- 販売開始日: 2024/03/22
- 出版社: 山川出版社
- ISBN:978-4-634-15240-3
北朝天皇研究の最前線
天皇を理解するうえで重要な一時代である南287北朝期について、戦前における南朝方の評価、戦後の足利尊氏再評価による室町幕府研究の進展をへて、ようやく光があたった北朝天皇の...
北朝天皇研究の最前線
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商品説明
天皇を理解するうえで重要な一時代である南287北朝期について、戦前における南朝方の評価、戦後の足利尊氏再評価による室町幕府研究の進展をへて、ようやく光があたった北朝天皇の政治的役割や存在意義を捉え直す!
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光厳院と「新北朝」
2023/11/30 08:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前はなかった北朝の天皇についてまとまった入門書。江戸時代以来の南朝崇拝で皇統につながるのに影が薄い北朝は戦後も唯物史観による「天皇制批判」では武家は論じても北朝は相変わらずだ。最近は光厳天皇の伝記などは出るようになったが後伏見院の落飾で持明院統の家長になった光厳院の「生臭い」くらいの政治的な役割を過小評価したか見ようとしなかった上で美化しているように見える。この本は持明院統の家長として正平の一統で崇光天皇が廃されるまでの治天の君としての光厳院の役割をもっと書いてほしかった。
直仁親王は花園院の皇子という事になっていたので正平の一統がなくても直仁親王が光厳院の意思通りに践祚した場合には崇光天皇と栄仁親王と揉めていたかもしれない。直仁親王が尊氏の正室の赤橋登子とつながるので光厳院が室町幕府との関係強化を願った結果とは指摘されていても「室町の天皇」で後円融天皇と足利義満をつなぐ人物として出てくる義満の生母の紀仲子を光厳院が認めて不仲になっていた後光厳天皇の位置づけを認めたとは面白い。正平の一統で落飾した光厳院は終生持明院統の家長という意識があったのだろうか。
また「神皇正統記」には光明天皇を「元弘偽主の御弟」と書かれていても光厳天皇は後伏見院の院宣によって践祚しているので少なくとも崇光天皇までは南朝でもそれなりの正統性が否定出来なかったように思える。でないと承久の乱での仲恭天皇の廃位と後堀河院の践祚や四条天皇の崩御による後嵯峨院の践祚なども否認しなければならないので南朝自体の正統性を否認してしまう事になる。広義門院の令旨によって践祚した後光厳天皇が「偽主」「偽朝」だと南朝から非難されたとこの本にも書かれている。後光厳朝以降の北朝を「新北朝」と論じた本があるそうだが正平の一統前と後の北朝の位置づけの違いも書いてほしいところだ。