ちょっとだけ特別な高校生たちの学園ミステリー
2025/04/01 22:42
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
支援高校に進学した架月くん、普通中学在学中は周りのスピードについていけずに、ぼんやり過ごしてきたが、少数生徒で支援と職業訓練を通して友人や先輩・先生に囲まれ個性を発揮していきます。
自分の分からない事を見つめなおし、友人たちを観察して人の気持ちを慮ることを覚えたりと、健常者にない苦労をしますが、素直で純粋な心の生徒たちの成長ぶりを見守る気分で読み進めます。
ちょっとだけ特別な青春
2025/03/20 17:14
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投稿者:今井 - この投稿者のレビュー一覧を見る
特別支援学校に通う高校生が主人公ということで、面白そうだけど、ちょっと読むのに勇気がいりそうと思っていたが全然杞憂だった。いろんな生徒がいて、仲がいいかと思えば不穏な空気になったり。ああ、青春っていいなあとしみじみと感じた。架月の他人の気持ちが分からないなりに一生懸命考えて話す姿勢がすごく良かった。だれも傷つかないように謎を解くっていうのは難しい。そういう意味で名探偵だと思う。
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
春から特別支援学校に通う事になった流されやすい架月が、様々な特性を持つ仲間との触れ合いから多くのものを吸収し、校内で起きたちょっとした事件を解いていくミステリ仕立ての青春物語。
まず「特別」の意味について深く考えさせられた。苦手な事、出来ない事なんていうのは誰にでもあって、その弱点を知られる事は誰だって怖い。どこからが「特別」なのかの線引きがとても難しく、そういうセンシティブな問題に躊躇なく切り込んでいく所に、特別支援学校関係者の著者ならではの覚悟を感じた。
それぞれのキャラが持つ意外性、そしてそれを「意外」と感じてしまう事への罪悪感。身をもって「偏見とは何か」を知る事が出来る作品。
特別とは、偏見とは、そちらに意識が向きがちにはなったが、日常生活を円滑に進める上で必要なものは、ほとんどの場合は彼らだけに「特別」必要な訳ではないという事実。それを理解し、誰もが過ごしやすい世界を全員で築いていけたら、と心から思った。
何も告げずに消えた初恋相手の事を忘れられないアラフォー元ヤンの錠一郎。25年振りに再会した彼女の姿は当時のままで―――不老不死の一族の謎を巡って繰り広げられる、純粋なヤンキーコンビと永くを生きた少女の絆を描いた、歴史やアクション好きにもオススメのSF恋愛ミステリ。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
障害者と健常者の話はあったけど、障害者だけで成り立ってるっミステリーは珍しい。
現場で関わってる作者さんならでは。
健常者目線ではなんかズレてるんdかえど、それがいたって普通のことになってるのが良い。
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とても良かった!
主人公は、特別支援学校に通う男子高校生・架月くん。彼は勉学の偏差値は高いのだが、人の言葉の裏を読んだり、空気を読むのが苦手。
側から見ると、少し挙動不審な彼の言動が、彼視点で「なんでそんなこと言うの?」「それってどういう意味で言ってるの?」と気持ちが語られているので、「なるほど、彼にはこの会話は、こういう捉え方をされるのか」と思考回路をなぞることができて、彼の戸惑いもすんなり受け入れられる。
彼以外の同級生も、得意不得意がそれぞれあって、すぐに障害があるとわかる子もいれば、まったく分からない子もいる。それが良いとか悪いではなく、読んでいくうちに彼らの個性が愛おしく、応援したくなる。
こんなに障害者側の気持ちを汲めるなんてすごい!と思っていたら、著者は特別支援学校に勤務している方だとあとがきで知り、納得。
尚更に、この本に出てくる人たちのことが魅力的に思えてくる。
「障害者」とひとくくりにしてしまうのではなく、一人ひとりの特徴や個性に注目して、彼らと付き合っていけたらいきたいなと思う。
ミステリとしても面白かった!
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特別支援学校が舞台の青春小説。
登場する生徒たちは差はあれど知的障害を持っている。
いろいろなタイプの障害があって、でも私は完全に知識不足。
知ることの大切さをひしひしと感じた。
誰もが自分自身を肯定して生きていけたらいいのにと思うけれど、簡単な話ではないのだろう。
感じ、考えさせられる物語だった。
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特別支援学校の生徒達、みんな魅力的だった
書名の通りちょっとだけ特別ではあるものの、
しっかり青春してて、爽快に読み進められる
なんだか自分が先生になったかの様な気持ちで、
みんな応援したくなるし、
この先も読みたいと思った
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カクヨム学園ミステリ大賞大賞受賞作と知って、興味を持って読んだ1冊です。
実際に支援学校で働く作者が描く高等支援学校に通う生徒たちの青春物語。
最近は、支援学級の数が、増えて来ていることもあり、知識を入れるためにもいい本だった。
主人公の架月の様子を見ていて、無理して、普通高校に行くという選択を選ぶのではなく、学校の過ごしやすさを考えて、支援学校を選ぶという選択肢もあるということを知れるいい機会だったなと思う。
障がいは見えるものだけではないということもしっかり理解できたので、それを踏まえた上で、生活していこうと思う。
読後、とても温かくなる1冊でした!
