悪役を作るのに悩んでから読むのではない。悪役を作る必要になる以前に読んでおくもの。
2024/11/24 18:29
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投稿者:にゃあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり断片的、しかし「漫画術」の続編としての補間。
今回はとても読みにくい!
その文章いるのか?と疑問に思う箇所も散見され、悪役についての話を期待していた自分にはだいぶ読み進めにくかった。
それでも、悪役自体のことよりも悪役の周囲、環境、社会などを含めて考えていくことで、悪役を構築していくのがわかった。
でも、やっぱり技術的な参考にはならないかも。
例として出ている悪役の制作過程や、この悪役の持っている性質や情報についての分析からなんとかして読み解いて「荒木先生はこうしている。だが、私にできるやり方は?」という課題が残った。自分なりの作り方を模索していくしかないのだろう。
悪役を、キャラクターを分析できるようになっていくその一歩としての本ではないかと思う。
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悪役には自分の哲学を投影させる。
漫画を通して自らの信条・理念をぶつけていく作業。
まだ6部と8部は見れてないですが、がんばって読み進めていきます。
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ジョジョは8部の途中までは読んでいるが、DIOや吉良吉影など魅力的な敵役が多い作品。自分は主人公より悪役が好きになる傾向があるため、なぜなのかというヒントになればと読了。帯にも書いているが、やはり悪役を作るには作者の「悪とはなにか」が反映されるため、全体のテーマやリアルとファンタジーのバランスなども踏まえて練られていることが書かれている。意外なあのキャラも悪役の立ち位置で描かれていることも分かると、悪は自分が思う以上に普遍的で基準が揺れ動くものなのだなと感じた。
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4. 自分にとって初めて登る山に行こうというとき、まず地図を用意するのと同じで、地図がなければ、進むべき道を外れてさまよったり、予想外の危険にさらされ頂上にたどり着けないで終わったり、ひどいときには遭難してしまったりするかもしれません
7. 「この漫画、なんか足りてないんだよね」と言うときは、90%以上の確率で「悪役が立っていない」
8. そもそも人生においては、誰もがなんらかの困難にぶつかっているのですから、大なり小なり、僕たちは日々、戦いを経験し、敵を倒そうとしているはずなのです
14. 「基本四大構造」、①キャラクター②ストーリー③世界観④テーマ。
絵には、この四つを増補・統括する最強のツールで、さらにセリフという言葉によっても補われる図式です
31. キャラクターをつくるときのポイントはいくつかあって、その第一は、「どこかで見たことのあるヤツ」ではない、つまりどんなに人気があるキャラクターでも真似をしてはいけない
31. もうひとつ非常に重要なのは、「何をしたい人なのか」、つまりそのキャラクターの行動の「動機」です。なぜなら、動機は読者の共感を引き出すもので、よい動機は「この漫画、読んでみようかな」と思わせるきっかけになるからです
31. たとえば「友情」のような「正しい」動機を選んだとしても、主人公のよい面だけではなく嫉妬などの人間的な感情や弱点、欠点などもちゃんと描く、ということです
32. キャラクターを作るときは、まず履歴書を参考に作成したオリジナルの「身上調査表」を書く。
約60項目、名前、年齢、性別、身長、体重などの基本情報の他、家族関係や学歴、好きな音楽、ペット、尊敬する人、将来の夢、恐怖(何を怖いと思うか)など、「人間を表すものって、なんだろう?」と僕が考えたものを並べています
44. 何か描きたいストーリーがあったとしても、大事なのはあくまでキャラクターで、そのキャラクターたちのためにストーリーを作っていくのが鉄則
49. 漫画を描くときには、いわばその漫画の「ルール」から逸脱しないように気をつけなければいけません。「ジョジョ3部」の「ルール」の基本は、承太郎たちが旅の道すがら順番に敵に出会っていって、最後にDIOと戦う「すごろく」になっているということでした
