名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集―(新潮文庫)
著者 寮美千子/編
彼らはみな、加害者である前に被害者であった――。貧困、育児放棄、虐待、発達障害によるいじめ、厳しすぎるしつけ。過酷な環境で過ごし、犯罪に走った少年たち。そんな彼らの固く閉...
名前で呼ばれたこともなかったから―奈良少年刑務所詩集―(新潮文庫)
商品説明
彼らはみな、加害者である前に被害者であった――。貧困、育児放棄、虐待、発達障害によるいじめ、厳しすぎるしつけ。過酷な環境で過ごし、犯罪に走った少年たち。そんな彼らの固く閉ざされた心の扉が「物語の教室」を通して少しずつ開かれ、心の内に秘めた思いが詩となって溢れ出す。受刑者に寄り添い向き合ってきた作家が編んだ奇跡の詩集、待望の第二弾。『世界はもっと美しくなる』改題。
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真心とは何だろう
2024/06/25 16:33
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年刑務所の服役者が書いた詩のアンソロジー第二弾。
犯罪者のいかついイメージに反して、優しさや愛について綴られた純朴さ、己の罪へ向けるひたむきな視線は、彼らの根本にある善良さを雄弁に物語っている。
それでも、彼らはついつい態度を硬くしてしまう。弱く見られたくないからイキったり、余計な暴力にさらされたくないから笑顔を被ったり、むっつり黙っていたり、果ては模範的な優等生然とした姿勢を崩さなかったり……心を守るためにまとった鎧の多様さには考えさせられた。
詩だけにとどまらず、人の心の成長・ケアに携わる方々にとっても参考になる解説が添えられている。服役者たちが詩に気持ちを託すにも、まずは心の鎧を脱いでもらわなければならないと言う。安心できる場でしか鎧は脱げない。この本にはその鎧を脱いでもらう手がかりが記されている。加えて本書に収録された詩が生まれた「社会性涵養プログラム」のノウハウまでも収録している徹底ぶりだ。
詩に託した願いは曖昧にして解釈の余地を残されたものが多いと思い込んでいたが、この本に限って言えば、明確に人々の幸福を願っているのだ。