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投稿者:BHUTAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前テレビで桶を残すために作った、という番組を見たのを思い出し、購入。
いやいや興味深く面白い。
番組でも一回購入すると100年保つのて、頻繁に購入するわけではないっていってたよね。でも絶やしたら100年後は無くなっているわけで、なかなかな問題だ。
60年くらい前は近所の方酒屋さんでは、酒・醤油なんかは大きな樽から量り売りしてくれてた記憶がある。
樽・桶は文字として知っていても、実際の生活では使っていない。少し前まではご近所にそんな仕事をしている家か必ずあったとは今や信じられない。
とても良い本をありがとう。ジュニア新書じゃなくて良いのに、岩波さん。
巨大桶を巡るドキュメンタリーです。
2023/03/20 14:12
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
老舗の伝統の醤油や味噌の味を守る、大変巨大な桶。当書は日本に伝わる巨大桶の伝統を絶やすまいと、ゼロから巨大桶を作る職人になることを志した人々と、彼らに関わる人々の情熱を著者が取材した、熱いドキュメンタリーです。
当書を読めば、巨大桶の効能の凄さに気づき、巨大桶を作る技術を絶やさないことがいかに大切か、理解できます。職人芸と言える巨大桶の作り方も、懇切丁寧に説明されています。
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小豆島のちいさな醤油屋さんが大阪に唯一残った最後の桶職人に弟子入りして桶づくりを継承していくドキュメンタリー。2005年に蔵の木桶が壊れたのを発端に、少しずつ仲間を集め修行をし材料を集め、2013年に初めての大桶を組み上げ、その後も木桶を作って使う輪を少しずつ広げていく活動は最初から最後までおもしろくてどんどん読める。モリナガ・ヨウのイラストもくわしくて楽しくていい。
桶づくりという職人仕事が風前の灯だというのが軸だが、そこに大桶が欠かせぬ日本古来の醸造業各種の盛衰もからんでくるので(タイトルはそこを的確にまとめている)、酒蔵や味噌屋につらなる家系に育った私にとってはひじょうに興味深い本だった。ひとたび作れば100年のスパンで保つものだけに、(木桶からホーローや金属のタンクへの移行もあり)桶屋さんの仕事がコンスタントに確保できずに(新桶を作る機会がなく)どんどん廃業していくことになったというのがやるせない。
酒や醤油づくりの変遷、木桶が使われなくなった顛末と木桶を使う意義、桶の材料となる杉の木や竹の調達、時間との戦いになっている技術の継承など、どれをとっても学ぶことが多いし、側板のくっつきあってバラさないと見えなくなる部分にいろんなメッセージが書かれているとかおもしろすぎる。桶を通して醤油蔵の横のつながりがうまれ、お互いに刺激をあたえ合って元気になれるというのもすてきな副産物。
木桶を使うのは自然にいろんな変化をゆだねる(人為的なコントロールを放棄する)ことになるので、理屈が通じないしさまざまなリスクもあるが、それにたえてこその味わいや個性、おもしろさがあるという考え方、未知の発酵の世界を尊重して菌が気持ちよく働けるようにという発想は、たぶん醸造業にとどまらずだいじな教えだと思う。
このプロジェクトが細く長く続いていき、大小の桶と木桶から生まれる和食の基本調味料がこれからも変わらず作り続けられますように。
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醤油屋が木桶を作ったら面白い
それを発端として
木桶職人の技術の伝承
木桶による発酵食品の多様性
江戸時代の肥の循環
林業の現在
なんかが語られる
ジュニア新書ということもあるだろうが
面白く新しい発見がありイッキ読み
100年後を視野に
醸造業者
職人
林業従事者
そんな人たちが働いていることにくらくらする
酒造業者の言葉
木桶は、コントロールを放棄するような部分を持たないとやってられない。神様お願いしますという気持ちになってくるんです。
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それは醤油屋さんの巨大な木桶が壊れたことから始まった。
この木桶を作る技術が失われる危機。
最後の職人に弟子入りし、木桶作りを学んで継承する
プロジェクトを手掛けた、醤油屋さんと仲間の奮闘記。
それは未来への希望の継承。
第1章 大桶が壊れた日
第2章 木の声を聴け―絶滅危惧種、木桶
第3章 桶ハザマの戦い!―奮闘、桶職人に弟子入り
第4章 木の国、日本―杉とともに歩んできた国
第5章 木桶に託した未来への手紙
第6章 風を吹かす桶屋
コラム、参考資料有り。
始まりは小豆島の醤油屋さん。
100年以上使った木桶が壊れたことから分かった、技術継承の危機。
材料は杉板と竹(竹釘と箍)だが、確実な技能が大事。
醤油屋さんは大工の友人2人を巻き込み、最後の桶職人から学び、
大桶作りに奮闘する。新桶の組み上げには声をかけたメンバーも
加わり、次々と発生する難問の見舞われながら、新桶が完成!