51. 読者がひたりたいと思う世界を作っていくには、たとえ架空の世界であってもリアリティーがあって緻密に表現され、説得力が感じられるものでなければなりません
56. 主人公は作品のテーマが目指すものをかなえようと行動し、悪役はテーマの真逆を体現します。
たとえば「ONE PIECE」のテーマは「自由」だと聞いたことがありますが、主人公のルフィが自由の実現を求めるのに対し、悪役である海軍側は海賊を取締り、不自由を強いてくるというわけです
59. 「ローマの休日」は、表面上は王女と新聞記者のロマンティックなラブストーリーと見せて、本質となるテーマが別に存在しています。その映画が作られた時代は米ソ対立の冷戦期で、アメリカでは共産党員やその支持者を徹底的に排除する「赤狩り」の嵐が吹き荒れていました。赤狩りにあったダルトン・トランボが偽名で脚本を書き上げ、他にもウィリアム・ヒル・ワイラー監督やグレゴリー・ペックなど、赤狩りに抵抗した映画人が多く参加しており、自分たちの生き方を賭けてこの映画に臨んだことが伺えます
62. 「自分の一番怖いものはなんだろう?」と考えてみれば、「ジョジョみたいな漫画」がきっと描けると思います
70. 主人公と悪役はセットで考える
72. ジョジョの悪役たちは皆、自分の「悪」を肯定し、悩むことなく、ひたすら自分の道を進んでいきます。互いにそうやって成長していくキャラクターが激突する、だからバトルが面白くなるのです
84. 漫画には直接関係ないことでも、ニュースなどに日々触れて、時代や社会を知ろうとする姿勢を持つことが大切です
85. 最近では、第九部「The JOJOLands」のストーリーの鍵となる溶岩に関係することとして、不動産や会社経営のルールを調べたのですが、「お金って、なんかスタンドっぽくないか?」という発見がありました
88. 結局のところ、悪役とは「思い通りにいかない困難」であり「主人公が乗り越えていくべき何か」なのですから、今の時代の困難や乗り越えるべき何か、たとえばいじめられた経験や、周囲と馴染めず居場所がない疎外感を突き詰めていけば、それが読者に受け入れられる悪役になっていくのだと思います
126. 露伴と京香はメインバトルで戦うような関係ではありませんが、それでも「主人公」と「悪役」のセオリーにあてはめて、ふたりを対比させているところもあります。それは京香の身上調査表に書いてある「芸術か?商業か?」「表現の自由か 社会制度の圧力か?」の部分です
144. 身近な誰かをそのままモデルにするということはなく、何人かの特徴を寄せ集めてキャラクターを作っています
159. 「連載1回にアイディアひとつ」
165. 「好きなことはやろう。だけど、読者が楽しめないような独りよがりの漫画はいけないよ」
167. 結局のところ、編集者の指摘が入るのは、「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」という漫画の「基本四大構造」のつながりがうまくできていないことを意味しているのだと思います。そして、そのつながりは自分自身でみつけていかないといけません
171. 生き返らせることはしないけれど、その分、人間が生きるとは、死ぬとはどういうことかを「ジョジョ」という漫画でちゃんと描こうと、改めて心に決めた
171. ウケないのはむしろ描きたいことを深く描いていないからであって、ブレずにどんどん突き詰めていく方がよい、というのが僕の考えです
180. 「税金はちゃんと払う」
181. 「すごく売れている食べ物だけど砂糖や油や添加物がたくさん入っていて実は体に悪いというのもあるし、漫画もただ売れればいいということだけを目的にするのは違うよね」
183. いつもぎりぎりのスケジュールに追われていると、目の前のことで頭がいっぱいきなってしまいますが、きちんと休む時間をとることで、次の作品に必要な勉強をしたり、新しいアイディアを思いついたりする余裕が生まれます
186. 僕はアナログで漫画を描き続けていきたいと思っています。今のところ自分で描いた方が速いということと、原画や存在感や手描きのライブ感、描いたときの感動を味わいたいという気持ちが強いからです
188. アメリカやフランスにも漫画はありますが、それらと日本の漫画の決定的な違いは、西洋絵画とは異なる日本独特の絵画技法、たとえば葛飾北斎の浮世絵が平面にものすごいスケール感を感じさせるように、平べったいのに何か動いているような感じを線で表現したり、そういう線で自然物や目に見えないものまで描いてしまったりするところだと思います
