責任と判断
「歯車理論」や「小物理論」の虚偽を突き、第三帝国下の殺戮における個人の責任を問う「独裁体制のもとでの個人の責任」、アウシュヴィッツ後の倫理を検討し、その道徳論を詳らかにす...
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商品説明
「歯車理論」や「小物理論」の虚偽を突き、第三帝国下の殺戮における個人の責任を問う「独裁体制のもとでの個人の責任」、アウシュヴィッツ後の倫理を検討し、その道徳論を詳らかにする講義録「道徳のいくつかの問題」など、ハンナ・アレント後期の未刊行論文集。ユダヤ人である自らの体験を通して全体主義を分析し、20世紀の道徳思想の伝統がいかに破壊されたかをたどる。一方、人間の責任の意味と判断の能力について考察し、考える能力の喪失により生まれる“凡庸な悪”を明らかにする。判断の基準が失われた現代こそ、アレントを読むときだ。
目次
- プロローグ(ソニング賞受賞スピーチ) 一九七五年/第一部 責任/独裁体制のもとでの個人の責任 一九六四年/道徳哲学のいくつかの問題 一九六五─六六年/アレントの『基本的な道徳命題』の異稿/集団責任 一九六八年/思考と道徳の問題──W・H・オーデンに捧げる 一九七一年/第二部 判断/リトルロックについて考える 一九五九年/『神の代理人』──沈黙による罪? 一九六四年/裁かれるアウシュヴィッツ 一九六六年/身からでたさび 一九七五年/解説 ジェローム・コーン/テクストについて/訳者あとがき 中山 元/文庫版への訳者あとがき 中山 元
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アレントの生前の論文をまとめ直したものです!
2019/02/02 13:43
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、アントレが生前に書いた数々の論文を「責任」と「判断」というカテゴリーの下でまとめ直し、収録したものです。ナチスの統治下において、完全に道徳が崩壊して、その状況では善悪と判断すらできなくなっていました。こうした中で、アレントはどのように考え、どのように責任と判断ということについて意見をもっていたのでしょうか。アントレを深く知る絶好の一冊です。
後期アーレント入門
2017/11/03 10:27
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みすみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに示した通り、後期のアーレント思想の入門になる「短篇集」だなと思いました。その日本語訳がハードカバーから文庫本になったというわけで、ありがたい限りです(『政治の約束』はまだかなあ……)。
後期入門と書いたのはなぜかというと、1961年のいわゆる「アイヒマン裁判」傍聴以降の彼女の問題意識が本書からわかるからです。
本書収録の諸論稿の中で彼女は、人間の道徳性の根拠はどこにあるのか? という問いを、さまざまな哲学者を参照しながら独自な形で突き詰めていきます。それももちろん、「アウシュビッツ以後」という視点からです。
原書との比較についてですが、たとえば最も長い論稿「道徳哲学の諸問題」などでのセクション分割は中山元氏の手による日本語版オリジナルです。他にも段落分けなどに彼の手が入っています。よりわかりやすくなっていて親切設計だなと思いますが、ジェローム・コーン編集の原書にはそういうのはないので、大学生の方などは注意してください。