1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ys - この投稿者のレビュー一覧を見る
待望の文庫化。
2時間ほどで読了。
書き出しの一文から安部公房先生の世界。
未完の小説ではありますが、セオリーとも言える不条理さを通じて、自身の所属する社会や世界との繋がりを考えさせられる作品。
人類の内なる繋がりに期待して、この作品に根付く先生の意思が、紛争や社会不安の課題を抱える現代社会を生きる全ての人にいつか伝わることを祈ります。
これを機に本棚に眠った他の作品も今一度、手に取って読みたいと思いました。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yu - この投稿者のレビュー一覧を見る
前情報なしで読んだのでここからどうなるんだろうというところで終わってしまい残念でした。その次の「さまざまな父」でエピソード0まで描いているので叶わないことですが最後まで読みたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
文庫化してなかったんだと今更のようにビックリ!
単行本で読んでいるから、悩むところでもあるけど、解説読みたさに手にとると思うσ(^_^;)
投稿元:
レビューを見る
遺作で未完とされる本作。
「さまざまな父」を含めて完結で良いのではと感じる。
解説によると「内部の内部に外部との絡路を探し求めた作家」とある。
彼の作品群はベルリンの壁崩壊前の東欧圏で特に受け入れられていたという。
興味深い。
他作品も体験したい。
投稿元:
レビューを見る
安部公房さんの作品に久々に再会しました。砂の女、箱男をかなり前に読んだ記憶があります。いずれも設定が突拍子もなく一気に興味を惹かれる。この作品も最初から現実とは思えないものの、即イメージできる情景描写がおかしな場面を想像できた。
解説が福岡伸一さんでした。生物と無生物のあいだ は難しいけど、理解できる説明でわかりやすかった。今回の解説の中でも「内側の内側は外側になる」は、細胞の動きの説明でクリアに理解できた。
話の内容に戻る。明らかに動力がなくて戸建の少し上くらいの高さを飛んでる人から電話がくるとは、起きてることもその先もなかなか予想出来ず、先が気になった。更に別の角度には撃ち落とそうとしている人が居るなんて。まだ書いている途中のようで、叶わぬ願望ですが結末まで読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
本書との出会いは書店の新刊書コーナーで。安部公房の新刊書?お亡くなりになってから大分経つのに。新しい作品が発掘されたのか?裏の帯を見たら今年は安部公房生誕100年とのこと。新潮文庫では新刊を2か月連続で刊行するとの気合の入れ方。これまで単行本で文庫化できていなかった2冊だ。芸術新潮でも特集記事が組まれていた。もう、新潮社の鼻息が荒い。新潮社は既に、1972~1973年に全15巻、1997~2009年に全30巻と2回全集を刊行しているが、さすがにもう全集は出ないだろう。それよりも、生誕100年ということで、古本の全集の値段が急に吊り上がりはしないかと恐れている。でも、来年には読破を挫折した人が大量に発生し、どんどん古本屋に引き取ってもらって値崩れを起こすのではないかと期待している。全集の購入は来年以降が狙い目だ。
若い頃は安部公房の新刊書・文庫本が出る度に買っては途中で投げ出しの連続だった。悲しいことに、最後まで読んだのは「砂の女」のみ。哲学的な面がある一方、意味不明な展開が見られるため断念したのだと思っている。今は時間があるので、過去に断念した作品をもう一度腰を据えて読んでみるつもり。思い切って古本屋で新しい方の全集を大人買いしようかとも思ったが、多分それは再び断念の道に向かって進みそうなので、きちんとした読破計画を立てる予定。取り敢えず、3/28に発売の「題未定」を読んで、芸術新潮で特集記事を読んで、古本で昔の新潮文庫を数冊読んで、これは行ける!と思ったら10万円くらいかけて古本で全集を買うところまで行けばベスト。でも、途中で挫けそうな予感もする、まあ半分半分だな。そのうち、新潮社では筒井康隆のXdayの翌年には再び全集(多分、全60巻くらいになるのでは?全部買うと50万円くらいかかる?)を出すだろうから、そちらに意識が流れてしまうと、安部公房の全集を読破できるかは不透明。気合を入れて両者のバランスを取りつつ真剣に取り組みたい。
さて、本書「飛ぶ男」については、未完の小説なので、そのことを踏まえて読み進めた。特に後半は未推敲と思われる文調が目立ち始める。そして133ページ辺りからカオスに突入する。追加で「さまざまな父」が収載されているが、もしかしたらこの他にもスピンアウト的な作品を沢山書きたかったのではなかろうか。そしてその後で「飛ぶ男」(完成版)に仕上げるつもりだったかもしれない。途中、性的表現も含まれているが、何か筒井康隆に一部感化されていたのではと推測している。
さあて、3/28に発売の「題未定」を読むぞ!月末が待ち遠しい。
投稿元:
レビューを見る
安部公房の夫人の編集者的改変を元に戻した編集になっているそう。フロッピーディスクの遺稿だそうな。不眠症、夢、性転換など、興味深いテーマが次々と立ち現れ混淆する、不思議な作品だ。だが、正直内容は、よくわからない。すでに全集で読んで、何回か読んでいるが、なんの話なのかと訊かれるとさっぱりである。晩年の暴走って感じ?だろうか……
投稿元:
レビューを見る
起承転結の転で終わった
二部に相当する話しでそういうことかと思い
未完
これから承転がくりかえされて物語がどう
進むかはもう、わからない
最後まで読みたかった
投稿元:
