好きな食べ物がみつからない

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解説にもあったように、まさに食の論文だった。こんなにひとつのことについて真剣に向き合うことができるのだなと思った。
私は既に揺るぎない好きな食べ物があって本書を読んでもやっぱり覆ることはなかったけど、確かに真剣に考えたら、それに匹敵しゆる食べ物が読みながらいくつも浮かんできて逆に惑わされた。しかし貫く決意も新たにできた。そしてなんで好きなの？といわれた際の引き出しも増えてますます好きになれた。
伏線回収方式もなかなかいいアイディアだと思う。見つからない人は食事をする際の感想でなにを例えにしているかで、自ずと系統が絞り込めるかも。
個人的に本書で気になったのは、昆布飴。味の想像はつくけど、中のペーストなどか入っているタイプは気になる。今度買ってみよう。
なにか新しい食の開拓や体験をした時に読み返したい本だ。

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感想
好きなもの。自分だけの好き。なぜか口に出して言えない。だから自分を掘って周りに尋ねる。そこで見つけた一つの輝き。それは私だけの宝物。

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2024年　27冊目

もう充分年末と言えるような日付になってしまい、積読を前に焦っている
なのにまたブックカフェで読んでしまった
読み始めたらめちゃくちゃ面白い
一昨日まで卒業論文を猛スピードで書いていた身としては、久しぶりに読むポップで読みやすい文体が染みた
多分論文を読みまくっていたからだと思うのだが、読み始めた当初から論文を読んでる気持ちになっていた　自分キモ！と思ったし、概ね間違いではないとも思った
『好きな食べ物を見つけたい』という確固たる問題提起→すでにあるデータを参照し考察→自身のデータ採取→結果から考察→結論
この流れめちゃくちゃ論文やん
参考文献がこんなポップな論文だったら卒論も秒で書けたのになあ
著者の息子さんと同じ食べ物が好きだけれど、自分と同じ食べ物が好きな人を初めて見たので驚いている

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自分の好きな食べ物を探す旅だったはずが、好きな食べ物が◯◯である自分を探しにいく、思ったよりもはるかなる旅へ一緒に連れて行ってもらいました。
後半、いよいよ著者の好きな食べ物が決定します。が、息子さんと娘さんの評価はイマイチなのも笑ってしまう。古賀さんのお子さんたち、結構鋭いし推せる！読者にもファンが多いはず。

著者への差し入れはこればっかりになりそうと勝手に心配になってしまうよ〜　土地土地でさまざまありドヤ顔で持ってくる人多そうだしさ...日持ちがしなさそうだし...

文体は踊ったりかけだしたりするように軽やか。特に好きな箇所が2ヶ所あった。
ひとつは旅のまだ序盤、チーズケーキへ思いを巡らしているさなか、チーズケーキの話にこんな一文を差し込める人がほかにいるだろうか。
「例えば好きな人がいるとして、その人を好きであることが、会いたさにのみ純粋に宿ると感じること、ありませんか。」

もうひとつは旅はもう折り返し、いよいよ自分のなかから出てくる好きな食べ物は一通り出揃うが、どうしても取りこぼしたくない著者が、図鑑を開いてローラー作戦していくという、半ば執念、半ばエッセイのためのサービス、とも思われる動作のフェーズ。においての、子ども向けの食べもの図鑑への敬意あふれるまなざしが好きだった。
「コメでページを作るぞとなったとき、甘酒やだんご、ビーフンをピックアップするところに図鑑らしい「さまざまさ」を強く感じる。コメだからといって、並ぶ料理がおにぎり、寿司、親子丼、カレーライス、みたいなことにはならないのだ。あきらかにここには教養と秩序がある。治安がいいタイプのマッチングアプリだ。」

エッセイの名手というのも頷ける。ちょっと踊ったり〜、も読んでみたい。

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この問いに、すごく共感する。
著者の好きな食べものを探す旅に同行している気持ちになり、私も「好きな食べものは餅」と、既に表明する気になっている。