こうして始まった木桶職人復活プロジェクトは、次第に仲間を
増やし、定例イベントの「木桶サミット」では木桶を作り、
技術の継承が全国へと広がってゆく。
合い間にあるのは、桶の基礎知識、その歴史と衰退。
日本の醸造業の戦中・戦後の変遷と木桶を使う醸造業の危機。
山の手入れをする吉野の山守の話。杉は日本の固有種なんだ。
室町時代中期に登場した木桶が変え、支えた食文化と生活。
それらも加えて、分かり易い文章とイラストでの構成。
100年先の未来に繋がる木桶の技術と食文化を、
人の手によって受け継がれていくことの大事さが、
真摯に心に響いていきました。
このプロジェクトが継続して行われることを切に願います。
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〇めちゃくちゃ良かった
日本人必読にしたほうがいいんちゃうかな
〇桶づくりの技術やその継承だけでなく、桶がどんなに私たちの文化を育んできてくれたか、生まれたときからこの世をさる瞬間まで桶にお世話になってきたか
〇和歌山に木桶仕込み醤油の蔵元があるそうなので、今度たずねてみよう
◎はじめに
「もう、桶をつくる職人さんがいないんだ」
二十年前に醤油屋さんや味噌屋さんに聞いてましたが、まさか自分が桶職人の取材をするとは思ってませんでした
大工さんも作れないと言った「おそろしい」桶作りの技術を残そうと“木桶職人復活プロジェクト”を醤油屋さんが立ち上げたと、耳にしました
それから、六年に渡るチャレンジの記録です
1:大桶が壊れた日
小豆島ヤマロク醤油縁起
「地獄のもろみまぜ」
150年物の木桶の破損
←寿命が100年から150年の木桶
職人さんの後継者がおらず、百年経たないうちに桶仕込みが出来なくなる
木桶
…多孔質、小さな穴に「蔵付き」の微生物が沢山住んでいる
…酵母や乳酸菌が何十年・何百年のうちに独自の進化を遂げる
←木桶の中だけの生態系。蔵独自の風味の醤油や味噌
←醤油の熟成は1年から2年。再仕込みは4年
…ホーロー、ステンレス、FRPのタンクは表面がツルツルで洗浄しやすく扱いやすい
…微生物は購入して容器に加える
←三ヶ月から半年で出荷出来る速醸ができる
蔵人の宝物、微生物と木桶
「微生物にお任せする」
…微生物が働きやすい環境を整える
木桶が壊れないことを祈る日々
2009年
日本で最後の桶屋、堺市「藤井製桶所」に九本の桶を注文する
木桶1本二百万円以上
←醤油屋から新桶の注文が入ったのは戦後初
←木桶は百年以上持つので次の注文は百年後
2020年に廃業することを伝える
・大桶は最低三人いないと作れない
後継者がおらず、藤井三兄弟の高齢化
・独特な工具と設備
・もう修理も新桶を作ることも出来ない
ヤマロク醤油:康夫さんの焦り
…廃業した醤油屋から古い木桶を譲り受けもろみを仕込んだが、黄緑色のもろみが出来た
分析では変な数値は出なかったが味が変わった
…子孫のために新桶を注文
←この桶が破損すればおける仕込みの技術も終わる
☆コラム じつはいろいろ、個性的な5種類のしょうゆ味(職人醤油 高橋万太郎)
白醤油:素材を活かす
淡口醤油:美しき京料理に必須
濃口醤油:幅広く使える万能醤油