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控えめに言っても最高!
この小説は、私立の特別支援高校の日常でおこる出来事を、主人公の新入生青崎架月が事件として捉え、それを解決することで他者との関わりや相手の気持ちを考えることを学び成長していく、というミステリー仕立ての学園モノだ。
多くの人が知る機会のない特別支援高校の日々やカリキュラム、生徒の様子などもストーリーを通して身近に感じることができる。
何より登場する生徒達の個性が豊かでとても魅力的なのだ。
生徒の成長を見守る先生方も素敵。
私は中学校の学校司書をしているので、特別支援学級の生徒達にも図書館を利用してもらう機会がある。
でも、彼、彼女ら一人一人の個性や配慮する点までは知る機会がなく、その場その場で必要とされることに応えることしかできない。
もう少しそれぞれのニーズに合わせた対応ができればいいのに、と思うことも少なくない。
そんな生徒達にちょっと近づけたかな、と感じさせてくれる一冊だった。
個人的には、来年の本屋大賞にノミネートされないかなぁと期待している。
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あぁ、とうとう、こんな風に描いてくれる小説が、店頭に並ぶ日が来るんだと思った。
そう。「青春はちょっとだけ特別」。誰にとっても「ちょっとだけ特別」。
この頃、私は思うのだ。今は幕末によく似てるなと。
学校が幕府。勝海舟は学校にいて、坂本龍馬は今までの学校を離脱した場所にいるんじゃないのかなと。
特別支援学校には、きっと次代を切り拓く人がいると思う。
今までの視座からは、見えないものを見る人がいると思う。
この小説の主人公たちが、自分たちにとっての「当たり前」を伸びやかに生きているのが、本当に嬉しい。
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ちょっとだけ特別な彼らの姿が愛おしく感じる。
特別支援学校の何たるかもよく分かる。
社会の中で弱者とされがちな彼らも、社会の構成員。
彼らが変な負い目を感じずに、社会の中で自分の特性を活かした暮らしが普通に出来れば良いのに、と切に願う。
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Amazonの紹介より
中学時代、クラスのお客様扱いでぼんやりと過ごしてきた青崎架月。15歳の春、この明星高等支援学校に進学したことで、そんな日常にちょっとした変化が。先輩が巻き込まれたゴミ散乱事件、ロッカーの中身移動事件、生徒失踪事件を同級生や先輩の手を借りながら解決していく。高等支援学校を舞台に、初めてできた友人たちとの対等な付き合いに戸惑う架月の青春と、彼が出合った謎を描く連作集。
「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」大賞受賞作。
高等支援学校が舞台ということで、生徒や先生、それぞれの視点で物語は進行するのですが、それぞれの立場に立つと、みんな「普通」のことを語っているなと思いました。
直接、障碍者という表現は使わず、どこか劣っている部分を表して、生徒を表現しているのですが、最初は「どこがおかしいの?」と思いました。
ただ、読み進めるにつれて、周囲との行動を比べることで、ちょっとおかしいなと思う部分が浮き彫りになります。
それでも、学校内では、特別だけれども特別じゃない普通の風景があって、特に生徒の視点では心理描写といったものが丁寧に表現されているなと思いました。
その生徒が学校で巻き起こる不思議な出来事を解決していくのですが、最初は探偵役って大丈夫なの?という不安があったのですが、それを打ち消すかのように解決していきます。
ただ、ミステリーではあるものの、本格的ではなく、支援学校ならではのトリックや事情で解決へと導いていくので、ちょっと物足りなさはあったかなと思いました。
それでも先生に頼らず、生徒だけで調べていくのが魅力的で楽しめました。知らなかった支援学校の部分を垣間見ることができたので、ちょっと変化球ではありましたが、ミステリーとして面白かったです。
それにしても、その生徒らをまとめる先生方は大変そうだなと思いました。それぞれの生徒の劣っている部分をどうカバーし、どう教育していくのか。一歩間違えれば、飛んでもない結果にもなりえるので、本当にすごいなと思ってしまいました。
時折それぞれの生徒の中学時代での評価が登場します。ピンからキリで、周りとの考え方が異なる環境の中で、先生は色んな生徒を相手にしなければいけない状況に、苦労が窺えます。
小説内では、主に生徒にスポットを当てているので、先生達の苦労はそんなに表現されていませんが、読むにつれて、そういう目線で読んでいました。
生徒の視点では、周りと過ごすことで、色んな苦悩を垣間見ることができます。キレたり、その場から逃げたり、誤解されたりと自分では当たり前だと思っても、周りからはおかしいと捉える場面が多く登場します。
支援学校ならではの光景が、この作品にはあって、新鮮味があったものの、現実だと大変さが窺えます。
そうした中で起きる不思議な出来事の数々は、色んな事情ゆえの結果でも捉えることができ、そうなんだと逆に勉強になりました。
生徒の心情を知ることで、様々な「普通」を知ることができました。
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5つくらい本屋巡ったのに全部売り切れ
発売前から表紙に心奪われてた。
実写表紙で、ここ何年かで断トツにいいですね!
