今後の日本経済を考える材料となるお勧めの本です
2025/02/08 17:36
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1部では、経済データに基づく日本経済の構造変化を概説。第2部では、建設・運輸・小売・旅館・医療・介護の各業界での具体的な対策を紹介。第3部では、未来予測と論点を提示。やたらと悲観論で煽る本が目立つ中、現場での取組を紹介しつつ今後の課題等を示した好著でした。「人が足りないから人を移入させようとか、企業が困っているから補助しようという発想ではなく、市場メカニズムに身をゆだねながら、必要な調整を促すという、民間企業の活力を信頼すべき」という結論が印象的でした。今後の日本経済を考える材料となるお勧めの本です。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからの日本経済の行方について、わかりやすく解説されていてよかったです。人口減少社会で起こることに、興味を持ちました。
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今後日本の人口が急減することは確実。その時、この国はどうなっているのか。
まず驚くのが日本の高齢者の就業比率。外国に比べ突出して高い。65~69歳男性では61%なのに対し、米国37%独22%仏11%。70代前半では日本41%仏4%。これはもう仕事をしたいとか、社会貢献とかの以前に、働かないと生きていけないからとしか思えない。しかしこれから労働力不足により、賃金は更に上昇していく。そうして高齢者の就業は更に増加していくのだ。
国際収支は悪化。国際収支は単純に赤字が駄目という訳でもないが、日本は非資源国であり、且つ世界に先駆けて人口減少と高齢化が進む。だから日本円の価値を維持するためにも国際収支の黒字基調を極力維持する必要がある。
いずれにしても、今後の人口減少により世界の中で日本経済のプレゼンスは相対的に低下するのは確実。これにより、社会全体のイノベーションが停滞し、生活水準全体が低下するのか、もしくは人手不足の圧力が、経済の高度化につながるのかは判らない。しかしどちらとしてもこの国全体に大きなストレスがかかることとなる。
その解消には1.外国人労働者を受け入れるのか、2.地方都市の周密性をどう維持するのか、又はしないのか。3.自国の比較優位をどこに見出すのか。等、難問山積の状況だ。
人口減少に対する解決は、国内経済や社会インフラを考えれば、欧米のように移民を受け入れるしか道は無さそう。ただそうなったら欧米のように、流入により不利益を被る人達が極右化し、グローバリズム派と国が二分化してしまうだろう。どうするのが最適解なのか?
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著者のこれまでの書著と同様、新書で280ページ超と、今後の日本経済の行く末を論じた、ボリューム満点の内容でした。
詳細な統計データを提示した上で、現下では、過去の日本経済とは全く異なった雇用状況が進行中であり、雇用者に対して、高水準な給与水準や魅力ある福利厚生を準備しない企業は、いずれ淘汰されていくだろうとの著者の主張には、すごく同意させられるものがありました。
それとともに、本書を読了して、個人的に思ったのは、今後、日本経済には好不況というものが、明確に表れにくくなるのではないかということです。
過去の日本経済においては、労働力としての雇用者は、企業の売上金額が減少した時の調整弁的な位置づけだったので、好況及び不況という現象が現れやすかったと思うのですが、人口がどんどん減少する現在においては、安易に雇用者を調整弁として活用していては、企業自体が存続できない状況にあるため、好況、不況という現象が起こりにくくなっているような気がします。
ここは、よく注意しておかなければいけないと感じました。
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素晴らしかった。少子高齢化、労働力不足、インフレ、賃金などについて、忖度や、余計なレトリックを使わず、データにもとづいて簡潔に説明していく。
内容については、うなずけるものがほとんどであったが、労働集約的産業の、技術開発やプロセス改革による今後の生産性向上の可能性については、やや楽観的に過ぎるように感じた。
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ほんとうの日本経済
著者:坂本貴志
2024年1月20日 初版