再仕込醤油:濃厚なうま味とコク
溜醤油:熟成期間が長く、うま味がたっぷり
2:木の声を聴け_絶滅危惧種、木桶
木桶仕込み醤油の本拠地、小豆島は醬の郷
「木桶の価値を意識しながら近代化した」
戦後の近代化のなか、小豆島は木桶を捨てなかった
瀬戸内海の気候「かんかけおろし」
大消費地(大坂)の近くで、水運の物流が盛んだった
絶滅危惧種 木桶
…かつての桶作りは細かな分業制
輪竹業者、樽の底を扱う業者、フタを扱う業者、酒樽業者、醤油樽業者、木取り商(桶専門の材木問屋)など
…桶師:道具を持って渡り歩き造り酒屋などの敷地に出入りして桶を作る「手間」で稼ぐ
…小仕事:おひつや洗面桶など。こんこん屋、とんとん屋、町の桶屋さん
←「産湯から棺桶まで」桶は一生つき合う生活必需品だった
明治時代は百軒に一軒は桶屋があった
…産湯桶、つるべ、水桶、たらい、お櫃、岡持、風呂桶、手桶、小桶、棺桶など
慣用句
・箍がはずれる
・箍がゆるむ
・箍をしめる
木桶の一生のサイクル
酒蔵が新桶を注文
→20年から30年でばらして組み直し醤油屋へ
…塩で木桶が腐りにくく、隙間も埋まり、腕の良い職人の桶は、さらに100年使えた
…さらに味噌屋に行くことも
昭和に入りサイクルが狂い始める
←酒蔵が新桶を作らなくなった
贅沢品
GHQからみるとクレイジーだった
仕込の時間、微生物への無理解、欠減(木桶は酒を飲む)
ステンレスやホーローに変わってすぐは、酒の味が変わったとのクレーム
←10年ほど続く
醸造方法が変わる
戦後の木材の高騰、軍需産業が無くなり鉄の価格の下落
木桶のイメージが過去の遺物に
戦後10年で桶屋の数は百分の一
醸造業と二人三脚で歩んできた桶屋
…古くからの桶屋は酒屋・醤油蔵の木桶の需要減と共に廃業
…藤井製桶所は大正時代の創業のため、工場関係の仕事を開拓していた
+中古の桶を組み直す仕事
組み直しの仕事の中で先人の技術・技能を学ぶ
知識や技術は人に伝えられるけど、「技能(センス)」は伝えられない
←木の声を聴くことは出来るか、聴こうとする姿勢はあるか
今残っている桶は100年越えるレベルの桶だけ
大事な技術だが、桶師としての仕事はない
苗木を植え、山の手入れをするところから、木桶づくりは始まっている
←杉、真竹
小豆島幼なじみ三人組、大桶づくりの3日間の修業に行く
コラム 木桶仕込み醤油って?(醤油ソムリエール 黒島慶子)
もろみの管理は農業と同じ
「蔵は母体。木桶は子宮。もろみは胎児」
風味のバラエティ豊かさ
3:桶ハザマの戦い!_噴騰、桶職人に弟子入り
最後の桶師
昔は代々の醤油屋さんで、毎年の修繕や新調、酒屋さんなら一生仕事があった
毎夏、桶洗いの仕事
9月は竹を刈り、新桶づくりの準備
最後の一軒になってからの30年間
各地の桶屋さんがしまっていくなか、桶職人さんたちを食べさせるために会社を続けた
桶屋の仕事がなく、他の業種の仕事で食いつなぐ
三人組+高橋万太郎さん(職人醤油)+黒島慶子さん(醤油ソムリエール)
康夫さん座右の銘「ザ・ファースト」
…ナンバーワンはいつか抜かれる、オンリーワンはまねされる、でも、一番最初にやった事実だけは、消せない
失敗出来ない側板削り
桶を組むとき隙間無く円筒状になるように削る
正直台:桶材を削るかんな