こんなに面白い本を読むのは何年ぶりだろう。
こういう本に出会うために読み続けられる。
今年中にこれ以上の面白い本に出会えるか不安になる。
1章が始まるまでの2ページくらいのプロローグからもう面白かった、ちょっと前の星の子の時もこんな感じだった。
高等支援学校が舞台の青春ミステリー。
あらすじから珍しいなと思ったけど、この切り口新しいし、楽しい。
この世界が登場人物みんなが本当に生きていてほしい。
登場人物みんなが主人公を架月!と名前呼びなのがいいです。
みんな好きなんですが、特に由芽ちゃん先輩が最高です。
高校3年生で架月のことをビシバシ鍛える良いお姉ちゃんだなと思ってたら、158ページで彼女がどんな障害を抱えているのかわかってしまうんですが、この小説は誰かが特別でもなんでもないんだと書いてくれていて、そして主人公架月のことがもっと好きになります。
小説ならではのシーンだし、1番いいのはこの人はこういう障害ですとは書かないし、主人公の架月は何回も同じことを言う人、突然怒りがコントロールできない人と考えて接する人だから、相手の悪い所が見えていても全部は嫌いにならないと言う彼が素晴らしい。
外部の視点が少ないですが、そればかりになるとまったく違うテーマの話になるからこのバランスがちょうどいいですね。
外部視点はまさかの架月のお母さんです、言葉少なに的確に嫌なことを言いますが当の架月はなんのそのな態度だったので嫌な感じを長続きさせないのが上手い。
話は夏休み直前で終わりますが、続きが読みたいです!二学期読みたい!
絶対に!続きが読みたい!出て欲しい!
いまからアナウンスして!ほしい!
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読み終えて心が温かくなった。生徒同士のかかわり方、先生方の生徒への接し方、すべてが相手を思いやる気持ちにあふれている。こんな素敵な青春もあるんだなぁ。成長した彼らの続編を読んでみたいです。
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特別支援学校に通う少年少女… ぬくもりと優しさに包まれるミステリ #僕たちの青春はちょっとだけ特別
■あらすじ
青崎架月は特別支援学校に入学し、新しい学園生活を始めることになった。先生や学友たちと交流を深めながら日々新しいことを学んでいく。ある日、先輩が掃除してる場所でゴミが散乱していることを発見する。意地悪がされているのではと訝しく思う架月だったが…
■きっと読みたくなるレビュー
物語の舞台は特別支援学校、軽度の知的障害をもつ生徒たちの青春ミステリー。登場人物は可愛い少年少女たちばかり。ただ集団行動、コミュニケーション、情緒の安定など、社会生活を送るのにはほんの少し課題をもっているんです。
彼らは人間特有の醜さってのがありません、煩悩がない。素直で正直な彼らを眺めていると、あまりにもピュアで自然に涙がでてきちゃうんですよ。もう何もしなくていい、となりで笑っていてくれればいいと思えてくる。近くにいたら、ひたすら守ってあげたくなっちゃうだろうなぁ。
みんな大好きなんですが、私のイチ推しは莉音ちゃんですね。どこまでもまっすぐで、面倒見がよく、判断に中間がない彼女。こんなにもイイ子は絶対に幸せになってほしいよ。
そして主人公の架月、無類の素直さをもち、疑問はどこまでも突き詰めたい彼。この性格がまさに探偵の資質ってところがミソで、学園で起きた謎に挑戦していくことになるのです。
本作の謎解きは、ごみ散乱事件、ロッカー中身移動事件、学友失踪事件の3つ。いわゆる日常の謎ミステリーに分類されるんでしょうけど注目すべきは動機。こんなピュアな動機は他にないですよ。
背景には障害をもつ彼ら自身が抱えている苦しみや想いだったり、携わる関係者の愛情が張り裂けているんです。はぁ切ない…
少年少女の成長物語、読み終わるときっと心が癒されますよ。日常に疲れてしまった方には、ぜひオススメしたい一冊でした。
■ぜっさん推しポイント
本作の登場人物として、学園の先生たちの会話もたくさんあります。ただ作者はあえて先生を賢く、シビアな人柄で描いているんですよね。きっと特別支援学校における教育現場の厳しさを伝えてくださってるのでしょう(実際には優しい先生ばかりだと思います)。
以前、私の妻が支援学校で働いていたことがありました。ひとりひとりはいい子ばかり、先生も温かい人たちばかりなんです。しかし好きだけでは勤まらない、仕事現場での苦労をよく聞いていました。
人それぞれ個性はあるけど、毎日を笑顔で暮らせるよう幸せになってほしい。それを支援する人々も応援したい、頑張って欲しいです。