レビューを見る
正直内容はよく分からないけど、細かすぎる情景描写、予定調和にならずに次々と放たれる独特な描写の応酬にただただ圧倒される 完全に理解するには私の中の語彙力やら知見、寛容さが足りなすぎた
投稿元:
レビューを見る
安部公房の銀色の文庫は古本屋、ブックオフで見かけたら買うようにしているのだが本屋で新作を見かけたので買った。ジャケが毎回マジでかっこいい。死後にフロッピーディスクから発掘された原稿らしい。アウトテイクのリリースは賛否あると思うが、本著は補完せずに未完成のままリリースされており潔さがあった。
空を飛ぶ男とそれを目撃するアパートの住人男女2人という設定。会話がかなり多く演劇を見ているような気分になる。人智を超えている設定としては「空を飛ぶ」ということだけで、こんなに不穏な物語を構築できる点に安部公房らしさを感じた。その大きな要因としては、空を飛ぶ能力を持つ男よりも目撃者である2人の方が只者ではないからだ。大量のガラクタをコレクションする男、銃で空飛ぶ男を狙撃する女。一度関わったらタダではすまない底なし沼のようなキャラクターたちの魅力が溢れている。それらを起点にして物語がこれからスイングしようとしているところで終わってしまっている点がもったいない。実際、終盤は文章が一部抜けており完全に未完成の状態となっていた。エンタメ性を担保しつつ深い示唆を読者に与える点が彼の魅力だと考えているので片手落ちな感じは否めなかった。初期短編集もこないだ出たらしいので、そちらを読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
彼女は、いまでも安部公房を読んでいるのだろうか。彼女とは、僕の大好きな俳優の松岡茉優さんのこと。高校生当時の彼女の有名なエピソードから、僕は安部公房に興味を持ち、読み始めた。この本で3冊目。『砂の女』『カンガルーノート』に続き、ようやく3冊目を読み終えた。
安部公房の物語は、読み始めると、あっという間に読み切ってしまう。今日も18時頃から読み始め、19時半に夕食を摂り、その後21時過ぎに再開して23時には読み終えてしまった。先に読んだ2冊も、こんなペースだった。読書の話題を共有する職場の同僚に話したら「読むの速いっすね」と返された。そんな自覚はないけれど、想像力を刺激され、集中力が高まる物語、素直に面白いから止まらなかった、と言ったほうが、しっくりくる。
さて『飛ぶ男』
先に読んだ物語よりも、明るい印象だった。未完ゆえか。安部公房の物語に立ち込める、ほの暗さというか、束縛感というか、何かしら付き纏う重しのような感覚が一切なかった。純粋なエンターテイメント、というのかな。どうやら物語は、きっと、まだ序盤なのでしょう。終盤の空白のあるページが唯一、不穏な空気を醸していた。
投稿元:
レビューを見る
中学の時に知った「砂の女」、高校の教科書に出てきた「鞄」、それからずっと本屋で安倍工房の名前を目の端で捉えては手を出せずにいたが、「飛ぶ男」にはどうしても惹かれるものがあり購入してしまった。
表紙をしっかりと見ていなかったため、読み始めてから遺作で未完成作品であることを知る。が、あらすじから滲み出る面白さの予感。抜群の設定と意味の分からない関係性。
いざ読み始めると「まじかよ。」とツッコミたくなる不可解な行動や思想。作者の脳内のまま、寄り道させられる話。どうしたらそんな連想ゲームができるんだよ。所々に見られるクスリとできる表現にも好感が持てた。
未完成であることが残念なくらい、続きというか、結末が気になる作品であった。是非、来世で読み切りたいなと思う。安倍工房があの世この世を渡り歩き、その脳内の思考を文章にすることを願わんとす。
という感想を書き終えて、もう一つの短編「さまざまな父」を読み始めたが、まさか「飛ぶ男」の裏話が読めるとは思わず、続きがないことのもどかしさを更に感じた。超大作になる予感、その予感だけが心の中に残り続けている。
投稿元:
レビューを見る
飛ぶ男
p121
しめしめ、背骨が曲りはじめたぞ。
作家の頭を盗み見ているような感じ。
起承から書くタイプなのかと想像。どれだけの編集や修正的な加筆が施されているのかはわからないけど、これだけでも資料的な価値はあるのかなと。
章が変わって、視点が変わる感じは見事で、本作が未完のまま終わるのは残念ではある。かなりボリュームのあるエピソードの序章。
解説も興味深く拝読。遺作を世に出す、という行為は個人的にはノーだけれど、近しい人間の執念も感じられてこれはこれでいいのかもと思った次第。
投稿元:
レビューを見る
素敵すぎる!最高です!
未完成だけどそこも含めて「完成」ととらえる
独特な世界観と斜め上から見下ろすような描写
なのになぜかリアルで映像が脳内に溢れる
ほどよいカオス感が大好物!
投稿元:
レビューを見る
本屋をぶらっと見ていたら何と新刊に安部公房が!!!一番好きな作家と言っていいくらいに好きなのでとても感激!
未完ながら、この精緻で堅牢な構造物のようにかっちりとした文章は正に安部公房。飛ぶ男というのも安部公房らしい。最初未完と知らずに読み始めたので、途中から文字が欠けていたので印刷ミス?と一瞬思ったがそうではなかったみたい。あの微妙な空白は何の空白なんだろうか?
とはいえしっかり安部公房の世界を感じれてよかった。「さまざまな父」も同じモチーフのようなのでこれらがひとつの作品として纏まればかなり面白い作品になるだろうな、と空想するのもまた楽しい。
安部公房、また全部読み直そうかな、と思って家にある新潮文庫をみたら字が小さくてちょっと辛い…(まだカバーの背中も今の銀じゃなくて青いやつ)落ち着いて読めるように書い直そうかな…
安部公房を全部読んだ人は是非!そうでない方はまずは他の完成作品から読むことをお勧めします。