188. 手塚治虫先生が偉大なのは、あの膨大な作品群を生み出したことに加え、そうした日本的な漫画の表現にさらに「感情」を入れていったことです。
海外の漫画はストーリーだけを追っていく仕立てですが、手塚先生以降の日本の漫画は、ストーリーが展開していく中に登場人物たちの心情や人間の美しさをぐっと入れていき、独特の情感を感じさせます
206. ちょっとした「間」というか、ストーリーの流れの中にキャラクターの感情が入るコマを挟むテクニックら、日本の漫画ならではの特徴だと思います
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現役の超一流漫画家がその創作の秘密を、というだけで食指が動く。内容は王道中の王道。何処からそんなにアイデアが出てくるのか?その一端を垣間見ることができるだけで一読の価値があります。(ただのファン)
村上春樹の「職業としての小説家」との共通項もあった。「健康」が大前提である。
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アイデア出しから形やストーリーに落とすまでのすごく具体的な例が紹介されていたり、長く良いものを作り続ける秘訣が書いてあってとても参考になった
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前作は存在すら知らず読んではいないが、ジョジョ自体はすべて読み、所有している
岸辺露伴は動かない、は持ってたかな?
「ストーリーが動き出すとき」が興味深かった
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アニメしか観てないけど、ジョジョシリーズ大好きなので買ってしまった。
独特の哲学を持った悪役が多数登場し、ストーリーも発想も斬新。
一体どんな気持ちで描いてるのだろう?と前から気になっていた。
その答えがココに。
こだわりは当然としても、インプットしてきた量が違う気がする。
取り入れたものを自分色に染めたうえで、アウトプットするのが抜群に上手い人でもある。
こういう裏話を読むとまたアニメが観たくなる。
やっぱ原作コミックも読も。
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荒木先生はリアリティを漫画作りで大事にしてると感じた一冊だった。
ペルソナを作ることで悪役のリアリティを創っていた。
話は変わるが、ペルソナと言えばマーケティングもペルソナ作って具体的な顧客作ってリアリティを出していたなと思い出した。
何かを作る時はリアリティを求めるのが大事みたい。
現地に行ってみることで自分の目で確かめるのもリアリティを出す工夫と感じた。
リアリティを追い求めるのが面白さを出すのに必要な事なんだろうと思う。
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「魔少年ビーティー」からリアルタイムで読んできた世代です。
10年前の前作も読んだけど、今回も面白かった。荒木先生の漫画に込める思いが伝わってきて良い。単に漫画の書き方ってだけでなく、先生の哲学がわかる。荒木版「まんが道」であるな。
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長く愛されるものには理由があるというところか。
私はこの作家の漫画、所謂ジョジョのシリーズというのは一切読んだことがない。ネットでコマが切り取られ、スラングのように流通しているのを見かけたことがある、それぐらいのレベルである。
なぜ本書を手に取ったかというと、自分の知らない世界をのぞいてみたかったことがまずあり、そのうえで、新書ランキングで上位に来ていたからである。
さて、面白い漫画と面白くない漫画、また、途中からガス欠のように面白くなくなる漫画がある。
王道を歩む作品(らしい。読んだことないから知らんけど。)の作家である荒木氏は、作品のルールを逸脱しないことが大事、自分の描きたいことを描き切ることが大事という風に説明する。キャラクターを丁寧に作り上げることについて、悪役の作り方というタイトルにもあるように、紙面が割かれており、読みごたえがある。
たしかに、途中からガス欠したかのように面白くなくなる漫画というのは、キャラクターや話の軸がブレて、そのブレから読み手が振り落とされる、付いていけなくなる、ということがあるように思う。
