- 販売開始日: 2023/06/13
- 出版社: 講談社
- ISBN:978-4-06-531946-8
レーエンデ国物語
著者 多崎 礼
毛布にくるまって読みふけったあの頃のあなたへ――家を抜け出して、少女は銀霧が舞う森へと旅に出た。こんなファンタジーを待っていた!ーーー異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジ...
レーエンデ国物語
商品説明
毛布にくるまって読みふけった
あの頃のあなたへ――
家を抜け出して、少女は銀霧が舞う森へと旅に出た。
こんなファンタジーを待っていた!
ーーー
異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジョルニ帝国。
母を失った領主の娘・ユリアは、結婚と淑やかさのみを求める親族から逃げ出すように冒険の旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタン。
空を舞う泡虫、琥珀色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。ユリアはレーエンデに魅了され、森の民と暮らし始める。はじめての友達をつくり、はじめて仕事をし、はじめての恋を経て、親族の駒でしかなかった少女は、やがて帰るべき場所を得た。
時を同じくして、建国の始祖の予言書が争乱を引き起こす。レーエンデを守るため、ユリアは帝国の存立を揺るがす戦いの渦中へと足を踏み入れる。
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架空の歴史読み物
2024/08/20 08:47
16人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物やファンタジー要素で魅せる類の物語は期待しない方が良い。タイトルがレーエンデ国物語とあるように、この作品の主役はレーエンデと呼ばれる土地そのもの、そこで何代にも渡って積み重ねられた歴史そのものだからだ。冒頭や終章ではちゃんとその点がほのめかされているものの、多分「人の話を聞いて伝えたいことを聞かない」類の人にはわかりづらいかもしれない。特に、第一巻時点での人物評価と、全てのことが終わった後の歴史の総決算としての人物評価を混同してしまう人には「何だこれ」と思わせかねないし、実際、レビューにもそういう人たちの意見が散見される。何なら読者は銀呪病視点か泡虫視点でこれを読んでいると思った方が良い。
登場人物は揃って欠点を備えている。無力で、暗愚で、病に侵され、満月の夜を恐れ、神話に縋り、支配に酔う。一つ一つは小さな人の弱さだが、これらがレーエンデの地で混合し、巨大な動乱へと発展していく。その前兆、そこはかとなく日常に漂う不安を払拭するように振舞う人々の生活はある種のリアリティを持っており、その生々しさを正面から描きながら、このライトな読み口を維持している作者の手腕は見事と言える。
これから時代を隔てて生まれ没する人々が、いかに自らの生きた痕跡を残し、それがレーエンデにどのような影響を残していったか? 歴史の分水嶺を主眼にしながらどっぷりと読書したいシリーズだ。
ここからはレビューの内で気になった点をいくつか。読書の感情体験を書く感想と、内容を他人に紹介するレビューは根本的に違うものであるため、感情体験を優先するあまりに本の内容から乖離している以下の二つについては言及しなければならないと思った。
例えば「AはBをいじめるCを殴った」と書いてあったとしても、「AはCを殴った」は成立するけれど、字面の印象は全然違うだろう。以下に挙げる二点は多かれ少なかれそういう雑な読み飛ばしないし物語の前後関係への混乱、記憶の虫食いを元に書かれた傾向があって信用できないものになっている。そんなもの、レビューを参考にする人たちに向けて放置する訳にはいかないでしょう。「AはBをいじめるCを殴った」への感想は自由でも、「AはCを殴った」のような捏造、切り貼り、読者の頭の中だけに存在する創作を元に書かれたものは、内心に秘めている限りは可愛いものだが、ひと度世に放ってしまえば最後、批判ではなくイチャモンないし挙げ足取りになってしまうものだ。
読者諸兄におかれては、感情は十人十色であるが、印刷された活字は唯一無二であることに留意してレビューしてもらいたい。
それから、最近このレビューから私の他のレビューを熱心にご覧くださる、とある方へ。
あなたのおかげで本の内容全体を吟味するよりも不満点をあげつらって腹いせをすることを優先する人がいるという疑念に確信を持てました。ご多用な折にもかかわらず、わざわざご苦労なさってまで、私の主張に信憑性をくださってありがとうございます。
・ユリアがモテる様子を書きたいだけ?
一番モテてるのは父親。ユリアは父親の縁故バフで良スタートを切って、身分に奢らず庶民生活に寄り添ったので良好な人間関係を築けた感じ。重役の子を接待するノリ。主人公以外に関心を向けないと起こる明らかな誤読。
・言うほどレーエンデ、呪われてなくない?
