分かり合えなくとも。
2024/03/18 12:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
シニカルさや批評性とは無縁。
エネルギッシュでいつ何時でも友達と繋がっていたいと心の底から思っているレナレナこと玲奈が、他者との分かり合えなさに向き合っていく。
コロナ禍で浮かび上がってきた価値観の相違に対して、彼女がどう向き合っていくのか。
彼女のひたむきさ、愚直さに胸を打たれる。
いわゆる「陽キャ」と呼ばれる彼女と、シニカルさ批評性を持ち合わせた母ユリ。
対極といっても過言ではない母娘を通じ、他者の立場で世界を再認識することは可能であると一縷の希望を本作は描く。
もちろん玲奈のように若さゆえの柔軟性やしなやかさがあってこそ、他者の立場で物事を捉えることができるのかもしれない。
しかし我々は皆、大切な人を通じて世界と出会い直し、世界を受容していくのではないか。
他者と完全分かり合えることはできないが、他者を通じて新たな視座に立つことはできる。
その諦念と希望の狭間を揺蕩い続けることは、決して悲劇ではないはずだ。
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レナレナのママが一番金原作品の登場キャラっぽくて、それ以外はらしくない感じがまた面白かった。コロナ禍の中で起こる中学生活、少し不思議な家族の形。結構平和で平穏なので読みやすい。
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●なぜ気になったか
金原さんの作品に対するイメージは、間違っているかもだが、主人公の陰な感情が絡んだ作品、それらとは異質な作品らしきことを金原さんが述べているので読んでみたい
●読了感想
金原ひとみさん作品イメージ、アップデート! 娘さんの存在が創らせたことが明らかな新境地作。そこここに示唆に富んだ言葉が埋め込まれていて、読んで、感じて、考えさせられて、と楽しめた
#腹を空かせた勇者ども
#金原ひとみ
23/6/14出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
https://amzn.to/3X7malX
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意外にも?爽快な物語だった。登場人物が陽キャであるという触れ込みのもと読んだからか、出てくる感情も割とシンプル。哲学的な表現をする母親との対比が面白かった。今の子達の話し方が浮かび上がってくるような文章の書き方だったけど、短文がずらっと一段落に並んでいるのは少し読みづらかった。
主人公の周りにいる登場人物たちは繊細なタイプも多そうだったので、主人公以外の目線で見た物語も読んでみたかった。
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とにかく明るい陽キャの玲奈とドがつく文化系で家族内公然不倫中のママの冒険譚と言ってもいいくらいのコロナ禍の中のパワフルな日常。
主人公のレナレナは小説も読まないタイプの陽キャだけど、その独白やセリフには随所に金原ひとみの思想が溶け込んでいて、彼女がそのまま陽キャになったらこうなるんだなとちょっと面白かった(彼女の思想や考えについては『パリの砂漠、東京の蜃気楼』を読むと一層面白いと思う)
レナレナとママのやりとりが面白くてずっと読んでいたいと思った。ママのツッコミは辛辣だけど、それを受けてモノローグで述べられるレナレナの感想も違うアプローチの辛辣さでちょっと笑ってしまう。全く違うタイプの人間でも対話によって歩み寄ることはできるし、少しだけ理解することができるようになるかも知れない、とちょっと勇気がもらえる。
『蛇にピアス』から全作読んでるけど、金原ひとみがこんな小説も書くようになったのかとなんだか胸がいっぱいになってしまう。ずっとダウナーな世界を書いてきた人だからこそ、今回のアッパーな物語はそれだけで祝福に思えた。これからも絶対に追いかけ続ける。
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あの金原ひとみの目を通して描く女子中学生、ってそりゃもうどんだけ濃く激しい嵐のような毎日なんだろうと思いつつページをめくる。
めくる。めくる。めくってもめくってもそこにめくるめく嵐のような情動はこない。書き手も読み手も小説によって傷つき合うような不穏さもない。前作くらいから金原小説を読んでも血を流さなくていいときもあるな、とふと。でもそのおかげでちょっと手に取りやすくなった気もする。
