- 販売開始日: 2024/10/14
- 出版社: 慶應義塾大学出版会
- ISBN:978-4-7664-2987-9
マテリアル・ガールズ
著者 キャスリン・ストック(著) , 中里見博(訳) , 千田有紀(解説)
ジェンダーアイデンティティとは何か。混迷をきわめるジェンダー問題を分析し、 平等な社会のための現実的な解決策を提示する。多様な「性」を尊重する社会づくりが世界的に進むなか...
マテリアル・ガールズ
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商品説明
ジェンダーアイデンティティとは何か。
混迷をきわめるジェンダー問題を分析し、 平等な社会のための現実的な解決策を提示する。
多様な「性」を尊重する社会づくりが世界的に進むなかで、それに合わせた法制度などが整備されつつある。その一方で、複雑化した「ジェンダー概念」への理解が追いつかず、社会的混乱を来してもいる。本書では、生物学的性別よりもジェンダーを優先する、いわゆる「ジェンダーアイデンティティ理論」が生まれた思想的背景を、ボーヴォワール、ジュディス・バトラーなどを振り返りながら丁寧に説明し、「ジェンダーアイデンティティ」とは何かを明らかにする。さらに、女性専用スペース、医療、政治、データ収集など、さまざまな文脈において生物学的性別の重要性を提示することを通して、「誰もが生きやすい社会」の実現に向けた現実的な解決を試みる。
目次
- 日本語版への序文
- 序章
- 第1章 ジェンダーアイデンティティの簡潔な歴史
- 第2章 性別とは何か
- 第3章 なぜ性別が重要なのか
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これは立派なヘイト本
2026/01/28 10:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在、トランス排除に対して、ほとんどのフェミニストは批判している。特にトランス排除ラディカルフェミニストがターフとよばれている。本書は、そのトランスを排除する側から書かれた本。ただし、科学に対する間違った解釈、恣意的な数字の引用、論点ずらしなどが散見されていて、結局のところ、ヘイト本と変わりない。使われているロジックは、外国人排斥のものと同じだからだ。
一例として、生物学を学んだ身からすれば、生物学における性を間違ったとらえ方をしている点を指摘する。生物における性というのは、固定的なものではない。生存戦略の中で、適応するために構築されてきた。雌のカマキリは雄を食べてしまうが、ズワイガニの雌は毎年卵を産むために大きく成長できない。そして、人間の染色体の話をすれば、男性になるための遺伝子のほとんどはX染色体にあり、Y染色体はスイッチでしかない。そうした中で、生物学的性を絶対視していくということには違和感がある。
しかし、もっと大きな問題は、フェミニズムそのものが、ジェンダーの間でつくられた境界線を消そうとしてきたものであるのに対し、トランス排除派はその境界線を引き直そうとしていることだ。だから著者は、フェミニズムは「生物学的な女性、少女のためのものであるべき」だとするが、現在のフェミニズムはそうではなく、「多様なジェンダーの間で弱い立場にいる人たちに公平性をもたらす」ことを求めている。でも、現実では生物学的に男女に分けられている。たぶん、それはトランスセクシュアリティの人たちにとってめんどくさいけれど、現実的に対応するしかないことなのだろう。セルフIDですべてを解決しようとしているものではない。
結局、フェミニズムを「女性、少女」のためのものとして100年前に引き戻してしまうことで容易に「女性は男性とは違って、弱く手守られるべきもの」として家父長制を正当化する保守的な思想に吸収されてしまう。それが現状であり、今の米国でトランプ政権がしていることでもある。
一方、トランス排除の病理がわかる。キャンセルカルチャーには同意しないし、こうした本が出版されることも表現の自由だと思う。同時に、それは責任を引き受けることでもあるし、結果として著者が大学を追われることになったのも、それは大学の多くの人が、これを学術的に評価しない、有害なヘイトだととらえたからなのだろう。