BRAIN BOOST（ブレイン・ブースト）　脳を変える究極のマインドセット

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治療に選択肢→プラセボの効果重視
医療従事者に選択肢→共感的・思いやり重視
目撃者としての客観性を疑う
恐怖の対象を過大視→曝露療法
気分と出来事の分離
感覚体験→言葉の力で満足度↑
非盲検プラセボ薬
ノセボ反応→知識の定着
痛みの破局か→自覚→悪循環切断
集団心因性疾患
期待や信念を固定させない
運動を気持ちよく←心の支え
労力や努力の感覚をリフレーミング
上方比較→ネガティブな印象醸成
食事の体験を強く記憶→満腹感の持続
罪悪感＜その瞬間の喜びを味わう
自分の感情のラベルの貼り換え
想像力→情報の固定化→長期的な効果
自律感→自我の消耗感低減
難しいからこそ楽しめるタスク
ステレオタイプ脅威→自己肯定法
メディア消費に自覚的でいる
脳は発展途上・神経可塑性
自分に優しくあろう

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The Expectation Effect:How Your Mindset Can Transform Your Life
【目次】
はじめに　──謎の「突然死」症候群　　
第１章　予測マシン：いかにして脳の「思い込み」は現実を作るのか
第２章　信じれば治る：プラセボ（偽薬）治療の最前線から
第３章　痛みと思考：ノセボという「呪い」を無毒化する方法
第４章　脳のミラーシステム：こうして「陰謀論」は集団内に広まる
第５章　肉体の限界は脳が決める：より速く、より強く、より健康に
第６章　ダイエットのパラドックス：なぜ「ヘルシー」なものほど太るのか
第７章　ストレスを科学する：恐れや不安をエネルギーに変えるテクニック
第８章　無限の集中力：自制心と意志力をキープするための「儀式」
第９章　期待と肯定：チームのパフォーマンスを高める驚きの効果
第10章　若さとは何か：寿命すらも左右する重要なマインドセット
おわりに　──人生を変える三つの戦略的アドバイス
→「自分の脳は「発展途上」であることを忘れないようにしよう」
「外からの視点を取り入れよう」
「自分に優しくあろう」

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ロールシャッハテストのような黒いインクのシミみたいなイラストがあって「何が隠れているか」というクイズがある。これが全くわからない。わからないのだが、家の人とこれで少しだけ盛り上がる。小さい家人に対し「本を読むのは偉い事」という教育に利用されがちな私は、手に持つデュルケームの『自殺論』で場を凍らせる。それだと良くない気がして、差し出したのが本書の黒いシミ。年末年始は大過なく過ぎてゆく。

このシミが何なのか、分かったあとは、そのようにしか見えなくなるというのが本書の補説だ。脳が一旦学習をすれば、そのパターンを覚え、期待形成するようになる。読書や勉強、経験などは、恐らくこれの積み重ねであり、黒いシミを文字に置き換えても、我々はその組み合わせから意味をもつパターンを読み込み、期待を形成する。それによって頭の中にイメージとその連なりによるロジック、ストーリーが呼び起こされる。

暗闇で歩く、という行為にも近い。
ヘルムホルツは、脳は過去の経験に基づいて、受け取った情報から最善の解釈を導き出しているという考えを提唱し、それを「無意識的推論」と呼んだ。私たちは世界をありのままに見ているのではなく、最もありそうだという推測に基づいて、脳が作り上げたものを見ているのではないかという説だ。脳は予測に頼ることで、途方もない曖昧さに対処できるようになっている。

そしてここからが本書の主論だが、この作用がブレインブーストのヒントになる。その予測に介入することで、脳をいい感じにしてしまおう。これがプラセボであり、ピグマリオン効果であり、ポジティブなフレーミング効果でありと、色々あるが、楽天的である事は良い事だ。近年では、プラセボ薬にも治療効果がある事が分かっている。

なぜ、そうなのか。期待形成により、脳がホルモンを出すからだ。ドーパミンやオピオイドなどの特定の化学物質を生成できる。これにはノセボのような逆効果もあって、例えば、もらいゲロ。嘔吐の伝染は、危ない食品の摂取を集団全体で対処する機能である。

だから、「褒めて伸ばす」は間違っていない。私は年末年始にあまり特別な感情を持たないというか正月っぽい事も特にしないが、こうした民族全体でパターン共有しておく事も脳回路の同質化や同期化という意味では、防衛協定的手続きとして非常に有効だ。世の中に数多ある〝黒いシミ“がどのように見えるか。絡め取られない独自の見方を形成しておくだけではなく、愛あるものと同じ見方をしている、という事は大切だ。

生きる事は、黒いシミに意味づけする作業だと諭し、デュルケームからの雰囲気を取り戻す。このプラセボにより、良い一年になるように。