…四メートルある
二メートルある側板を削る事が出来る
難しい箍編み
藤井製桶三男の泰三さんに叱られる毎日
材料集め
桶材には吉野杉…師匠の紹介
竹の調達が出来ない
←最後の箍職人は1996年に廃業
竹を育てる人、伐りだして削る人と分業されていたが、全ての工程を自分たちでしないといけない
15メートル以上の真竹が必要
…諦めかけていたら、亡き祖父と近所のじいちゃんが、子孫のために真竹を植えていたことが判明。裏山にあった。
…秋から冬が水分が少なく“刈り旬”
…四本の竹から七本の削った竹が必要
…数か月かけて乾燥させる
※コラム 木桶、古今東西(上芝雄史さんのお話)
東日本ではたが、西日本では輪と呼ぶ
「あがりの輪」
「下がりの輪」京都、近江、金沢、酒田
京都:京細桶…日本の桶の原型、柿渋
関西:細桶
東北・能登:手間暇をかけた桶、生漆
酒造りの桶
4:木の国、日本_杉とともに歩んできた国
吉野の山守、中井章太さん
「スギは日本の杉である。そして、日本はスギの日本であった。」遠山富太郎『杉のきた道』
クリプトメリア・ヤポニカ…日本の固有種
クリプトメリア:隠された財産
神話の時代からある杉
『日本書紀』スサノオのひげ
イソタケル:木の種をまきながら和歌山にたどり着く→「木国」
日本の山と森を覆う緑の3割が杉
舟運、食文化の発展の裏に杉あり
名前のユライ「率直(すぐ)なる木」
軽くてやわらかく水を通さない、木目が真っ直ぐで割りやすい
縄文時代から室町時代くらいまではノコギリがなく、割木工という加工方法で板を薄くしていた
奈良時代、木桶登場
…刳桶、曲物桶
室町時代、結桶登場
…ウイスキー桶がシルクロードを通じて伝わった
…大桶は日本独自の技術
←酒の大量生産が可能になる
醤油や味噌、酢などの醗酵調味料が庶民の口に
←天ぷら、蒲焼き、寿司など醗酵調味料を使う和食の原型
←265年続いた江戸時代を支えたのは木桶かも
小仕事は桶屋さん、大桶は桶師
←原料の杉を育てる吉野林業が盛んに、また河川舟運、海運も発達していく
←トイレの桶、都市化。
農村の発達
絶対に漏れない桶、肥桶
農村と年を行き来した肥船
←日本の最初の結桶は井戸のためのもの
←酒樽専用の船、樽廻船
←江戸のリサイクル
樽は再利用されていた(明樽問屋)
山国である日本の資源は山林と木材だった
…山守、木挽き、炭焼き、木地師(広葉樹を加工)、イタカ(竹細工)、サンカ
吉野杉
室町時代の植林の記録。500年間守られてきた
密植:苗木と苗木の間をつめて植林
枝打ち、多間伐
←節の無い真っ直ぐな杉になる
←幹が1㎝太るるのに8年。
ゆっくりの成長が木目を均一にする。
葉枯らし:刈ったあと、葉をつけたまま、頭を山頂に向けて半年寝かされる…葉っぱを通して水分やアクが抜ける。吉野杉特有のピンク色の芯になる
木馬出し:山の斜面に丸太を線路のように並べる、その上を引いていく。
吉野川から紀の川へと、筏を組んで下っていく
大桶づくりの板の木取り
…甲付※白線帯がアルコールを通しにくい
←42-3枚必要
山に人が入る意味
手を入れ続けて循環させないといけない
手が入れられないなら、広葉樹を植え山を復元させないといけない
☆新しい吉野杉の植林は出来ていない