なにかと食べ物に手を伸ばしてしまう育ち盛りの中学二年生玲奈。玲奈の母親は夫公認の不倫中。
この母親のキャラがちょっと一緒には暮らしたくない感じの面倒くささ。
バリキャリで家事もしっかりこなす。彼氏の家に泊まりに行くときは夜のご飯と一緒に娘の翌日のお弁当迄しこんでいく。家もきちんと整っているし、全くもって完全無欠の母親なのだけど、思想というか、ポリシーというか、哲学というかがちょっと面倒臭いのだ。14歳の中学二年生なんて言うこともやることも、それほど大した考えがあるわけじゃないだろうに、娘の言動ひとつひとつに対して「理由」や「意味」を求め、それに対して自分の「信念」や「正しさ」を説明していく。
そんなに「正しさ」に忠実なくせになぜ「不倫」などするのか。しかも娘に隠そうともせずに。
その辺りの不安定な強さに娘の玲奈の心も影響を受けていく。
この母親に共感できるところと共感できないところ、その両方に読んでいる自分の心も揺れる。
そんな母親のもとで、中学二年生という不安定な時期を過ごす玲奈。
部活に青春をかけたり、友だちと帰り道で買い食いしたり、ゲームに没頭したり、そんな当たり前の普通の毎日が、当たり前の毎日だけじゃないことを突きつけてくる。
コロナによる変化、今まで知らなかった差別による変化、友だちの恋愛事情、受け入れていたはずの母の不倫への気持ちの変化…大人になるって、面倒臭い。14歳が体験するたくさんの面倒臭い大人への階段。記憶の片隅にあるそんな面倒くささとの闘いを思い出しながら読んだ。
リアル14歳に、これから14歳になる、あるいは14歳を通り過ぎた誰かに読んで欲しい一冊。
ただ、タイトルでちょっと損してる気も。初見で手に取る人を選ぶのでは…(戦争モノ、とかスポ根モノとかと思って読んで欲しい世代に届かない可能性もありやなしや)
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コロナ禍で一番影響があったのは、子供達だったと思う。その中でも友情や恋、親子関係、様々な事は続いていて、泣いたり笑ったりしていたのかもしれない。中高生が読んだら共感できるのかも。
この本の中の母親はちょっと特殊だけど。
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この疾走感とハチャメチャ感と青春って感じ好き。考えるより先に身体と言葉が動く感じが若いなぁ、と懐かしくなった。
ママはなんだか知恵が付きすぎたSiriって感じなのと、ママの彼氏が最後まで有耶無耶だったのが残念
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中高生の話だけど、金原ひとみが書いていると分かる感じがおもしろい。
どの作品にも登場人物に金原ひとみが出てくる。
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金原さんの小説があって良かった。
思えば自分も割と喜びとか怒りとか悲しみとか、
そういう感情の大きなブレが苦手で、色々考え込むことが煩わしいと思っていた人間で。
色々考えてこむようになってから、
あの頃の自分は浅はかだったな、とか思っていたけど、自分に子供ができたとしたら、こんなに思い悩んで欲しくないな、とか思ったり。
安全なとこで、幸せって枠からはみ出さないように、自分が見守れる中でめちゃくちゃ幸せになってほしいとさえ思うのだけど。
でもその陽キャたちは陽キャたちで、
ハードモードな人生を送っている。
結局程度の差こそあれ、みんなそれぞれ色々大変なことを抱えて生きている。
帯にも金原さん自身が書いていたけど、
勝手に幸せになって欲しい。
なんか読んでて何回も泣きそうになった。
金原さんの小説があってよかった。
彼女と会った時に、この小説を読んでいたら、
めちゃくちゃ不満そうな顔をされたけど、
彼女にも幸せになって欲しいです
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恋人との関係に悩んでいたから、玲奈とヨリヨリにわたしも抱きしめられたくなって切なくなった。ほんとうにみんな愛おしい我が子だよって感情になる。
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「この世に小説が存在していることを知らないような愛しい陽キャの小説を書きました。これまで書いてきた主人公たちとは、共に生涯苦しむ覚悟を持ってきました。でも本書の主人公には、私たちを置いて勝手に幸せになってもらいたい、そう思っています。」
