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著者 前田勉 著
武威の国近世日本を支えた思想は軍事と政治をまたぐ兵学であるとの視座から朱子学・蘭学・国学を論じ、近世思想史の新境地を拓く。
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近世日本の支配思想
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評価内訳
2025/03/04 13:23
投稿元:
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武威と国家 - 武威の国家観: 経済力や軍事力を誇示することで人々を服従させる国家観が強調されている。将軍や大名は「武威」と「御威光」によって権力を保証されており、他の価値観(宗教的、道徳的、文化的)に依存していない。 - 神秘的権力の利用: 天守閣を持つ城や参勤交代のデモンストレーションにより、権力は神秘的な力を得て、神々や仏教、儒教が権力を装飾するイデオロギーとして利用された。 兵学の位置付け - 兵学の重要性: 近世国家の支柱として兵学が認識され、江戸時代の朱子学者たちによって支持されていた。兵学は国家の軍事力を合理的に整える思想として機能した。 - 朱子学との緊張関係: 朱子学は「天理」や「義」を説き、現実の君臣関係と緊張を持ち続けた。君主が「天理」に反する行為をした場合、臣下は批判や諫言を求められ、さらには革命の可能性を内包していた。 身分の変化とナショナルアイデンティティ - 身分を超えた競争: 武士、百姓、町人の身分を超えた「日本人」というナショナルアイデンティティの形成が見られる。経済化により金銭が家柄や身分よりも重要視されるようになった。 - 経済的格差の意識: 元禄期以降の経済成長に伴い、都市と農村の格差が拡大し、農村での旧来の秩序の崩壊が意識されるようになった。 天皇と国家の関係 - 天皇の権威の重要性: 幕末の動乱の中で、天皇がより高い権威として位置づけられた。知識人は、現存する権威が弱点を示す際に新たな権威としての天皇を支持する動きがあった。 - 国民統合の意図: 天皇の権威を利用して国内統合を図る思想があり、それは兵営国家の再編成を試みるものであった。 兵営国家とその崩壊 - 社会経済的背景: 近世日本の兵営国家が宗教的権威を抑圧した結果、権力が強化される一方で、経済的な不安から反乱の意識が高まった。 - 競争の導入と制約: 商品経済の進展があったにもかかわらず、競争が兵営国家の制約を受け、不安からのルサンチマンが生じていた。 国学とその思想的影響 - 国学の役割: 近世の国学者たちが提唱した「日本人」意識は、武士や百姓、町人の身分の枠を超えた思想を形成し、近代国家の構築に寄与した。 - 武国観念と外来思想の排斥: 江戸時代の国学者は、「神国」や「皇国」といった観念とともに、外来思想を排斥する意識を持っていた。
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