木への感謝と祈り
山の毛細血管のような水脈
水脈を断絶したり、無視して道路を造ると、山の浄化作用が無くなる
川を見れば、背後にどんな山を背負っているかがわかる
山に人が入ることは、川の下流で生きる人たちの暮らしを守ることにつながる
“やまいきさん”
新しく伐採するとき、最初の一本を見極める
最初の一本を刈ったら、塩と御神酒と洗い米を切り株に供える
ヨキ:斧。3本の線(御神酒)と四本の線(五穀豊穣と水・地・火・風の4つの気)
林業の後継者不足
←桶の技術が残っても、材料を提供出来るか
※コラム 木桶が来た道_シルクロードと海のシルクロード(石村眞一先生のお話)
桶狭間シルクロードを通ってやってきた
ローマ帝国時代のガリア地方で桶樽が出現した
→シルクロードを通り、西安、チベットに
→11c後半から13c頃に日本へ
日宋貿易?の桶樽の遺物が平安時代の遺構から発見されている
世界最古のかんな…ポンペイから出土
正直台(台かんな)…ヨーロッパ生まれ、海のシルクロードで中国、そして日本へ
技術は世界とつながっている
「桶樽には、ちょっと普通じゃない、常識では考えられない技術がある」村松貞次郎教授
5:木桶に託した未来への手紙
道具の手入れは職人の基本
側板削り:正直台にのせて押し切り…三次元の曲面を削る
底板:100年の縮みを計算して、楕円形に作る
←100年後、正円になる
←底板のずれは漏れや破損につながる
←アジア象一頭分の重さに耐えなければ成らない
新桶の組み上げ
側板を数枚ずつひとまとめにして「棚」を作る
側板をつなぎ合わせる
…側板の正直面に開けた穴に竹釘を差しこむ
竹釘は孟宗竹、260本
鉄のワイヤーの「仮輪」で押さえる
箍編み、麻縄巻き
箍入れ、箍落とし
上から、鉢巻、口輪
底は上から、大中、小中、三番、底持、二番、尻輪
底板づくり
胴突:底板をはめ、重い柱(胴突)でついて落とす
水入れテスト
側板の正直面に、昔の職人からのメッセージ
自分たちも未来にメッセージを残す
自分の先の世代まで考えての事業計画
時間の価値と意味
水を張ってアクを抜いてから、醤油を仕込む
コラム 木桶をつないだ細い糸_アメリカから来た台風娘
もっと前に途絶える危機があった
交換留学生のセーラさんが、小澤酒造に就職「桶仕込み保存会」を立ち上げる
小澤酒造で新桶が制作される
…たまたまニュースで藤井製桶所の上芝さんが見ていた。2000年で工場をたたむつもりが、初めて大桶に取り組み、仕事をつづけることに
コラム 夢は人間国宝(桶プロ棟梁 坂口直人さんのお話)
縞だけで完結していた仕事がつながっていくのが、たまらなく面白い
素人だったのに、今は木や竹に合わせることが出来るようになった
人に見せることで技術が向上し、進歩し、つなげていける
6:風を吹かす桶屋
木桶サミット
ヤマロク醤油だけでなく、他の醤油の蔵元とも協力しあって木桶仕込み醤油を増やしていきたい
新桶の発注が増えれば、技術の継承が出来る
木桶の構造を蔵元が知ることで、地元で安く修理出来る
歴史的に仲良くなかった蔵元同士の手をつなぐ
※小豆島の蔵元は仲良かった
奈良県御所市の片上醤油、一回目から参加
職人醤油:高橋万太郎さん
…うますぎる醤油が出来てしまった!!
