中上健次短篇集
著者 道籏泰三(編)
戦後生まれの代表的な作家となった中上健次(1946-1992)は,郷里・熊野と土地に根差した一族への痛切なこだわりを終生いだき続けた.圧倒的なまでの暴力と性の奔流――中上...
中上健次短篇集
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商品説明
戦後生まれの代表的な作家となった中上健次(1946-1992)は,郷里・熊野と土地に根差した一族への痛切なこだわりを終生いだき続けた.圧倒的なまでの暴力と性の奔流――中上の憤怒と哀しみは,やがて人間への優しさに昇華されていく.初期の代表作「十九歳の地図」や,「楽土」「ラプラタ綺譚」等,雄勁と繊細の織りなす短篇10篇を精選.
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時代が中上健次を求めた
2024/07/26 12:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中上健次。昭和21年(1946年)8月生まれ。
『岬』で第74回芥川賞を受賞(1976年)した際には、
戦後生まれで初の受賞者として話題となったものだ。
受賞後、受賞作を含む『枯木灘』『地の果て至上の時』といった
主人公の名がついた「秋幸三部作」など圧倒的な筆力をもった作家として多くの読者をもった。
しかし、平成4年(1992年)、46歳の若さでガンで亡くなる。
早いもので、中上が亡くなって、もう30年以上経つのか、
そんな思いで岩波文庫の一冊になった『中上健次短編集』を手にした。
初期作品として有名な「十九歳の地図」をはじめ、
20歳の時の作品「隆男と美津子」や「眠りの日々」、
映画「青春の殺人者」の原作と知られる「蛇淫」、
後期の連作『千年の愉楽』からの1篇「ラプラタ綺譚」など
短編10篇が収録されている。
芥川賞受賞作「岬」が収録されていないのは、残念だが、
中上の生きた、そして書いた時代の熱さは、この短編集でも健在だ。
あの時代、中上は時代そのものに苛立っていた。
そして、その気分は時代そのものがそうで、何かになりたいけれど、なれない。
どこかに行きたいけれど、どこにもいけない。
中上はそんな時代の焦燥を描いた作家だったといえる。
中上の死から30年以上経って、時代はそんな苛立ちからも覚めているように感じる。
時代はそれでも、まだ中上健次を求めている、そう感じる一冊だ。
やっぱり「十九歳の地図」はいい
2024/06/03 09:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
10の短篇が収められている作品集、そのうち作品集「化粧」に収録されている「修験」「穢土」「楽土」の3作品は読んで間がないので割愛、他の作品を読む。「十九歳の地図」を読んだのは何十年ぶりだろう、新聞配達をしている予備校生の主人公、私も浪人していたらああなってしまってただろうなという気持ちは若いころ読んだ時と変わらなかったが、同室に住む紺野に対して親近感を持ってしまう私は若いころに持っていた夢や利用をなくしてしまったということなのだろうか、若いころ読んでいた時は彼をことがたまらなく嫌いだったが(映画では蟹江敬三が演じていてはまりすぎていた)、そして「路地」もの、路地に生まれた苦悩を描くのではなく、路地で生きるということを描く彼の筆、もっと彼の作品が読みたかった
アンソロジー
2023/08/31 14:00
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編といっても、所収単行本ごとの自立性がとても高い作家なので、こういう編集は新鮮でした。はじめての試みですかね?