。
太極拳っていいよな。
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ベルリンに暮らす主人公は夫が帰国してからも、ドイツでの暮らしを選び一人暮らしをしている。年齢は恐らく50代後半より上のよう。隣人や大学院時代の友人夫妻との交流、太極拳で知り合った仲間との付き合いを淡々とした文体で描く。特に大きな事件も起こらない話だけど、自分はこういう話が好きなので買ってよかった。からっとして湿度が少ない不思議な風通しの良さを感じる作品。
主人公が細々とした翻訳の仕事の収入だけで、一軒家を友人の紹介で格安で借りられて、夫が帰国した後もドイツに滞在し続けられるという設定はいささかファンタジーに近いけれど、まあ小説なのでいいか、という感じ。
多和田葉子の作品を読むのは初めてだったけれど、他の作品も読んでみたいと思った。
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ベルリンで暮らす美砂は、結婚してからこちらで暮らし始めてもっとここで住んでいたいという気持ちで、夫だけが日本へ帰ることに…。
ひとり暮らしになり、隣人のMさんと交流をもつことで、第二次世界大戦前後のドイツと日本の歴史や民族について興味を持つ。
Mさんに誘われた太極拳学校でもいろんな人と関わる。
美砂は、人づきあいが良さそうに見えて、でもクールな感じもする女性で文学を愛するようでいながらもちょっと違うかも…と不思議であり、でも気にはなり年齢もあきらかにしていないからよくわからないのである。
だが、さらさらと読み進めても不快さは感じない。
家電が関西弁で喋ってくるし、言い返しているし…とわけがわからないおとぼけを挟む。
もう手にとることもないだろうが捨てることのできない本だけが並んでいる本棚の一画をわたしはひそかに「迷い棚」と呼んでいた。
そう、うちにもこの「迷い棚」がある。
確かに捨てたくなるような本でも捨てることはできないのだ。
同じ気持ちだなということに満足しつつ、文中にあった「楢山節考」をうっすらと思い出しこれがドイツ語のタイトルにすると「ナラヤマのバラード」になんともなぁ〜と感じた。
バラードって違うだろう⁇としょうもないことに気を取られてしまった。
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初めて多和田葉子の本を読む。
ノーベル文学賞候補と言われているし、純文学系の賞を軒並み受賞しているので、難解なものを想像していた。
ストーリーらしいストーリーがないが、案外楽しく読める。
著者自身の日常生活をかなり盛り込んであるのでは?と思いながら読んだ。
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太極拳教室で様々な国の人たちと積極的に交流する主人公。東ヨーロッパの複雑な歴史や、中国、日本の文化まで絡めながら展開するストーリーに、わかりやすく知的好奇心を満たしてもらえる。
この本を読みながら、「楢山節考」の映画を見た。若い頃少し齧って面白くなくてやめた太極拳を、またやってみたいと思っている。
何より、いろいろな人に好奇心をもって関わってみることの楽しさ?を感じた。
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ストーリーらしいストーリーは無くて日常を描いてるんだけど面白い。
もっと長く読んでいたくなるような作品。