現実で例えると、定期的に毒ガスが自然発生する地域に定住民がいるようなもの。自分の家がそこにあると想像して欲しい。どう考えても呪われている。読者が頭の中で思い込んでいる呪いのスケールとのギャップを埋められなかったために起こる誤読。
魅せられる世界観
2023/07/17 13:54
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帝国の中心にある独立した緩衝地帯で、古代樹を住処に暮らし、銀呪病という不治の病が発症するレーエンデ。
英雄である父を誇りに思いながらも、自分はからっぽだと感じている少女ユリアが、はじめて故郷を飛び出して父の語った美しい地に足を踏み入れてからはじまる物語。
元傭兵で複雑な境遇を持つトリスタンとの出会い。
互いに影響を与えあって恋をして、自分のために、相手のために、大切な人のために前向きに生き足掻く。
年に何本かは読みたい重厚な王道ファンタジーでとても楽しかった。
独特の世界観に魅せられて最後まで夢中で読んだ。
時を戻せたとしてもきっと同じ道を選ぶという彼らが、正解なんてわからないけどただ後悔しない道を選ぼうとする彼らが、まっすぐに生きて戦う姿。
それが何よりも美しいレーエンデという世界を象徴しているように感じた。
ただ個人的には、終章は蛇足気味で勿体なかったかな。
御子の誕生
2024/05/05 22:11
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユリアは聖母マリアモチーフに描いているのかもしれないと思った。
その産んだこどもを巡って争いが起こり、レーエンデに都が移されることになるのだな。
図書館の予約の関係で先に二作目を読んでいたので、少し物語がつながった。
トリスタン。
シュライヴァ親子娘に出会えて、人生というか人としての在り方そのものが変わったな。
今の自分達ではどうにもできないということがわかっていても、未来を信じて、互いを想って、前に進むのは、それはそれで勇気の要ることではある。
それでも、厳しい現実の中で、確かに生きている。
分厚い本だが、読み始めたら止まらない。
筆力がすごい。
ファンタジー
2024/01/10 10:58
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
英雄の父と訪れた銀の呪いに冒された幻想的な地で、沢山のはじめてを知り、宿命に抗いながら未来を切り拓く少女の壮大な物語。
圧倒的な世界観が光るファンタジーだが、ありふれた日常や突き刺さる心理描写が多く、こんな国が本当にあったかもしれないというリアリティも感じられ、ぐっと惹き込まれた。
美しい自然、迷信に凝り固まった民族の思想、断ち切れない未練、いろんな種類の情景がしっかりと浮かんできた。
あまりに辛いと心も動く事をやめようとするが、トリスタンにとっての「雨」を知った時、やっと救いを見出せた気がした。運命を超越した揺るぎない愛が生み出す王道ファンタジー、第一弾。
ファンタジー要素たっぷり
2024/03/13 13:58
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
不幸な境遇の美青年、幸薄いお姫様、
銀色にかがやく動物たち、
古代樹の内部にしつらえた住まい。
ファンタジー要素たっぷりで
ワクワクしっぱなしでした。
続きがあるのですね、よかった!
答え合わせは完結なのかな
2024/02/29 10:38
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さっちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
他レビュー通り、1巻だけだと救い無さすぎで悲しい
完結までにダイジェストでレーエンデ年表を読む作品なんだと割り切って楽しみに待ってる
1巻でやめなくて良かった
王道を突き進む
2023/06/28 06:35
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユリアとトリスタンとの冒険の数々、まさに直球勝負のファンタジーです。ふたりの時間が限られているだけに、出来るだけ思い出を作ってあげたいです。
モヤモヤ
2023/08/12 22:00
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分はラストにモヤモヤ感が残りました。しかし、ファンタジーがお好きな方には、かなりオススメだとは思いますけど……。ユリアが、レーエンデの聖母ねえ。マルモアと結婚して、結局、レーエンデに戻れなかったんですよね?ウーン
宣伝に難あり
2023/08/22 12:42
7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たや - この投稿者のレビュー一覧を見る
「十二国記や獣の奏者に続く!本格ファンタジー!」という売り文句に惹かれて読みましたが、私には少し合わない本でした。
苦手な点1
登場人物の3割程度がヒステリック。
急にキレたり、理由も無しに異性に惚れたりするので、感情の振り幅についていけない。
主人公のユリアがヒステリック具合ナンバーワンなのも苦しい。
読み進めるほどに主人公が嫌いになる。
苦手な点2
文体や展開がライト。
ライトな作品が悪いわけではないが、「大人向けファンタジー」の売り文句でこの軽さなのが良くない。
台詞の末に多用される「!」や「っ」もライト加減に拍車をかけている。
展開についてはネタバレを避けるために詳細は省くが、全体的に軽薄。
特にラノベ的なテンプレートまみれの恋愛描写がノイズ。
主人公のユリアがモテているところを描きたいだけなのが伝わってくる。
文章が軽すぎる
2024/06/07 19:51
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなに重厚な装丁ではなく、ライトノベルかライト文芸のレーベルで出されていたらこんなにがっかりしなかったのかなあとちょっとだけ思います。
仕方ないかなと思うけど神話の人物や騎士物語の人物を想起させる名前は避けた方が良かったのでは。
イギリス風、ギリシア風、ドイツ風、イタリア風の名前が当たり前に同じ国の中で入り乱れるのもどうなのだろうとも少し思う。
説明ではなく描写をしてほしかった。レーエンデという国の描写は良かったけど人物の描写があまりなくて入り込めない。
キャラクターの内面も考え方も腹に落ちて納得いく感じがなく、ユリアの属性もただ流される女性という感じであまり魅力を感じないままだった。
レーエンデという国の歴史ではなく、レーエンデという国の中でもがく人間の物語が読みたかったです。歴史が読みたければ私たちのこの世界の実在の国の歴史を読む方がいいので。
どんな作品も様々な感想があって当たり前なのに、批判的な意見について読み取り方が悪いというレビューは悲しいかな。