後水尾天皇
著者 熊倉功夫 著
朝幕対立の時代に即位した青年天皇は、徳川和子を妃に迎え学問と芸道を究める。幕府の莫大な資金を引き出しながら宮中の諸儀式を復させ、修学院離宮を造営する。〈葵〉の権力から〈菊...
後水尾天皇
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商品説明
朝幕対立の時代に即位した青年天皇は、徳川和子を妃に迎え学問と芸道を究める。
幕府の莫大な資金を引き出しながら宮中の諸儀式を復させ、修学院離宮を造営する。
〈葵〉の権力から〈菊〉の威厳を巧みに守りつつ、自ら宮中サロンを主宰。池坊専好、千宗旦、本阿弥光悦らを輩出した、雅と風流の寛永文化を花開かせた帝の、波瀾の生涯を描く評伝の決定版!
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時代の転機に生きた天皇。
2010/11/20 23:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
後水尾院と言えば、日本社会が戦国時代から慶元の徳川太平の世への転換点に生きた天皇である。芸術家として、また徳川家から東福門院を迎えた天皇として時代に際立つ存在である。その後水尾院と院を取り巻く人々の群像の肖像を上手く書いている。
江戸時代の天皇は後水尾院以降、近年再評価される光格天皇や幕末史に大きな存在となった孝明天皇は別として、あまり語られたり取り上げられる機会が少ないが、どんな方がおられたのか知りたくもなる。この本では後光明天皇の御存在が際立つ。
時代は前後するが、光厳天皇や大正天皇のように、かつては同時代の南朝や巨大な存在であられる明治・昭和両天皇の陰に隠れていて、最近注目を浴びているにしても、一人の人間として、どうしても気になる天皇もおられる。
そして豊かな文化と精神風土は国の礎になっている
2014/05/01 02:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
後水尾天皇は、政治的に実績のあるとか、時代の流れに翻弄されたといったことで名を残しているのとは少し違う。即位したのは徳川幕府成立後の1611年で政治的にはほぼ安定していたが、ただその後の幕府は天皇の権威を制限する方向に進もうとし、たとえば禁中法度の制定があり、この武士が天皇に命じるという前代未聞の措置に激しく反発する。反発するが、力の違いはいかんともしがたく、結局は押し切られてゆく。これも一つの時代の転換点かもしれない。
もう一つはこれと表裏をなすことかもしれないが、歌や芸能に精通し、御所にも多くの知識人、芸能人を招いたり、独創的な作家に作品を作らせるなどして、芸能分野のパトロンになっていた。歌の他に絵や立花、茶道、築庭、碁など多岐にわたる。
その間、本当にいろいろなことがあった。そしてさまざまな葛藤があったと思われる。幕府への反発は、生来の苛烈な性格もあったようだ。時代の制約も、周囲の人々の力も。それでもこの時代の芸能を発展させたのは、一つの大きな実績と言える。
戦の絶えない不安定な中世社会から、平和で秩序だった社会における天皇の役割として、幕府の目論見が見事にはまったのかもしれず、しかしそれも天皇の個性ゆえに成し遂げられたことであるし、天皇の権威を徐々に奪われていくことの慚愧の念ゆえにできたことかもしれない。朝廷にいまさら国政を行う力もなかったとしても、幕府からすれば反幕勢力の象徴みたいになっては困るという不安はまだあったわけで、そこは双方ともに必死なところでもあった。
むろんそういった心情のところはこの本の述べるところではないのだが、資料と時代背景の詳細な分析から、読む人によってさまざまな人物像、その葛藤が思い描かれるのではないだろうか。
そしてこの天皇の周辺から、才能溢れる人々が力の発揮場所を得て、華々しく活躍を始めるのにも胸躍る感じがする。
やはりこれは時代の岐路だったわけだし、これによって近世芸能が発達したとまでは言わないまでも、ある一つの道筋を付けたことには違いない。
では後水尾天皇が武家政治の受難者でありまた文芸の育成者であったということなのか、それは秀忠とともに双峰かもしれないが同時代の庶民まで含めた新しい波を形作る一団の一人だったのかというのは分からないことのだ。
歴史学者の熊倉功夫氏による朝幕対立の時代に即位した後水尾天皇の波瀾の生涯を描いた評伝です!
2020/08/20 10:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『民芸の発見』、『近代茶道史の研究』、『南方録を読む』、『昔の茶の湯 今の茶の湯』などで知られる歴史学者・熊倉功夫氏の作品です。同書は、朝幕対立の時代に即位した青年天皇について語られた貴重な書です。青年天皇は徳川和子を妃に迎え学問と芸道を究めます。幕府の莫大な資金を引き出しながら宮中の諸儀式を復させ、修学院離宮を造営します。「葵」の権力から「菊」の威厳を巧みに守りつつ、自ら宮中サロンを主宰、寛永文化を花開かせた天皇の波瀾の生涯を描いた評伝です。同書の内容構成は、「1 下剋上の終焉」、「2 徳川将軍と天皇」、「3 寛永6年11月8日譲位」、「4 寛永のサロン」、「5 学問する上皇」、「6 修学院造営」、「7 法皇登霞」となっています。