日本社会の人口は、2015年までの調整期を超えて減少局面に入っている。また、減少スピードは今後加速することがほぼ確定。その前提の上で、日本社会に訪れるだろう将来を描いている。統計資料と企業への聞き取りが土台にあるので説得力高い。(過去読んだ他著作も同じ傾向。)
生産能力供給(労働力)がタイト化する中で、賃金上昇と生産性向上・社会の高度化が並立するのがベストシナリオ。それを可能にするのが各種の先端テクノロジー(センシング、IOT)またその上で日本社会の世界での存在感は相対的に低下。サービスの質と量は減少低下していく。およそ現在起こりつつあるものがより顕在化していくプロセスが今後やってくると。
社会全体としては、いかに素敵に効率的にあっさりと縮んで行けるかという議論に、今後なって行くのだなと理解できた。
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普段そういうことは余りしないのだが、読んでいて付箋だらけになった。ワタクシにとって、なにか目新しいこと、意外なことがたくさん書いてある訳ではない。それでも、こうして大きな絵図として示されると説得力がある
人口が減ることや高齢化が進むことは、それこそ何十年も前から分かっていた話ではあるが、その影響が、いつ(これがけっこう大事)、どのように現れるかは必ずしもコンセンサスがあったのではないように感じている。少し前には人口減少による需要減退を見通して投資が少なくなっているとは言われたものだが、個人的にはどうにも腹落ちしなかった
いよいよコロナにも後押しされて人口減少・高齢化の素直なインパクトが経済に出てきている。人口動態そのものは、一世代先までの予測も経済に影響を与える他の要因に比べればぜんぜん簡単だ。先の選挙で「高圧経済」的なことを唱える方々がだいぶ勢いを増したが、周回遅れではないかと心配になる
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近年は昔に比べて平均年収が下がってるとか、労働生産性が上がってないなど様々な意見が飛び交っているが、果たしてそれは本当だろうか。単純化しすぎて一部を切り取ってみてないだろうか、またなぜそのような事象に遭遇しているのかなど、データを元に考察しており非常に面白かった。
人々の働き方やDX、女性の社会進出や外国人労働者の雇用などが叫ばれる中、今の社会を俯瞰してみる視点を与えてくれた。
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過去、日本の労働市場は労働力の買い手すなわち企業に有利な環境が長く続いてきた。労働者は不本意にも非正規雇用として働かざるを得ない状況に追い込まれた。しかし、現在は人口減少や高齢化の影響で人手不足の状況にあり、正規雇用が増え、不本意な非正規雇用が減ってきている。明らかに環境が変化し、これが長期にわたって続く可能性が高い。人手不足の深刻化は、賃金の上昇をもたらし、持続的な賃金上昇が物価の継続的な上昇を引き起こすと予想される。 本書は、労働市場を起点に人口減少による人手不足が進む日本経済の構造や行き着く先を豊富なデータで分析、解説する。
既に新聞紙上でよく目にする論点も多いが、それをデータや事例から、より深く切り込んでおり、わかりやすい。
盛りだくさんの内容だが、頭に残ったのは、人口減少の日本社会において、深刻なのは需要不足ではなく、医療・介護をはじめ、運輸・宿泊などサービス供給の制約だという点。
いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる職種の仕事について、AIやロボティクスを活用したオートメーションがどこまで広がるか、それが今後の日本経済の行方を大きく左右する。
この点についてのポイントは間接的業務をデジタル化したり、AI、ロボットで代替化したりして、代替しにくい直接的業務に人手を回すようにすること。
このあたりは、事例を通してよく理解でき、勉強になった。
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最近頻繁に論じられるテーマかな。出生率の低下、人口減少局面、生産性の向上、外国人労働者の受け入れ、そして政府の各種保障や助成金のあり方などなど。読みながらふと思ったけど、日本に47の都道府県なんて必要?もっと統合して効率化図れないの?本書でもこれからの人口減少局面において地方が平等に繁栄することはありえないと書いてあるし。。みたいな思い切った施策、政策が必要になってくるのだろう。そこで問題になってくるのが政治ですかね。今の政治家にどれくらい強いビジョンやリーダーシップをもって前進させてくれる人がいるのでしょうか。無理ですよね。結局は日本は民間頼みということになるのかな。
