- 販売開始日: 2023/07/21
- 出版社: 白水社
- ISBN:978-4-560-09492-1
古代ローマ人は皇帝の夢を見たか:アルテミドロス『夢判断の書』を読む
著者 ピーター・トーネマン(著) , 藤井千絵(訳) , 藤井崇(監修)
当時の庶民の等身大の姿を生き生きと描き出す1972年、イギリスのある作家が多数のインタビューに基づいて、「国民の3分の1までが王室に関する夢を見たことがある」という結論を...
古代ローマ人は皇帝の夢を見たか:アルテミドロス『夢判断の書』を読む
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商品説明
当時の庶民の等身大の姿を生き生きと描き出す
1972年、イギリスのある作家が多数のインタビューに基づいて、「国民の3分の1までが王室に関する夢を見たことがある」という結論を導き出した。古代ローマ人は、はたして20世紀のイギリス人のように、皇帝と食事をする夢を見たのか?
アルテミドロスは、2世紀末~3世紀初めのローマ帝国を生きた小アジア出身のギリシア人で、5巻からなる『夢判断の書』を著した。これは、古典古代の夢と夢判断の実態を伝える、唯一現存する書物で、フロイトやフーコーが大きな関心を寄せた。本書は、これを同時代の社会、文化、宗教に位置づけながら、当時の人々の希望と不安、またその前提となった価値観――身体と自然の捉え方、ジェンダー観、宗教、そして、首都ローマから遠く離れたギリシア文化圏の都市の住民にとって、帝国とは何だったのか――を読み解く。
古代ローマで著述をした人物としては例外的に、アルテミドロスは高度な教養を備えた知識人ではなく、ギリシアの属州エリートの平均的な教養をもち、庶民や奴隷、上流階層出身の運動選手を顧客とした。『夢判断の書』からは、概説書で描かれるものとはまったく違ったローマ帝国の姿が現れるのである。
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マイナーだけど素晴らしい
2023/10/12 01:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マルクス・アウレリウス - この投稿者のレビュー一覧を見る
アルテミドロスという著者も、「夢判断の書」という作品もマイナーで、この本が商業的に採算取れるのか心配になるが、中身は面白い。タイトルの内容は最後に少し出てくるだけだが、サブタイトルの通り原著の副読本としては秀逸な出来だ。原著はまさに奇書、迷信のオンパレードのようで、楽しいと言えば楽しいが、読み通すには忍耐も必要だが、この本を読めば、原著のバックグラウンドとしてのローマ帝国セウェルス朝から五賢帝期の小アジアの中の上くらいの階層のギリシア人の社会、生活、文化、宗教や考え方などが生き生きと浮かび上がってくる(これもまたマイナーだが)。だがこういった小世界を掘り下げて考える事ができるのも奇跡のような素晴らしい体験ではないだろうか?プラトンやソポクレスを読むのとはまた違った読書体験ができる。