カラー新書　入門　日本美術史

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＜目次＞
第０章　　仏教伝来以前～何を拝んでいたか？
第１章　　飛鳥時代の仏像～どうして細い？
第２章　　奈良時代～美の基準はなぜ変わった？
第３章　　異色の仏教～密教とは何なのか？
第４章　　浄土信仰～死後のために頑張る？
第５章　　十二世紀の絵巻～なぜ大人が熱狂する？
第６章　　慶派～奈良仏師なぜ成り上がった？
第７章　　肖像画～禁忌からブームへ
第８章　　水墨画～新技術をいかに学ぶか
第９章　　戦略としての絵画～ハッタリの天守閣に合う絵とは？
第10章　　狩野派その後～徳川時代を生き抜くためには？
第11章　　琳派～出身も時代も場所もばらばらで？
第12章　　浮世絵の始まり～「かけそば一杯分」になるまで
第13章　　北斎と広重～風景の何が面白い？
第14章　　西洋画の導入～なぜ日本人はミレーと印象派が好き？
第15章　　日本画のゆくえ～西洋画にあって日本画になかったものは？

＜内容＞
高校生の教科書レベルでほぼコンプリートされている上、コラムなどで細かい部分もケアし、日本美術史の基本はこれでマスターできる。文もこなれていて、たとえ話も上手いので、自習するのにもってこい。後は実物をしっかり見ることだ！

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1. 仏像の歴史的背景
本書は、日本の仏像文化における歴史的な変遷とその美的基準の変化について深く探求している。特に飛鳥時代から奈良時代にかけての仏像制作の技術やスタイルの変化が重要なテーマである。

1.1 飛鳥時代の仏像
- 鞍作止利による釈迦三尊像が飛鳥時代の代表的な仏像として紹介されている。
- 釈迦三尊像は、聖徳太子の母の死後に建立されたもので、細身で人工的な造形が特徴である。
- その制作過程には、仏教の信仰が深く関与しており、聖徳太子との関連性が強調されている。

1.2 天平時代の仏像
- 天平時代には、唐から新たな素材と技法が伝わり、仏像制作における技術革新が見られた。
- 削像と乾漆像の技術が導入され、よりリアルで力強い表現が可能になった。
- 薬師寺の薬師三尊像は、当時の美的基準を反映し、実際の人間に近い造形になっている。

2. 密教の影響
本書は、密教が日本における仏教芸術に与えた影響にも焦点を当てている。

2.1 密教の浸透と発展
- 空海の密教は、呪文や儀式を通じて広がり、特に平安時代において国家安泰を図るための重要な手段となった。
- 密教の仏像は、ヒンドゥー教の影響を受け、見た目や概念が大きく変化した。
- それにより、仏教の概念がより積極的で力強いものへと変わっていく。

3. 浄土信仰の拡大
- 阿弥陀信仰の浸透により、浄土式庭園や浄土堂が普及した。
- 浄土信仰は、死後の世界への期待を表現し、阿弥陀如来の姿に代表される「やわらかさ」が強調される。

4. 文化的変化と美的基準
- 時代の変遷に伴い、仏像の美的基準が変化していく様子が描かれている。
- 鎌倉時代のリアリズムから、平安時代の抽象的な表現への移行が見られる。
- 各時代の文化的背景が、仏教芸術にどのように影響を与えたかが詳述されている。

5. まとめ
本書は、日本の仏教美術の発展を通じて、文化的、宗教的、社会的な背景がどのように相互作用してきたかを示す。仏像を通じて、信仰や美意識が反映されることを明らかにしており、仏教の進化とその影響を深く理解するための重要な資料となっている。

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法隆寺金堂釈迦三尊像や如拙の瓢鮎図、本阿弥光悦の舟橋蒔絵硯箱、黒田清輝の湖畔など、高校日本史レベルで登場するさまざまな美術作品を多く取り上げており、丁寧かつわかりやすい解説を施した日本美術史の入門書。理解を助ける例えが秀逸でとても良い。日本史好き、美術好きな高校生にもお勧めしたい。