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データに基づき理論的に論理を組み立てているので、非常にわかりやすい。
戦争、災害、飢饉、疫病など、一過性でない要因で一国の人口が減るなんてことは人類始まって以来の大変革期であり、今まさにパラダイムが180度変わる歴史的瞬間に立ち会っている。それにもかかわらず、まだ人々の思考はほとんど変わっていない。特に政治家は未だに雇用の創出を実績としたいようだが、もはやそれはありがた迷惑ですらある。国土の均衡ある発展という幻想を早く捨て、20年後を見据えて社会を作り変えることを急ぎ始めないと間に合わなくなる。こう言うことは若い人しかできないだろう。
それにしても経済動向はほとんど人口動態で説明できる事に改めて驚いた。財政出動や金融政策は短期的には多少の効果があるだろうが、経済対策としてはほぼ無力に近い。アベノミクスなんてやってないで、早く人口減少社会への準備を進めるべきだった。国の指導者が愚かだとダメージが大きい。
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『#ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』
ほぼ日書評 Day830
読む価値はあるが、論旨には賛同できなかった。
読む価値のある部分。
人手不足を解消するために、様々な業界で省力化が進められており、その事例を丁寧に調べており、参考になる。
賛同できない部分。
いわゆる日本の「失われた◯十年」の原因を "人口減少" に求めすぎ。
なるほど、著者は1985年生まれと、評者より20年若い世代。平成バブルはおろか、ITバブルや就職氷河期も当事者としては経験していない方ゆえ、肌感覚がないのも致し方ないが、あれは幾重にも積み重ねられた失政ゆえのもの。
もちろん人口調整局面では、70年代頃の高度経済成長を望むらくもないが、金融引き締めで景気を一気に冷やした日銀、非正規雇用への急速なシフトで若者の大幅な収入減並びに将来不安を招いた小泉首相と竹中大臣、最終的には機長のいないコクピットとでもいうべき民主党政権、これらがまさに、著者の言う「調整局面」の時期に合致している。
そして、その後のアベノミクスによる "史上最長の好景気"、これをさらに人口減少傾向が進んで、調整局面から真の減少局面に入ったことによるインフレ効果によるものとするのは、余りに乱暴というものだろう。
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少子化や労働時間減少の背景には、「(親世代のような)会社や家庭に拘束された人生ではなく、もっと自分らしく生きたい」と思う人が増えてきたからではないだろうか?
出世や家庭、子供などを望まず、程々の給料で満足して自由気ままに暮らす方が確かに楽である。AIやロボットによる機械化・自動化が更に進化・浸透し、生産性が人口や人手に強く依存しなくなる仕組みができるのが望ましいと思った。
また、医療・福祉の現場でも想像以上に機械化が進んでいるのには驚いた。ストレスフルな現場から優先的に機械化を進めるのはとても合理的だと思う。
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再読します。
日本経済の現状について詳しく書かれていると思う。あまり考えてなかった僕にとって一読目は結構きつかった 笑
ただ、日本全体で起きてることに対する危機感をすごく感じた。工学部の人として、自動化と機械化の章は面白く、デジタルで遅れている日本だが、またモノづくり産業が花咲かせるかもしれないと感じた。専攻の勉強のモチベーションにもなった。
高齢化に伴い、エッセンシャルワーカーの需要が増加するとのこと。だが、その介護や農業などは若い時分にとってあまりなじみのない領域であるから避けて通ってきたが、その現状を知るためにもボランティアや実際に話を聞いてみることが大切かと。
変化の激しい時代だが、同時に世界最先端を走る日本に生まれてきて楽しさも感じる。あとは民間だけではなくて、政界においてもしっかりした賢い政治家を増やすことも必要だと思います。政治、経済の学習も取り組みます!
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人口減少。出生率低下による超高齢化社会における労働力の減少。地域の存続等、経済を通じて様々な問題を挙げている。現状をざっくり把握するのに最適な一冊だと思う。