金原ひとみさんのこのコメントを読んでから、ずーっと発売を心待ちにしていた。
金原ひとみさんが描く“この世に小説が存在していることを知らないような愛しい陽キャの小説”、そんなの絶対に面白いに決まっているし、面白かった。てか今年の一番でたかも。
中学でバスケに熱中する陽キャのレナレナは、絶賛公然不倫中の文化的ママ、そして自分からは一生遠い存在な気がするちょっと間の抜けたパパとの3人家族。
全員が相容れないながらも協同して営む生活に、私はすごく好感をもった。
なんといっても感情先行型で語彙の乏しい若者言葉を駆使するレナレナと、母親であるユリの雄弁な大人の語り口で織り成される会話の応酬がコントのようで愉快極まる。
ユリは理性的思考を持ち合わせながら罪悪感を抱かずに不倫する金原ひとみ小説らしいタイプの女性で、娘の玲奈に対しても「恋愛っていうのはこの世に於いて最も批評が及ばない範疇のもの。善し悪しを判断するなんてもってのほか、誰かが誰かの恋愛に感想を漏らすだけで滑稽。それを知っているだけで、きっとあなたの知性は十パーセントくらい向上するだろうね」と手厳しい。
これぐらい娘に対して大人の余裕で毅然と振る舞えたら、と思わずにはいられない、私にとってはすごく憧れで魅力的な母親。
中学生から高校生へとめまぐるしく成長していくレナレナの日常は忙しなく、友情に恋愛にと悩みは尽きない。
幼くタフで、浅はかだけど一生懸命。毎日泣いたり笑ったり、大人にとっては「青春のすべてをそこに置いてきた!」って感じのまっただなかを全力で生きている。
学生生活を「硫酸の中に放り込まれたよう」と形容するユリとは破滅的に分かり合えないながらも、その分かり合えなさすらどこまでも愛おしく、言葉を尽くしながら仲良くできるのが娘なんだな、と思わせてくれた。それが母と娘の関係性なんだなと。
14歳はとにかくお腹が空くのだ。お腹をいっぱいにしてあげるのがせめてもの母親の努め。お腹を空かせて帰ってくる娘に、今日もおいしいご飯をつくろう。
そしていつかこの本を読んで感想を交わし合える日が来るといいとも思うし、一生読まないままでただただその潑剌さで幸せになってほしいとも、もうどちらでも私は嬉しい。
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中学から高校、この頃の時はいくらでも食べられるものである。小生もどんぶりメシ5杯食べて母親がビックリしていたことを思い出した。最後に女友達の友情とか母親の愛情などなどあって良かったな!青春時代のいろいろな場面が描かれていて面白かった。
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らしくない笑
なんと清々しい青春小説なんだろう!
まさか、金原さんの小説を読んでこんな気分になるとは。
読後感が、「心が洗われた」って感じなんです。
タイトルが雄々しくて猛々しくて、また身体(や心)に傷をたくさん負った方々の戦いの記なのだろう、その荒波の中で「生」を感じるんだろう、と勝手に想像しつつAmazonでポチッとした新作。
その期待は、見事に裏切られました(いい意味で)。
とにかく主人公レナレナが圧倒的にポジティブで陽キャ。
真っ当な勇者の成長物語なんです。
もちろん、理屈だか、屁理屈だかわからないような、しかしスジの通った、時には小難しい論理展開なんかは、健在。
特に主人公と母親のめんどくさい会話は微笑ましく、その部分を読めば紛れもなく金原さんの作品であることを感じる。
娘さんがレナレナのモデルで、レナレナの母親が金原さん本人をモデルにしているのかな。
この作品、すごく好きだな。
初めて金原さんの作品を自分の娘(レナレナと同じくらいの齢)に読ませたいと思ったかも。
でも、身体的にはあまり痛くないから1点減点。
♪Complicated/Avril Lavigne (2002)
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おもしろくはあったけど、中学生向けの読みものと感じてしまった。
中学生の純粋な心情に共感しながら親の不倫や友達の複雑な事情を考えるのはおもしろかったかも
自分の反抗期に、親も人間なんだ完璧じゃないんだと悟ったときのことをおもいだした
お母さん、お母さんにするにはちょっとやだけど友達にするにはたのしそう