「菌には意識がある」
もろみが醗酵するときのプチプチという音、人間がそばに来て三十秒くらいすると、明らかに大きくなる
お祭りになった木桶づくりイベント
味噌や日本酒、みりんなど、醸造関係のさまざまな分野の蔵元が集まるようになる
・タガフープ世界選手権大会
「木桶職人復活プロジェクト チーム福島」
震災を経て、自分たちが後世に何を残せるか
関東以北の注文にもスムーズに対応出来るように
桶の技術をオーパーツにしないために
自分たちの蔵で使う桶を自分たちで作りたい
海外のクラフト醤油ブーム
「木桶仕込み醤油輸出促進コンソーシアム」
木桶仕込み醤油の背景にあるストーリーも含めて楽しむ
ヤマロク醤油で使っていた桶のオークション
…新桶より安い。ハードルを下げる
地元の木で新桶を作る
課題を楽しむ、次につなげる、広げる
吉野の山守 中井章太さん
吉野杉のなかで、桶材に使う割合が大きくなっている
樽丸として栄えてきた吉野の林業を、百年後につなぐ吉野杉の山をつくって苗木を植えたい
「遠きをはかる者は、百年のために杉苗を植う」
二宮尊徳
◎おわりに
ヨーロッパからシルクロードを通ってやってきた桶づくりの技術
桶が豊かな食文化を育んでくれた
人が伝え、人がつなぐ
一滴の醤油、ひとすくいの味噌に、昔からつながる物語がある
蔵人たちの声に、微生物たちの声に、耳をすませてください。
・参考資料
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酒、味噌、醤油といった日本の伝統的な醸造食品がある。現在それらは、ステンレスやプラスチック系素材を用いた設備で製造されている。昔は(現在でも僅かだが)木製に大桶を使って製造されていた。
これらの巨大な木桶は、 高さ約2メートル、直径約2メートルもある。そして、一度作ると100年から150年は持つという。精巧につくられる大桶は高額だ。だから新しい桶は稼ぎの良い造り酒屋が注文する。20年から30年経って酒がしみ出すようになると、次は醤油屋へ。塩分が隙間を埋め、漏れなくなると、ここからまた100年は使えるという。そして最後は味噌屋で使われることもよくあった。もちろん壊れるまでだ。
酒屋が木桶を使わなくなったのは戦後のことで、食糧不足のために酒を造る余裕がなかった。時間をかけて作る醸造製法では材料のロスも多い。さらに木桶は衛生的ではないと考えられたそうだ。そうして木桶の発注はなくなり、木桶業者は次第に廃れていった。
酒や醤油はその蔵の微生物が木桶に住み着くことにより、蔵独自の風味を出すことが出来る。2005年、小豆島で醤油蔵を営むヤマロク醤油の大桶が150年の寿命を迎え底板が抜けた。そして主は気づいたのだ。直してくれる人がいないと。
最後の桶屋も2020年で廃業するという。それなら、自分たちで桶を作ろうと、主は友人の大工に声をかけ、最後の桶屋に弟子入りするのだ。ここからが大変。伝統的な製法での大桶作りは困難を極めた。それでも、何とか使い物になる木桶を作ることが出来た。いまでは、日本各地で志を同じくする「後継者」が増えているという。
ジュニア向けに書かれおり、イラストや写真も豊富に掲載されて読みやすいし、何といっても面白い。
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岩波ジュニア新書で字も大きくて読み易いのですが、内容も充実しています。
私、発酵食品が好きで、それに関する話も好き。“菌には意識がある”ー理屈だけではわからない発酵の世界。絶滅危惧種の”巨大おけ”が古くて貴重なものだから残していくのではなく、おいしい醤油を作り続ける為に必要だから残す。
古い桶をばらしたら昔の職人の落書きが...等本文のエピソードも、各章後のコラム(木桶仕込み醤油、たがのあがり・さがりー京都はさがり、木桶とシルクロード...)も楽しい。
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日本の食文化を支えてきたおけ。その文化が途絶えそうな時たちあがぅたのはしょうゆ屋。100年先を見据えた仕事を通じた仲間との出会いは感動必至。
おけの耐用年数も材料となる杉も100年。またたがとなる竹も同様に入手方法困難。
最後のおけ屋が廃業することを知り立ち上がった小豆島のしょう油屋は、地元の友人たちとおけを自作することに。
プラスチックなどの代用素材がメインの現在のしょう油造り。年代物のおけに棲む微生物の力で独自の風味が生まれるという。その文化を守ろうとする過程から生まれる新たな出会い。
しょう油、酒、みりん。日本の食文化を支える巨大おけを守ろうと立ち上がる男たちの壮大な物語。プロジェクトXっぽい。
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巨大おけを絶やすな!