売るためではない、自分の描きたい漫画を描き切る、それこそが漫画家の王道である、という荒木氏の矜持のようなものを感じたところである。
新書の感想ということで、一般的な感想を書いておくと、現代は「分かりやすい」「耳障りがいい」ものに飛びつき、あっという間に大勢が傾いていく危機を感じる時代である。世界史を見ると今に限ったことではなく、人間あるあるであるが。「ぶれない」漫画家である荒木氏の考えに触れ、「自分の基礎固めが大事」「そのために色々な物ごとに触れることが大事」という、バランスを保った生き方の重要性を改めて感じたところである。
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荒木飛呂彦先生の漫画論。
映画のコメンタリーを聞いている感覚。
ジョジョファン以外にも、これから漫画家になりたいと考えている人にも刺さる内容。
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ジョジョの作者、荒木飛呂彦先生の漫画講座。
個人的には、1冊目『荒木飛呂彦の漫画術』のほうが好き。漫画の4大構造という話は、非常に納得感があったし、出された例も非常に説得力のあるものだった。かなり内容が詰まっていた。
一方で、本書は、序盤は前作の振り返りになっている。4割くらいが既出の話なのだ。本書から読む人には易しいとは思うが。
で、肝心の悪役の作り方もイマイチ具体性がなく。前作でも紹介されていた「身上調査書」というものを使いましょうという、これまた前作の焼き直し。あとは、主人公と対比させましょうとか、そういったありきたりな内容。
正直、荒木飛呂彦先生が本を出せば、ある程度部数が出ることがわかった集英社が、無理やり書かせた感じが歪めない。
その期待との乖離も含めて、星2かなぁ。
前作読んでなければ、星3くらいの内容はあると思う。でも既読の自分にとっては、内容を薄くして再販されたようなものなので、星2です。
一番おもしろかったのは、コマ割りの解説。
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前作「荒木飛呂彦の漫画術」の延長線上にある一冊。
というか、荒木先生の漫画に対する哲学が一貫しているので、自然と延長線上にならざるを得ないのか。
単に「悪役」だけでなく、連載漫画家の仕事の仕方、「芸術」か「商業」か、コマ割りをどう作るか等いろいろなポイントから漫画の作り方を教えてくれる。
そこまで考えて構成や作画を書いているのか、と改めて感心してしまう。
昨今のAIに対する考えや、「税金は払おう」みたいな荒木先生の私見も面白い。
「ウケないのはむしろ描きたいことを深く描いていないからであって、ブレずにどんどん突き詰めていく方がよい、というのが僕の考えです。」(172頁)
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前作の『漫画術』に比べて新たな発見が少ないかな、ということで⭐︎3つとした。タイトルに悪役の作り方とあるが一冊を通じて悪役の作り方をレクチャーするというわけではなく、
前作の復習→悪役の作り方→漫画家あるある
といった構成で、悪役の作り方だけだと一冊書き切るのはしんどいから、他の内容を付け足してなんとか一冊にしました〜という印象を持った。
とはいえ内容自体は面白く、DIO、吉良吉影、などなどいったジョジョにおけるラスボスたちがどういう意図で生み出されたのかがわかって興味深かった。
荒木先生いわく本作は漫画家志望の人のためのもので、たとえ一握りの人にしか刺さらない内容でもそれでいいというスタンスで書いているようだが、ジョジョが好きな人なら楽しんで読むことができると思った。
ちなみに荒木先生はキャラクターごとに「履歴書」のようなものをつくっていて、キャラの性格とか目的がブレないようにしているとのことだったけど、一読者の目線からすると割とキャラの性格変わってるような。笑
ブチャラティなんて初期と後半だと割とキャラが違うし、あとスタンドの能力なんかも「ジョルノの能力、最初は感覚を狂わせる〜的な感じだったのに生命を創り出すに変わっとるやんけ!」とツッコミたくなった。まあ、荒木飛呂彦のこういう緻密とみせかけ割と適当なところは好きだけど。
いろいろ書いたけど、本作を読めば荒木先生の漫画に対する考えを知ることができるので、興味がある人にはおすすめしたい一冊。