木桶の寿命は100~150年。現在桶屋さんは次々に廃業し、桶が壊れても新しく新調できなくなりつつある。その状況に危機感を覚え、小豆島の醤油蔵「ヤマロク醤油」の山本さんは木桶を自ら作る事を決意する。
木桶は作るのには非常に高い技術が必要で、その技術の伝承ができないのは日本の伝統にとって、大きな痛手であると本書を読んで感じた。
木桶の技術が良く分かり、木桶の良さが良く分かり、そしてヤマロク醤油さんはじめ、木桶で酒や味噌を作り続けようとしている人々の思いがとても伝わってきた。
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醤油用の巨大桶をつくる技術を継承して新しい桶をつくる話なんだけど、できちゃうからすごい。今が最後のちゃんすという技術ってたくさんあるんだなあ。ナスカの地上絵とかオーパースになるっていうのもすごい。桶醤油はおいしいけど、これが毎回買える暮しってどんな暮らしだろう。東京に住んでたら難しいなあ。地方でも、現金収入が潤沢じゃないと難しいなあ。うーん。衣食住それなりに丁寧に暮すにはどうやっていくら稼いだらいいんだろう。うーん。
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日本農業新聞の書評を見て購入した。
ひとりがやる気になって、3人の活動になり、すたれそう(すたれる予定?)だった技術をつないで上向きに回復させていった(現在も進行中)という実話が描かれていた。おけでつくる醤油を味わってみたくなった。
元気が出る内容だった。
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最近は精製されすぎてる食品はあまり摂らなくなった経緯もあり、醤油もわりとそういう嗜好だったからわりとそっち側で見ることが出来て興味深かった。
やっぱ発酵とかを最大限に活かすのは微生物の総量と一定時間なのかもと改めて。
凄いプロジェクトだなぁ。山口近辺でこういう動きがあるなら是非参加してみたい
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巨大桶というと北斎の浮世絵を想像する。
桶って色々使えそうだなあって想像していつか田舎で桶の修理とか趣味でやってみたいなあとか妄想しながら本を読み進めていくと、その妄想が机上の空論にならざるを得ないことに気づかされる。
材料は特別すぎる木や竹で、特定の部位を使わないと作れない。製作は共同作業にならざるを得ず、設計寸法とかもなく、職人の腕と勘にゆだねられる。血と汗と涙、怒号と歓喜がたっぷり詰まった人間臭すぎる製造品、凄まじい...。
微生物が木々にすみついて美味しすぎるオリジナルな発酵食品が生まれる、奥が深すぎてとても面白い!
蔵元さんや桶屋さんは本当に大変なのですが、木の巨大桶を使っての発酵品造りと技術を継承を何とか頑張って続けてほしいなあと思うと共に、自分はちょこちょこ積極的に商品を購入する形で応援していきたいなって思いました!
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巨大おけをつくる技術を絶やさないよう奮闘する人たちの話。
職人の技術や食文化、一度失われたら二度と取り戻せないもの、そういうものを絶やさず繋げていくというのは、ロマンがある。
小豆島、ヤマロク醤油、行きたくなった。